東京の創業支援が熱い! TOKYO創業ステーション2周年記念イベントレポ
TOKYO創業ステーションの2周年記念イベントの様子をお伝えします。
(2019/01/21更新)
公益財団法人東京都中小企業振興公社が展開している創業支援サービス「TOKYO創業ステーション」が開業2周年を迎えることを記念したイベントが1月21日に開催されました。
創業ステーションの活動実績報告やベンチャー支援で活躍する増島雅和弁護士による基調講演、創業ステーションのサービスを実際に利用者した起業家によるピッチイベントなどが行われ、約100人が参加しました。
起業家の生の声は、起業を考えている人にとっては、事業のアイデアやモチベーションにもなるので、とても重要なものです。このようなイベントに行くことで聞くことができますし、もっと簡単な方法だと、インタビュー記事を読むという手段があります。冊子版の創業手帳(無料)では、複数の起業家の特別インタビューを掲載しています。ぜひ読んでみてください。
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東京で活発なエコシステムを作るために必要なポイントとは?
イベントは産業労働局商工部部長の坂本雅彦氏の開会挨拶に始まりました。坂本氏は、現在6%ほどの東京の開業率を今後10年で2倍の12%にすることを目標にさまざまな取り組みを進めていくことを伝えました。
第一部の基調講演に登壇した増島弁護士は、ベンチャーファイナンス、金融機関全般のリーガルアドバイス業務に携わる傍ら、ライフワークとしてベンチャー支援活動を展開しています。今回は、「今求められる東京型スタートアップ・エコシステムとは」と題して講演しました。
増島氏は最初に、ベンチャーには、ベンチャーキャピタルなどから資金を調達して急成長を目指すタイプの起業と、公庫などから資金調達をする小規模な起業の2種類あり、同じ起業でも180度性質・発想が異なるものであると述べました。エコシステムの構築について議論するにあたって、2種類の違いをしっかり区別し、それぞれに異なるアプローチ・手段が必要だという認識を持つことが前提となります。
エコシステムを作るためには、社会の中に多様な領域の起業家がいて、かつ多様な人材のインタラクション(相互の交流)があり、双方向のアクションの中で新たな気づきが生まれ、新たな事業が自然に生まれていくというプロセスを産むことが必要です。増島氏は、このプロセスの中で最も大事なのは、インタラクションをいかに起こすかということだと述べました。
その上で、エコシステムの活性化を図るためには、ソーシャル・キャピタル(社会・人の結びつき)を蓄積させることが必要だといいます。東京に当てはめると、世界有数のソーシャル・キャピタルの蓄積がある都市であり、エコシステムを作る上ではポテンシャルが非常に高い一方で、ポテンシャルに対してイノベーションがあまり進んでいないという課題が。増島氏は、この乖離の原因は、インタラクションが弱いことにあると分析しました。
増島氏は、都内に存在する膨大なコンテンツを有効に活用して活気あるエコシステムを作るためには、さまざまな領域のインタラクションが起きる環境を作り、そこで生まれた新しいアイデアを実現をするためのお金の流れなどルートを整備し、ソーシャルキャピタルを蓄積させるためには何をすればいいのかという観点に立って改善していく必要があると伝えました。同時に、外国人という全く異なる視点を持った人材とのインタラクションを進めることで、イノベーションが起きる可能性が更にぐっと高まるとも伝え、講演を結びました。
外国人の視点を取り入れることは、エコシステムだけでなく、起業家自身にも役立つはずです。資金調達に関する情報だけをまとめた、資金調達手帳(無料)では、外国人ベンチャーキャピタリストにインタビューを行っています。そこでは、日本の起業家は質はいいが、国内的であることを問題として語っています。このようなインタビュー記事を読むことも起業家にとってレベルアップのひとつとなると思います。
第二部では、起業ピッチでサービス利用者の生の声を紹介
第二部では、創業ステーションで開催されているさまざまな起業支援プロジェクトの紹介とともに、そのカリキュラムを通じて起業を計画している・起業した参加者によるピッチが行われました。
創業ステーションでは、創業の初期段階の人を対象にした相談やイベントを行う「Startup Hub Tokyo」フロアと、準備が進み具体的に起業を決意した人に向けて、アイデアを実現するための実践的なサポートを展開する「創業ワンストップサポート」フロアに分かれてサービスを展開しています。
例えば、Startup Hub Tokyoで開催されている、IoTデバイスづくりに特化したカリキュラム「Tokyo IoT Monozukuri Collage」に参加した猪口陽平氏は、アプリのキャラクターと連動して、ペットを育てる時に近い感覚で植物栽培ができる「Planpet(プランペット)」を開発。ピッチではプランペット誕生のきっかけや、実際に今後リリースするまでの計画などについて発表しました。既にアプリは完成に近く、植物を育てるハードウェア作りを完成させた後、本格的に事業の立ち上げを行う予定だそうです。
株式会社PASIAの市川奈央子代表取締役は、創業ワンストップサポートフロアの創業助成事業のサポートを受け起業。自身の海外経験を元に、ASEAN諸国をターゲットにした通訳の手配・マッチング・コンサル事業を展開しています。ピッチでは東京都の助成金をどのような形で使ったか、サービスを活用しながらどのように事業を進めてきたかなどについて、現場の声を伝えました。
イベント終了後には参加者同士のネットワーキングも行われ、起業を考えている人・既に起業した人たちが混ざって、横のつながりを広げました。
東京都での積極的な創業支援の取り組みをさまざまな角度から知ることができる、非常に有意義なイベントでした。
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(編集:創業手帳編集部)