観光農園を開業する手順とは?メリットやデメリットも解説

創業手帳

多様化する観光農園を開業するために必要な知識を習得しよう


観光農園は、農作物の収穫体験ができる農園を指すケースが多いです。
イチゴ狩りやブドウ狩り、リンゴ狩りなどの収穫体験を行い、対価を得るというビジネスモデルになっています。
近年では、コト消費の需要が高まっているとして、収穫体験だけではなく収穫した食材を使った調理体験などを行う観光農園も増加傾向にあります。

今回の記事では、観光農園の開業における開業パターンと開業形態、開業に必要な資金、開業手順、観光農園を開業するメリット・デメリットについて解説していきましょう。

創業手帳では、「ブルーベリー観光農園の始め方ガイド」を無料でお配りしています。ブルーベリー観光農園で年収2000万円と自由を手にいれたブルーベリーファームおかざきの代表取締役畔柳氏に監修をして頂き作成したこちらのガイドは必見です。是非あわせてご覧ください。

※この記事を書いている「創業手帳」ではさらに充実した情報を分厚い「創業手帳・印刷版」でも解説しています。無料でもらえるので取り寄せしてみてください

観光農園の開業における開業パターンと開業形態


観光農園の開業を考えているのであれば、開業パターンと開業形態を把握しておく必要があります。
まずは、どのような開業パターンがあるのか、開業形態はどうなるのか解説します。

開業パターン

観光農園の開業は、就農と新規事業をスタートするという2つのパターンがあります。

就農パターンは、農地を確保するところからスタートしなければいけません。農地委員会の許可も必要です。
直接購入よりもコストを抑えられる賃貸でスタートする場合もあります。
農家が新規事業として行うパターンは、休憩所や飲食施設、駐車場、トイレなどを整備した上でスタートします。農地はあるので周辺設備の整備が重要なポイントです。
いずれの場合も、どこで開業するかがポイントになります。農耕地に適していて、アクセスが良い場所が観光農園向きの立地です。

開業形態

観光農園の開業形態には、単独開設と共同開設の2種類があります。

単独開設は、自分自身の農園を一般の人に開放する方法です。
一方共同開設は、複数の農家が共同で開設する方法になります。
共同開設は、休憩所や駐車場などを充実させやすくなっています。
設備が充実することで集客力を高めたり、休憩所などを設置するための費用負担を複数の農家で分割できたりするのは、共同開設ならではの大きなメリットです。

観光農園の開業での資金


観光農園を開業したいと考えているなら、開業資金がどの程度必要なのか把握しておかなければいけません。
全国農業会議所の新規就農相談センターの調査によると、新規就農する際に用意した自己資金の平均金額は528万円、就農した1年目に実際に必要となった資金は平均774万円となっています。
初年度は特に売上げが立ちにくいので、ある程度まとまった資金が必要です。
観光農園で使える補助金などをうまく活用すれば、負担を軽減できます。観光農園で使える補助金は、これまでに以下のようなものがありました。

  • 佐賀県「さが農村ビジネス総合支援事業」
  • 富山県「令和5年度6次産業化とやまの魅力発信事業」
  • 福島県「鏡石町新型コロナウイルス感染症拡大防止を目的とした農産物直売所等の対策費用の補助」
  • 兵庫県「まちなか農園開設支援事業」

観光農園の開業手順


観光農園の開業をスムーズに進めるためには、どのような手順で行われるのかも把握しておかなければなりません。
続いては、観光農園の開業手順について詳しく解説していきます。

目的を明確化させる

目的を明確化させることは、観光農園に限らず開業するために必要なステップです。目的が明確になると、事業計画の方向性も定めやすくなります。
まずは以下についてしっかりと考えてみてください。

  • なぜ観光農園をスタートしたいのか
  • どのような体験をしてもらいたいのか
  • どのようなビジョンがあるのか など

さらに、事業計画書の作成にも役立ちます。事業計画書は、外部の人に事業計画を説明するための書類です。
企業・事業の概要や従業員などの内部環境、市場・競合などの外部環境、サービスや商品の概要、販売戦略やビジネスモデルなどを盛り込みます。

土地を選定する

目的が明確になったら、それを達成できるような土地を選定していきます。観光農園を開業して成功させるためには、適切な土地選びが重要です。

適切な土地を選ぶためには、農地や農村地域での開業を検討するのがおすすめです。
土地を選定する際、交通の便や美しい魅力的な風景、水源の可用性なども考えなければいけません。
いくつか候補を上げ、実際に現地に足を運んで決められるのが理想的です。
また、周囲に民家がある場合は地域の人から理解を得る必要もあります。
土地は購入するだけではなく、リース契約を結ぶという方法もあるので、どちらが自分のスタイルにあっているのか考えることも忘れてはいけません。

栽培する農作物を選ぶ

栽培する農作物選びも、観光農園の経営がうまくいくか左右するポイントになります。開業予定の地域の気候、土壌条件に適した作物を選ばなければいけません。
季節ごとに異なる作物を栽培すれば、観光客が1年を通して足を運べる魅力的なスポットになる可能性が高いです。

収穫がしやすいかどうか

観光農園は観光客が作物の収穫体験を行う場所なので、収穫しやすいものを選ぶようにするのがポイントになります。
手軽に収穫できて、その場で食べられるものがおすすめです。
鑑賞用の花きを栽培する場合は、普段では見られないような珍しい品種の催場や展示をすると興味を持ってもらいやすくなります。
観光農園で栽培されている農産物は、以下のようなものです。

【果物】
  • イチゴ
  • ブドウ
  • リンゴ
  • ミカン
  • ナシ
  • サクランボ
  • メロン
  • スイカ
  • ブルーベリー
【野菜】
  • サツマイモ
  • キノコ
  • トウモロコシ
  • トマト
  • ナス
【花き】
  • ハーブ
  • バラ
  • チューリップ
  • 亜熱帯植物

その土地ならではの特産品を栽培している観光農園も多くみられます。

年間スケジュールに問題はないか

観光農園で栽培する作物や花きの育成スケジュールに問題がないか確認しておかなければいけません。
ここでは、観光農園の中でも人気が高いブドウ狩りの年間スケジュールのご紹介します。

ブドウ狩りは、11月~7月に木の選定や芽吹き、摘粒などを行い、見た目がきれいでみずみずしいブドウを育てていきます。
開園期間は8月~10月で、ブドウの収穫方法をレクチャーしたり、ブドウに関する質問に答えたりしながら、ブドウ狩りを楽しんでもらいます。
8月~10月は接客がメインです。

施設を整備する

施設の整備も観光農園を開業するために必要不可欠なステップです。農園内は、観光客が快適に過ごせるような施設や設備を整えなければいけません。
受付や駐車場、トイレ、休憩所は必須です。
カフェやレストランといった飲食施設もあると喜ばれます。
農園で育てている果物や野菜を使った食べ物を提供したり、育てている花をイメージしたデザートを用意したりすると、より興味を持ってもらいやすくなるでしょう。

また、農作業体験を行う際に使う道具も用意しておいてください。
持参してもらうスタイルだと気軽に立ち寄ってもらうのが難しく、集客がうまくいかなくなる可能性が出てきます。

広報活動を行う

開業した観光農園をより多くの人に知ってもらうためには、広報活動も欠かせません。
農園の魅力を知ってもらうためにおすすめしたいマーケティング手法が、ペルソナ訴求マーケティングです。
ペルソナ訴求マーケティングは、商品やサービスを利用する人物像を具体的に決め、その人に魅力を伝える方法を考えるという手法になります。
来場者となる人物、年齢、グループ構成などを細かく決めることで、適切なアプローチをしやすくなります。

観光農園を開業するメリット


観光農園を開業することで得られるメリットはいくつもあります。続いては、具体的にどのようなメリットがあるか紹介します。

単価を高く設定できる

観光農園は、体験に対する料金を加算するので、農産物を販売する場合よりも単価を高く設定できます。直売所や市場のように価格競争の必要もありません。
観光客側も体験込みの金額だと理解した上で購入してくれることから、適正価格での販売が可能となります。
また、体験料金だけではなく収穫する量も農園側であらかじめ設定できます。そのため、まとまった量を買ってもらえるという点もメリットです。

ファンを増やせる

ファンを増やせることも、観光農園を開業するメリットとして挙げられます。販売されている果物や野菜は基本的にどこでどのような人が買っているかわかりません。
しかし、観光農園の場合は足を運んでくれた人と交流し、育てている農産物の魅力を直接伝えることも可能です。
消費者側にとっても、どのような場所で育てられているのか、どのような人が生産しているのかをダイレクトに知ることができます。

体験したことも良い思い出になり、「またあの農園で体験したい」と思ってもらえる可能性もあるかもしれません。
毎年のように訪れる常連客になってくれるケースもあります。

収穫や梱包の手間が少ない

収穫や梱包の手間が少ないことも、観光農園を開業するメリットのひとつです。
収穫は農家にとって手間がかかる作業のひとつですが、観光客が収穫作業をしてくれるので、負担が軽減されます。
収穫作業は体力仕事でもあるため、手間を省けるメリットは大きいと感じるケースも多くみられます。

また、観光客が収穫した農産物をその場で販売するというスタイルです。
そのため、農協や直売所で販売する時のように個別の袋詰めをしたり、梱包作業を行ったりする手間も省けます。
これらの作業を省けることによる負担軽減効果も大きいため、農家にとって大きなメリットです。

規格外の農産物も販売できる

観光農園では規格外の農産物も販売できます。農協などに出荷する場合、傷があったり規格外のサイズだったりすると販売することはできません。
しかし収穫体験を行う観光農園では、観光客に収穫してもらえます。

規格外やわずかな傷のある農産物を出荷できないと、大きな打撃になってしまう場合もあります。そのようなリスクを回避できるのも観光農園ならではのメリットです。
珍しい形のものだと喜ばれる可能性もあります。
カフェやレストランを併設していたり、加工品を販売したりしている観光農園なら、原材料として使うことも可能です。

加工品などで販路を開拓できる

観光農園で栽培している農産物を加工品などにして新たな販路を開拓できるというメリットもあります。
収穫体験をしてもらったり、そのまま販売したりするだけではなく、ジャムやスイーツなどに加工すると付加価値が付くのでおすすめです。
生の果物や野菜だけだとお土産として購入するのが難しいですが、加工品なら買ってもらえる可能性も高まります。

観光農園で販売して反応が良ければ、インターネット販売や直売所での販売も視野に入ってきます。そうすることで、販路の拡大も実現できます。

観光農園を開業するデメリット


観光農園の開業にはメリットもたくさんありますが、デメリットもあることを忘れてはいけません。
最後に、観光農園を開業する際に知っておくべきデメリットをピックアップしてご紹介します。

接客業務が必要になる

観光農園では、農産物の収穫体験をしてもらうので、接客業務が必要不可欠です。
市場などに出荷する農家であれば対面する業務は少ないですが、観光農園の場合は避けて通れません。
農園に来てくれた人の接客だけではなく、電話やメールの問い合わせにも対応しなければいけないので、人と関わるのが苦手な人には不向きです。

また、農作業以外にもやらなければいけないことがたくさんあるので、スタッフの雇用も必要です。つまり、人件費もかかってきます。

初期投資がかかる

初期投資がかかることも、デメリットだと感じてしまう場合があります。加工品の製造や販売を行う場合は、加工場や店舗を整備するための資金が必要です。
初期投資に大きなコストがかかるので、黒字化するまでに時間がかかってしまうといったケースも珍しくありません。

直接販売や農産物加工、農家レストランなど様々な業態がありますが、いずれの場合も事業を立ち上げてから数年間は苦しい状況が続くと想定しておいてください。
それを加味した資金調達が必要になります。

観光業のノウハウがなければ難しい

観光農園は、農産物を作って販売する農業とは異なる業種です。観光業に分類されます。
そのため、接客や集客、設備などに関して観光業のノウハウがなければ、成功するのは難しいと考えられます。

加工品を生産するのであれば、食品加工・製造・衛生、流通、販売に関するノウハウも必要です。
そのため、ただ野菜や果物を育てればいいというわけではなく、幅広い知識が必須となります。

観光客にアプローチするための宣伝・デザイン・マーケティングなどの知識も、漏れてはいけない要素です。

まとめ・観光農園開業にはたくさんのメリットがある

観光農園は、農家をしているだけでは得られないようなメリットのある業態です。
単価を高く設定できるので売上げの向上を見込んだり、加工品の生産をすれば販路拡大を実現できたりします。
規格外の農産物も無駄にすることがなくなるので、観光農園の開業を検討する価値は大いにあります。

創業手帳から読者の方へプレゼント

ブルーベリーファームおかざき特別コラボ企画

脱サラして、年収2000万円を手にいれたブルーベリーファームおかざき代表畔柳氏監修の「ブルーベリー観光農園始め方ガイド」は必見です!無料なので、是非お取り寄せください。

関連記事
ブルーベリーファームおかざき 畔柳 茂樹|年に60日稼働するだけで年収2,000万円。楽して儲かる夢の「農起業」の始め方
【2024年最新版】農業ビジネスで役立つ補助金・助成金まとめ!活用してコストの負担を抑えよう

(編集:創業手帳編集部)

創業手帳
この記事に関連するタグ
創業時に役立つサービス特集
このカテゴリーでみんなが読んでいる記事
カテゴリーから記事を探す