古民家を活用したスモールビジネス5選|宿・カフェ・教室などの事例紹介

創業手帳

今「古民家ビジネス」が注目!空き家問題の解決策にも


地方移住や副業解禁、空き家問題の深刻化などを背景にして古民家を活かしたスモールビジネスに注目が集まっています。
空き家を再生して宿泊施設やカフェにすることで、地域資源を活用しながら、初期費用を抑えた起業が可能です。

本記事では、古民家を活用してはじめられるスモールビジネスの代表的な例5つの紹介です。
それぞれの特徴やはじめ方、成功のポイントもあわせて解説します。

古民家を活用したビジネスは、地域資源を生かしながら“小さく始める”のに最適です。
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古民家を活用したビジネスの魅力とは?


古民家を住居やビジネスとして利用するケースが増加しています。古民家活用は、コストを抑えながらほかにない個性を武器にできる上、スモールビジネスにも適しています。
古民家を活用したビジネスの魅力についてまとめました。

地域資源を活かせる

古民家は、その土地の自然や文化と深く結びついているため、観光資源との相性が抜群です。
古民家が密集しているエリアや古い街並み、豊かな自然が残っている地域では、その地域の雰囲気ごと古民家を楽しめます。
さらに地元食材を使った飲食店、伝統工芸を体験できる場など、地域の魅力を活かしたビジネスを展開可能です。

地域資源を活用したビジネスは、地元住民や観光客からの支持も得られやすく、アイデア次第でビジネスの幅を広げていけます。
古民家を探す時には、その周辺にどのような文化や食材があるのかも調べておいてください。

ストーリー性で共感を得やすい

古民家には「時間を重ねてきた背景」や「地域に根付いた文化」といったストーリーがあります。
そのため、ただの商品やサービスではなく、場所の物語とともに発信することが可能です。

当時の暮らしや風習といったストーリーを含めた体験として古民家を楽しめる機会はそう多くありません。
昔ながらの雰囲気を残した宿やカフェ、体験施設などはSNSやメディアでも取り上げられやすく、リピーターやファン作りに有利です。

競合が少なく独自性を出しやすい

古民家は、都市部に比べて競合が少なく、古民家という空間自体に強い個性があります
その地域の観光資源の活用できるので、同業他社とも差別化がしやすい点が魅力です。
建物の趣やふう合いを活かした内装・サービス設計で構築された唯一無二の世界観はほかでは味わえません。古い家具や囲炉裏、調度品もブランディングや集客に役立ちます。

補助金や地域支援が受けられる可能性がある

全国的に空き家問題や地方の経済衰退が深刻化しています。
これらの課題は相互に関連していて、多くの地方自治体で課題解決に向けて地域特性を生かした取組みや起業との連携強化といったアプローチを実施しています。
空き家対策や地域活性化を目的とした補助金や助成制度もそういった対策のひとつです。

古民家改修費や家賃補助、創業支援金など、条件に合えば資金面の支援が受けられる可能性があります。
特に空き家については多くの地方自治体で問題視され、支援制度が実施されています。まずは自治体や商工会議所に相談してどういった制度があるか調べてください。

古民家を活用したスモールビジネス5選


古民家を活用したビジネスには、様々な種類があります。古民家の規模や立地によって適したビジネスは違います。
ここでは5つに絞って古民家を活用したスモールビジネスをまとめました。

1. 宿泊施設(ゲストハウス・民泊)

観光地や地方都市では、古民家を改装した宿泊施設が人気です。空き家を民泊にするには旅館業法や民泊新法といった法令面のチェックも必要です。
業態に応じた認可や申請をおこなわなければいけません。

また、宿泊施設をはじめるまでに必要な内装工事などが発生するので、初期投資はかさみがちです。しかし、費用を抑えるためにDIYで改装する人も増えています。
備品をフリマサイトで探したり、そもそも改装が必要ない物件を選べば初期費用は抑えられます。
ゲストハウスや民泊はどちらもインバウンド需要を取り込むビジネスではありますが、施設規模や法規制が違います。しっかりと調べてからどちらにするか決定してください。

2. 古民家カフェ

古民家の和の雰囲気を活かしたカフェは、若い世代や観光客から支持されやすいビジネスモデルです。
古民家特有のゆったりした空間・非日常感は、都会ではなかなか得られません。
古民家カフェはカフェを体験自体に付加価値があり、小規模にして客席数は絞っても「単価×滞在時間」で収益を確保できます。

地域の素材を使った食品などを使う戦略にも適しています。
地元でとれた野菜を使ったり、ジビエ料理を提供したりその地域の独自性を前面に押し出したビジネスがおすすめです。

3. 体験型教室(料理・陶芸・和文化など)

古民家を使った体験型教室は、「体験消費」のニーズに応えるビジネスといえます。
古民家の雰囲気は、陶芸や茶道、和食教室などとの相性抜群です。ただし、陶芸や調理といったスキルは必要です。

例えば、古民家で生豆から自分で焙煎して飲むコーヒーも体験型の取組みがあります。
コーヒーや紅茶のようにテーマを絞ると、スキルを身につけてからスタートしやすいはずです。また、スキルを持つ人材を探すことも検討してください。

人材や場所、販売する商品や体験を確保するには、地域との連携が重要です。地元食材や職人とコラボすればその土地でしかできない体験を提供できます。
その地域で作られている食品やハンドメイド品などを調べてみてください。

4. シェアスペース・貸しスペース運営

古民家で何かを営業するのではなく、古民家自体を貸すこともビジネスになります。
古民家を複数人で使えるようなイベントスペースやワークショップ用として貸し出す方法です。

和風の家屋は撮影スタジオとしても人気があります。和室や縁側で撮影をしたいというニーズは多く、スタジオに合わせた小物や照明を用意しておくと喜ばれます。
インターネットで撮影スタジオとして募集する時には、どういった写真が撮れるのか、光の入り方はどうなのかわかるような写真を掲載してください。

古民家のレンタルは、自分が常駐せずとも収益化できる点が魅力です。
受付や管理などの手間しかかからないので、副業として古民家活用したいと考えている人にも適しています。

5. 小さな直売所・マルシェ

庭先や土間スペースがあれば、地元農産品や手作り品を販売する小さな直売所も人気です。
地域との連携が欠かせないため、地域密着型の店舗運営を目指したい人に向いています

また、観光客向けに週末限定営業することもできるので、平日に本業がある人にも適したビジネスモデルです。
その土地でしか買えない野菜や加工品を揃えることで、観光客を取り込めます。直売所やマルシェをはじめる時には、車などで立ち寄りやすい立地かどうかもチェックします。

古民家を活用する際の注意点


古民家ビジネスは、差別化しやすくコストを抑えやすいビジネスです。しかし、初期投資を抑えたいからと安易にスタートするのはおすすめできません。
古民家ビジネスを始める時には、事前に現地視察・相談・試算が必須です。古民家を活用する時の注意点をまとめました。

建物の老朽化・耐震性の確認

古民家は建物の老朽化や耐震性の問題があります。当然ではありますが、築年数が長いため、柱や梁の傷み、シロアリ被害、耐震性能の不足などのリスクがあります。

内装のカビやシミ抜きのほか、耐震性や断熱性の補強工事も必要です。
見た目がきれいでも、内部構造に問題があるケースも多く、古民家を購入してから問題に気が付くこともあります。
ある程度、趣や雰囲気を残したまま改修するため、古民家活用のためにかかる費用は一般的な現代建築の建物と比較して費用が高くなりがちです。

また、素材自体が古いので改修してからも定期的なメンテナンスが欠かせません。
購入する前には、必ず専門家による建物診断を受けることをおすすめします。また事業計画の中には、発生するメンテナンスについても記載しておいてください。

冬の寒さ・断熱性能に注意

古民家は、現代の家屋と比較して断熱性が低く、冬場の寒さが厳しい場合があります。
そのため、古民家を民宿や飲食店にしようとしても寒すぎて居心地が悪いかもしれません。
冬場に寒いと暖房費の増加や快適性の低下につながります。断熱改修や設備の導入コストも含めて資金計画を立てるようにしてください。

上下水道・トイレ設備の老朽化

上下水道やトイレ設備も必ずチェックする項目です。上下水道の整備状況によっては、浄化槽の設置や配管工事が必要なこともあります。
特に飲食や宿泊業を考えている場合は、衛生面・許可基準も満たさなければ開業できません。
いつ工事が終わるのか、いくらくらいの費用がかかるのかも合わせて調べておいてください。

営業許可・用途変更など行政手続きに時間がかかる

古民家を事業用途で使う場合、その土地に応じた用途変更や営業許可が必要になることがあります。
特に飲食・宿泊業は、保健所や消防の基準を満たす必要があり、書類や審査に時間がかかります。
建築基準法に適合していない物件をリノベーションする場合は、想定以上に費用と時間がかかるかもしれません。

関係法令に適合できるのか、事業開始までの申請スケジュールはどうなるかまで含めて計画を作成してください。

景観・文化財保護などの制約を確認

一部の古民家は、景観条例や文化財保護条例の対象になっている場合があります。
外観や色、改装方法に制限がかかる可能性があり、ビジネス計画自体が頓挫してしまうかもしれません。
エリアを選定する時点で景観や文化財保護の制約がないか自治体に問い合わせておくようにします。また、改装に備えて建築士への事前確認が必須です。

補助金・支援制度を活用しよう


古民家活用には耐震性やバリアフリー機能を向上させたり、飲食店を営業できるように改修したりと費用が発生するケースも多々あります。
加えて、営業するための仕入費用や売上が安定するまでの運転資金も必要です。
まとまった資金が必要になることが多い古民家活用ですが、条件を満たせば支援制度が使える場合があります。
特に地方自治体の制度は手厚いので、地域名+「古民家 補助金」で調べてみるのがおすすめです。

以下では、代表的な補助金、支援制度を紹介しています。

小規模事業者持続化補助金(創業型)

小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者等の生産性向上と持続的発展を図ることを目的にサポートする制度です。
販路開拓の取組みに対しての支援で補助上限額は、原則50~200万円で補助率は2/3でインボイス特例で50万円が上乗せされます。

対象となる経費には、機械装置等の費用以外に広報費やWebサイト関連費、外注費などが含まれます。
小規模事業者持続化補助金を申し込むには、地域の商工会、商工会議所に依頼して事業支援計画書の発行を受けなければいけません。
発行するまでに時間がかかることもあるので、余裕をもって商工会、商工会議所の窓口に依頼するようにしてください。

空き家改修支援制度(市区町村単位)

空き家問題は、全国的に深刻化しており多くの地方自治体では地域の活性化を目的に空き家や古民家のリフォーム費用に対して補助を行っています。

例えば、兵庫県たつの市では、古民家再生促進支援事業が実施されています。
これは伝統的木造建築技術によって建築された住宅を地域交流施設等に再生する際に受けられる補助金で、対象工事費500万円まで補助しています。

地方自治体によって利用できる制度は違うので詳しくは各自治体で確認してください。

住宅リフォーム関連の補助金

古民家活用では、長期優良住宅化リフォーム推進事業の補助金が使えることがあります。
長期優良住宅化リフォームは、既存住宅に対して適切なメンテナンスによって長寿命化する優良な取組みへの支援です。

要件としては住戸面積や住宅性能、省エネ関農や耐震性といった項目があります。
また、地方自治体でもリフォーム補助金制度があるので、耐震化や省エネ、バリアフリーといった改修を実施する時には利用できる制度がないかチェックしておいてください。

まとめ|古民家を活かせば「小さな夢」が現実に

古民家は、使い方次第で大きなポテンシャルを秘めた資源です。古民家での宿泊や飲食、体験、貸しスペースなど幅広い活用が可能です。
自分の得意やライフスタイルに合わせて自由にはじめられる古民家活用は、創業や副業としても大きな可能性を秘めています。
「いつかやってみたい」と思っていた夢を、小さく、でも確実に形にする——
それが古民家スモールビジネスの最大の魅力です。

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(編集:創業手帳編集部)

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