IPコンテンツとは?IPビジネスや活用するメリット・注意点などを紹介

創業手帳

IPコンテンツを使ったビジネスが注目を集めている


ブランド力の強化やプロモーション効果向上のためにIPコンテンツによるビジネスを検討する企業が増えています。
自分たちの身の回りにもIPビジネスは大きく広がっており、プライベートで活用している人もいるでしょう。
しかし、具体的な内容がわからないと考える人も多いです。

そこで今回は、IPコンテンツとは何か概要を解説するとともに、注目される理由や活用するメリット、注意点などを解説していきます。
活用を成功させるためのポイントも紹介していくので、ぜひ参考にしてみてください。

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IPコンテンツとは


はじめに、IPコンテンツの基本について解説していきます。

そもそもIP(Intellectual Property)とは

IP(Intellectual Property)とは、日本語にすると「知的財産」という意味です。
人間の知的活動で生み出されたアイデアや創作物など、財産的な価値を持つものを総称して知的財産といいます。
アイデアや創作物は、ブランドやデザイン、ソフトウェアや文学作品などが当てはまります。
これらは法的に保護され所有者に対しては特定の権利が与えられており、その権利は大きく分けると以下の4つのカテゴリです。

  • 著作権:音楽や文学といった芸術作品の保護
  • 特許権:技術的発明の保護
  • 商標権:ロゴやブランド名の保護
  • 意匠権:製品のデザインの保護

例えば、商標権であれば自社製品と他社のものとで差別化するためのネーミングや立体的形状などの商標を保護する権利です。
特許庁に出願して登録を受ければ権利が発生する仕組みです。キャラクター名や映画のタイトル、マンガのタイトルなどで商標登録を受けることが検討できます。

IPコンテンツとは

知的財産を基盤に展開されているコンテンツをIPコンテンツといいます。例えば、以下の通りです。

  • アニメ
  • 映画
  • ドラマ
  • マンガ
  • ゲーム
  • キャラクター

IPコンテンツは知的財産の中でも主に著作権の束であり、権利を持っていない人は無断で使用できません。
そのため、映画を自分のYouTubeチャンネルに無断でアップロードしたり、アニメをSNSでアップロードしたり、アニメのキャラクターを自分が経営しているお店の看板に無断で使用する行為などは、原則として権利侵害となります。

IPコンテンツによるIPビジネスとは


ここからは、IPコンテンツを活用したビジネスが注目を集める理由や、ビジネスモデルについて解説します。

注目される理由

IPビジネスとは、IPコンテンツを利用して商品の開発やプロモーション活動を行うビジネスモデルをいいます。
IPを二次利用、三次利用する権利を販売して利益を得るビジネスです。近年では、様々な会社がIPビジネスに取り組んでいます。

なぜこれほどにまで盛んになっているのか、その理由としては「SNSの普及」が挙げられます。
クリエイターが自分の作品に関する情報を気軽に発信できるようになり、ユーザーとのコミュニケーションも取りやすくなっているからです。
ユーザーは作品への想いや応援する気持ちをコメントとして残しやすく、中には関連グッズの制作をしてほしいと要望をするユーザーも存在します。

SNSがきっかけとなり、ユーザーとクリエイターとの距離や作品とユーザーとの距離が縮まることで、作り手側はユーザーの具体的なニーズを把握できるようになりました。
コンテンツも簡単に訴求できるようになったため、IPビジネスの活性化につながっています。

また、テレビだけではなく、動画配信サービスやインターネット番組が普及したことも要因の1つです。
露出する場が増えたことで作り手側がアピールする手段も増加しています。

IPビジネスのビジネスモデル

IPビジネスは大きく分けると3つのビジネスモデルがあります。

・コンテンツ販売
自社が保有しているIPを活用してコンテンツを制作・販売することで収益を得る仕組みです。
アニメやマンガ、ゲームなどの制作物を販売するイメージです。DVDの販売や有料チャンネルなどによって収益を上げられます。

・ライセンス販売
自社が保有しているIPを他社に供与し、ロイヤリティ収入を得る仕組みです。
例えば、自社で生み出したキャラクターをA社がキャンペーンで使用する場合、A社は自社に対して使用料を支払います。
この使用料で収益を得る仕組みで、低リスクで安定した利益を確保できるようになります。

・ノウハウ販売
制作や製造に関する技術、知識などのノウハウを他社に教えることで収益を得るビジネスモデルがノウハウ販売です。
特許技術を再現するために必要なノウハウを販売する手法やIT企業の開発手法などが当てはまります。

IPコンテンツを活用するメリット


ここからは、IPコンテンツを活用するメリットを解説していきます。

人気を獲得すれば長期的なビジネスになる

IPの人気を獲得できれば、長期的なビジネスになります。ヒットして人気が出たIPには一定のファンがつきます。
ファンがつけば、グッズ化やライセンス貸出をすれば収益を得られる仕組みです。
例えば、アニメが人気になれば、キャラクターとコラボした商品の販売やキャンペーンの実施による売上げが期待できます。

実際、ヒット作を誕生させたアニメの制作会社は、人気作品のキャラクターライセンス使用料が収入源として大きな役割を持っています。
IPは、商品やサービスの形式を問わないので、様々な事業で展開しやすいです。
企業にとって大きな資産になりえるので、人気を獲得できるようなアピールをしていく必要があります。

企業のイメージアップにつながる

IPビジネスによって、知的財産の二次利用や三次利用で成功すれば、ユーザーは知的財産を持つ企業にも注目してくれます。
IPが会社の顔として自動的に広報をしてくれるので認知度が自然にアップする仕組みです。
「○○といえばA社」といったようにポジティブなイメージが定着するので、企業のイメージアップに貢献してくれます。

ブランドの差別化を図れる

IPコンテンツを活用すれば、ブランドの差別化を図れる点もメリットです。
自社で生み出したキャラクターを展開する以外に、他社とのコラボレーションで特別仕様の商品を展開できれば、ファンの心を掴みやすくなります。
自社だけでは生み出せないような魅力ある商品や体験をユーザーに対して提供できれば、より多くのファンを獲得できるでしょう。

新規顧客の獲得を目指せる

IPコンテンツを活用すれば、自社との接点がなかったユーザーへのアプローチも目指せます。
例えば、コラボ先のファンの獲得です。
アニメやゲームなどのIPコンテンツには、すでに熱量の高いファンがいますが、他社のIPコンテンツを活用すれば、自社製品に関心のなかったユーザー層にもリーチできます。
アニメキャラクターとコラボした商品を作れば、キャラクターのファンが商品を手に取ってくれるため、新規顧客層の獲得を期待できるでしょう。

また、人気アニメとのコラボ商品は話題性が高く、メディアやSNSを通じた情報の拡散も期待できます。
ファンがキャンペーンで手に入れた限定グッズをSNSに投稿すれば、ファン同士での情報交換が行われる可能性もあり、急速な情報拡散を目指せる仕組みです。

コスト削減につながる

他社のIPコンテンツを活用すれば、コスト削減にもつながります。キャラクターの使用を考えた時、自社でゼロからキャラクターを作るにはコストや工数が大幅にかかります。
認知度を高める必要もあるため、膨大な労力や時間、費用が必要です。

しかし、すでに人気のあるIPコンテンツを活用すれば、その魅力を知っているファンが瞬時に興味を抱いてくれます。
オリジナルでキャラクターを開発する必要がなくなるため、制作コストを抑えたマーケティング活動が可能です。

手間を軽くして収益を得られる

IPコンテンツを自社で活用するのではなく、他社に利用してもらえばリスクを抑えつつ収益を得ることも可能です。
自社のIPグッズを販売するとなれば、製造や流通コストが発生します。在庫管理も自社で行っていれば、売れ行きが悪かった時には在庫リスクを抱える危険性もあるでしょう。

しかし、他社にIPを貸し出せばIPを利用する企業がリスクを背負います。
自社はライセンスの収益が入るだけなので、手間なく収益が得られるのは大きな魅力といえます。

IPコンテンツを展開する際の注意点


ここからは、IPコンテンツを展開する際の注意点を解説していきます。リスクを抑えるために役立つ内容となっているので参考にしてください。

収益化までには時間がかかる

IPコンテンツを活用したビジネスは収益化するまでに時間がかかる点がデメリットです。
キャラクターを生み出したとしても、人気を獲得できなければ商品化してもリスクがともなうだけです。

また、一時的なブームでも意味がありません。例えば、リリースした当時に人気が高まったゲームでも、しばらくした後にユーザーが離れてしまえばIPでの収益化は難しいです。
コンテンツを提供するタイミングやユーザーの要望に応えるコンテンツ作りなどが重要となります。

他社IPであればイメージを守る必要がある

他社のIPをビジネスで活用する場合は、IPが持っているイメージを守る必要があります。IPビジネスでは、根強いファン層がターゲットです。
こだわりや思い入れが強いファンに失望されるような製品を作り出せば、利益を得られないだけではなく自社に対するイメージも悪くなってしまいます。

アニメを通じて多くのファンを獲得したIPグッズの制作であれば、アニメのイメージに沿ったグッズ作りを検討してください。
自社のIPを他社に貸し出す場合には、イメージを壊されないような運営をしてもらうためにも、ガイドラインの準備やイメージを守るための取組みが必須です。

海賊版が出てくる可能性がある

IPに人気が出た際には、海賊版にも注意してください。著作権の許可を得ずに複製や配布される違法コンテンツや製品などを海賊版といいます。
映画やマンガ、音楽など、様々なジャンルで海賊版が存在しています。

日本にはキャラクターコンテンツが豊富にあるので、IPを活用したビジネスチャンスは多くあるでしょう。
しかし、海賊版が世の中に出回ってしまえば収益を奪われる可能性があります。劣悪な海賊版がIPのイメージを損なう危険性もあるため注意が必要です。

IPコンテンツ活用を成功させる3つのポイント


最後に、IPコンテンツの活用を成功させるためのポイントを3つ紹介していきます。

相性を見極める

IPコンテンツの利用時に重要となるのは自社の商品やブランドとの相性です。
業種やターゲットに合わないIPコンテンツを選択してしまえば、期待していた効果が得られない可能性があります。
例えば、若い女性がメインターゲットの商材であれば、同じように若い女性ファンが多いIPコンテンツを起用すれば、ファンの獲得を期待できます。

ミスマッチがあればブランドのイメージを損なうことにもつながるので、「知名度の高いキャラクターだから」「人気があるから」といったイメージだけで安易にIPを選ばないことが大切です。

契約条件とライセンス費用を確認しておく

他社IPを活用する際には契約条件やライセンス費用を確認してください。
IPライセンスの契約時には、「プロモーション目的の場合に限る」「使用地域限定」といった制約が設けられているのが一般的です。
そのため、利用範囲や期間、展開地域など、あらゆる条件を確認してから契約を行ってください。

また、人気のIPコンテンツのライセンス料は、高額となっています。費用対効果を慎重に検討することも重要です。

ファンが盛り上がる仕掛けを作る

IPコンテンツ活用時には、単にキャラクターのイラストをパッケージや販促に利用するだけではなく、ファンが盛り上がる体験や仕掛けを作ることも大切です。
例えば、以下のような仕掛けです。

  • IPコンテンツならではの世界観を反映した限定メニュー
  • 描き下ろしデザインの限定グッズの展開
  • 期間限定や個数制限といった希少性
  • キャラクター別に数種類のラインナップといったコレクション性

加えて、SNSを活用した参加型キャンペーンを組み合わせれば拡散力もアップするので、より多くのファンとの接点を作ることができます。

まとめ・IPコンテンツを活用して販売促進につなげよう

IPコンテンツをうまく活用すればプロモーションの幅が広がり、長期的なビジネスの獲得やイメージアップ、新規顧客の獲得など、様々なメリットを受け取れます。
一方で、収益化までには時間がかかる点や海賊版など、注意すべき部分もあります。
今回紹介した内容をもとに、IPコンテンツを活用したビジネスを進めてみてください。

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(編集:創業手帳編集部)

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