創業期に行政書士に依頼できることは?行政書士の仕事内容といい行政書士を探すポイント
コンサル相談も可能な行政書士の仕事内容と行政書士の選び方
(2020/08/19更新)
「書類作成業務が多くてスケジュールがぎっしり」「外部に会計業務を任せられる人材が欲しい」という悩みは、創業期にはつきものなのではないでしょうか。
このような悩みを解決してくれるのが行政書士です。行政書士の仕事内容は書類作成だけでなく、コンサルティング全般に及びぶため、創業期の起業家にとって大変心強い存在です。
創業期に直面する問題において、どの分野が行政書士に依頼できるのか具体的にイメージできるよう、行政書士の概要から仕事内容、依頼の際のポイントについて見ていきます。
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この記事の目次
そもそも行政書士とは?
行政書士の歴史は1951年に施行された「行政書士法」から始まっています。主な業務内容は官公庁に提出する書類の作成や提出代理、遺産相続などにおける法的な事実確認、証明など多岐に渡ります。
法に関する仕事ならマルチにこなすことができ、官民の間に立つことからも「街の法律家」として身近な存在です。
日本行政書士会連合会に登録されている情報では、日本の行政書士の人数は2020年8月の時点で4万9,366人となっています。
行政書士が保有する資格や経験
行政書士は、下記の資格を有していれば認められ、業務を行うことが可能です。
・行政書士試験合格者
・弁護士の資格保持者
・弁理士の資格保持者
・公認会計士の資格保持者
・税理士の資格保持者
上記に加え、国の定める公共団体などの期間で、20年以上の行政に関わる事務などを経験した人も、行政書士となることが可能です。
これらの資格を有している人が必要書類を揃え、日本行政書士会連合会への登録を行うことで行政書士として活動をすことが許されます。
行政書士の仕事内容
先述のように行政書士の仕事は多岐に渡りますが、大別すると以下のようになります。
・各種書類作成と手続きの代理業務
・各種予防法務
・コンサルティング業務
それぞれについて、個別に解説していきます。
各種書類作成とその申請手続き
営業許可証、建設許可証など、事業をはじめようと思った場合、各種許可証を行政機関などに提出する機会が多々あります。以外と手間のかかるこれらの書類作成業務だけでなく、提出の手続きも行政書士に任せることが可能です。
さらに、法人設立の為の定款の作成と認証、議事録の記入なども依頼できます。
行政書士が扱うことのできる書類は数万種類にも及ぶと言われ、それぞれの行政書士によって得意分野も異なります。
各種予防法務
予防法務とは、遺産相続における遺言書や遺産分割協議書の作成、企業の権利義務や事実証明に関する精査と証明など、トラブルを未然に防ぐ為の業務を法的な観点から行うことです。
未然に予防するという点で、トラブル事後に問題の解決を図る弁護士と異なります。
予防法務では、担当する案件によっては税理士や司法書士など、他の専門家と連携して当たらなければならない場合もあるため、他業種との繋がりを作っておくことも行政書士の仕事のひとつと言えるでしょう。
最近では、外国人の在留や帰化のサポート業務を行う行政書士も増加傾向にあります。
コンサルティング業務
会計記帳の作成や決算など、各種会計業務の代行も行政書士の担当分野のひとつとなります。近年ではIT化の影響で、会計業務の申請に関しても電子申請が進んでいますので、創業間もない中小企業などにとっては特に心強いのではないでしょうか。
ただし、行政書士は税務関係の申請等は行うことはできないため、そちらは税理士の担当範囲となります。
創業期に行政書士に依頼する内容にはどのようなものがあるか
行政書士の業務内容は多岐にわたりますが、実際に創業期に行政書士に依頼する案件にはどのようなものがあるのでしょうか。
創業期に多い依頼内容としては、電子定款の作成や、株式会社の設立に必要な書類の作成など、設立業務のサポートがあります。
また、行政書士の業務内容に登記の手続きは含まれませんが、行政とのやり取りに関する相談や、補助金などの資金面に関する相談などといったコンサルタント的な依頼をすることも可能です。
起業家の行政書士への依頼内容の事例としては、以下のようになります。
ケース①株式会社設立のための具体的な方法が分からない。
【行政書士の解決方法】
「法人の設立手続」の代行、「定款」「議事録」の作成、「会計記帳」「公的融資の手続」などを行ってくれた。
ケース②自社の持っているノウハウなどを知的資産として運用したいが方法が分からない。
【行政書士の解決方法】
行政書士が「知的資産経営」の導入と「知的資産経営報告書」の作成、および「知的資産運用のサポート」を行ってくれた。
ケース③外国人雇用を考えているが必要な手続きが分からない。
【行政書士の解決方法】
行政書士へ依頼すると、入国管理局への「提出書類の作成」と「手続きの代理」を行ってくれた。
行政書士に依頼する際のポイント
行政書士に依頼を検討するなら以下の点について知っておく必要があります。
・依頼タイミングと業務内容
・良い行政書士の見分け方
・行政書士依頼にかかるコスト
これらのポイントをふまえて自社に合った行政書士を選んできましょう。
行政書士へ依頼するべきタイミング
行政書士の業務内容は、行政機関などへの提出書類の作成と提出手続きが発生することがほとんどです。公的な機関へ提出する為の書類は申告期限が設けられていることも多いため、依頼のタイミングとしてはなるべく、早い時点で行うのが望ましいでしょう。
良い行政書士の見分け方
良い行政書士を見極めるポイントは2つあります。
ワンストップサービス
行政書士の仕事は税理士など他の専門家と連携を取る必要があるため「ワンストップサービス」になるかどうかが重要なポイントになります。
他の分野のプロフェッショナルとの連携が取れた行政書士であれば、幅のある案件をそのまま任せられますが、そうでない場合は、案件ごとに自分で別の依頼をしなければならず、余計な負担が増えてしまいかねません。
法令順守
行政書士を選ぶ上で大切なもう一つの要素が、法令遵守の度合いです。
行政書士は「行政書士法」において公平な報酬の提示や顧客の秘密保持を守ることを義務付けられています。
どのくらい行政書士法を遵守しているか見極めるためにも、行政書士に依頼する際にはこれらの点について事前にヒアリングを行うようにしましょう。
小さな案件でも親身になってくれる
自治体の窓口で相談役をしていたり、行政書士主催のイベントで無料相談会を行っていたり、積極的に社会貢献している行政書士は、幅広い知識や対応能力もあり、相談レベルの小さな案件でも親身になってくれるでしょう。
また、人には話せない内容の場合は別室を用意してくれたり、資料の扱いが丁寧であったりなど、細かい配慮があるかなども注視しておきたい部分です。
法に関する知識が豊富
依頼を決める前に細かい質問を投げかけ、どのくらい深い回答をしてくれるのかも、行政書士を見分けるポイントのひとつです。
経験豊富で、知識レベルも高い行政書士であれば、相談者の意図に沿った提案や回答をしてくれるでしょう。
行政書士依頼にかかるコスト
行政書士に支払う報酬額の相場は、行政書士が担当する業務に応じた平均額を日本行政書士会連合会が公開しています。会社設立の代行業務は10万円、内容証明作成の代行は3万円などと具体的に表示されているため各種業務の相場感がわかります。
コスト面に関していえば、近年、行政書士は増加傾向にあり、価格競争が起こっているという点も否めません。
低価格を打ち出しているから必ずしも悪い行政書士という訳ではありませんが、安いからと飛びつくのではなく、事前ヒアリングを行うなどして厳選するようにしましょう。
まとめ
誰でも受験可能な行政書士試験ですが、令和元年の合格率は11.5%となっており、難易度の高さがうかがえます。そのような試験を突破してきた行政書士は、法律を本質的に理解しており、幅広い分野で経営のサポートを行ってくれます。
また、各種認可や会社設立の為の書類作成から提出といった業務を任せることで、実務負担を軽減できるだけでなく、創業期の様々な悩みについて相談できるため心強い存在です。
自社に合った行政書士を選ぶためには、コスト面だけでなく、ワンストップサービスで完結するか、法令遵守を重んじているか、得意な業務内容が自社の要求に合っているかなどを含めて検討するようにしましょう。
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(編集:創業手帳編集部)