簡単で正確なスケジュール管理を実現する KPI・OKRガントチャートの作り方【浜田氏連載その4】

創業手帳

GoogleやFacebookなどでも使われるマネジメント手法をITコンサルタント浜田篤氏が具体的に解説

ガントチャートで制度と利便性の高いスケジュール管理を

本連載では、KPIやOKRを利用したマネジメントについて紹介してきました。最終回である今回は、KPIやOKRを利用したスケジュール管理について学んでいきます。KPIやOKRの達成に向け、プロジェクト管理の定番ツールであるガントチャートを作成・利用する方法について引き続き浜田氏より解説いただきます。

起業家やマネージャーにとって必見の内容となっておりますので、ぜひご覧いただき、業務の参考にしていただければ幸いです。

前回までの記事はこちら
起業家必見!OKRとKPIの違いと具体的な活用方法を優しく解説【浜田氏連載その1】
タスクと進捗を見える化!マネジメントを効率化するKPI管理シートの作成と使い方【浜田氏連載その2】
KPI・OKRで納得感のある評価を実現!部下の主体性を引き出す人材マネジメント【浜田氏連載その3】

浜田 篤(はまだあつし)Aeru.me株式会社 代表取締役社長
東京理科大学電気電子情報工学科卒。大手自動車メーカーに就職後、教育ITベンチャーにCTOとして転職を経て個人事業主として独立。スタートアップ企業で培ったシステムのアウトソーシング(外注)ノウハウを活かしてインドの開発パートナーとアライアンスを結び、中小企業のコーポレートページなどの受託開発を中心に行うようになる。さまざまな中小企業経営者の方々と接する過程で、エンジニアのマネジメントや評価、組織設計、ITシステムの事業計画の作り方、といったノウハウに需要があると気づき、現在は経営者向けにITコンサルティングを展開している。
Udemyでは『「新米マネージャーの教科書」KPI管理やOKR、部下マネジメントのコツまで一通り学べる!』他、数多くの人気講義を公開中
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マネジメントにおけるスケジュール管理

「スケジュール管理」とは文字通り、「目的の結果に向かってのスケジュールを管理すること」です。納期内に目標を達成するために、いつまでに何が終わっていなければならないかを事前に計画し、計画に沿って進めることができるように急がせたり、人員の調整を行ったり、必要なサポートを行ったり、場合によっては納期を変更したりします。

スケジュール管理の計画段階で気を付けること

スケジュールの計画段階では、プロジェクトの目標の設定、チェックポイントとなる中間目標の設定や、各タスクの担当者の決定を行います。また、できるだけメンバーに空き時間が生じないように仕事を割り振ったり、特定の個人に仕事が集中しないようにしたりすることもスケジュール管理の大切なポイントです。

計画はあくまで計画でしかなく、現場では計画とおりに進まないことも多いものです。そのため、スケジュールを設定するときには、不慮の事態に備えてある程度のバッファ(余裕)を設定しておくとよいでしょう。

スケジュール管理のために利用可能なツールはたくさんありますが、今回はプロジェクト管理の現場でよく利用されている「ガントチャート」について解説します。

スケジュール管理の軸は「ガントチャート」

「ガントチャート」とは、あるプロジェクトの段取りについて視覚的にまとめた表で、縦軸に実行するべきタスクや担当者、横軸に日付を取って、各タスクの開始日から終了日までを棒で表現します。

このようにすることで、時系列にタスクを表現することが可能です。ガントチャートは店舗スタッフの1日の作業工程表のような簡単なものから、数カ月・数年にわたって行われる大規模プロジェクトまでさまざまなシーンで活用されています。

ガントチャートを作ることで、プロジェクトの全体像と進捗状況を視覚的に把握することができ、また各タスクの関連性(タスクAが終わらないとタスクBはできない)も明確になります。ガントチャートはマネージャーが作成し、プロジェクトに関わるメンバーで共有するのが基本です。

ガントチャートの作成は慣れた人でなければなかなか難しいものですが、あるのとないのとではスケジュール管理のしやすさが大きく違ってきます。ガントチャートはエクセルなどの表計算ソフトで作られる場合も多いですが、最近はガントチャートの作成に特化したツールも多く出ていて便利です。

ガントチャートの作成方法

ガントチャートの作成方法前回までに学んだKPIを意識したガントチャートの作成方法について見ていきましょう。まず、図のようにプロジェクト名と達成するべきKPIを必ずガントチャートの見えるところに記載しておきます。それから、各タスクについて記入しますが、ここではタスクはKPI達成に必要な要素を記入します。そして、そこからさらにブレイクダウンした施行箇所や作業内容を記入していきます。

図では「CVR(コンバージョンレート)0.5%向上」を目標としており、そのために手を加えるべき場所である「施策箇所」が記入されています。一通り記入したら、次に担当者を記入し、各タスクの開始日と終了日を棒で表しましょう。

横軸の日時ですが、こちらの例では四半期という期間を取り、1週間ごとで進捗を管理しています。日付(時間)の取り方は、現場で運用しやすい単位にしてもらって構いません。計画とおりにいかなかったときのために、事前にバッファも入れておくようにします。

ガントチャートの目的は、工程A→工程Bと作業するメンバーが異なる場合に効率良く仕事をパスしていくことですので、細かなToDoに関してはKPI管理シートで管理を行い、ガントチャートに関しては、次の作業者にパスできる単位で分けるようにしましょう。2週間を超えるような場合は、他のメンバーとの意思疎通を良くするために項目を分けても良いでしょう。

ここまでの作業が完了すると、ガントチャートを通してプロジェクトの全体像とスケジュールがイメージしやすくなっているはずです。

運用はKPI管理シートとガントチャートで行う

ガントチャートを効率よく使用するための運用とは?
ガントチャートだけで各タスクの進捗を把握するには、タスクを非常に細かく作り、日次でスケジュール管理するような運用でなければならず、表の作成や運用が面倒になります。そのため、KPI管理シートとあわせて運用するのが望ましいです。ガントチャートはチームワーク良く仕事をパスできるようにすることが目的なので、全体日程を把握するために使います。

例として、Webサイトの制作・改修で、「Aさんがデザイン1週間」、その後「Bさんがシステムに実装に3日間」といった場合、Aさんのデザイン作業には、「ワイヤフレーム作成」「素材集め」「デザイン案の作成」といった作業があると思いますが、Aさん個人に属するものなので、そこまでガントチャートに記入する必要はありません。
予めAさんが1週間かかりそうだとわかれば、Bさんはその間に他の仕事ができるとわかりますので、その空白部分にBさんは個人でこなせるタスクをこなすか、他のメンバーにパスする前工程の業務を入れることで空白の時間ができてしまうことを防ぎます。

個人個人の細かな業務内容はKPI管理シートの中で完結させるようにしましょう。

ガントチャートを使う上での注意点

ゴールに向けたタスク管理をガントチャートとKPI管理シートで行う
ガントチャートを使うシーンはさまざまで、「プロジェクト」ごとに表を作成する場合もありますし、四半期や半年、年間といった「期間」を中心にして表を作成する場合もあります。どちらもメリット・デメリットがありますので、現場で運用しやすい方を選択してください。

プロジェクトの遂行を主なミッションとするディレクターやプロジェクトリーダーといった立場の人の場合は、プロジェクト単位でのマネジメントを行う場合が多いと思います。しかし、経営層や幹部職の人の場合は、より広い視点でマネジメントを考えなければならない点に注意が必要です。

おすすめは四半期単位でのマネジメント

会社の場合、特に上場後は株主に対する情報公開が求められます。このとき、決算月や四半期(クォーター)単位での成果を求められるようになるため、四半期に設定すると合わせやすくなります。

また、3カ月という期間は、何かのチャレンジにおける成果の有無を判断するのにちょうどよく、特に「KPI」といった経営上の数字指標に対するチャレンジを行う上では、四半期は便利な期間です。加えて、人事評価のタイミングは年1回や半年に1回、会社によっては3カ月に1回となっているため、四半期単位でのマネジメントはおすすめです。

状況に応じて様々な意味合いを持つバッファ

スケジュール管理におけるバッファの取り方についても少し触れておきます。バッファはタスクやある程度の区間ごとに区切って作成しても構いませんが、細かく設定すると入力の手間もかかります。

日数に余裕があると無意識に手を抜いてしまったりすることも多いため、バッファをあまり意識させないよう、全体を通じて設定するのがよいでしょう。現場の雰囲気に合わせ、何パターンか試してしっくりくる方法を採用しましょう。

組織として経験のない新しい業務にチャレンジする場合、マネージャーが半年かかると予測しつつも、チームにはできるだけ3カ月で終わらせるよう伝えることがあります。これは経験が浅い社員ほど、スケジュールを甘く見て仕事が遅延する傾向があるためです。そのためマネージャーは予めそれを想定してスケジュールを考える必要があります。

会社として経験のない新規プロジェクトでバッファを予測しにくい場合は、メンバーがコミットするスケジュールに対して実際はその3倍はかかると覚悟しておいた方が良いでしょう。既に会社として経験があるプロジェクトの場合は、過去のガントチャートをベースに全体スケジュールの精度を高めていき、誤差が出にくくなるようにしていきましょう。

ガントチャートとKPI管理シートの併用で効率的な管理運用を

まとめ
  • ガントチャートはプロジェクトの段取りを視覚的にまとめた表
  • ガントチャートとKPI管理シートを組み合わせて運用すると効率が良い
  • ガントチャートのタスクは「チームプレーを回す」ことを意識して作成するのがよい
  • 管理職は四半期ごとのマネジメントを意識すると効率的

今回はガントチャートを使ったスケジュール管理について浜田氏にご紹介いただきました。マネージャーが果たすべき役割を意識した具体的なテクニックに、参考になった部分も多かったのではないでしょうか。

浜田氏が講師を務めるUdemyの「新米マネージャーの教科書」では、本連載で紹介した「KPI管理シート」や「ガントチャート」のサンプルファイルをダウンロードすることができます。マネジメント業務のレベルアップに、ぜひご活用ください。

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(取材協力: Aeru.me株式会社 代表取締役社長 浜田 篤
(編集: 創業手帳編集部)

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