FRAIM 堀口圭|文書作成を、再発明する!クラウド ドキュメント ワークスペース「LAWGUE」ですべての企業の文書業務変革を目指す
従来の文書作成エディタの非効率を解消!「LAWGUE」開発・市場展開の舞台裏に迫る
業務効率化や生産性向上への意識が高まるなかで、重要にも関わらず課題として認識されづらいのが「文書業務の効率化」です。
文書業務とは、あらゆる文書の作成やレビュー、管理などのこと。ビジネスパーソンは日常的になにかしらの書類に接していますが、この領域へのDX推進により業務効率化の実現など大きな効果が期待されています。
その先駆者として、Wordをはじめとする従来の文書作成エディタの非効率を解消するサービスを展開し、法務分野のみならず幅広い業界から高評価を得ているのがFRAIM(フレイム)です。
同社は「文書作成を、再発明する。」をミッションに掲げ、契約書・規程・開示文書などあらゆる文書の作成・検索・レビューを効率化するクラウド ドキュメント ワークスペース「LAWGUE(ローグ)」を提供しています。
今回は代表取締役社長を務める堀口さんの起業までの経緯や、「LAWGUE」の開発および市場展開の舞台裏について、創業手帳代表の大久保がインタビューしました。
FRAIM株式会社 代表取締役社長
東京大学法学部卒。在学中に当時史上最年少で司法試験に合格し、卒業後、米国法律事務所White&Caseの東京拠点に入所。その勤務経験から、AIを活用したクラウド ドキュメント ワークスペース「LAWGUE」の着想を得る。2018年に現在のFRAIM株式会社の前身となる日本法務システム研究所を設立。その後、2021年に社名を変更。2021年に「Forbes 30 Under 30 Asia 2021」に選出。
創業手帳 株式会社 代表取締役
大手ITベンチャー役員で、多くの起業家を見た中で「創業後に困ることが共通している」ことに気づき会社のガイドブック「創業手帳」を考案。現:創業手帳を創業。ユニークなビジネスモデルを成功させた。印刷版は累計250万部、月間のWEB訪問数は起業分野では日本一の100万人を超え、“起業コンシェルジェ“創業手帳アプリの開発や起業無料相談や、内閣府会社設立ワンストップ検討会の常任委員や大学での授業も行っている。毎日創業Tシャツの人としても話題に。 創業手帳 代表取締役 大久保幸世のプロフィールはこちら
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この記事の目次
法律事務所における契約書業務の煩雑さに直面し、課題解決のため起業を決意
大久保:まずはご経歴についてお聞かせ願えますか。
堀口:東京大学法学部在学中の2015年10月、当時史上最年少で司法試験に合格しました。ファーストキャリアとして選んだのは弁護士で、卒業後の2017年にWhite&Case法律事務所に入所しています。
大久保:もともと弁護士を目指されていたそうですね。ご入社後の早い段階で独立されていらっしゃいますが、その理由についてお教えください。
堀口:新人時代に経験した契約書業務の煩雑さに「これは課題として解決すべきなのではないか?」と強い危機意識を抱くようになったことが起業のきっかけです。
契約書では似たような内容を使い回すことも多いのですが、その都度過去の資料が保存されているフォルダからひたすら必要なデータを探すのにものすごく時間がかかります。さらにその複数のデータを組み合わせながら新たな書類をつくる過程で、文章の体裁を整えるといった作業がとにかく大変だったんですね。
なにしろフォルダには膨大なデータが格納されているので重いし、各Wordデータ自体も重い。ファイル名や案件名も業界特有の名称が付けられているため難しく、右も左もわからない新入社員が手をつけようにもなにがなんだかわかりません。
先輩から「この書類は契約書Aと契約書Bを組み合わせて作成しておいてね」と頼まれても、そのAとBの契約書がそれぞれどのデータを指すのか、わざわざ聞いてまわる必要がありました。
「なんて非効率なんだろう」と驚いたのですが、こうした一連の作業は法律事務所や弁護士業界ならではのWord活用の勉強を兼ねていたんです。効率化できる作業であるという認識がなく、「この業界ではまず最初に経験しておくべき業務だ」みたいな風習でした。
大久保:歴史の長い業界だからこそ「これが常識だ」と囚われている側面があったんですね。
堀口:はい。それで早いうちから「貴重な時間や労力のコストを削減できないだろうか?」と考えるようになりました。
あれこれ逡巡しているうちに「文章を使い回しやすいようにブロック単位で管理したら面白いのではないか?そこにAIのような最新技術も使えるのではないだろうか?」と思いついたんです。ちょうど入所から約3ヶ月が経過したタイミングでした。
当時はデジタルテクノロジーを活用した取り組みがほとんどなかったのですが、とにかくやってみようと。
こうした経緯で独立し、2018年4月に前身となる日本法務システム研究所を設立。2021年10月1日に現在のFRAIMに社名変更しました。
文書の作成・検索・レビューを効率化するクラウド ドキュメント ワークスペース「LAWGUE」
大久保:御社のサービス内容についてお教えください。
堀口:弊社は「文書作成を、再発明する。」を使命とし、契約書・規程・開示文書などあらゆる文書の作成・検索・レビューを効率化するクラウド ドキュメント ワークスペース「LAWGUE(ローグ)」を提供しています。
AIのサポート機能が付加されたクラウド ドキュメント ワークスペースによる新しいドキュメント作成により、従来の文書作成における非効率な作業から解放されることが大きな特長です。本当に時間を割くべき業務に集中することができ、大幅に業務を改善できます。
自社文書を取り込むだけでナレッジを蓄積できるデータベース化をはじめ、クラウド上で複数人の編集が可能な「クラウド編集機能」、インデントや条番号のずれを自動で補正する「自動体裁補正」、不足している条項をAIがサジェストする「不足条項サジェスト」など多彩な機能を搭載。「自動体裁補正」と「不足条項サジェスト」は特許技術です。
おかげさまでサポート満足度99%以上*、業務削減効果実感94%以上*を獲得しています。
*2021年12月~2022年1月 LAWGUEユーザーアンケート
大久保:堀口さんが当初から抱いていた文書作成・管理における課題を解決し、効率化を実現する素晴らしいプロダクトですね。法務領域での展開後、市場を広げていったと伺っています。社名変更もその狙いのひとつだそうですね。
堀口:はい。旧社名の「日本法務システム研究所」は文字通り、法務市場でのビジネス展開を念頭に名付けました。信頼性が問われる業界ですので「手堅い会社であることをアピールしたい」と考えて、あえてカチッとした名前にしたんです。
「LAWGUE」が本格的な手応えを感じ始めたのは2021年に入った頃でした。契約書や開示文書、規程といった内部統制に関する書類など、ビジネスに与える影響が大きい文書の作成者が多くを占めるバックオフィスを中心にターゲットを変更し、そのニーズに合うように開発を進めた結果、プロダクトの精度が高まったからです。
そこで「やはり市場を法務分野に限定せず、広げていったほうがいい」と決断し、“枠組み(frame)”と“AI”を組み合わせた「FRAIM」へ変更しました。
悪戦苦闘の採用とプロダクト開発。成功した理由は「純粋な熱意」と「顧客の声」
大久保:2021年4月にアジアを代表する30歳未満の30人「Forbes 30 under 30 Asia 2021」のEnterprise Technology部門を受賞、2022年2月にはデジタル庁の法制事務のデジタル化検討チームに民間企業代表として選出されるなど、華々しくご活躍されていらっしゃいます。そんな堀口さんが起業されてから最も大変だった時期と、どのように乗り越えたのか?についてお聞かせください。
堀口:「LAWGUE」を完成させるまでは大変なことだらけでしたね。メンバー集めにも非常に苦労しまして、なかでもエンジニアの採用には悪戦苦闘の連続でした。
なにしろ法律事務所に入所してから3ヶ月程度で独立したため、社会人としての経験が浅く、人脈もありませんでした。
しかも「文書作成の課題を解決したい!」という強い意欲はあったものの、「現場では文書作成に関して具体的にどういう悩みを抱えているのか?」について詳細まで把握しきれていなかったんです。
ただ、大きな課題があることは自身の経験から明確にわかっていましたので、エンジニアに会うたびに「こういう課題を解決したいので、こんな技術が必要です」と伝えながらメンバー集めに奔走しました。
当時の私が語れたのは構想だけでしたが、プロダクトメインで語る弁護士は非常にめずらしかったそうです(笑)。最終的に100名を超えるエンジニアとお会いして、まずは共感してくださった方に外部メンバーとして協力していただき開発を進めました。
大久保:純粋な熱意に心を動かされた方々が集まってくださったんですね。一方で、現場の文書作成に関する課題の解像度を上げるためにはどのように工夫されたのでしょうか?
堀口:まずは試行錯誤しながらプロトタイプをいくつか作成し、企業側の率直なご意見をお聞かせいただくためにひたすら営業をかけました。
残念ながら「現場のニーズとは合わない」というお答えの連続でしたが、そのなかで文書作成にまつわるお悩みについて細かくお伺いすることができたんです。徐々に「サービスのコンセプトがいいね」というお声もいただけるようになりました。
こうして現場のご意見を都度反映させながら、プロダクトの精度を上げていったんです。弊社の「LAWGUE」を完成させることができたのは、すべてお客様のおかげだと思っています。
DX推進で心がけたい、中長期的な視点の重要性を説きながら業務改善を促す
大久保:日本ではDX推進の難しさや難航ぶりが毎日のように伝えられていますが、御社でも「LAWGUE」を展開するうえで非常にご苦労されたそうですね。従来の習慣や仕組みを変えることに抵抗を持っていらっしゃる方々を説得され、プロダクトを浸透させてきた堀口さんからのアドバイスとして、効果的なアプローチについてお教えください。
堀口:中長期的な視点の重要性を説くとともに、未来像をお見せしながらプレゼンを行い「これまでの業務フローを改善して業務効率化を図りましょう」と訴えかけることが大切ではないでしょうか。
法務部門に限らず、企業における文書作成領域で最も活用されているのはやはりWordです。このWordを利用されているお客様にご提案すると「なぜWordでは駄目なのか?LAWGUEを使うことで逆に時間がかかってしまうのではないだろうか?」という本音を漏らされるんですね。
確かに使い慣れたWordから新しいツールに変えると、最初は時間がかかるケースが多いです。ただしDX推進の真の狙いは、単にツールを導入して作業が楽になるという話ではありません。
普段気づかないうちに、あるいは気づいていながら「どうしようもない」と諦めている非効率を、ある程度の長いスパンで見据えながら「どうやったらこれまでのやり方を変えていくことができるのか?」という視点で取り組む。これがDXでは最も重要だと思います。
大久保:短期目線から中長期目線に変えていただけるよう、上手に促しながら提案することがポイントなんですね。
堀口:おっしゃる通りです。すぐに成果を求めるのではなく「一緒に現状のやり方を改善していきましょう」というように、お客様と共に中長期的な視点で取り組んでいく覚悟が不可欠ですね。
大久保:日本の社会課題には現場の人手不足や事業承継の難しさなどもありますので、こうした問題の解決のためにもデジタルテクノロジーの力は欠かせないといえそうですね。
堀口:はい。デジタルテクノロジーにより、働き方は大きく変わってくると実感しています。
人手が足りないからといってすぐに人員補充できる状況ではありませんし、コロナ禍以降はリモートワークが浸透し、デジタルを活用できない企業はさらに苦戦するようになりました。
デジタルにより働き方は自由になります。そして自由な働き方ができる企業や組織でないと、今の時代はなかなか人が集まらないという点にも注目していただきたいです。
ありがたいことに、弊社の「LAWGUE」を採用活動におけるアピール材料としてご活用いただく企業もいらっしゃいます。業務効率化という目的を超えて、DX推進に積極的な企業として採用面でも優位に立つために、ぜひデジタル活用を視野に入れていただけたらうれしいです。
全企業に意識してほしい「文書はノウハウが蓄積された貴重な財産」という観点
大久保:最後に、起業家や各部門のご担当者に向けてメッセージをいただけますか。
堀口:先ほども申し上げましたが、弊社では「文書作成を、再発明する。」という使命のもと、クラウド ドキュメント ワークスペースの研究・開発・提供を行っています。
「文書作成を、再発明する。」とはどういうことか?というと、これまでのWordファイルでの保存では有効活用が難しかった文書を、クラウド上でノウハウとして共有できる環境に進化させることです。その結果として、より良い世界の実現を目指しています。
企業にとって、文書に蓄積されたノウハウは非常に重要です。
会社を設立し、徐々に組織を拡大していくなかで文書はどんどん増えていきます。そして全体の文書量に比例して、きちんと使われていなかったりノウハウとして有効活用できていない文書も増加していくんですね。
弊社の「LAWGUE」は、こうした社内で眠っている文書に蓄積されたノウハウをきちんと活用できるようバックアップするプロダクトです。
現在会社運営を行っている方はもちろん、今後起業される方にも、文書という企業における貴重な財産を有効活用し、他社との差別化を図りながら自社の強みを発揮するために、ぜひ弊社のサービスをご検討いただきたいと思っています。すべての企業がさらに組織力を強化していただけたらうれしいです。
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(取材協力:
FRAIM株式会社 代表取締役社長 堀口 圭)
(編集: 創業手帳編集部)