IT導入補助金2022の概要が発表!中小企業のインボイス制度の導入を見据えた対応とは
IT導入補助金2022では、2023年10月から開始されるインボイス制度の導入を後押しする支援策
2022年(令和4年)に実施される「IT導入補助金」の概要資料が1月19日、中小企業庁より公表されました。
注目すべき点は「インボイス制度の導入」を見据えた対応である点です。
正式なスケジュールなどはまだ発表されていませんが、現時点で公表されている内容をきちんとおさえながら、今後の事業の展開を準備しておきましょう。
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この記事の目次
IT導入補助金とは
IT導入補助金とは、正式名称「サービス等生産性向上IT導入支援事業」といい、中小企業・小規模事業者が生産性の向上を目的としてITツールを導入する際、その経費の一部を国が補助するものです。
IT導入補助金を活用することで中小企業者は、積極的にITツールの導入し、業務効率化・売上アップといった経営力の向上・強化を図ることができます。
IT導入補助金2022の概要とは
昨年のIT導入補助金では新型コロナウイルス感染症の対策に重点がおかれていましたが、2022年のIT補助金においてはインボイス制度の導入を見据えた企業間取引のデジタル化を強力に推進していく方針が掲げられています。
主な変更点は以下のとおりです。
会計ソフト、受発注ソフト、決済ソフト、ECソフトに補助対象を特化し、補助率を引き上げ
補助額が50万円以下の場合、補助率を1/2から3/4に引き上げ
補助額が50万円超~350万円の場合、補助率を1/2から2/3に引き上げ
クラウド利用料を2年分まとめて補助
ITツールがクラウド化していることを踏まえ、最大2年分のクラウド利用料を補助。
PC・タブレット、レジ・券売機等の購入を補助対象に追加
PC・タブレットについては、補助上限額10万円、補助率1/2で支援。
レジ・券売機等については、補助上限額20万円、補助率1/2で支援。
上記については「デジタル化基盤導入類型」と括られ、中小企業・小規模事業者に、インボイス制度も見据えたデジタル化を一挙に推進していくため、会計ソフト・受発注ソフト・決済ソフト・ECソフトの導入費用に加え、PC・タブレット、レジ・券売機等の導入費用も支援する方針となっています。
類型 | デジタル化基盤導入類型 | |||
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補助額 | ITツール | PC等 | レジ等 | |
~50万円以下 | 50万円超~350万円 | ~10万円 | ~20万円 | |
補助率 | 3/4 | 2/3 | 1/2 | |
対象経費 | ソフトウェア購入費、クラウド利用費(クラウド利用料2年分)、ハードウェア購入費、導入関連費 |
複数社連携IT導入類型の創設
複数社連携IT導入類型とは、複数の中小企業・小規模事業者が連携をしてITツール及びハードウェアを導入することで地域DXの実現や生産性の向上を図るための支援をするものです。
複数社へのITツールの導入を支援するとともに、効果的に連携するためのコーディネート費や取組への助言を行う外部専門家に係る謝金等を含めて支援するとしています。
補助対象者
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● 商工団体等
(例)商店街振興組合、商工会議所、商工会、事業協同組合 等
● 当該地域のまちづくり、商業活性化、観光振興等の担い手として事業に取り組むことができる中小企業者又は
団体
(例)まちづくり会社、観光地域づくり法人(DMO) 等
● 複数の中小企業・小規模事業者により形成されるコンソーシアム
※事業に参加する事業者の条件は「10者以上」であること等を要件とする予定
補助対象経費(一例)
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①基盤導入経費
●ITツール:会計ソフト、受発注ソフト、決済ソフト、ECソフト
●ハードウェア:PC・タブレット、レジ・券売機等②消費動向等分析経費
●ITツール:消費動向分析システム、経営分析システム、需要予測システム、電子地域通貨システム、
キャッシュレスシステム、生体認証決済システム 等
●ハードウェア:AIカメラ、ビーコン、デジタルサイネージ 等③参画事業者のとりまとめに係る事務費・専門家費
補助率・補助上限額
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【補助率】
①基盤導入経費:デジタル化基盤導入類型と同様(1/2~3/4)
②消費動向等分析経費:2/3
③参画事業者のとりまとめに係る事務費・専門家費:2/3【補助上限額】
①基盤導入経費+②消費動向等分析経費=3000万円
③参画事業者のとりまとめに係る事務費・専門家費=(①基盤導入経費+②消費動向等分析経費)×10%
具体的な取り組みイメージ
複数社連携IT導入類型を活用するイメージとしては、以下のような事例を想定されています。どの事例においても消費の動向を分析するシステム等を商業集積地に導入し、データを収集・分析することで、当該地域の来街者増や回遊性向上等を図り、生産性向上につなげることを目的としています。
①地域にAIカメラ + 個店にPOSデータ分析システム
②地域にビーコン + 個店にAIカメラ
③地域に電子地域通貨 + 個店に分析アプリ
④地域にセンサー技術(人流・気象・交通量等)
今後のスケジュール
IT導入補助金についての今後スケジュールは以下のとおりとなります
- 通常枠(A・B類型)
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<第1次>
申請締切:5月16日(月)17:00 (予定)
交付決定日:6月16日(木)17:00 (予定)<第2次>
申請締切:6月13日(月)17:00 (予定)
交付決定日:後日決定
- デジタル化基盤導入枠
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<第1次>
申請締切:4月20日(水)17:00 (予定)
交付決定日:5月27日(金)17:00 (予定)<第2次>
申請締切:5月16日(月)17:00 (予定)
交付決定日:6月16日(木)17:00 (予定)<第3次>
申請締切:5月30日(月)17:00 (予定)
交付決定日:6月30日(木)17:00 (予定)<第4次>
申請締切:6月13日(月)17:00 (予定)
交付決定日:後日決定
なお、複数社連携IT導入類型のスケジュールについては今後公開される予定となっています。
また補助対象になるITツールについては現時点での公表はなく、今後昨年同様の検索ツールがIT導入補助金2022のHP内に実装されるとのことです。
まとめ
IT導入補助金2022では、2023年10月よりスタートするインボイス制度に特化した支援が検討されています。
なかなか浸透しにくいインボイス制度ですが、普及のためにかなり力を入れていることがわかります。
まだインボイス制度に対応しきれていない中小企業・小規模企業の方はこれを機に様々なデジタルツールの導入を検討されてみてはいかがでしょうか。
(編集:創業手帳編集部)