【保存版】平成28年度雇用関係助成金改正点まとめ

資金調達手帳

創業時、人を雇用してからもらえる助成金を、社労士が解説!

(2016/05/12更新)

平成28年度に突入し、様々な雇用関係の改正がありました。
そもそも雇用関係の補助金とは?という基本の説明や、特に創業者にぴったりの補助金をピックアップしました。安倍内閣の方針も含めて、現役社労士が、改正点を分かりやすく解説します!

雇用関係助成金とは?

雇用関係の助成金とは、労働者の職業を安定させるために、失業の予防、雇用機会の増大、雇用状態の是正、労働者の能力開発等を図ることを目的に厚生労働省からもらえる返済の不要のお金です

そのため、新規事業に関する人材の雇用、障がい者の雇用、人材の育成などが一般的な助成金の対象です。(受給するためには雇用保険に加入することが条件です。)

中でも、人を雇用したときにもらえる採用関連の助成金が最も多く、約30種類ほどあります

特に近年は、国をあげて、非正規雇用を正規雇用に転換することに力を入れています。

また、社会情勢の変化によって、毎年旬な助成金が次々と創設されます。

平成28年度注目の助成金

1:生涯現役起業支援助成金

安部内閣の「1億総活躍社会」の実現に向けて、厚生労働省が「生涯現役起業支援助成金」という助成金を新設しました。

この助成金は、中高年齢者の方が起業するに当たって(起業日の年齢が40歳以上)、中高年齢者を雇入れた場合(60歳以上の方を2名以上、または 40歳以上の方を3名以上)、募集や採用、教育訓練など、雇用創出措置にかかった費用の一部を助成するものです。まさに安倍政権の『一億総活躍社会』を目指した助成金といえるでしょう。
支給額と助成する対象の費用は、次の通りです。

起業者の区分 助成率 助成金の上限
起業者が高年齢者(60歳以上の方)の場合 2/3 200万円
起業者が上記以外(40歳~59歳の方)の場合 1/2 150万円

雇用創出にかかった費用とは、例えば、

募集・採用に関する費用 〇民間有料職業紹介事業の利用料
〇求人情報誌の掲載費用
〇募集・採用のパンフレットの作成
〇募集・採用に要する費用(交通費・宿泊費等)
〇就業規則の作成費用 等々
職業訓練に関する費用 〇対象労働者が従事しようとする職務に必要な知識や技能を習得させるための教育訓練、資格取得、講習等に要する費用

これから起業を考えている皆さま、事業を開始して間もない事業主の皆さま、今すぐこの助成金の活用を検討してみましょう。

2:キャリアアップ助成金

平成25年5月に創成されたキャリアアップ助成金は、これから創業し、人を雇用しようとする会社にはぴったりの助成金です

創業間もない会社は事業が安定していません。

そのため、会社の経営が安定した後に、有期雇用契約を結び、半年以上の雇用期間の間に経営の見通しがついた時点で正社員として雇用します。

そのまま正社員として6ヶ月以上雇用した時点で、助成金を申請する、という流れです。

しかも、今年2月からその助成金額も大幅にアップしました

<有期契約労働者等を正規雇用労働者等に転換または直接雇用した場合の金額が支給額>

①有期→正規1人当たり60万円(45万円)[改正前50万円(40万円)]
②有期→無期1人当たり30万円(22.5万円)[改正前20万円(15万円)]
③無期→正規1人当たり30万円(22.5万円)[改正前30万円(25万円)]

3:キャリアアップ助成金(人材育成コース)

また、「雇用した従業員の育成がしたいけど、費用が足りない!」という会社のために、キャリアアップ助成金(人材育成コース)があります。

教育訓練を考えるのであれば、賃金と経費を助成してくれるこの助成金をぜひ活用して欲しいものです。

訓練の内容は、SEプログラマーであれば、ソフトウェア基礎、JAVAプログラミング等、職務に関する研修であれば、ほとんどのものが該当します

気になる助成額も今年度は、アップしています

<Off-JT《1人当たり》  ( )内は大企業>
賃金助成:1時間当たり800円(500円)
経費助成:一般職業訓練、有期実習型訓練・・・最大30万円(20万円)
中長期的キャリア形成訓練(有期実習型訓練後に正規雇用等に転換された場合)
     最大50万円(30万円)  ※実費を限度
OJT《1人当たり》 実施助成:1時間当たり800円(700円)

4:3年以内既卒者等採用定着奨励金

創業後、新卒者だけでなく、既卒者や中退者の応募機会の拡大・採用・定着を促すための奨励金です。

既卒者等が応募可能な新卒求人募集を新たに行い、採用後一定期間定着させた事業主に対して支給されます。
こちらも創業者にふさわしい助成金の一つと考えられます。

<奨励金の支給額>
事業主が、対象者を雇入れて一定の要件を満たした場合に、企業区分、対象者および定着期間に応じて下表の支給額を支給します。

企業
規模
対象者 1人目 2人目
定着後
1年
定着後
2年
定着後
3年
定着後
1年
定着後
2年
定着後
3年
中小
企業
既卒者 50万円 10万円 10万円 15万円 10万円 10万円
高校
中退者
60万円 10万円 10万円 25万円 10万円 10万円

5:(番外編)キャリア形成促進助成金

社員の能力向上、キャリア形成を効果的に促進するための助成金です。

社員に対して職務に関連した専門的知識及び技能を習得させるため、職業訓練を実施した場合や、制度の導入にも訓練経費や訓練期間中の賃金の一部を助成する制度です。

これから個の高め、組織力を上げていきたい創業者にぴったりの補助金です。

また、創業者向けと思われる助成金以外に、近年の社会情勢、安部首相の政権運営に沿った、新しい助成金や支給要件・支給額がよくなった助成金が出てきております。

こちらは、その一例です。

出生時両立支援取組助成金
男性社員の育児休業取得促進のための助成金です。

介護支援取組助成金
介護休業や時短勤務を取りやすく工夫し、実施した企業に一時金を支給します。

職場定着支援助成金(介護労働者雇用管理制度)
雇用管理制度(評価・処遇制度、研修制度、健康づくづくり制度、メンター制度)の導入等による雇用管理改善を行い、人材の定着・確保を図る場合に助成するものです。介護事業主の場合は、介護労働者の離職率の低下に取り組んだ場合助成対象となります。

キャリア形成促進助成金 中高齢雇用型訓練
45歳以上の新入社員への教育訓練に支給される助成金です。

キャリア形成促進助成金 社内検定制度
社内検定制度を作り、実施した場合に支給されます。

等々

まとめ

これから、人を雇用したいと考えている創業者の方は是非、助成金申請のプロである社会保険労務士に相談してみましょう。

助成金の申請は、申請時期と書類の整備、作成が非常に厳しく規定されています。

まずは、創業者の方のお考えをお聞かせください。創業者の考えに合った助成金があるかもしれません。

そして、助成金を活用して、安定的な経営をしてください!

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(監修:社会保険労務士事務所ALLROUND東京北 代表 北條利男(ほうじょう としお)
(編集:創業手帳編集部)

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