【2024年最新】地域雇用開発助成金を活用しよう!受給要件や手続きの手順など徹底解説
地域雇用開発助成金は地方の雇用安定に貢献する制度
首都圏で人口の流入が加速する一方で、地方では雇用が少なく、人口流出が進んでいるケースが多くあります。
地方から働き手がいなくなる要因のひとつは、仕事がないことです。
そこで、求人が少ない地方で雇用機会を創出した企業には、地域雇用開発助成金でサポートが受けられる仕組みがあります。
受給するまでの手続きや支給要件を確認しておいてください。
創業手帳では多くの起業家・経営者の方が利用されている補助金、助成金を厳選して解説した「補助金ガイド」を無料でお配りしています。このガイドについて多くの方から「複雑な補助金・助成金の制度がわかりやすい」と大変好評をいただいています。補助金・助成金については、情報を掴む事からがまず重要。是非この補助金ガイドを活用しながら、事業を成長へと導いていただければと思います。
※この記事を書いている「創業手帳」ではさらに充実した情報を分厚い「創業手帳・印刷版」でも解説しています。無料でもらえるので取り寄せしてみてください
この記事の目次
地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)とは
事業を運営する時に、まず気にかかるのは資金の問題です。資金調達と聞くと、まず金融機関からの融資を思い浮かべる人もいるかもしれません。
しかし、融資や借入金の利用は返済の負担が将来的に重くなるケースもあります。そこでおすすめしたいのが、国や地方自治体で実施している補助金や助成金です。
ここでは、その中でも地域雇用開発助成金について紹介します。
地域雇用開発助成金は、雇用機会が少ない過疎地域などに新しく事務所を置くなどして、地域の人を雇用した時に受給できる助成金です。
地域の雇用機会を確保して安定した雇用を確保する目的で実施されています。
地域雇用開発助成金を受けるためには、定められた地域で雇用確保に必要な整備を行って地域の人を雇い入れる必要があります。申請は1年に1回で最大3回まで受給可能です。
助成額は、事業所の設置など雇用確保のために要した費用と対象者の増加人数によって区分されています。
地域雇用開発助成金の助成内容(受給要件・受給額など)
地域雇用開発助成金は、対象の地域で事務所を設置、整備して人材を雇用することで受給できます。
受給するためには、細かく設定された条件を満たさなければいけません。対象の地域や事業主、労働者などについてそれぞれ解説します。
対象地域
地域雇用開発助成金の対象となる地域は3つの以下の区分で指定されています。以下でそれぞれの地域を確認してください。
・同意雇用開発促進地域
同意雇用開発促進地域は、求職者に対する求人数が大きく不足している地域です。
令和5年10月1日現在で13道県25地域が指定されています。
・過疎等雇用改善地域
過疎等雇用改善地域は、いわゆる過疎地域で若年層や壮年層(主に15歳~44歳)の流出が特に進んでいる地域です。
・特定有人国境離島等地域
特定有人国境離島等地域は、国境近くにある全国の離島が該当します。
北海道の利尻島や、礼文島、東京の小笠原諸島、鹿児島県の奄美群島などです。
厚生労働省のホームページでは、それぞれの地域を一覧で確認できるので最新の情報を確認してください。
事業主の受給要件
地域雇用開発助成金は、受給できる事業主にも制限があります。以下の要件を満たしているかチェックしてみてください。
①設置、整備した施設の雇用保険適用事業主であること
②支給要件判定期間に事業所で雇用する被保険者を、事業主都合で離職させていないこと
③特定受給資格者であると認められた離職者の数が3人を超えていて、かつ各支給要件判定期間の初日における当該事業所の被保険者の数の6%を超えていないこと
④各支給申請日の前日から起算して、1年前の日から支給申請日の前日までの間で労働関係法令の違反がないこと
⑤不正行為で本来は受けられない助成金の支給を受けたり、または受けようとしたことで、助成金の不支給措置がとられている事業主でないこと
また、申請事業主の役員などにほかの事業主の役員等として不正受給に関与した役員がいないこと
⑥労働保険料を滞納していないこと
⑦風俗営業であるなど、設置する事業所の内容が不適切でないこと
⑧高年齢者雇用確保措置の勧告や法令に基づいた適切な高年齢者就業確保措置を講じていないことで勧告を受けて是正措置を講じていない事業主ではないこと
⑨出勤簿などの労働関係帳簿類と会計関係帳簿類を備え、適正に管理・記帳された帳簿類を、審査や実地調査の際に労働局の要求に応じて速やかに提出する事業主であること
⑩事業主または事業主の役員などが、暴力団と関わりがないこと
⑪地域の雇用構造の改善に資する事業主であること
また、中小企業事業主の場合には、中小企業事業主に対する特別措置があります。創業に関しても特例を受けるには、要件を満たさなければいけません。
労働者の受給要件
対象労働者にも条件が設けられています。
以下の内容を確認してください。
①雇い入れや異動日の時点で当該地域に居住している
②ハローワークなどで紹介されている
③雇い入れ当初から雇用保険の一般被保険者か高年齢被保険者となる
④助成金を受給した後も継続雇用の見込みがある
⑤当該事務所の設置、整備がおこなわれている事業所で働く
⑥過去3年以内に同じ事業主の事業所で修了や職場適応訓練を受けていない
⑦過去1年間で資本的、経済的、素子規定に関連している事業所に雇用されていたことがない
⑧事業主と3親等内親族でない
⑨公の施設を管理するために雇い入れられた求職者でない
地域雇用開発助成金は、新しく設置された事業所で入社当初から働く人だけでなく、事前に雇い入れて配置転換をする場合でも対象となります。
ほかの条件を満たしているかどうかを確認してください。
また、対象労働者は「完了日時点の被保険者数」ー「計画日の前日時点の被保険者数」で計算する被保険者の増加数を上限としていて、雇い入れた人数ではない点にも注意が必要です。
対象経費
地域雇用開発助成金は、対象経費に対して金額の条件があります。雇用拡大のための事業所設置や整備に使った費用の総額が300万円以上である必要があります。
また、計画期間内(最長で18カ月)に設置や整備が行われるものです。ただし、どのような費用でも計上すれば認められるわけではありません。
対象となるのは、以下のような費用です。
・工事費用
基礎工事や建築工事、内装工事など。
照明器具や空調設備のような取付工事が必要な動産の工事費も対象。
・購入費
工具や車両工具などの購入費用。
・賃借費
機械や設備、不動産などにかかる費用。
上記の費用であっても設置整備費用として認められるものとそうでないものがあります。商品や賃貸用施設として収入が得られる者や事業主の自宅などは対象外です。
さらに、不動産登記の手数料や土地の購入費用、リースの保守費用などは対象となりません。
何回目の支給かによっても受給要件が変わる
地域雇用開発助成金は、1年に1回の申請で最大3回の助成金が支給されます。支給の回数によって求められることが異なるため注意してください。
1回目の支給要件
1回目の支給判定期間は、計画日から完了日までの間です。各支給判定期間に、解雇など事業主の都合により離職させていないことなどが求められます。
支給を申請するためには、完了届を管轄労働局長に提出してください。完了届の提出日、もしくは計画日から18カ月を経過する日が計画の完了日です。
2,3回目の支給要件
1回目で支給決定を受けてから、2回目、3回目の支給を受けるには条件があります。
完了日の1年後の日を、第2回支給基準日、完了日の2年後の日を第3回支給基準日として、それぞれ支給基準日の翌日から起算して2カ月以内に支給申請を行わなければいけません。
2,3回目の支給申請要件として、被保険者数の維持や対象労働者数の維持、対象労働者の定着が求められます。
具体的には、以下の要件が必要です。
①各支給基準日における被保険者数が、完了日における被保険者数以上であること。
②各支給基準日において対象労働者数が維持されていること。
完了日以降に対象労働者が離職等をした場合には、対象労働者に相当する補充者を雇い入れてください。
地域雇用開発助成金を申請する流れ
地域雇用開発助成金は、計画を立ててから計画書の提出、実行して完了届を出す流れで行います。
スケジュールが重要になるので申請する流れを確認しておいてください。
①計画書の提出
地域雇用開発助成金の申請は、計画書の提出がスタートです。
計画書に添付する書類として、事業所状況等申立書(地様式第12号)とパンフレット、組織図などの事業所概要がわかる資料が必要です。
また、創業の追加助成を希望する場合には申請事業主の履歴書、設置整備に当たって国の補助金などの交付を受ける時には、対象経費の算定が変わるので交付額などがわかるものも添付します。
計画書の提出前に行われた設置や整備、雇い入れは算定対象になりません。工事や購入、賃貸のスケジュールと計画書提出のタイミングには十分注意してください。
②地域雇用の拡大を図る
地域雇用開発助成金を受給するには、雇用拡大に必要な事業の設置整備に要した費用総額が300万円以上(税込)であることが条件です。
あらかじめ認められる経費かどうかを確認して、総額でいくらになるのかを計算しておいてください。
③対象労働者を雇用する
計画日から完了届までの計画期間中に、要件を満たす対象労働者を雇い入れます。どの地域区分の計画であるかにより、雇い入れできる求職者の範囲が異なります。
新規学校卒業者は、対象労働者数の1/3まで対象労働者として算定可能です。
ただし、賃金未払いや、ハローワークなどからの紹介前に面接や内定の事実がある場合には対象労働者とは認められません。
また、管轄労働局長が地域の雇用構造の改善に資すると認められないと判断した場合、対象労働者と認められないケースもあります。
④労働局長に「完了届(第1回支給申請書)」を提出する
事務所の設置や整備、対象労働者の雇い入れを行ってから完了届を労働局長に提出します。
計画の完了日は、完了届の提出日または計画日から18カ月を経過する日です。完了日は、対象経費の算定、雇い入れを実施できる期間の末日となります。
⑤実地調査を受ける
実地調査では、第一回の支給決定前に工事や購入された不動産や動産の確認、雇い入れた労働者の確認を行います。
購入した動産の確認のほか、労働関係帳簿類や会計帳簿類が備付えつけられているかの確認も実施されるので準備しておいてください。
⑥労働局長に「第2回支給申請書」を提出する
第2回支給日は、完了日の1年後です。事業所の証明と、対象労働者の就業証明、補充者がいる場合は雇い入れの証明を提出します。
⑦労働局長に「第3回支給申請書」を提出する
第3回支給日は、完了日の2年後です。第2回の支給申請と同様に書類を添付してください。
地域雇用開発助成金を利用する際の注意点手続きが大変な場合は専門家に依頼しよう
地域雇用開発助成金は、不正受給を防ぐためにその要件や手続きが厳格に定められています。
事前計画も必要な上、利用できる経費が細かく定められているため手間もかかってしまいます。
どのような点に注意しなければならないのか確認しておいてください。
申請期限は厳守する
地域雇用開発助成金を利用する時には、申請期限は必ず守ってください。計画期間は最長で18カ月、完了日の翌日から2カ月以内に完了届を提出します。
2、3回目についてはそれぞれの支給基準日の翌日から2カ月です。
提出した書類に不備があれば修正が求められることもあるので、早めの提出をおすすめします。
不正受給はしない
地域雇用開発助成金に限らず、助成金の不正受給は絶対に行わないでください。
不正受給が発覚すれば、支給前であれば不支給、支給後であれば返還措置が取られます。
不正受給をすると、処分決定から3年間はその不正受給に係る事業所に対して雇用関係助成金は支給されません。
また、不正の内容によっては事業主が告発されます。詐欺罪で懲役1年6カ月の判決を受けたケースもある上、不正受給が発覚すれば原則事業主名などが公表されます。
事業自体に大きなダメージを与えてしまうリスクがあるので、絶対に避けなければいけません。
計画書の記載は慎重にと
助成金に関わる計画書は、雇用する労働者の数などを正確に記載しなければいけません。また、経費についても細かく記載することになります。
さらに、計画書の内容などに変更がある場合には、変更届や取下げ届が必要です。
計画書の内容と実施内容に相違があると受給できなくなることもあるので注意してください。
まとめ・地域雇用開発助成金の申請はスケジュール管理が重要
地域雇用開発助成金は、過疎地域などの雇用が少ない地域で雇用機会を増やす企業をサポートする制度です。
事業所の設置や従業員の雇い入れを検討しているのであれば、活用することがおすすめです。
なお、地域雇用開発助成金を受給するためには、事業所の工事や経費を使うタイミングが重要です。
スケジュールを管理して、効率的に助成金を活用してください。
創業手帳(冊子版)は、中小企業の事業者に向けた人事や資金調達に関わる記事を多数掲載しています。事業のパートナーに創業手帳(冊子版)を活用して事業を進めてください。
(編集:創業手帳編集部)