3分で分かる!FinTech業界に新たなトレンド!スマホで割り勘「送金」や「融資」の動向と主要業者まとめ

創業手帳

送金・融資の選択肢が広がる新サービス

(2017/5/17更新)

テクノロジーの進展、普及により新たなサービスが実現し注目を浴びています。
そこで今回は、業界の動きがざくっと3分で分かるように、新たに始まった注目のFinTechの2つの領域、「個人間送金」「融資(B2B)」の2つをご紹介いたします。

FinTechってなに?

FinTechとは、ファイナンス(Finance)とテクノロジー(Technology)を組み合わせた造語です。FinTechに明確な定義はありませんが、「スマートフォンを活用したカード決済」や「会計ソフトを使って自動で家計簿を作る」というサービスも広義の意味でのFinTechに当たります。
そういう意味では、実は、多くの方が知らないうちにFinTechサービスを利用しているんですね。

個人間送金

アメリカで普及しているアプリ「Venmo」アメリカはキャッシュレスが進んでいることもあり個人間送金の主役になりつつあります。(画像はVenmoのHPより引用)

「個人間送金」は人から人への金銭の授受を実施するサービスで、代表的なものとしては、アメリカの送金サービス「Venmo」が有名です。スマートフォンで簡単に使え、飲食やパーティーの割り勘から家賃の支払いまで行える手軽さが受け、学生を中心に広がり、今やなくてはならないサービスとなりました。

例えば、飲み会でお金を回収する際に、スマートフォンやFacebookの登録情報から友人を探し出し、簡単に請求することができます。もちろん、お金をだれが払って、だれが払っていないかが一目瞭然で分かるため、管理もしやすい。またフォローした友人の金銭授受のやりとりがタイムラインで見れるなど、ソーシャルネットワークの仕組みも提供している部分も特徴的です。アメリカをはじめ海外ではキャッシュレス、カードが当たり前になりつつあり、こうしたアプリの普及の土台になっています。

日本も東京オリンピック(外国人はカードが当たり前)を控え、今後、カード普及率がより上がっていくと思われます。
キャッシュレス化が進むと同時に、こうした個人間送金アプリ普及の土台がより進んでいくことでしょう。

「paymo」は簡単に割り勘できるアプリ。今後どこまでシェアをのばせるか注目されています。(画像はpaymoのHPより引用)

日本でも今年に入りこのような送金サービスが多く発表されており、今年1月にリリースした割り勘サービス「paymo」はその代表的なサービスです。創業者の木村新司氏は2007年にアトランティス社を創業、2011年にグリーに売却。創業期のGunosy(グノシー)の共同経営者を経てpaymoを運営するAnyPayを2016年6月に創業しました。

2010年の資金決済法改正以降、少額送金領域に参入した「LINE Pay」や「さっと割り勘すぐ送金 from YAHOO!ウォレット」のような「送金事業者」とは異なり、レシートを添付して請求し、その額を支払う「債務に対する支払い」という割り勘のシーンに特化したビジネススキームで参入したサービスです。

また4月にリリースした「Kyash」も割り勘や少額送金に対応しており無料送金アプリとして展開しています。
「Kyash」も法律上の送金事業者ではなく、また「paymo」のサービスとも異なり、VISAプリペイドをプレゼントするという発想から、個人間のお金のやり取りを実現するサービスです。顧客はプリペイドを受け取ると、友人に再度送ったり、あるいはオンライン・VISA加盟店での利用したりすることも可能です。

さらに追随するかのように、「よろペイ」や「ELK(エルク)」のような送金・割り勘サービスも展開を始めています。

kyashは日本の送金文化を変えるのでしょうか。(画像はkyashのHPより引用)

これらの送金や割り勘のサービスを利用することで、将来的には店頭での「別々で」の精算が減少することや、親子や友人間の送金により受け渡しされたマネーの利用等、店舗における決済にも大きく関連してくると想定されます。

店舗ではお金のやり取りが楽になるほか、お店の負担になる別会計を顧客側でまとめてくれるので、店舗側でも促進したい、普及させたいというモチベーションも外食業界的に働きそうですね。

圧倒的なユーザー数を背景に「LINE Pay」は日本のお金の習慣を変えるのでしょうか。(画像はLINE PayのHPより引用)

個人間送金の業界動向まとめ
  • カード普及率が高いアメリカではVenmoは常識に。日本でも同様のサービスはこれから伸びる。
  • 割り勘アプリが注目
  • 単に割り勘できるだけでなく誰が払っているかを管理しやすい
  • paymoの木村氏(元Gunosy共同経営者)などシリアルアントレプレナーや大手も参入
  • Yahooウォレット、LINE Pay、paymo、Kyash、よろペイ、ELKなどのプレイヤーがいる

融資(B2B)

FinTech領域における「融資(B2B)」は、これまで銀行やビジネスローンが実施してきた融資サービスを代替する新しい与信モデルのサービスです。
なかでもメジャーなのは「Amazon レンディング」や「楽天スーパービジネスローン エクスプレス」のトランザクションレンディングと呼ばれるサービスです。これらはマーケットプレイス内の出店企業に対し、取引履歴に応じた融資を行う、これまでの与信の概念を変えた融資サービスです。

LENDYは借入可能額内で何度でもオンラインで借入できるサービスです。(画像はLENDYのHPより引用)

ECのプラットフォーム事業者として取引履歴の動向を抑えているがゆえに信用情報やコンタクトポイントの強さがあります。こうしたプラットフォーム事業者は出店者の自社での取引状況を把握しており、また過去のノウハウも豊富にあります。何より、もし返さなければ出店者のamazon、楽天でのビジネスを考えるとおいそれとは踏み倒せないことを考えると、貸し倒れのリスクは低いと言えるでしょう。

そう考えると銀行とは違った観点で、一歩踏み込んだ与信判断ができる新しいビジネスと言えるでしょう。

スマホ決済のCoineyが運営する「Coiney Engine」(画像はCoiney EngineのHPより引用)

この分野に新しく参入したのが「LENDY」や「Coiney Engine」、「MFクラウドファイナンス」等のサービスです。「LENDY」は事業者の持つクラウド会計やECサイト、評価サイト、POSレジ等と接続することで、融資審査をリアルタイムで実施するサービスです。また「Coiney Engine」は決済データや統計データをAIにて企業評価するモデルになっています。Coineyはスマホ決済として国産、ベンチャー系として注目の会社で、POSレジなどの現場に近い情報を把握して与信データを提供しています。

そして「MFクラウドファイナンス」はクラウド会計ソフト「MFクラウド会計」と連携し、早期に資金調達が可能になるサービスです。 家計簿アプリとして有名なマネーフォワードは、法人向けにクラウド会計ソフト・MFクラウドを展開しており、会計ソフトの連携しており財務状況を把握しているがゆえにこれもまた高い与信能力を有していると言えます。

家計簿アプリとして有名なマネーフォワードのクラウド会計ソフト・MFクラウドに連動した「MFクラウドファイナンス」(画像はMFクラウドファイナンスのHPより引用)

これらの新しい融資サービスにより、これまで銀行融資やビジネスローンが主流だった融資の世界観が変わり、より中小企業にとって融資の選択肢が増えてきている状況と言えます。

融資(B2B)動向まとめ
  • ECプラットフォームや会計ソフトやPOSなど情報を握っている業者が参入
  • Amazon、楽天、マネーフォワード、Coiney、LENDYなどのプレイヤーがいる
  • 与信の基礎になる情報をリアルタイムに金融機関以上に持っているケースがある

まとめ

今回2つの領域についてお話しましたが、これらのサービスはテクノロジーに特化したサービスと言うよりは、テクノロジーを使いながら、既存の概念を打ちこわし、新しいビジネスモデルを構築してきたサービスと言えるかと思います。そういう意味では、FinTechはこれまでより一歩進んだ、本当の意味で金融を変えていく時代になったと言えるのではないでしょうか。

(監修:株式会社インフキュリオン シニアコンサルタント 宮本敬史)
(編集:創業手帳編集部)

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