簿外資産とは?具体例やメリット、注意点をわかりやすく解説

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簿外資産は正しく会計処理をしても発生するもの


簿外資産と聞くと、良いイメージを持っていない方もいるかもしれません。不正な方法で入手した、脱税を目的としているといった印象を抱いているからです。
しかし、簿外資産は正しい会計処理をしたとしても発生するものです。

そこで今回は、簿外資産について詳しく解説すると共に、簿外資産のメリットや注意すべき点、具体例について紹介していきます。
簿外資産について詳細を知りたい方、予期せぬ赤字を計上した際の対策方法を知りたい方は、ぜひチェックしてください。

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簿外資産とは?帳簿外の資産のこと


簿外資産を簡単に解説すると、帳簿外の資産を指します。帳簿外となるため不正な印象を抱く方もいるでしょう。
しかし、前述したように正しい会計処理をしたとしても簿外資産は生み出されます。
財務諸表に計上できる資産は、主に外部からの購入や自社で人員を投入して作成したものが当てはまります。
そのため、自社で価値を見出しているものに対しては資産として計上できないのです。

こうした簿外資産のひとつにブランドが挙げられます。老舗の料亭は歴史が経つほど店舗の価値がアップします。
通常、建物は減価償却によって価値が年々低下します。しかし、企業はブランドとしての価値を財務諸表には計上できません。

決算書には表示されなくても、実際には財産価値のある資産を簿外資産と指すのです。
簿外資産は、いざという時に利益として計上できます。
コロナ禍といった予測できない事態が発生して大きな赤字が出た場合でも、簿外資産があれば利益に変えられるため、内部留保を貯めておけない企業にとって心強い味方となるでしょう。

簿外資産のメリット


簿外資産があることで、メリットが享受できます。それぞれのメリットについて解説していきます。

税金がかからない

資産を計上するとなれば、その分の収益が計上されるため、その結果、税金が増えてしまいます。
しかし、資産が簿外であれば計上されないため税金が増える心配がありません。
資産が増えれば増えた分だけ納税額も多くなります。節税しようと考えても思うようにできないケースもあるはずです。
しかし、簿外資産となれば納税する必要がないため安心です。

利益率を高められる

メリットとして、利益率を高められる点も挙げられます。前述したように、ブランドは簿外資産に当てはまります。
しかし、外部から購入したブランドであれば、その価値を「のれん」として財務諸表に計上可能です。

例えば、時価ベースの純資産が5,000万円の企業にブランドの価値があり、結果として購入金額が5億5,000万円になったとします。
この場合、差額の5億円がブランドとみなされるため、「のれん」として無形資産に計上されます。
のれんがあると、20年以内に減価償却することが定められていますが、簿外であれば償却負担がないので利益率を高められる点がメリットです。

簿外資産の注意点・デメリット


簿外資産があることで注意点も存在します。それぞれの注意点について解説していきます。

計上漏れによる簿外資産は重加算税の対象になる

計上すべき資産が計上されていないデメリットとして、重加算税の対象が挙げられます。
資産計上がされていないとなれば、売上げの収益が計上されてない、もしくは借入れといった負債が計上されていないことを意味します。
売上高の計上漏れは、重加算税の対象です。
過少申告加算税、無申告加算税、不納付加算税のいずれかの対象で、隠蔽や仮装の行為が確認できた場合は、その税金に代えて課されるものを重加算税と言います。

重加算税の税率は、過少申告をした場合と無申告かによって違いがあります。

  • 過少申告:原則35%
  • 無申告:原則40%

また、借入金が計上されていない場合は、粉飾決算となります。不正な会計処理によって実際の資産や収益、負債などを意図的に変更し、決算書を作成する行為が粉飾決算です。
粉飾決算が発覚すれば、損害賠償の請求や刑事罰、行政処分といったペナルティが科せられる危険性があります。詐欺罪として逮捕される危険性もあるため注意が必要です。

銀行からの評価が下がる可能性もある

計上できない簿外資産があるデメリットとして、銀行からの評価ダウンが挙げられます。
本来ブランド価値があるお店であっても、ブランドは財務諸表には計上できないため、銀行からの評価は低くなってしまうでしょう。
評価がダウンしてしまえば、融資が受けられない、適用される金利が高くなるといったリスクがあります。

また、自社の売却を検討している場合にも注意が必要です。
ブランド価値が財務諸表に計上されていなければ評価次第で通常よりも低い金額で査定されてしまう可能性があります。
思っていた金額よりも低ければ納得いかないまま売却となるため、後悔の残る結果となるはずです。

投資先の信用リスク・倒産リスクがある

簿外資産の1つに「トレーラーハウス投資」があります。トレーラーハウスを購入してホテル事業を提供して収入を得るシステムです。
取り組みやすい費用や収益が安定している、固定資産税が不要といったメリットがある投資方法となります。

トレーラーハウスは被けん引車にあたり、法定耐用年数は4年です。
そのため、償却率は1年目50%、2年目25%、3年目12.5%、4年目12.5%となり、2年目までには75%の償却が可能になります。
例えば、500万円のトレーラーハウスであれば、2年目までに375万円ほどを経費にできる計算です。

しかし、トレーラーハウス事業はスタートしてから日が浅く、設立して間もない企業が運営しているケースも多いです。
そのため、信用リスクや倒産リスクがある点を忘れてはなりません。実績や稼働率、財務情報などをチェックすることが肝心です。

簿外資産が償却資産の申告対象になる場合もある

簿外資産でも事業の用に供することができるものは、償却資産の対象となる点にも注意が必要です。
事業の用に供することができるものとは、事業用資産を意味します。具体的には、以下の種類が当てはまるので確認してみてください。

資産の種類
構築物 店舗の内装、広告設備、駐車場設備、橋、煙突、門、植栽など
機械・装置 原動機、土木や工作、物品加工などの各種機械装置など
船舶 釣り船、ボート、遊覧船、砂利採取船など
航空機 ヘリコプター、飛行機など
車両・運搬具 大型特殊自動車、建設車両、構内運搬車など
工具・器具・装備 レジスター、陳列ケース、冷蔵庫、音響機器、自動販売機など

また、一時的に活動を停止しているものや未稼働の状態でも対象となります。

簿外資産の具体例


正しい会計処理を行っても簿外になる資産の具体例として、以下のようなものが挙げられます。

保険の解約返戻金

保険料の支払いを全額経費として計上している場合、もしくはその一部を保険積立金として計上している場合、積立金と実際の解約返戻金が一致しないのが一般的です。
保険の解約をすれば、積立金よりも実際の返戻金の方が多くなります。この差額が簿外資産に当てはまります。

例えば、企業の中には退職金のために老齢保険に加入しているケースもあります。
保険期間中に万が一のことがあった時、従業員の遺族に保険金が支払われるほか、満期になれば会社に満期保険金が支払われるため、保険金を原資として退職金を支払う仕組みです。
老齢保険は掛け捨ての保険とは異なり、解約時に解約返戻金として保険料の何割かが返還されるため、差額が簿外資産となります。

経営セーフティ共済

経営セーフティ共済は、中小企業倒産防止共済制度のことを指します。
取引先の事業者が倒産した際、連鎖倒産や経営難になることを防止するための制度で、無担保・無保証人で掛け金の最高10倍までの資金を借入れることができます。
掛金は、損金や必要経費への参入が可能です。

40カ月以上加入していた場合は、解約する際に支払った掛け金が全額返還されるシステムとなり、経費で落としたものを合法的に簿外資産にできるイメージとなります。
ただし、経費算入のルールに改正があり、2024年の10月以降に共済を解約すれば、解約日以降2年間の掛け金は経費にできなくなる点には注意してください。

トレーラーハウス

前述したようにトレーラーハウスは事業に出資すれば簿外資産となります。2020年あたりから注目されている投資方法で、安定収入を確保できる点に強みがあります。
法定耐用年数は4年ですが、実際の資産価値はそれ以上です。
メンテナンス次第でもありますが、物理的な耐用年数は20年から30年あると言われており、中古市場でも需要があるため一定期間が経過した後に買い取ってもらうこともできます。

中古の社用車

中古社用車も簿外資産に当てはまります。中古車は新車と比較すると早く経費にすることが可能です。
そのため、その年の利益を圧縮して税負担を軽減できる作用があります。特に3年10カ月落ちの中古車は、初年度に購入費用を100%償却できるメリットがあります。
レクサスやアルファード、ベンツといった社用車として人気の車は値崩れが比較的少ないため、購入時とほぼ同額もしくは購入時よりも高値がつくかもしれません。

太陽光発電システム

福島復興再生特別措置法の特例を活用すれば、太陽光発電設備を取得する際の費用が即時償却できます。
即時償却とは、減価償却の対象となる固定資産を取得した年度に一括償却できる優遇制度です。
福島復興再生特別措置法においては、土地の利用料をはじめとした諸経費を差し引いた設備費の投資額約90%が即時償却の対象です。
税負担が軽減されるので活用を検討してみてください。

海外不動産

中古不動産には短期間で多くの金額を償却できるメリットがあり、その中でも築22年経過した木造住宅は4年での償却が可能です。
海外不動産の中でもアメリカ不動産は、住宅マーケットのおおよそ8割から9割を中古物件が占めていると言われ、その中でも木造住宅の数が多い傾向にあります。

加えて、木造でも構造がしっかりしているため、築100年ほどの住宅でも使用されている住宅は複数あります。
そのため、中古不動産の価値が落ちにくく、立地の良い物件であれば価値が上がっていく傾向にあるため、短期間で償却した後も家賃収入として継続的に収益を受け取れる点がメリットです。

オペレーティングリース

航空機といった減価償却資産を貸し付け、リース料を得る賃貸借取引をオペレーティングリースと言います。
1口1,000万円ほどからあり、上限がないので億単位の資金を出資して巨額の損金を作ることも可能です。

出資者からの出資額だけではなく銀行からの融資で高額資産を購入していきます。
そのため、銀行からのレバレッジがかかり、出資初年度には出資額の70%から80%ほどを損金算入できます。
減価償却後は、購入してから7年から10年後に資産を売却しても、ほぼ同額が戻ってくるため、簿外資産におすすめです。

自社ブランド・Webコンテンツ

前述しているようにブランドは簿外資産の中でも代表的なものの一つです。
お店そのものをブランド化させるためには長い年月がかかりますが、ブランド力をアップするためには様々な方法があります。
ロゴやキャッチコピー、CMなど、あらゆる方法でブランド力は高められるので、スタートしたばかりの企業でも取り組むことができます。

また、Webコンテンツも強力な簿外資産の一種です。
一度仕組み化に成功すれば、半永久的に自動で集客してくれるため、売上アップだけではなく、手間や時間、人件費の削減も可能です。
成功のリターンが大きい簿外資産なので、優先して取り組んでみてください。

まとめ・注意点を把握した上で簿外資産への投資を検討しよう

簿外資産とは、帳簿外の資産のことを指します。
計上すべき資産が計上されていないとなれば、重加算税の対象となりますが、正しい会計処理をしても計上できない資産となれば、税金がかからない、利益率を高められるといったメリットが得られます。
今回ご紹介したように、保険の解約返戻金や中古の社用車、自社ブランドやWebコンテンツなどで、簿外資産を作ることが可能です。
節税のため、また有効な資金計画のためにも、活用を検討してみてください。

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(編集:創業手帳編集部)

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