ゴーゴーカレー 宮森 宏和|ゴーゴーカレーがM&Aやプラットフォーム創りを進めるワケ(後編)
創業手帳代表の大久保が、宮森代表の経営戦略と野望を聞きました
(2020/04/20更新)
「金沢カレー」ブームの火付け役、ゴーゴーカレー。世界的な店舗展開にとどまらず、全国各地の名店のM&Aを手掛けたり、社会貢献活動に取り組んだりと、多角的な事業を展開しています。
強い信念をもってゴーゴーカレーを率いてきた宮森宏和代表。インタビュー後編は、宮森氏が構想する「カレーのプラットフォーム創り」にかける思いを聞きました。
株式会社ゴーゴカレーグループ 代表取締役
1973年石川県金沢市生まれ。高校を卒業後、専門学校を経て、地元の旅行会社に勤務。同郷同世代の松井秀喜選手がNYで活躍する姿に影響を受け、脱サラを決意。2004年5月5日にゴーゴーカレー1号店を新宿にオープンする。そして2007年5月5日、念願のニューヨーク1号店をオープン。美味しいカレーを世の中に広める事をミッションとし、カレーの専門商社として世界一を目指す。
創業手帳 株式会社 代表取締役
大手ITベンチャー役員で、多くの起業家を見た中で「創業後に困ることが共通している」ことに気づき会社のガイドブック「創業手帳」を考案。現:創業手帳を創業。ユニークなビジネスモデルを成功させた。印刷版は累計100万部、月間のWEB訪問数は起業分野では日本一の100万人を超え、“起業コンシェルジェ“創業手帳アプリの開発や起業無料相談や、内閣府会社設立ワンストップ検討会の常任委員や大学での授業も行っている。毎日創業Tシャツの人としても話題に。
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この記事の目次
M&AはWin-Win-Win
M&Aによる事業拡大という選択肢を知った宮森氏は、2017年に、故郷石川県で最も歴史のあるインド料理店「ホットハウス」をM&Aします。この成功を受け、2018年からは、後継者難のカレー店を救うM&A事業を本格的に開始しました。
宮森:M&Aを実施してわかったのは、「Win-Win-Win」だということです。
まず、お客さんにとっては、今まで食べていた美味しいカレーがなくならなくてよかったというメリットがあります。
お店にとっては、従業員が職をなくすこともありません。店に食材を卸している業者は、取引を継続することができ、お店を出している建物の家主も、家賃収入が途絶えずに済みます。ゴーゴーカレーにとっても、仲間が増えるわけですし、もちろん、元オーナーにも経済的なメリットがあります。
本当に、負ける人が誰もいないのです。
宮森:そうですね。これからも積極的にM&Aに取り組んでいきたいです。
なぜ店舗経営だけでなく、プラットフォームづくりにこだわるのか
宮森:お米など食材の仕入れ、カレーの作り方、レトルト商品の作り方、パッケージ・ブランディングや、マーケティングなど、今まで我々がやってきたことを、他店でプロデュースすることです。
M&Aしたカレー店も、グループになることで仕入れ値が下がって、粗利が上がります。一緒になったほうがよっぽど良いですし、事業的にも色々なシナジーを生むことができます。
例えば2019年10月に、ハラール※食品を作る工場を事業買収したことで、「ハラール金沢カレー」を作れるようになりました。申請さえ通れば、年内にも販売開始ができるところまで来ました。
※ハラール:イスラム教徒が食べる食事のこと
宮森:「カレートランスフォーメーション」ですね。我々は「統合」という言葉を使っていますが、親会社と子会社という考えではなく、業務提携によって、「共同オーナー」になるイメージです。
例えば、コストがかかる労務や管理に関わる業務、システム周りの整備を統合すれば、M&A後に新たに業務を構築する必要もありません。このような形で、事業をマルチブランド化することで、皆でいいとこ取りができるわけです。
グローバルな視点を持つことと、地元を大切にすること
宮森:やはり視野の広さが全然違いますね。日本だけで展開している場合と、海外での経営を知っているのとでは、経営に対する“筋肉”のつき方が変わります。このおかげで、企業として大きく成長できたと実感しています。
宮森:地元の人からは本当に応援してもらっていますからね。ゴーゴーカレーもたくさんの地元の方が食べてくれているので、石川県の店舗はおかげさまで全店利益100%超えです。その人達への恩返しという気持ちで取り組んでいます。
宮森:はい、それが人の道だと思います。
120%の本気で努力をしていれば、必ず応援してくれる人ができる
宮森:簿記ですね。資金繰り、BS・PL・CSなど、財務周りの知識は絶対必要。これらを持っていないと、スピードメーターやミラーがないのに車を走らせているようなものです。私は、経理も労務もすべて自分でやっていました。
創業時は、全部一人でやる覚悟を持つことが大事だと思います。逃げ道のある人間に成功はないので、一人でやる覚悟が無い限りは創業するべきではないですね。
宮森:自分でやりきる覚悟を持って初めて、パートナーを活かすことができます。自分がやる気が無いのに、誰かの力を借りるなんて、そんないい話はありません。
100%ではなく、120%の力で物事に本気で取り組んでいたら、必ず応援してくれる人ができます。見えない部分の頑張りが、回り回って自分に手を差し伸べてくれる。
まずは誰よりも汗をかくことです。肉体労働だけが汗ではありません。頭も使って勉強しつづけなきゃいけないし、学びに終わりはありません。
宮森:挑戦なくして成長なし、です。できるかできないかではなく、やるかやらないか。誰もやっていなくても、自分でやればいいのです。それが覚悟です。
天才は、頭がいいから天才ではありません。人には天賦というものがあります。自分にとっての天賦を知り、そこを磨き、突き詰めていくことで天才になるのです。
(取材協力:
ゴーゴカレーグループ / 宮森宏和代表)
(編集: 創業手帳編集部)