融資が通る!飲食店創業計画書の書き方のポイント ~取引先・取引関係等、お借入の状況など~

資金調達手帳

創業計画書にウソは絶対NG

融資が通る創業計画書の書き方

日本政策金融公庫の借り入れ申し込みのポイント4つめが「取引先・取引関係等」「お借入状況」です。さらに、計画書にある「従業員」の項目についても説明します。

この項目を考えもなく書こうとすると、「取引先・取引関係等」は“未定”(開店していないのですから当たり前ですよね)、「お借入状況」は“なし”(たとえ借入をしていたとしても、さらにお金を借りようとする場合は隠したいですよね)ということになります。しかし、それでは、日本政策金融公庫からお金を借りることはできません。融資の審査に通るための書き方をここでは紹介します。

※前回に引き続き、日本政策金融公庫が発行している冊子「新たに飲食業を始めるみなさまへ 創業の手引き+」に載っているチェックポイントを元に、私が携わった飲食店開店のコンサルタントと、日本政策金融公庫の担当者との面談の中で気づいた事を加えて書いています。

取引先・取引先関係等

「取引先・取引先関係等」の項目については、「販売先」と「仕入れ先」「外注先」と細かい指定があります。ただし、飲食店の場合「外注先」というのはほとんどないかと思います。ここでは「販売先」と「仕入れ先」の書き方をお伝えします。

販売先

飲食店で言う「販売先」とは、お客さまのことです。この「販売先」の考え方については前の「飲食店創業計画書書き方のポイント  ~取扱い商品・サービスの内容 セールスポイント編~」の記事も参考になります。簡単に言うと、あなたが想定している顧客層をここでは書いてください。決して、まだお店を始めていないから、「販売先なんて書けない!」なんて思わないでください。

融資担当者は、あなたが、どんな顧客(販売先)を想定して、お店を作ろうとしているのかを見ているのです。あなたの事業戦略を見ているのです
この情報をもとに、「新たに飲食業を始めるみなさまへ 創業の手引き+」に載っているチェックポイントを見ていくと、より具体的にどう書けばよいかが分かります。

  • 顧客ターゲット層を明確にしていますか?
  • 出店予定地近くの住民の特性やライフスタイルを把握していますか?
  • 出店予定地は新規客(顧客ターゲット層)を獲得しやすい場所にありますか?
  • 予定仕入先は信頼 できる業者ですか?
  • 必要な従業員の確保できますか?

上記のように、あなたがお店に来てもらいたい顧客ターゲット層を具体的に書くのが重要です。あなたが想定している客層は何歳ですか?男ですか?女ですか?職種は何ですか?

それをイメージし、立地、内外装設備、什器、備品、商品、サービスなどを考えておく必要があります。

例えば、サラリーマンをターゲットにするなら、オフィスビル街と駅を結ぶ経路にある繁華街で、多人数にも対応できる席の配置や、タイムサービスや飲み放題メニューを設けるなど。時間帯も終電までとなります。キャバクラの同伴などを想定するのであれば、出勤時間の20時や21時までがピークとなります。同業の夜遅くまで働いている方を想定するのであれば、始発までの時間がピークとなります。

今、お店を開業しようと考えている方は、ここまで想定客層=販売先を考えてください。

仕入先

仕入先については、想定しているところを記入してください。開店前でも、すでに声をかけているところがあるはずです。お酒や料理の食材などで、仕入れ先は複数出てくるので、全て記入しましょう。記入しきれない場合は、別紙明細にして主要な仕入先はすべて記載するとよいでしょう。

特に、前の職場の仕入先や、知人の仕入れ先などは印象がよいという話もあります。今後、助けてくれる人脈があるという見方ができるからです。

従業員

常勤役員の数

個人開業の場合には0人で問題ありません。

従業員の数(いわゆる正社員)

基本は正社員の数を記入します。開店当初は、バイトを雇うのも腰が引けるので、奥様が従業員として登録されるケースが多いです。奥様や家族の方を従業員に入れるのは問題ありません。家族からの理解を得られているということでプラスに働くでしょう。

正社員ではないですが、アルバイトを雇う可能性もあります。それは席数などにもよると思います。もし、アルバイトを雇用予定であれば、予定の数を記入しておきましょう。

ここで話は少しそれるのですが、これから開業する人にとって重要なことをお伝えします。家族を正社員として登録する際の税金についてです。今回の日本政策金融公庫の融資申請とは関係ないのですが、税金対策について、奥様に給料を払い、経費にする場合には「青色事業専従者給与」という形で支給する必要があります。

それも“事前に決められた日数の前に”「青色事業専従者給与の届出書」を税務署に提出しなければなりません。 青色と書いてある通り、「青色申告承認申請書」も事前に提出する必要があります。

もうひとつ注意が必要なのは、「青色事業専従者」として奥様を登録するためには、奥様が他で仕事をしていてはいけません。あくまでご主人の飲食店に「専従」という事がポイントとなります。

税金の話なので、今回の融資には関係ありませんが、重要なポイントとなります。より詳しく知りたいという場合はご連絡ください。新たに記事を作成したいと思います。

お借入の状況

開業に至るまでには、いろいろなお金のやりくりが発生します。不動産への入金や、内装・外装会社への支払いです。さらに、運転資金も必要になります。そのため、開店の状況では、日本政策金融公庫の融資を申請しながらも、ほかでお金を借りている場合も十分にありえます

ここのポイントは、一言。「ウソをつかない」です。ウソをついたら借入は絶対に無理です。

ほかの金融機関からの借入は申告しなければ、ばれないと思っている人も多いですが、簡単に分かります。金融会社間で借入の情報を共有するシステムがあるのです。

ほかの金融機関から借金をしていても融資が通るか落ちるかは、その他の状況に寄ります。しかし、申請書にウソを書けば確実に融資は落ちます。隠したくなるかもしれませんが、それはあなたのためになりません。「ウソをつかない」 真実を記載してください。

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融資が通る創業計画書の書き方 ~創業動機編~
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(監修:ITA大野税理士事務所 大野晃 飲食店開業融資専門税理士)
(編集:創業手帳編集部)

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