注目を集めるファイナンスミックスとは?要素や組み合わせ例を理解しよう
資金調達の方法は多様化している

スタートアップ企業は、資金調達の方法として出資や銀行からの融資を受けるケースが中心でした。
しかし、現在は資金調達方法が多様化してきたことで「ファイナンスミックス」が注目されています。
市場の変化や企業として多様な未来を描く背景などが常識を変えていくものですが、なかには「ファイナンスミックスとは何か?」「なぜ注目されているのか?」など、様々な疑問が浮かぶ人もいるでしょう。
資金調達方法が多様化している今、この記事を参考にしてファイナンスミックスについて理解してください。
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この記事の目次
ファイナンスミックスとは

ファイナンスミックスとは、資本と負債を成長フェーズに合わせて戦略的に混ぜる資金調達方法です。
リスクの分散に加えて経営を安定させるための財務戦略となります。
スタートアップでは、資金調達が事業の存続や成長に大きく関係する課題となりますが、特に2025年になって以降は資金調達環境に大きな変化が訪れました。
近年、スタートアップの成長戦略の一環といて負債による資金調達が積極的に活用されていました。
しかし、現在は成長の段階に応じた資金調達方法を的確に組み合わせることで最小限に株式の希薄化を抑えつつ資金調達ができるファイナンスミックスが注目されています。
資金調達は、基本的に資本による資金調達と負債による資金調達が中心でした。
しかし、近年注目されているファイナンスミックスは成長に応じて資本と負債の両方を戦略的に含めているため、成長の加速と株式が希薄化することを抑制できる点が重視されています。
当初の中心は、返済義務の生じない株式の発行や新株予約権発行などによる資金調達でした。
事業が安定して収益化に関する未来が見えてきた段階で金融機関の融資や社債の発行を取り入れて経営権を維持しつつ、今後の成長のための運転資金を維持できるのが特徴です。
なぜファイナンスミックスが注目されている?

なぜ、従来の資金調達方法から現在はファイナンスミックスへ移行しつつあるのでしょうか。
ファイナンスミックスが注目される理由はいくつかあります。
企業が成長するたびに出資に頼って状態では創業者など持ち株保有者の比率低下を招くだけでなく、最終的には経営権を失うリスクがあります。
バランス良く資本と負債を分散することで株式の大量放出リスクが軽減するでしょう。
また、資金調達によるコストを平均的に抑えて補助金などを成長ステージに合わせて使い分けも可能です。
ベンチャーデット活用企業からは金融機関からの返済能力が認められている状態なので、外部からも信頼される存在に変わるため、今後の経営においてスムーズとなる部分が多くなっていきます。
ファイナンスミックスの要素

ファイナンスミックスには、どのような要素があるのでしょうか。以下の表にまとめました。
| 手法 | 概要 | 返済義務 | 主なメリット | デメリット・注意点 | 向いているフェーズ |
| エクイティ | 株式などで出資を受けて資金調達する方法 | なし | 返済義務がなく、自己資本比率向上によって債務超過リスクの低減の可能性がある | 持ち株比率が低下し、経営権の存続などに影響がある | 成長期 |
| デット | 銀行からの借入れ、社債発行など利息をともなう返済義務がある資金調達方法 | あり | 経営権の維持や利払い分が経費計上できるので節税効果が期待できる | 契約期間や金利に基づいた期限までの返済が必要 | 創業期~安定期 |
| 補助金・助成金 | 国や自治体から支給された資金で返済不要の方法 | なし | 返済する必要がないので事業リスクが抑えられる | 申込だけで借りることができず、審査や報告義務などが生じる | 創業期 |
| ベンチャーデット | スタートアップやベンチャー企業対象の借入形式の資金調達方法 | あり | 株式の稀少化を抑えて事業の実績だけでなく今後の成長を踏まえて融資が受けられる | 銀行融資に比べて高い金利や利息、条件などが厳しく設定されている | 成長期 |
| RBF | 将来的な売上をもとに資金調達する方法 | あり(売上連動) | 株式の希薄化がなく売上によって返済額を変えられる | 売上が増えると返済額も増える | 成長期 |
| BNPL | 購入時の現金は不要で後払いができる方法 | 実質あり | クレジットカードのような審査がなく即オンライン決済として利用できて手続きも簡単 | 支払い能力以上利用の可能性があり、手数料がかかるケースもある | 創業期~成長期 |
| クラウドファンディング | 共感した不特定多数の人から資金を集める方法 | 方式によって変わる | 資金調達できると同時にPR効果が期待できる | 目標に達しない場合は実現できないだけでなく、模範のリスクもある | 創業期 |
ファイナンスミックスのメリット

企業が資金調達を行う場合、基本的には資本よる資金調達と負債による資金調達を行います。
返済義務のない資金調達である資本とは、株式や新株予約などの発行が代表的なものとなります。
返済義務などのプレッシャーや収益化までの時間がかかるスタートアップ企業にとっては大きなメリットです。
一方の負債による資金調達では、金融機関からの融資や社債の発行による方法となります。
返済義務が生じるため、バランスを崩すと経営の独立性が保ちにくくなるだけでなく、返済義務が生じることからキャッシュフローが圧迫するかもしれません。
しかし、ファイナンスミックスでは資金や成長に合わせて資本と負債を戦略的に混ぜることで、企業の成長が加速できて株式の希薄化も抑制できます。
企業が成長するたびに資本調達を繰り返すと、創業者の持ち株比率の低下を招いてしまい、最終的には経営権確保も困難になる可能性があります。
そのため、創業時は資本による調達を中心とし、その後は負債による資金調達へ切り替えることで経営権を保持しつつ成長資金も確保できるでしょう。
ファイナンスミックスの組み合わせ例

ファイナンスミックスは、創業期から成長期などのフェーズに合わせて組み合わせる必要があります。ここでは、ファイナンスミックスの組み合わせ例について解説します。
創業期
創業期は立ち上げたばかりの状態であり、企業の成長や売上など様々な部分で見込めない状態です。
このような時期は、自己資金や返済義務が生じない補助金や助成金に加えて日本政策金融公庫からの融資、銀行融資などを組み合わせるのが中心となります。
例えば「自己資金+補助金・助成金」や「日本政策金融公庫からの融資+自己資金」といった組み合わせが考えられます。
補助金・助成金は国や地方自治体などが企業支援や地域振興、雇用創出などを目的とした企業に対して支援するものです。
一定の審査を受けて採択された場合に支給されます。
返済義務がないので事業推進が進みやすく、負担のかからない方法で資金調達ができるのが特徴です。
日本政策金融公庫は、創業者向けの融資制度を提供しているので起業家が利用しやすくなっています。
創業支援に特化していて融資には特別利率も適用されているので、利用条件や返済期間なども柔軟です。
成長期
少しずつ売上が確保できるようになり、計画していた事業モデルが形になりはじめた段階となる成長期は設備投資や人材採用なども必要となり、大規模な資金が求められるケースも少なくありません。
事業成長や加速のための資金調達では、金融機関からの借入れを行えると設備投資など大規模な資金をまかなうことも可能です。
ただし、金融機関からの借入れでは安定した収益が見込めるかどうかによって借入額も変わってしまうので注意しなければなりません。
この場合には複数の金融機関が連携して融資をする協調融資という選択肢があることも覚えておくと安心です。
協調融資は、各金融機関が融資総額の一部を負担する仕組みであり、融資基準に基づいた審査によって融資契約を結ぶ流れとなります。
独立した複数の金融機関での融資が実現するのが特徴です。
ほかには、成長加速のためにベンチャーキャピタルからの出資を受けることも有力な選択肢となります。
ベンチャーキャピタルからの出資が受けられると、まとまった資金調達が実現できるだけではありません。
経営支援ノウハウなどを提供してくれる場合もあるので事業課題のリソースや経営支援なども得られる可能性が高まります。
これらのメリットやデメリットを考慮して組み合わせるのが適しています。
安定期
事業や経営が安定してきたら、新規事業やM&Aなども検討段階になる時期です。
資金調達として可能な方法としては「社債発行+アセットファイナンス」などの組み合わせも考えられます。
社債発行は、債券の発行によって投資家から資金を直接集める方法であり、融資が困難な場合の資金調達にも活用できます。
規模の大きい資金調達が実現しやすいので、設備投資や事業拡大資金などを集めたい場合にも利用できる方法です。
投資家にとっては、社債の利率に基づいた利息が定期的に受け取れるメリットもあります。
アセットファイナンスは、自社保有の資産を元手に資金調達することを指している言葉です。
土地などの不動産、車両、機械設備、有価証券、特許などの知的財産権も含まれます。遊休不動産、使用していない設備、リースバック、売掛金の売却なども対象です。
ファイナンスミックスの注意点

上記で解説したように、ファイナンスミックスによって適した資金調達などが可能ですが、それと同時に注意点もあります。
ここでは、ファイナンスミックスの注意点について解説します。
目的と手段を混同しないように注意する
資金調達の目的や手段を混同しないようにする必要があります。その理由は、資金調達自体が事業成長を目的としたものという点です。
次第に資金調達することが目的になるケースもあり、これらが混同したことで不適切な方法や手段選んでしまったり、計画性が欠けてしまったりなどの問題が起こる可能性が高くなります。
資金調達成功のポイントは、資金の使い方と調達する金額などを明確にして妥当な金額を決めるように意識することが大切です。
融資の注意点
追加融資とは、一度融資を受けたものの事業成長による資金不足などが起こった際に行うものです。
売上は伸びているのに仕入れ資金が不足している、トラブル発生により運転資金が必要になった、事業拡大による設備投資などの費用が必要などのケースが考えられます。
追加融資は、事業成長や急なニーズに応えるための方法として活用されているため、融資そのものはどのような企業でも起こりうるものです。
ただし、前回の融資から時間があまり空いていない場合や資金用途に不明な点がある、返済遅延などの状態では審査が通りにくくなる可能性もあります。
追加融資は資金繰りに困ってからではなく、決算や確定申告後など先を見通せるタイミングで申し込むようにするのが適しています。
日本政策金融公庫では措置期間を長く設定すると、追加融資の際に不利になる可能性があるので注意してください。
ファイナンスミックスに関するよくある質問

ファイナンスミックスは、いくつかの資金調達方法や収益源の組み合わせによって経営の安定を図るものですが、まだ理解しきれないという人もいるかもしれません。
ここからは、ファイナンスミックスに関してのよくある質問について解説します。
ファイナンスミックスと資金調達の違いは?
ファイナンスミックスは融資、補助金、出資などの手法を組み合わせる戦略的なものであり、負債と資本をバランス良く最適化することで成長やリスクを管理します。
資金調達は、外部から資金を集める行為全般を指す言葉です。ファイナンスミックスは特定の資金調達方法を示している言葉ということになります。
中小企業でも使えるのか?
ファイナンスミックスは中小企業でも活用できる方法です。
中小企業の場合、「融資+出資」、「民間の金融機関+日本政策金融公庫」「融資+補助金・助成金」「融資+ファクタリング」「保証協会付き融資+プロパー融資」などの組み合わせで長期的な資金調達が可能となります。
ひとつだけ選ぶのはダメなのか?
ファイナンスミックスは、その名の通り資金調達を組み合わせることを意味します。
最適な戦略を組み合わせるため、ひとつだけの資金調達方法を選択することはできません。
まとめ・自社の成長に合わせて最適な方法で資金調達を考えよう
近年、資金調達方法として注目されているのがファイナンスミックスであり、資本、負債などの組み合わせによってリスクを分散して経営を安定させるための方法です。
特にスタートアップ企業で活用しやすい方法となり、メリットも期待できるのが特徴となります。
創業期や成長期など会社のフェーズによって組み合わせを変えていくと、大きなメリットが得やすい一方で注意点もいくつか存在します。
ファイナンスミックスは、自社に適した方法で活用するのがおすすめです。
創業手帳(冊子版)では、スタートアップ企業から経営を安定させている企業向けに有益な情報を掲載しています。ファイナンスミックスについての情報も掲載しているので、この機会にぜひご活用ください。
(編集:創業手帳編集部)
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