【設立登記の基本】知っておきたい登記実務・定款作成方法まとめ

創業手帳

簡単?!難関?!会社設立に必要な手続きとは

【保存版】株式会社設立の「全手順」と流れをどこよりも詳しく解説!

(2016/05/17更新)

法人として開業する場合、登記の手続きと定款の作成が必要となります。定款には規定のルールがあり、これから会社を運営していく上で、注意して作成する必要があります。そこで、会社設立に必要な手続きのポイントを専門家が詳しく解説します。

設立登記に必要な書類とは?

設立登記の手続きの際には以下の書類が必要です。なお、ここでは取締役会非設置会社の発起設立(自分ひとりの出資で役員も自分のみの株式会社を設立)を想定しています。

・登記申請書
法務局に登記申請するための書面です。
・定款
原始定款(設立時の定款)です。事前に公証人による認証を受けていなければなりません。
・発起人の決定書
本店所在地の詳細などを決定します。
・就任承諾書
設立時取締役や監査役が就任を承諾する手続きの書面です。
・印鑑証明書
設立時取締役全員分が必要です。
・払込みを証する書面
該当ページの通帳コピーです。
・印鑑届出書
会社代表印(実印)を登録するための書面です。

定款作成のポイントとは?

定款は会社の憲法とも言われ、会社を設立する際には必ず作成しなければなりません。定款自治と言われるように、ある程度の裁量が会社に認められていますが、必ず記載しなければならない事項もあります。

定款に必要となる記載事項とは?

定款に記載される事項としては以下のようなものがあります。

・絶対的記載事項
定款に必ず記載しなければならない事項です。
目的・商号・本店所在地・設立に際して出資される財産の価額・発起人の氏名・住所・発行可能株式総数
・相対的記載事項
定款に記載する必要はありませんが、記載しないと無効となります。
変態設立事項・種類株式
・任意的記載事項
定款外で規定しても有効となります。
公告方法(官報以外の場合)・事業年度(決算期)

変態設立事項で記載する事項とは?

変態設立事項とは、変態とあるように、設立に関する変則的な行為を指します。これは、発起人が自分の利益を優先するなどして、会社が不利益を被ることがないよう、定款に記載が求められるものです。変態設立事項は相対的記載事項なので、定款に記載しなければ無効となります。
変態設立事項には以下のものがあります。

・現物出資
金銭以外の財産(不動産など)を出資することです。
・財産引受
設立前から、設立後に会社と発起人が財産を売買する契約をしていることです。
・発起人報酬
発起人としての報酬を受けることです。
・設立費用
登録免許税や定款印紙代など通常設立に必要な費用以外の設立費用を会社が負担することです。

変態設立事項は検査役による調査が必要?

変態設立事項については、裁判所が選任する検査役による調査が必要となります。ただし実務上は、発起人報酬と設立費用について必要となるケースは稀です。また、現物出資と財産引受についても、目的財産について、①価額が500万円以下、②市場価格のある有価証券、③公認会計士・税理士・弁護士から価額の証明を受けたときのいずれかに当てはまる場合は、検査役調査が不要となります。

代表者と発起人の違いとは?

発起人と代表者は別ものです。多くのケースで、同一の人物になりますが、別人であっても問題ありません。ただし、発起人は必ず出資をして、株主にはならなければなりません。

設立後に定款を変更できる?

定款を変更するためには、株主総会の特別決議(定款変更は株主総会の特別決議(議決権の過半数を有する株主が出席して、出席株主の3分の2以上が賛成)が必要です。また、後で説明する商業登記の手続きが必要です。

会社設立後に必要な業務・書類とは?

設立登記や定款作成は会社設立前に必要な業務ですが、会社設立後に必要となるものもあります。

商業登記

会社を運営していくと、会社設立後も登記が必要なケースが多々あります。これらは、不動産登記と区別して商業登記と呼ばれます。商業登記が必要とされる理由としては、会社の重要な情報を開示することによって、第三者が想定外の損害を被ることを防ぐことにあります。
商業登記が必要となる主な行為としては、定款変更、代表者や役員の変更、代表者の住所変更、増資や減資、ストックオプション発行などが挙げられます。

議事録

会社運営にあたっては、法的な要請や登記のための必要性から、さまざまな議事録を作成することになります。議事録の整備は、将来外部株主を入れたり、IPOをしたりする際に非常に重要となります。
代表的な会議体である株主総会と取締役会の議事録の記載事項は次のとおりです。

株主総会議事録

  • 開催された日時・場所
  • 議事の経過の要領・結果
  • 意見・発言の概要
  • 出席した取締役・執行役・会計参与・監査役・会計監査人の氏名
  • 議長の氏名
  • 議事録を作成した取締役の氏名

取締役会議事録

  • 開催された日時・場所
  • 議事の経過の要領・結果
  • 意見・発言の概要
  • 出席した取締役・執行役・会計参与・監査役・会計監査人の氏名
  • 議長の氏名

まとめ

このように会社設立のために登記業務や定款の作成など、さまざまな業務を行う必要があります。やるべきことをしっかり理解して、会社設立の手続きをスムーズに進めましょう。

この記事のポイントをチェック!
  • 設立登記の申請時は、定められた書類を一式揃える必要がある
  • 定款の申請をする場合は、事前に公証人による認証が必要
  • 定款の記載事項は比つようせいに応じて「絶対的記載事項」「相対的記載事項」「任意的記載事項」の3つに分けられる

【保存版】株式会社設立の「全手順」と流れをどこよりも詳しく解説!

(監修:公認会計士、税理士 廣野 清志(ひろの きよし)
(編集:創業手帳編集部)

創業手帳は、起業の成功率を上げる経営ガイドブックとして、毎月アップデートをし、今知っておいてほしい情報を起業家・経営者の方々にお届けしています。無料でお取り寄せ可能です。

創業手帳
この記事に関連するタグ
創業時に役立つサービス特集
このカテゴリーでみんなが読んでいる記事
カテゴリーから記事を探す