起業家の皆さん!インターネット社会に取り残されていませんか?スタートアップでも即導入可能なIoTを知ろう

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知っているようで知らないIoTの種類や、規模の小さな企業でも即導入できる技術をITマスターが徹底解説

IoTの活用事例
IoT(Internet of Things)という言葉は登場して久しいですが、何を指しているのか、どう役立っているのかが見えづらく、自社には関係ないと思っている方も多いのではないでしょうか。

しかし、現在すでに大小のIoTが私たちの周りにあり、それを活かすことで生活や業務を便利にすることができています。

本記事では、IoTについての基本的な情報や事例、スタートアップでもすぐに導入・活用できそうな技術について紹介します。

ネットワークにより無限の広がりを見せるIoT

非接触社会でインターネットを活用する
IoT の読み方は「アイオーティー」で、「Internet of Things」を略した呼称です。「モノのインターネット」という意味で使われていますが、単語だけではイメージが湧きにくいという方も多いです。以下では、IoTの主な特徴について簡単に紹介します。

モノのインターネット

IoTの機能の概略としては、「モノがネットワークを経由してインターネット上のサーバーやクラウドサービスに接続し、相互に情報交換を行えるようにする仕組み」です。

IoTでは従来オフラインで利用されていたさまざまなモノをインターネットに接続することで、利便性の向上や新たな価値の創造を目指します。

センサーを使ったデータ収集とクラウド上での処理

ネットワークに接続できるモノがあっても、それだけではIoTとは呼びません。IoTは基本的に以下の3つを備えた仕組みです。

モノ:本体

IoTにはモノそのものが必要です。ネットワークに接続するためのWi-FiやBluetoothなどの機器を有していることが求められます。車からICタグまでその大きさもさまざまです。

ただし、IoTに利用するデバイスはサイズやコストの関係から、パソコンやスマホほどの性能を持たせることが難しい場合があります。

センサー:情報収集を行う

モノに搭載されている各種のセンサーによって情報収集を行います。音や映像を感知できるカメラはもちろん、温度計や湿度計、振動計などもセンサーに該当します。

センサーが感知・計測した情報を数値などのデータの形に変換することで、インターネットでの送受信やサーバーでの処理が可能になります。

サーバーorクラウドサービス:処理や命令を行う

モノに搭載されたセンサーからの情報を受け取り、処理(計算や出力)を行います。また、防犯カメラの向きを変えるなど、サーバー側からインターネットを通してモノに命令して制御する仕組みも利用されています。

処理したデータをさまざまに活用

IoTでは、情報をただ収集するだけではなく、そのデータをさまざまに処理し活用することで新たな価値を創造します。

家庭用のIoT機器の例では、体重計で収集した体重データから体重の推移を自動的にグラフ表示したり、室内の温度が一定以上になったら冷房を強くしたり、エアコンや照明などの家電を外出先から操作したりすることが可能です。

デバイスの違いに注意が必要

IoTで利用されるデバイスは、パソコンやスマートフォンのような情報端末とは異なり、屋外などの悪環境の中、長期で利用されることが多いです。

例えば、監視カメラなどの機器は10~15年ほど同じものが利用されます。この期間中にデバイスの劣化や消耗も生じますし、サイバー攻撃もどんどん高度化します。

そのため、定期的なメンテナンスやファームウェア・セキュリティパッチの更新も必要です。また、処理能力の低いデバイスも多いため、機能の追加は行わない、不要な機能は廃止・削除するなど運用に配慮が求められます。

実際に使われているIoTはかなり身近にある

ビジネスシーンにおいてIoTはどのように活用されているのでしょうか。どのような場面でIoTが利用されているのか代表的な例を紹介します。

スマートウォッチ

AppleWatchに代表されるスマートウォッチは時計としての機能だけでなく、インターネットと接続してメールの確認や電子マネーの決済ができたり、歩数や心拍数を読み取ってライフログ(健康管理上の記録)として残したりと機能はさまざまです。

他にも、メガネ型やリストバンド型のウェアラブル端末がさまざまなメーカーから販売されています。

スマート家電

「スマート家電」とはインターネットを通して遠隔操作ができる家電製品を指す言葉です。登録した炊き加減に炊飯器がごはんを炊いたり、朝の指定した時間にコーヒーメーカーがコーヒーを自動で淹れたりできます。

また、家庭のHEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)と連携して、エネルギー使用状況の見える化をしたり省エネのためのアドバイスを受けたりすることも可能です。

コネクテッドカー

車載機器がインターネットにつながり、社内におけるネット利用はもちろん、最適なルートの案内や車両のトラブル検知を可能にし、将来的には自動運転まで期待されているのがコネクテッドカーです。

すでにコネクテッドカーは市販されており、カーナビとスマートフォンの連動や、駐車位置表示などの機能が実装されています。国内の自動車メーカーの多くは、2020年代前半のうちに新車の全車種のコネクテッドカー化を目指しています。

IoTによる農場管理システム

農業ITの分野では、センサーと無線ネットワークを組み合わせ、自宅に居ながらにしてスマホやパソコンで農場の温度や湿度などの情報を受信し、加工して見える化できるシステムの利用が始まっています。

同様の技術を活用することで、工場や冷蔵車などの温度管理も可能です。台風や大雨などの災害時に農場を確認しに行くことで生じる事故を防ぐ効果なども期待されています。

実際に使われているIoT事例から導入のヒントをつかむ

身近にあるIOTをヒントにスタートアップも導入
IoTの導入において、課題となるのは「資金」「アイデア」「人材」であると言われています。しかし、上記の事例のように大がかりなものではなく、シンプルなサービスであればこの課題をさほど気にせずに利用可能です。

スタートアップでも導入しやすいIoT技術の例をいくつか紹介します。

飲食業:フードプリンタ

写真やイラスト、ロゴなどを食品にプリントすることができるフードプリンタもIoT技術によるものと言えます。一般的な印刷用プリンタと同様に、アプリやインターネット上にあるデザインを印刷することができ、顧客からの注文を食品に出力可能です。

スイーツ店やカフェのラテアートなどで利用することが可能で、従業員の工数削減と付加価値のある商品作りを同時にサポートしてくれます。

飲食業:多言語メニュー

訪日客や外国人労働者が多くなる中で、多言語メニューへの対応の必要性を感じている飲食店オーナーも多くなっています。IoTを利用した多言語メニューは、主にスマホやタブレットのアプリを利用して注文を行うものが多く、決済まで可能なものもあります。

一括でメニューの管理ができ、多くの言語に対応できるのもメリットで、人件費や教育費の削減に効果があります。

製造業:みまもりサービス

昔からさまざまなモノの生産に関わる職人たちは、わずかな音や温度、色などの情報から異常の予兆を読み取る能力があると言われていました。

そこで、実際の生産機械にセンサーをとりつけ、その音などからAIが異常を検知し、異常があればすぐに担当者に連絡が届くようにするのが「みまもりサービス」です。

無人運転に近い形でみまもり業務を行うことができるため、担当者の負担軽減に役立ちます。

不動産業:スマートロック

スマートロックとは、玄関錠に後付けし、スマホ操作で解施錠やオートロックといった機能を導入できる製品です。

事業所の入退室管理などで利用されていますが、不動産業においては、無人での内見対応が可能、カギ交換が不要などといった点で活用されています。

貸し会議室などの無人対応にも応用が利くなど、アイデア次第でさまざまな利用方法が考えられます。

不動産業:駐車場用カメラ

IoTを利用した駐車場では、監視用カメラによって空き状況の可視化や未払いトラブル防止などを実現しています。

ロック板が不要な駐車場が作れるため、初心者でも駐車しやすい駐車場になるだけでなく、車のボディが傷ついたことで生じるクレームなども少なくなり、設備費も削減できます。

土木建設業・映像制作業:ドローン

命令を受けて無人で自立飛行を行う小型航空機ドローンは、現在非常に普及が進んでいるIoT機器のひとつです。

カメラやセンサーを搭載したドローンによる空撮や測量は、建設業や映像制作業などで活用されています。また、高所における確認作業やみまわりでの利用や宅配の研究も活発に行われており、ドローンビジネスは注目を集めています。

小売業・広告業:デジタルサイネージ

大きな液晶画面に広告を表示するデジタルサイネージは普及していますが、IoT化によってさらなる効果を期待されています。

広告用のデジタルサイネージなら、カメラで歩行者の年齢層や性別などの情報を取得し、AIがそれに合わせた広告を選び配信するといった運用が可能です。

小売でも、店内のアイテムの広告や雰囲気作りに活用されていますが、複数店舗の映像を一元管理するなどの使い方ができます。

全般:名刺管理サービス

ビジネスシーンに欠かせない名刺の管理も、IoTを利用することでずっと楽になっています。専用スキャナやスマホアプリで名刺を撮影すると、その名刺データがクラウド上のサーバーに保管され、社内での共有が可能になるサービスが出ています。

名刺を共有するだけでなく、タグや手動でのグルーピング機能や、接触履歴の記録も可能です。同一人物を追跡し、人事異動があったとわかれば情報を更新して関係者に通知する機能もあります。取引先だけでなく、社内の連絡用グループを作るといった使い方も可能です。

全般:電子ホワイトボード

会議などで利用されるホワイトボードもIoT化が進んでいます。ホワイトボードに専用のペンで文字や図を板書すると、OCR機能(文字を読み取る機能)で読み取ってデジタル文字に成形して表示されるので可読性が向上します。

また、ビデオ会議ツールなどへのホワイトボード画面の共有も可能です。複数人での書き込みへの対応や、オフィスの定番アプリとの連携なども可能で、会議の生産性向上に効果的です。

全般:ウェアラブルカメラ

ウェアラブルカメラとは、体や頭部に装着することでハンズフリーの撮影を可能にするビデオカメラです。Wi-Fiに対応することで、ライブ配信などにも対応したモデルが多くなっています。

ウェアラブルカメラを利用することで人間の目線に近い映像を撮影できる、両手がフリーになるといった利点があり、バーチャル観光やバーチャル内覧、両手を必要とする作業のスキル共有などに使われています。

全般:モノをIoT化する乾電池

ノバルス株式会社が制作している乾電池「MaBeee」は、単3の乾電池で動く製品を専用のスマホアプリでコントロールできるようにしてくれる乾電池型IoT製品です。

これにより、おもちゃの動きやライトの明るさを調節したりできます。エンターテインメント業や店内のショーアップ、プログラミング教育など、幅広い分野での活用が期待されています。

IoT技術で業務や環境を改善しよう

モノがインターネットに接続することでさまざまな利便性を生み出すIoT製品・サービスは私たちの身近にどんどん増えています。

カメラや各種センサーで取得できるデータはIoT活用の糸口となる場合も多いので、業務の中で意識して探してみるとよいでしょう。

便利なIoT製品・サービスの中には、スタートアップや中小企業にも活用しやすい価格帯のものも多くあります。業務や環境の改善に向けて、興味のある分野のIoTについて一度調べてみてはいかがでしょうか。

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(編集:創業手帳編集部)

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