大企業からの人材採用で最大500万円の給付金!地域企業経営人材確保支援事業給付金とは

創業手帳

大企業人材の獲得で給付金が受け取れる制度を活用しよう


人材確保にはコストがかかります。採用難が続けばコストばかりが膨らむため、頭を悩ませる方もいるでしょう。
その上、大企業から優秀な人材を確保したいと考えても、賃金のギャップから思うように人材確保ができないケースもあるかもしれません。
そのような状況の中、中堅・中小企業を対象に活用できる給付金制度である「地域企業経営人材確保支援事業給付金」が注目を集めています。

この記事では、地域企業経営人材確保支援事業給付金がどういった制度であるのかをご紹介するとともに、メリットや要件、給付金申請の流れなど、制度を活用する際に役立つ情報を解説していきます。
採用コストに関する問題で悩みを抱えている方は、ぜひチェックしてみてください。

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【大企業人材の採用】地域企業経営人材確保支援事業給付金とは


地域企業経営人材確保支援事業給付金は、政府が推進する「地域企業経営人材マッチング促進事業」の一環で創設された制度のひとつです。
どういった制度なのか概要や申請期間について解説していきます。

制度の概要

地域企業経営人材マッチング促進事業は、大企業から地域の中堅や中小企業における人材の確保を後押しすることで、企業の経営革新や生産性アップを図り、地域経済を活性化させることが目的となる事業です。
大企業人材と中堅・中小企業をマッチングする上で課題となっている部分が賃金です。大企業を離れ、中堅や中小企業で働くようになれば年収の減少が考えられます。
年収の減少に対して抵抗を感じる方も多いため、思うようにマッチングが進まないことがあるかもしれません。

地域経済活性化支援機構が運営している人材プラットフォームのREVICareerを活用することで、大企業から人材を獲得した中小企業は最大500万円の給付金を受け取れます。
その結果、中小企業は経験豊富な人材を獲得でき、地域経済の活性化や生産性アップが期待できます。
給付された資金に関しては、待遇の改善や人事制度、福利厚生の充実度アップなど、様々な費用に活用することが可能です。

大企業人材と中小企業をマッチングさせるための仲介役を担うのが地域金融機関です。
地域金融機関の取引先企業の人材ニーズを把握し、REVICareerに求人情報を登録するほか、企業の人材ニーズをもとにして登録者に対するスカウトや大企業に向けて求人情報を伝える役目があります。
2024年6月20日時点では、REVICareerに地方銀行62社、第二地方銀行33社、信用金庫34社、信用組合2社の合計131社もの地域金融機関が登録されています。

申請期間

地域企業経営人材確保支援事業給付金には申請期間が設けられています。
2021年9月1日から申請受付が開始され、2024年1月31日で終了といわれていましたが、期間の延長が発表され2025年2月14日まで申請期間が伸びています。
さらなる延長は現段階(2024年7月現在)では不明なので、申請予定であれば早めに準備を進めておいてください。

対象企業

地域企業経営人材確保支援事業給付金の対象となる中堅・中小企業は、以下の要件をすべて満たしている必要があります。あらかじめ確認しておいてください。

  • 日本国内において本店の法人登記を行っている
  • 資本金もしくは出資総額が10億円未満で常時使用する従業員数が2,000人以下
  • 上記を満たしていない場合でも、機構が適当だと認めた法人

ただし、資本金や出資のない法人に関しては、常時使用する従業員数が2,000人以下であれば対象です。
なお、以下に当てはまる企業は給付対象外となるので注意してください。

  • 機構人材リスト登録者が雇用契約を締結しているもしくは締結していた大企業の親会社や子会社、関連会社など
  • 発行済み株式の総数1/2以上を同一の大企業が保有している法人または発行済み株式の総数2/3以上を大企業が保有している法人
  • 法律第2条第2号に規定する暴力団
  • 暴力団または構成員もしくは暴力団の構成員ではなくなった日から5年を経過していない人材が所属している企業
  • 暴力主義的破壊活動の実施または実施する恐れのある企業
  • 風俗営業、性風俗関連特殊営業、接客業務受託営業を営む企業
  • 政治団体
  • 官公庁
  • 宗教上の組織
  • 特別な法律によって設立された法人や独立行政法人など、国や地方公共団体が出資をしている法人

上記以外にも要件があるため、詳細を知りたい場合は地域企業経営人材確保支援事業給付金の「給付対象企業」を確認しておいてください。

大企業人材の採用で給付金を活用するメリット


大企業人材を採用する際に給付金を活用することで得られるメリットを解説していきます。

優秀な人材を確保できる

採用市場は売り手市場となり、優秀な人材の確保が難しい状況です。
中小企業ともなれば大企業と比較すると知名度も少なく、求職者優位となる採用市場においては苦戦を強いられています。

しかし、給付金の受給は、賃金ギャップを埋めるために役立ちます。
充実した福利厚生や待遇の改善を目的に活用すれば、大企業から中堅や中小企業へと人材が流れてくるでしょう。
大企業で培った経験やスキルを持った人材を確保できるため、中小企業は生産性の向上が期待できます。

返済義務がない

給付金は、給付されるお金なので返済義務がありません。
使用用途には制度ごとに決まりがあるケースもありますが、人材採用に関する給付金であれば人材確保を目的とした様々な活用法があります。
ある程度まとまった額を給付金で受け取れるため、中堅・中小企業にとっては大きなメリットとなります。
地域企業経営人材確保支援事業給付金にも返済の義務はありません。

地域企業経営人材確保支援事業給付金の給付要件


地域企業経営人材確保支援事業給付金の給付要件は、雇用の形態によって異なります。それぞれの要件を詳しく解説していきます。

共通の給付要件

上記で挙げた転籍型や在籍出向型といった雇用形態を問わず、共通する要件として以下が定められています。

1.給付対象企業から求人の申し込みを受けた特定有料職業紹介事業者と機構人材リスト登録者の間で、機構が運営する情報システムを使い、機構が定めている特定の文言を活用してメッセージの送受信を行っている
2.雇用者、受託者または出向者が給付対象企業の事業主または取締役の3親等以内の親族に該当していない

2に関しては、誓約書を作成して申請書に添付する必要があります。提出忘れのないよう注意してください。

転籍型の給付要件

大企業を退職し中堅・中小企業へ転職した方がいる場合の給付要件は以下の通りです。

1.給付対象企業が2021年2月25日~2025年2月14日までの期間に、機構人材リスト登録者との間で2025年3月31日までの間に雇用期間が開始する無期雇用契約もしくは1年以上の有期雇用契約の締結もしくは役員として1年以上の委任契約を結ぶ
2.雇用者に対して1年あたり500万円以上の給与を雇用期間または雇用期間のスタートから2年間のいずれか短い期間の間、支払うことを取り決めている
3.給付対象企業が、雇用者への給与の支払いについて金融機関または規定第3条17項第2項に掲げる者のうち、いずれかの者との間で当該給与などの支払い状況を機構に報告する、当該報告のために必要となる書類の提出を受ける旨の契約を結んでいる

3に関しては、特定金融機関との間で締結した契約書の写しを添付書類として申請書と一緒に提出する必要があります。

兼業・副業型(雇用契約など)の給付要件

兼業・副業型(雇用契約など)の給付のための要件は以下の通りです。

1.給付対象企業が2025年2月14までに機構人材リスト登録者との間で2025年3月31日までに雇用期間がスタートする3カ月以上の有期雇用契約の締結もしくは、役員として3カ月以上の委任契約を結ぶ
2.給付対象企業が、雇用者への給与の支払いについて金融機関または規定第3条17項第2項に掲げる者のうち、いずれかの者との間で当該給与などの支払い状況を機構に報告する、当該報告のために必要となる書類の提出を受ける旨の契約を結んでいる

なお、給付金額は雇用期間または2年間のいずれか短い期間に、受託者に支払った報酬の合計額に30/100を乗じた額となります。(上限200万円)

兼業・副業型(請負契約など)の給付要件

請負契約など、兼業・副業型の給付要件は以下の通りです。

  • 給付対象企業が、2025年2月14日までに機構人材リスト登録者との間で2025年2月14日までに雇用期間が開始する3カ月以上の請負契約を締結し、加えて契約が適正に実行されたことを検査または確認し、報酬の金額を確定して支払うこと

請負契約は3カ月以上であれば問題ありません。なお、給付金額は雇用期間または2年間のいずれか短い期間に、受託者に支払った報酬の合計額に30/100を乗じた額となります。(上限200万円)

在籍出向型の給付要件

出向元の大企業との関係を保ちながら、出向先の中堅・中小企業と新しく雇用契約関係を結んで働く形態を在籍出向型といいます。
在籍出向型の給付要件は以下の通りです。

  • 給付対象企業が、2025年2月14日までに大企業との間で2025年3月31日までの間に出向者の雇用期間がスタートする3カ月以上の出向契約を結ぶこと
  • 給付対象企業が、雇用者への給与の支払いについて金融機関または規定第3条17項第2項に掲げる者のうち、いずれかの者との間で当該給与などの支払い状況を機構に報告する、当該報告のために必要となる書類の提出を受ける旨の契約を結んでいる
  • 給付対象企業の出向者が大企業との雇用契約を継続している

給付金額は、雇用期間または2年間のいずれか短い期間に出向者に支払った給与、または大企業に支払う給付対象企業の負担金の合計額に30/100を乗じた額となります。(上限200万円)

給付金申請の流れ


ここからは、地域企業経営人材確保支援事業給付金を申請する際の一連の流れを解説していきます。スムーズに申請するためにも役立ててください。

1.REVICareer登録人材を採用する

給付金を申請するためには、まずは人材を採用しなければいけません。大企業からの人材を確保したい場合は、REVICareer登録金融機関に求人の相談をしてください。
その後、REVICareerに求人票が掲載されるので、登録人材へのスカウトメッセージなどの対応を依頼し、理想的な人材が見つかった際には候補者との面接、採用検討を行います。
採用が決まればREVICareerのサイト内で成約報告を実施し、給付金の要件を満たす条件で雇用し、入社となります。

2.申請書と添付書類を準備する

雇用が決まれば給付金の申請準備に移ります。給付申請書は、REVICareerのホームページでダウンロード可能です。
また、申請書以外にも雇用形態に応じて必要な書類を用意する必要があります。共通で用意する資料は以下の通りです。

  • 給付対象企業の法人登記簿謄本
  • 給付対象企業の確定申告書の写し(直近)
  • 給付対象企業の暴力団排除に関する誓約書
  • 給付対象企業が給付申請を実施すること、申請に関連する個人情報を提供することについて、雇用者や受託者、出向者が同意した旨の本人署名の同意書
  • 特定金融機関が人材確認書を機構に提出することへの同意書
  • 規程第3条第6項各号および雇用者、受託者または出向者が給付対象企業の事業主もしくは取締役の3親等以内の親族に該当しないことを誓約する書類

各雇用形態の必要書類は、「給付金申請に必要な書類」で確認し、添付忘れのないように準備しておいてください。

3.書類審査後に給付金支給の可否が決まる

必要な書類を用意し、提出したらREVICで審査が実施され支給の可否が決定されます。
給付が受けられる場合は、審査結果を通知後、給付対象企業が指定した口座に給付金が振り込まれる仕組みです。

4.半年ごとに実績報告を行う

給付金を受けた場合、実績報告書と関係書類を特定金融機関となるREVICareer登録金融機関に提出しなければいけません。
REVICareer登録金融機関は、特定金融機関用の実績報告書をREVICに提出します。
実績報告は、最初の1年間のみ半年ごとで、その後は最大1年分を1回報告します。忘れないよう作成して提出してください。

地域企業経営人材確保支援事業給付金を申請する際の注意点


最後に、地域企業経営人材確保支援事業給付金を申請する際に注意すべき点をピックアップしてご紹介していきます。

給付要件を満たさない場合は返還が必要

給付金には返済する義務がありません。しかし、給付要件を満たさなくなった場合は受け取った給付金を返還する必要があります。

  • 雇用者が対象企業または雇用契約を締結する大企業を退職した時
  • 対象企業が虚偽の申請や不正行為によって給付金を受け取った場合
  • 対象企業が給付金以外に給与などを対象とした補助金や補助金の交付を受けたことは発覚した時

 
上記の場合、状況報告書に必要な資料を添付して特定金融機関に提出する必要があります。
その後、REVICが内容を審査して返還金額や返還方法を決定して通知してくれます。

給与などを給付対象にする補助金は併用できない

地域企業経営人材確保支援事業給付金以外にも、給与関連の補助金や助成金は存在します。
様々な制度を活用すれば人材採用のコストを削減できますが、併用はできないので注意してください。
地域企業経営人材確保支援事業給付金以外に、給与などを給付対象とした補助金の交付を受けた場合は、前述したように返還する義務が生じます。
「知らなかった」としても、返還対象となるので注意してください。

最大給付対象人数は1社あたり10人まで

地域企業経営人材確保支援事業給付金には対象人数に上限があります。
転籍型、兼業・副業型、在籍出向型の合計で、1社あたり最大で10人となり、同一の大企業からの人材確保の場合は、転籍型、兼業・副業型、在籍出向型ぞれぞれで2人までです。
多くの人材を確保したいと考える中小企業の方もいるでしょう。しかし、対象人数には決まりがあるので注意してください。

まとめ・大企業人材の採用と資金調達に役立つREVICareerの給付金

地域企業経営人材確保支援事業給付金は、地域経済の活性化や企業の生産性アップを目的として、地域企業経営人材マッチング促進事業に基づいて創設された制度です。
待遇の改善や福利厚生の充実など、大企業で経験やスキルを培った人材を確保する際に、課題となっている賃金のギャップを解消するために役立ちます。
大企業人材の採用を検討している中堅・中小企業の担当者は、ぜひ制度の概要をチェックして申請を検討してみてください。


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(編集:創業手帳編集部)

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