ブラック企業にならないために!『最低賃金』と『賃金支払いの5原則』とは?

創業手帳

社員の給料入門 ~最低賃金と賃金支払いの5原則

最低賃金と賃金支払いの5原則
会社の利益は、人件費をいじることで簡単に操作ができる。業績が悪化した企業がリストラを行うのは、そのためだ。起業してすぐに人を採用する場合も似ている。会社の見通しも不安定で、利益を確保するために、できるだけ人件費を抑えたくなる。

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だが、人件費となる「社員への給料」を勝手なルールで決めるわけにはいかない。法律で厳しく決められている項目があるので、それを無視するわけにはいかないのだ。

起業して人を雇うようになったら、給与関連でまず押さえておきたいのが「最低賃金」と「賃金支払い5原則」である。それぞれ説明していこう。

最低賃金とは? ~少なくとも払わなければならない給料

給与の支払いについて、社員を雇用する前に押さえておきたいのが最低賃金の話だ。法律で厳しく決められているので、それを無視するわけにはいかない。基本的なところを説明しよう。

最低賃金は2種類ある

最低賃金は、国が定めた『最低賃金法』という法律で、賃金の最低限度額が定められている。経営者はその最低賃金以上の賃金を支払わなければならない。

最低賃金には2種類ある。産業や職種に関係なく都道府県内の会社で働くすべての社員に適用される「地域別最低賃金」と、特定地域内、かつ、特定の産業の基幹的社員に対して適用する「特定(産業別)最低賃金」だ。

誰もが地域別最低賃金は守らなければならない。さらに「特定(産業別)最低賃金」に該当する地域、産業の場合は、両方の最低賃金を確認しなければならない。

【参考資料】25年度全国地域最低賃金一覧

最低賃金未満しか支払わないと罰則はあるの?

最低賃金未満しか支払わない場合の罰則
もし最低賃金額以下の金額で社員と労働契約を定めた場合、その部分については無効になる。そして、最低賃金で契約したこととみなされる。

当然最低賃金との差額を支払わなくてはならない。また、それを支払わない場合は、50万円以下の罰金が科される。

最低賃金を減額できる特例などもあるが、特殊な場合なので、詳しくは、社会保険労務士に聞いてみると良いだろう。

賃金支払いの5原則とは?

さて、いよいよ社員を雇用して、給料を支払う場合にも、法律(労働基準法第24条)に定めがある。

労働基準法第24条

賃金は、通貨で、直接労働者に その全額を支払わなければならない。…以下略

賃金は、毎月1回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない。…以下略

労働基準法より引用

労働基準法24条で定められた賃金支払いの原則は、支払い方法が月払い、週払い、日払いにかかわらず、また、時給制、日給制、月給制、年俸制など賃金形態に関係なく適用される。

①賃金は通貨で支払わなければならない

賃金は通貨で支払わなければならない
給料は通貨で払うことが決められている。そのため、現物支給というのは法律違反だ。

「うちは銀行口座に給与振込みなんだけど?」

銀行口座への振込みも通貨で払っていないことになる。しかし、厚生労働省令で定められている「確実な支払い方法」に該当するためこれは問題ない。

ただし、口座振込みにするには、社員の同意を得る必要があるので気をつけよう。社員の同意を得てはじめて、社員が指定する本人名義の預貯金口座などへの給与振込みに変更ができる。同意については、社員の意思に基づくものである限り形式は特に問われない。口頭でも可だ。

②賃金は直接労働者本人に支払わなければならない

給料は本人に支払わなければならない。どのような事情であっても、社員の親権者その他の法定代理人、社員の委任を受けた任意代理人であっても法律違反になる。

③賃金は支払うべき額の全額を支払わなければならない

法令で賃金から控除することが認められているもの以外は、賃金から差っ引いて支給することはできない。控除が認められているのは、「社会保険料」、「所得税」、「労使協定を結んで労使双方が納得したもの」などだ。

例えば、社員の親睦のために「親睦会費」のような会費を給与から差し引いてしまうのは、いかなる名目であってもこの「全額払いの原則」に違反し、法律違反となる。

もし、会費の控除をやりたいなら、社員の過半数で組織する労働組合、それがなければ、社員の過半数を代表する者との書面による協定(労使協定)を結ぶことが必要だ。

④賃金は少なくとも毎月1回以上支払わなければならない

賃金は少なくとも毎月1回以上支払う必要がある
たとえ賃金形態が年俸制であっても、年1回全額を支払うような方法は認められていない。月に1回は給料を支払わなければならない。

ただし、賃金計算の期間については特段の定めはなく、不当に長い期間でない限り(1年の年俸制など)任意に設定できる。

⑤賃金は一定期日に支払わなければならない

賃金は一定期日で支払わなければならない。「一定期日」というのは、期日が特定されており、その期日が周期的に到来することをいう。例えば月給制の場合、「毎月10日」とか、「毎月月末」といった具合だ。

しかし、7日の範囲で変動するような定め方はできないので、「毎月第4金曜日」という定め方は法律違反となる。一方で、所定支払日が休日にあたる場合は、その支払日を繰り上げるまたは繰り下げるというように定めるのは法律違反ではない。

(監修:社会保険労務士事務所ALLROUND東京北 北條利男 社労士)
(編集:創業手帳編集部)
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