不動産事業で起業する方法とは?賃貸業務と仲介業務のどっちがおすすめ?

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自身の意向や資金力、営業スキルの有無などをふまえて最適な手法で不動産事業を始めよう


不動産事業は、実は起業において人気の領域の一つです。賃貸業務なら小規模であれば特別な免許は必要なく、不動産投資の延長線上で本格的に経営に乗り出す人も少なくありません。そこからさらに発展させて、宅地建物取引業者免許を取得するなどして仲介業務まで手掛ける人もいます。

今回は不動産事業での二つの起業である賃貸業務と管理業務について、それぞれの特徴やメリット・デメリットを紹介していきます。また、起業家の特性ごとに賃貸業務と管理業務どちらが適しているかについてもまとめました。

起業する方法について、詳しくはこちらの記事を>>
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不動産業界での起業の方法とは?

不動産業界で起業する方法は大きく3つあります。

  • 賃貸業務:賃貸物件の入居者から賃料収入を得る
  • 仲介業務:不動産を売買して手数料収入を得る
  • ディベロッパー業務:不動産開発をして物件の販売収入を得る

賃貸業務は「不動産投資」と捉えている人も多いもので、自分が保有する賃貸物件を貸し出して入居者から賃貸収入を得る方法です。ほかの業務と比べると個人が小規模から始めるのが容易で、特別な資格などが不要なのも特徴です。

仲介業務は不動産の売り手・買い手を取り次いで売買を仲介する方法で、売買を取り次ぐと得られる仲介手数料が収入源となります。なお、不動産業者が直接物件を買い取って、第三者に販売する方法もあり、仲介手数料は手に入りませんが、売買差益が生じれば収益が発生します。

ディベロッパーは自社が所有する土地に住宅地や集合住宅、オフィス開発などを行なって販売したり、賃貸に出したりして収入を得る方法です。

仲介業務のうち、不動産の売買による収益を得る方法をメインビジネスとして手掛けるためには、不動産を多数買い付ける必要があります。またディベロッパーの場合は物件開発を行う予算を立てなければなりません。これらの手法については多額の資金が必要なため、起業の入り口として始めるには難易度が高い手法といえます。

そこで今回の記事では不動産業での起業を念頭に、比較的始めやすい賃貸業務と仲介手数料を主体に収益を得る仲介業務に絞って解説していきます。

賃貸業務の特徴やメリット・デメリット


入居者から賃料収入を得る賃貸業務は特段資格が不要で、社会人が副業として営むケースも少なくありません。相対的に起業のハードルが低い一方で、規模に比例して多額の資金調達が必要となります。

賃貸業務の特徴

賃貸業務とは、賃貸住宅や賃貸オフィスを取得して、それを個人や企業に貸し出すことで、賃料収入を得る事業です。賃料から物件管理の費用や借入金返済、税金支払いなどを除いた金額が経営者や法人の利益となります。

特段資格などは必要がなく、ローンを活用すれば小規模経営なら自己資金も少なく済むため、サラリーマンや士業などに従事する人の副業としても人気の手法の一つに。副業の場合はマンションの一区画を所有する区分投資やファンドを通じたオフィスの区分所有などの方法があります。

一方で、事業規模を拡大したいならアパート・マンションやオフィスビルなどを一棟丸ごと所有して、複数世帯もしくは複数社の賃料収入を得るのが有効です。

一区画・一棟からローンを活用することを考えると小規模で始めやすい事業である一方、利益の最大額は賃料によって限定されるため、通常は事業拡大をするために物件取得が必要に。事業サイズに比例して物件購入のための資金調達を工夫する必要があるのも特徴です。一般的には徐々に金融機関との関係を作りながら融資先を開拓していかなければならないため、事業規模の拡大には時間がかかります。

賃貸業務の始め方

賃貸業務は、何らかの形で賃料収入を得られる状態にすることで始まります。最も一般的な手法は不動産物件を購入もしくは建設する方法です。

新築にせよ中古にせよ不動産を購入する場合には不動産仲介業者に相談することになります。不動産仲介業者は、取り扱う物件についてそれぞれ次のような点で異なる特徴があります。自分のニーズにあった物件を扱う業者に相談してください。

  • 中古か新築か
  • 建物のタイプ(戸建て、マンション、アパート、オフィス)
  • 区分での販売か、一棟売りか

購入する物件を決めるとともに、資金調達の準備を進めます。最初の物件はオーナー本人の信用属性でローンの限度額が決まってくるため、自己資金+ローンで購入できる物件に選択肢は絞られます。

物件購入やローンの手当てが済んだら、管理会社を見つけて管理契約を結びます。中古物件の場合はすでにいる管理会社をそのまま引き継ぐこともできますが、新築の場合は自分で探さなければなりません。大手の仲介業者の場合はグループで管理業務まで対応している場合もあるので、初心者のうちは事業開始後の物件管理も含めて相談するのも一案です。

中古物件かつ満室の状態で購入したケースを除いて、管理会社が決まったあとは入居者を募る必要があります。入居者が集まってくれば、晴れて賃料収入が得られるようになります。

賃貸業務のメリット

賃貸業務のメリットは次のとおりです。

  • 資格不要で副業でも始められる
  • 軌道に乗れば収入が安定しやすい
  • 相対的に手間なく始められ、初期投資額も少なく済む場合も
  • 営業能力は不要

賃貸業務には必要な資格がないため、安定した収入があり、かつ大きな借金などがなければ、思い立った時にすぐ始めることができます。また、管理会社をうまく活用することを視野に入れれば、副業として始めやすいのも特徴です。

また、収入が安定しやすいのもメリット。個人や中小業者が営むケースでは、多くの賃料契約は一定期間にわたり固定です。うまくリスク管理をすれば、入居者がまとまって短期間で出てしまうリスクは低く、年単位で安定した収入を得やすい事業といえます。

慣れないと不動産の購入は大変そうなイメージがありますが、資格取得や案件開拓などが不要なことを考えれば他の起業よりは手間が少ないと言えるでしょう。区分投資なども視野に入れれば、ほとんど自己資金がなくても始める余地はあります。数百万円も自己資金があれば、ローンを活用した一棟買いも視野に入ってくるでしょう。

最後に、入居者の獲得は管理会社が一任してくれるため、営業能力がなくても事業を始められます。本業のつてや人脈なども必要ありません。

賃貸業務のデメリット

賃貸業務には次のようなデメリットがある点に留意しましょう。

  • 短期間で事業拡大は難しい
  • 多額の自己資金がない限り多額の借金を負うのが前提
  • 老朽化や災害への対策が必要になる
  • 赤字前提のスキームもある

賃料は短期間で簡単に引き上げられるものではないので、賃貸事業では収入を増やすためには所有物件を増やすのが基本的な方法となります。よほど特殊な属性でない限り個人の信用力で多数の物件を所有するのは難しく、事業拡大の過程では既存の不動産事業の安定性を金融機関にアピールしながら、徐々に借入を増やして新規物件を調達していくことになります。

拡大ペースは市場環境や収益状況などによるものの、多くの場合は急激な事業拡大は難しく、少しずつ所有物件を増やしていくことになります。

ほとんどの賃貸業務を営む事業者は、個人にせよ法人にせよ自己資金に対して、多額の借金を背負います。借入を活用して自己資金に対して大きな規模で事業を行えることを「メリット」と捉える人も少なくありませんが、多額の借金を背負うことに懸念がある人にとっては留意すべきポイントとなります。

賃貸業務を長期で営む場合、所有する不動産の老朽化や災害への対策が必要になります。定期的なメンテナンスや修繕、保険加入などでこれらの課題に対処するのが一般的です。コストが発生するため、長期的な支出計画の策定が欠かせません。また、これらのコストをまかなえるだけの、充分な賃料収入を得る必要があります。

最後に、賃貸業務は「事業」ではなく「投資」と捉える人も少なくありません。投資家の中には、数十年単位でローンを完済したのちに資産が残れば良いと考える人もいるため、ローン支払い期間中は月々の収支が赤字となるスキームの物件が多く見られます。

事業として賃貸業務に従事する場合は継続的な黒字化を目指すことが前提となるため、このようなスキームの案件は不向きといえます。購入する際には安定的に黒字を獲得し、賃貸業務のメリットを享受できる物件で事業を始めることが大切です。

仲介業務の特徴やメリット・デメリット


仲介業務は「宅地建物取引士(いわゆる宅建)」という資格が必要なため、開業のハードルは賃貸業務より高くなります。一方で、うまくいけば短期間で多額の収益が得られるようになるという魅力があります。

仲介業務の特徴

仲介業務とは、不動産の売り手と買い手を取り次いで、売買契約を成立させる業務です。誤解されがちですが、業者自身が不動産を所有するわけではないので、売買において差損益を得るのではなく、契約締結時に得られる「仲介手数料」が仲介業者の収入となります。

仲介業務を営むためには、国家資格の一つである「宅地建物取引士(いわゆる宅建)」が必要になります。同資格の合格率は20%以下のケースが多く、取得難易度は高めです。

また、資格を取得しただけですぐに案件が得られるものではなく、売り手・買い手双方を募る営業活動が欠かせません。「副業で行ってはいけない」「個人事業で行ってはいけない」という法制度があるわけではありませんが、顧客を得るための営業・マーケティング活動の負荷を考えると、仲介業務を本業として、かつ法人形態で営むのが一般的です。

成約すると物件価格の数%が手数料として一気に手に入るため、事業が軌道に乗れば短期間で大きな収入を得るチャンスもあります。また、マーケティングがうまくいって売り手・買い手が増えれば短期間で事業を拡大できる余地も大きいといえるでしょう。

仲介業務の始め方

まず前提として先に紹介した宅地建物取引士の資格取得をします。その上で、事務所の開業準備が必要に。個人情報や物件に関する機微を多く取り扱うため、シェアオフィスなどではなく、セキュリティ上安全な賃貸オフィスを借りるのが一般的です。

続いて、保証協会というものに加入するのが一般的です。加入することで、本来法務局に預ける1,000万円の供託金が免除されるため、ほとんどは保証協会に加入します。

ハトのマークがシンボルの『全国宅地建物取引業保証協会(全宅)』と、ウサギマークの『全日本不動産保証協会(全日)』があります。いずれも入会金+60万円の『弁済業務保証金分担金』を預ければ仲介業務が始められるようになります。

続いて行うのは、仲介業務を行う法人の設立です。顧客や金融機関から信頼を得るためには、初めから法人格で事業を営むのがよいでしょう。法人設立のプロセスは、こちらの記事を参考ください。
会社設立にかかる期間は?最短期間や手続きの流れを紹介します

さらに、宅地建物取引業免許というものを申請しなければなりません。これは個人が持つ「宅建」とは異なり、事業者に対して付与される、仲介事業を行うために必要な免許です。
宅地建物取引業免許は申請書類を作成して事務所の所在地の都道府県庁へ、都道府県知事宛で申請します。申請が通れば葉書が届いて、仲介業務を営めるようになります。

免許をとり、オフィスを構えただけでは客が来ないので、並行してWebサイトの整備、Web上、SNS、チラシなどさまざまなチャネルを通じた広告・情報発信により、売り手・買い手を見つけていかなければいけません。

仲介業務のメリット

仲介業務で不動産事業を始めるメリットは次のとおりです。

  • 仕入れに費用がかからない
  • 一つの取引で一回でまとまった収入を得られる
  • 軌道に乗れば事業拡大がしやすい

仲介業務では自社が物件を所有する瞬間がなく、売買を取りつぐのみであるため、収益を得る上でまとまった費用はかかりません。当初の銀行借り入れの金額も、賃貸業務と比較すれば小さく済みます。

また、物件価格×手数料率が一回の取引で一気に手に入ります。取引額が400万円を超えるケースでは手数料率は3%+6万円が一般的です。例えば5000万円の物件を仲介する、156万円もの収入が一気に入ります。

マーケティングがうまくいって顧客が集まる仕組みができれば一気に収益を拡大するチャンスもあります。賃貸業務と違って、事業拡大に比例して資金を投じる必要がないため、マーケティングをうまく進める能力がある人にとっては、事業拡大をしやすいビジネスです。

仲介業務のデメリット

仲介業務には次のようなデメリットがあるため、始める際には留意が必要です。

  • 当面は収益が安定しづらい
  • 広告や宣伝、営業活動が必須
  • 労働集約型のビジネスである

仲介業務は広告や情報発信によって人々に認知され、物件の買い手・売り手が現れるまでは一切収入が得られません。また、一取引から一回した収入が得られないため、認知度が相応に高まるまでは、収入が安定しにくいのが特徴です。

何もしなくとも継続的に賃料収入が入る賃貸業務と異なり、仲介業務は継続的なマーケティングや営業活動が欠かせません。オンライン・オフライン双方での広告や情報発信、営業活動などで不動産の売り手・買い手を見つけて売買を成約させていかなければなりません。

マーケティングや営業活動だけでなく、売買の契約手続きや顧客の不明点への対応など、引き渡しが完了するまで仲介業者はさまざまな対応が発生します。取引量に比例して自分もしくはスタッフの工数を消費する労働集約型のビジネスと言えるでしょう。これは、副業もしくは他のビジネスと並行して取り組む人にとって、仲介業務が不向きな理由の一つです。

賃貸業務と仲介業務どちらで起業すべきか?


ここまで紹介した賃貸業務と仲介業務の特徴を踏まえて、それぞれにおすすめなタイプの人をまとめました。自分が今置かれている状況や、起業に対する考え方を踏まえて、より適した起業の方法を選択してください。

賃貸業務がおすすめな人

次のような状況・意向の人は賃貸業務で起業するのがおすすめです。

  • 副業もしくは他事業からの多角化
  • 少額でもいいので早期に収益を実現したい
  • 安定性の高いビジネスをしたい
  • 営業や案件開拓能力に自信がない

賃貸業務は管理会社をうまく活用すれば、物件購入後に発生する作業や手間は相対的に少なく済みます。そのためサラリーマンが副業として始める場合、すでに別の事業を手掛ける中での多角化の一環として取り組む場合にはおすすめです。

また、資格がいらず、顧客を獲得するための営業活動も不要な賃貸事業は、早期から収益化が期待できます。スムーズに購入物件が見つかれば数ヶ月程度で収益を発生させることも可能です。

収益額はすぐには大きくなりにくい一方で、毎月安定した収入が期待できる点も特徴なので、小さくていいから着実に稼ぎたいという人には適しています。

最後に、営業・案件開拓に自信がない人にもおすすめ。これらの要素は多くの起業において欠かせない取り組みである一方、サラリーマンで営業やマーケティングに従事したことがないと苦手な人も少なくないでしょう。賃貸業務ならそのような人でも問題なく取り組むことが可能です。

仲介業務がおすすめな人

仲介業務がおすすめな人は、次のようなタイプの人です。

  • 不動産業界を本業として本格的に取り組みたい
  • 資金力があり準備に時間をかけられる
  • 早期のうちに事業や規模を拡大していきたい
  • 営業・マーケティングで他社との差別化をする力がある

仲介業務は資格が必要で、信頼のおける事務所を構える必要があるなど、賃貸業務と比較して本格的なコミットがなければ経営が難しい業務です。メインビジネスとして不動産事業に取り組む意欲がある人に適しています。

また、資格取得、法人化、オフィス設営や営業活動など、実際に収益化に至るまで時間が抱えるケースが多いです。これらの開業準備資金と、準備期間の生活資金を賄えるだけの余裕がある人におすすめ。準備が大変な一方で、一度軌道に乗れば早期に事業を拡大しやすいのは仲介業務です。資金と手間を割いて大きく稼ぎたいという意向がある人には適しています。

最後に、仲介業務をビジネスとして軌道に乗せるためには、売り手・買い手をいかに早く・多く見つけるかが重要です。Webサイトや広告によるマーケティング、営業活動による案件発掘の経験がある、独創性があり他社との差別化が得意である、といった特徴を持つ人に適した事業といえます。

自分にあったやり方で不動産ビジネスでの起業を考えてみよう


不動産業界での起業においては賃貸業務もしくは仲介業務を切り口に始めるのがおすすめです。

副業から始めたい人や安定性を重視するなら賃貸業務、最初から本格的不動産事業で取り組みたい、早期に事業を拡大したいなら仲介業務が適しています。また、資金面で見た時には、自己資金が乏しいなら賃貸業務、充分な蓄えがあるなら仲介業務にトライするのがよいでしょう。

このように自分の起業に対する考え方や、置かれている状況によって適した起業の方法は異なってきます。不動産業界での起業に興味がある人は、自分がどちらのタイプに近いか考えたうえで、自分に合った形で起業にチャレンジしてみてください。

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