【2025年最新】iDeCo改正による変更点は?メリットや注意点をわかりやすく解説!
iDeCoの制度改正はいつから?
老後のためにiDeCoの活用を検討している人もいるでしょう。税制が優遇されるメリットがあり、老後の資金源として利用することも可能です。
iDeCoは、2024年12月に制度が改正されましたが、今度も改正が続く可能性はあります。
そこで今回は、iDeCoについて、2024年12月に実施された改正内容などについても解説していきます。
また、新たに発表された2025年税制改正大綱についても紹介していくので、iDeCoの活用を検討している人や主な改正点を知りたい人は、ぜひ参考にしてみてください。
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この記事の目次
iDeCoとは
iDeCoは個人型確定拠出年金ともいわれています。
公的年金とは別に給付を受けられる私的年金制度で、加入者が拠出した掛金を自分で運用して資産を形成することが可能です。
基本的に20歳以上65歳未満であれば加入でき、運用対象の商品として投資信託や定期預金などが挙げられます。
積み立てた資金は原則として60歳以上になるまでは受け取れません。受取方法は分割受け取りと一括受け取りから選べます。
【2024年12月】iDeCo改正による変更点
政府はiDeCoをより使いやすい制度にするための取組みを進めています。2024年12月には、以下のような制度改正が行われました。その内容を紹介していきます。
加入時の事業主証明書の廃止
これまで、会社員や公務員の人がiDeCoに加入する際には、「事業主証明書」の提出が求められていました。
しかし、2024年12月からは証明書の提出が廃止され、加入する場合に企業側に依頼する必要がなくなったのです。
企業側も、事業主証明書を作成する手間がなくなりました。申し込みが手軽になったので、iDeCoに加入するためのハードルは下がるでしょう。
拠出限度額の変更
iDeCoはこれまで改正が重ねられていますが、2024年12月には拠出限度額の変更が実施されています。
これまでの拠出限度額は月額1.2万円でしたが、下記のように変更されています。下記表の赤字部分が2024年12月からの改正点です。
第1号被保険者 (自営業など) |
月額6.8万円 (国民年金基金の掛金または付加保険料との合算) |
年額81.6万円 |
---|---|---|
第2号被保険者 (会社員・公務員) |
企業型DC:月額2.0万円※ | 年額24.0万円 |
企業型DC+確定給付企業年金等:月額2.0万円※ | 年額24.0万円 | |
確定給付企業年金等:月額2.0万円※ | 年額24.0万円 | |
上記以外の会社員:月額2.3万円 | 年額27.6万円 | |
公務員:月額2.0万円※ | 年額24.0万円 | |
第3号被保険者 (専業主婦など) |
月額2.3万円 | 年額27.6万円 |
※「月額5.5万円-企業型DC掛金額、他制度掛金相当額、共済掛金相当額」との少ないほうの額となる
iDeCoの掛金を拠出できなかった場合の対処法
企業型DCを除いたDBなどの制度に加入している場合、DBなどの他制度掛金相当額によってはiDeCoの掛金の上限が小さくなったり、掛金の最低額を下回るなどして掛金を拠出できなくなったりするケースがあります。
資産額が25万円以下であるなど、要件を満たしていれば脱退一時金を受給できます。
脱退一時金の受給要件として、以下の1~7にすべて該当している必要があります。
1.60歳未満の人
2.企業型DCに加入していない人
3.iDeCoに加入できない人
4.日本国籍を有している20歳~60歳未満の海外居住者ではない人
5.障害給付金の受給者ではない人
6.企業型DCの加入者およびiDeCoの加入者として掛金を払い込んだ期間が5年以内。もしくは個人別管理資産額が25万円以下である人
7.企業型DCまたはiDeCoの資格を喪失してから2年以内である人
【2025年税制改正大綱】iDeCoの掛金引き上げなど改正点
政府が目指している「資産運用立国」を目指すための一環として、2025年の税制改正大綱にiDeCoの掛金上限の引き上げが盛り込まれました。
実際に改正するには確定拠出年金法の改正なども必要なので、詳細は変わることも考えられますが、発表されたiDeCo改正点の概要を解説していくのでチェックしてみてください。
1.掛金引き上げ
2025年税制改正大綱で発表された掛け金の変更点を表にまとめています。
働き方 | 現状 | 改正後 |
第1号被保険者 (自営業など) |
月額6.8万円 (国民年金基金の掛け金または付加保険料との合算) |
月額7.5万円 (国民年金基金の掛け金または付加保険料との合算) |
第2号被保険者 (会社員・公務員) |
企業年金なし:月額2.3万円 | 月額6.2万円(企業年金と合算) |
企業型DCのみ:月額2.0万円 | 月額6.2万円(企業年金と合算) | |
企業型DCと企業型DB:月額2.0万円 | 月額6.2万円(企業年金と合算) | |
公務員:月額2.0万円 | 月額6.2万円(退職等年金と合算) | |
第3号被保険者 (専業主婦など) |
月額2.3万円 | 月額2.3万円 (変更なし) |
表を見る通り、多くの場合で掛け金の引き上げが実施される予定です。
また、企業年金ありの会社員・公務員の場合は、iDeCoの掛け金が上限2万円となっていましたが、改正後は上限が撤廃されています。
2.掛金の拠出が70歳未満までに
iDeCoに掛け金を拠出できる期間は、これまで20歳~65歳まででした。しかし、改正によって70歳未満までに拡大する予定です。
iDeCoに加入するためには、国民年金の被保険者または任意加入被保険者である必要があります。
国民年金は、原則だと40年間、20歳~60歳未満の人が加入できます。しかし、40年に満たない時には、60歳~65歳未満の間で40年に達するまで任意加入することが可能です。
もしくは、厚生年金に加入している間は65歳未満まで第2被保険者となります。
今回の改正によって、加入者になれない人でiDeCoの加入者、運用指図者であった人または企業年金等の資産をiDeCoに移管できる人は、老齢基礎年金やiDeCoを受給していなければ制度の対象者として月額6.2万円まで拠出できるようになります。
老齢基礎年金を65歳まで受給せず、70歳まで繰り下げ受給できるようであれば選択肢となるはずです。
3.企業型DC(企業型確定拠出年金)も変更
企業型DCに関しては、改正前は拠出限度額が月額5.5万円となっていましたが、企業型DBに加入していない人は月額6.2万円、企業型DBの加入者は企業型DBの掛け金との合計で6.2万円まで拠出可能です。
勤務先に企業年金があれば、変更予定がないか確認してみてください。
【2025年税制改正大綱】iDeCo掛金引き上げメリット・デメリット
iDeCoの掛け金引き上げによる利点と欠点を解説していきます。
メリット
掛金が引き上げとなれば運用益が多くなる点が魅力です。例えば、企業年金なしの会社員の場合、掛金は月額2.3万円でした。
運用期間が30年だった場合は、元本828万円までしか拠出できません。そのため、増やせるのは運用益を含めても1,300万円程度です。
しかし、掛金改正となれば運用できる上限は月額6.2万円までアップします。
30年間平均年3%で運用した場合、6.2×12×30年=2,232万円、運用益は1,381万円となるため、合計3,613万円受け取れるようになります。
詳細は、金融庁が提供している「つみたてシミュレーター」を活用してみてください。
デメリット
掛金が増額することは一見喜ばしいですが、iDeCoを一時金で受け取る場合に退職金とみなされ、退職金控除が適用されることとなります。
退職金控除を計算する際には、退職金は勤務年数、iDeCoは加入年数がそれぞれ適用されます。
会社からの退職金とiDeCoの一時金の受け取り時期が同じになると、勤務年数とiDeCoの加入年数のうち、多いほうのみで計算されてしまうため注意が必要です。
会社からの退職金が多い場合、退職金のみで退職金控除の枠を超えてしまう可能性があります。
枠を超えた分は退職所得の計算に基づいて所得が算出され、課税される仕組みです。
そのため、掛金が増額すれば課税額も多くなる可能性が高いです。税負担が増える可能性がある点を覚えておいてください。
【2025年税制改正大綱】iDeCo掛金の拠出が70歳未満までになるメリット・デメリット
拠出可能期間が70歳未満までとなるため、これまで加入していた人は延長できるためその分運用益がアップする可能性があります。
また、iDeCoを退職金より先に一時金で受け取る場合、5年ルールが適用されます。
5年ルールとは、退職金を受け取る間隔を一時金の支給から5年以上期間をあければ退職金にかかる所得税が最大限控除されるものです。
例えば、一時金の支給から4年以内に退職金を受け取れば、iDeCoの加入期間と勤務年数のうち、重複している期間分の控除が差し引かれ、控除額が減り税負担が増えます。
しかし、今回の改正によって5年ルールが10年ルールに見直されています。
iDeCoで運用していた資産の受け取りは原則60歳からとなるため、これまでは65歳で受けられていた最大限の退職所得控除が70歳からになりました。
また、運用してきた資産を60歳で老齢一時金として受け取り、退職一時金やDBを65歳以降に受給すれば退職所得控除の枠を両方利用できる仕組みもあります。
しかし、ルールが変わったことでiDeCoの一時支給から10年期間を空けないと退職所得控除を受けることができなくなったため、この方法を利用することはできません。
もともと退職金がない場合や少ない場合、企業年金がないという会社員であれば影響はほぼありません。
しかし、退職金一時金が多いケースや複数の企業年金に加入している、退職給付が手厚いといった会社員は、iDeCoだとデメリットがあるため、NISAを優先する選択肢もあります。
iDeCo加入の流れ
最後に、iDeCoに加入する際の流れを解説していきます。
1.金融機関を決める
まずは、「運営管理機関」と呼ばれるiDeCoを運用する金融機関を選びます。
銀行や証券会社、保険会社など複数の機関がありますが、1人1口座しか開設できません。
商品ラインナップやサポートサービス、手数料など、あらゆる部分を比較してメリットの多い金融機関を選んでください。
例えば、商品ラインナップは運営管理機関によって違いがあります。
一般的には元本確保型と元本変動型の2種類ありますが、あらかじめ商品について理解しておくことが大切です。
どの金融機関が合っているのかわからない場合は、気軽に相談できる金融機関や日頃から利用している銀行などに一度相談してみるのもおすすめです。
「相談窓口があると様々な手数料も高くなるのでは」と考える人もいますが、相談窓口を用意していても手数料を0円に設定しているところも存在します。
中にはWeb上で加入まで完結できるところもあるので、金融機関まで足を運ぶことが難しい場合には活用を検討してみてください。
2.専用口座開設手続き
金融機関から申込書類を取り寄せると、書類が自宅に届きます。
その中にある「個人型年金加入申出書」に必要事項を記入、押印して返送します。
その後、加入資格の審査が実施されて口座開設通知を受け取れる仕組みです。
3.運用商品の選択
運営管理機関が選定している運用商品から自由に組み合わせて運用することが可能です。
なお、運営管理機関は商品に対する説明のみを実施するため、特定の商品をおすすめするような行為はしません。そのため、自分で特徴を理解して選ぶ必要があります。
4.掛金額の決定
iDeCoは、月々5,000円からスタートできます。拠出限度額は、加入者の区分に応じて定められていて、その範囲内であれば1,000円単位で任意に設定が可能です。
無理のない範囲での掛金を設定することが何よりも大切です。また、掛金は1年に1回に限り変更ができます。
まとめ・改正が続く注目のiDeCoを活用しよう
2024年12月から、加入時の事業主証明書の廃止や拠出限度額などに変更点がありますが、2025年税制改正大綱では今後の変更点も明らかとなっています。
最新情報を確認してiDeCo活用を検討してみてください。
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(編集:創業手帳編集部)