【融資額1,000万円以上】創業期に大きな資金調達をする方法と成功事例5選
融資や補助金を上手に活用すれば、1,000〜3,000万円ほどの大型資金を調達できます!
実績に乏しい創業期といえど、1,000万円以上の大型資金を調達することは十分に可能です。事実、多くの中小企業や個人事業主が、数千万円の資金調達に成功し、創業まもない頃から事業を発展させています。
そこで今回は、創業期に大型の資金調達を実現させるためのコツと成功事例を紹介します。創業期から大きなスケールで事業を展開したいという起業家のみなさんは、ぜひ参考にしてください。
※この記事を書いている「創業手帳」ではさらに充実した情報を分厚い「創業手帳・印刷版」でも解説しています。無料でもらえるので取り寄せしてみてください
この記事の目次
創業期に大型の資金調達を成功させる方法【3つのポイント】
創業期に1,000〜3,000万円規模の高額な資金調達をするには、以下3つのポイントを押さえることが大切です。資金調達に成功した中小企業・個人事業主の事例を見ると、ほとんどがこの3つを守っています。
1. インパクトのある事業計画を作成する
必須なのは、優れた事業計画によって「これなら資金が必要だ」「融資(補助)しても問題ない」という印象を与えることです。インパクトのある事業計画が作れれば、資金調達の成功にグッと近づきます。
事業計画には、以下5つの要素を盛り込むのがおすすめです。
- 実現可能性(マスト)
- 継続性(マスト)
- 新規性
- オリジナリティー
- 社会貢献性
第一に、事業の実現および継続が、現実的であることを証明することが必須です。それを示すには、「競合優位性」や「市場の分析」、「リスク管理」、「資金計画」といった観点からも、検討を重ねる必要があります。
また実現可能性や継続性を論じることはセオリーですが、必須事項を書いただけでは平凡な計画にしかなりません。見た人にインパクトを与えるには、プラスアルファの要素が求められます。例えば、事業の内容が斬新であったり、地域社会に大きな好影響が見込まれたりとったことを示せると良いでしょう。
ちなみに、最初は融資を渋られたものの、事業計画を練り直しながら、粘り強く交渉を重ねることで、大口の融資を得た事例もあります。高額な資金調達を狙うなら、「その金額に見合うだけの事業計画を作る」というポイントをぜひ意識してください。
2. 融資だけでなく「補助金」も活用する
創業期の資金調達には、「ものづくり補助金」や「事業再構築補助金」などの補助金も積極的に活用しましょう。補助金だけでも1,000〜3,000万円、場合によっては1億円ほどの資金を調達できる可能性があります。
ただし、一般的に補助金で調達できるのは運転資金や設備資金であって、開業資金ではありません。開業費用を求める場合には、日本政策金融公庫や地方銀行などからの融資をご活用ください。
要するに、創業期の資金調達は、一つの手段に固執するのではなく、複数の手段を組み合わせるのがおすすめということです。複数の手段を掛け合わせることで、お金が得られる確率が上がり、金額も大きくなります。
また補助金に採択された実績が加点要素となり、融資を受けやすくなるというメリットもあります。よって、融資を重視する場合にも、補助金の活用を含めた資金計画を練ることは大切です。
3. 専門家に相談しながら進める
資金調達のプロに頼るということも大変おすすめです。例えば、事業計画ひとつをとっても、専門的な知見や経験があったほうが、クオリティが高めやすいといえます。素人が悪戦苦闘しながら作ったものとプロが監修したものでは、やはりプロの手が入ったもののほうが評価されやすいでしょう。
また補助金の公募要領には、賃金や生産性などにかかる各種要件が定められている場合が多いです。それらの要件を満たすために社内の規則を変えたり、書類を作成したりといったことを、経験のない者が行うのは大変だといえます。よって、専門家に相談しながら申請準備を進めたほうが、負担が少なく、効率も良いです。
実際、創業期に大型の資金調達を成功させた人の中には、専門家に相談しながら準備を進めた人が多くいます。彼からは「プロに頼らないとここまでの事業計画はできなかった」、「コンサルによって補助金の申請が楽だった」といった声が聞かれます。加えて、専門家にある程度任せることで、経営者が事業に専念できる時間が増えるという点もメリットです。
ちなみに創業手帳でも、“起業家個別相談「資金調達コンサルティング」”という無料サービスを実施しています。資金調達の悩みを無料で相談できますので、ぜひご活用ください。
なぜ創業期に大型の資金調達をすべきなのか?
創業期に高額な資金調達を狙うべき理由は、ひとえに「事業の大きな発展が見込めるから」です。お金をふんだんに使える状態を作ることで、ハイペースもしくはハイクオリティな事業展開が望めます。
例えば、設備資金を調達して1台しかない機械を5台にすれば、単純計算で事業規模は5倍になります。また商材やサービスを開発する場合、高額な資金を準備することで、開発のペースを早めたり、より質を追求したものを作ったりすることが可能です。
またそのように十分な投資をして事業を成長させれば、将来的に上場やイグジットなども狙えます。よって、とくに拡大志向の強い方は、創業期に大型の資金調達を目指すべきです。
創業期に使える資金調達の方法一覧【高額を狙う起業家向け】
以下では、創業期における大型の資金調達に使える方法を一覧にまとめました。融資と補助金以外にも、いくつかの方法があるので、ぜひ参考にしてください。
方法 | おすすめ度 | 特徴 |
---|---|---|
融資 | ◯ | とくに日本政策金融公庫や信用金庫などが起業家向け。例えば、日本政策金融公庫の「新創業融資制度」では、最大3,000万円借りられる。 |
補助金 | ◯ | 「ものづくり補助金」や「事業再構築補助金」。創業期に中小企業が3,000万円ほど調達した事例が複数ある。 |
出資 | △ | 数十億円といった規模の事業計画にも対応できるが、創業期に実現するのは難しい。 |
クラウドファンディング | △ | 1億円以上の調達も可能だが、金額が大きいと実績が必要。また運営サイトの利用に10〜20%の手数料がかかる。 |
ビジネスコンテスト | △ | 賞金3,000万〜1億円のものもあるが、グランプリを獲らねばならず、確率は低い。 |
基本的に、1,000万〜3,000万円規模の資金調達には、融資と補助金を組み合わせて利用するのがおすすめです。一方、億単位で資金を調達したいと考える場合には、出資やその他の手段でチャレンジしてみるのも良いでしょう。
上記、大型の資金調達に使える手段について、さらに詳しく知りたい場合には、以下の記事もぜひご覧ください。
【1,000万円以上】創業期の資金調達に成功した事例5選
さて、以下では創業期に1,000万円以上の大型資金を調達した事例を5つ紹介します。これから高額な資金調達を狙う方は、どのような準備や心がけをすべきなのか、以下を参考にイメージしてみてください。
事例A:長年の業界経験が評価されて開業資金を満額調達(融資1,100万円)
業種:紙製品加工業、設立年月:2022年7月
A社は、2022年7月に紙製品加工業で起業しました。経営者には、同業界で長年勤めた経験があり、ノウハウや人脈は十分であり、売上の見込みは立っていました。しかし、経営の経験に乏しかったことから、資金調達の方法はわかりませんでした。
そこでA社の経営者は、専門家に相談。事業のイメージを、プロの手によって事業計画や数値計画といった形にしてもらいました。また融資や補助金の申し込みにかかる必要書類などの案内もしてもらい、スムーズに金融機関と交渉できたといいます。
結果、創業間もないにもかかわらず、最大手の地方銀行から融資を受けることができました。紙製品の加工に使う機械などへの設備資金として、希望通りの1,100万円を調達しました。
A社の経営者は、長年の業界経験を活かせる事業だったことに加え、事業計画等によって資金の使途や必要性を明確にできたことが、融資の成功につながったと語ります。希望金額を調達できたことで、開業時に必要な機材等を一式揃えることができ、ワクワクした気持ちで事業を始められたそうです。
この事例の要点
調達金額 | 1,100万円 |
---|---|
事業の内容 | 紙製緩衝材の加工受託業、その他緩衝材の卸売業 |
資金調達の目的 | 加工に必要な機器の購入や倉庫の賃貸、備品購入 |
調達に用いた手段 | 日本政策金融公庫の創業融資+地方銀行融資(保証協会・創業保証を利用) |
成功の要因 | ・事業計画によって資金の使途および必要性を明確にできたこと ・長年の業界経験を活かすことで、創業当初から安定した売上が見込めたこと |
資金調達による変化 | 開業時に必要なものを一式揃えられ、前向きに事業を始められた |
事例B:専門家と中期事業計画を策定して金融機関を説得(補助金+融資2,300万円)
業種:835 療術業、設立年月日:2021年1月16日
個人事業主のB氏は、2021年に新潟市内でパーソナルジムを開業。初年度は500万円ほどの売上を得ました。
B氏は、客単価をより高めるべく、精密計測機器を導入して、トレーニングの精度を上げ、他社と差別化を図ろうと考えました。機器の購入費用を調達するために、目をつけたのは補助金や融資の活用でした。
専門家に相談したこともあり、補助金のほうは大成功。創業期でありながら、3種類の事業から採択を受けました。一方、融資のほうは、「年商を超える借入は難しい」と多くの金融機関に断られてしましまいた。
そこでB氏は、再び専門家に相談。中期事業計画を策定し、金融機関に何度も足を運び、交渉を重ねました。その結果、当初は貸し渋っていた金融機関が、徐々に設備投資の必要性を理解してくれるようになり、最終的には融資の内示を得たそうです。
B氏は、資金調達が成功した要因として、専門家に相談したことを挙げています。専門家とのミーティングや計画策定を経験し、プロに相談することの重要性を実感したといいます。
この事例の要点
調達金額 | 2,300万円 |
---|---|
事業の内容 | 精密計測機器を用いたパーソナルトレーニング |
資金調達の目的 | 精密計測機器の購入と関連費用 |
調達に用いた手段 | 補助金+融資 |
成功の要因 | ・専門家に相談し、中期事業計画を策定したこと ・専門家とともに金融機関を何度も訪問し、粘り強く交渉したこと |
資金調達による変化 | 新たなサービスの提供が現実的に |
事例C:申請資料の精度を高めることで、ものづくり補助金に1発採択(1,000万円以上)
業種:ITサービス業 設立年月:2020年9月
ビジネス系の大学で起業家を育成していたC氏は、経営に関するアクティブラーニングの研修方法をツール化することを思い立ちました。教え子から「ものづくり補助金」のことを教えてもらい、活用しようと考えたそうです。
自己資金でもツールの開発はできましたが、追加資金を得ることで、構築スピードを速め、サービス提供開始を前倒ししたいという思惑がありました。また資金を増やすことで、当初の想定よりもクオリティやレベルの高い成果物を作りたいというのも、補助金を活用した理由でした。
さらには、開発するツールおよび新規事業全体を、広く公に知らせたいという想いもあり、補助金に申し込むことで認知度が上がるきっかけになればという考えもあったそうです。
C氏は当初、自立でものづくり補助金に応募するつもりでしたが、公募要領を確認し、不慣れな素人には難しく、申請業務にかかる時間や労力ももったないと考えました。そこで申請支援の実績と経験を持った専門家に頼ることにしたのです。
その結果、見事1回目の申請で採択を受けることに成功しました。C氏本人は、事業の内容が特殊であったことから、一度で審査に通るのは難しいと考えていたそうです。予想以上に申請がうまくいった要因は、専門家の協力により、申請資料の質が大きく高まったことでした。C氏は「限られた期間の中、自分の能力では作成できなかったレベルの資料が作れた」と語っています。
この事例の要点
調達金額 | 1,000万円以上 |
---|---|
事業の内容 | 経営にかかるアクティブラーニング研修ツールの提供 |
資金調達の目的 | ツールの開発費用を増やして、構築ペースを早めるとともに、質を高めたい |
調達に用いた手段 | ものづくり補助金 |
成功の要因 | 専門家に相談することで、申請資料の精度を上げられた |
資金調達による変化 | サービス提供開始の予定を早めるともに、サービスの精度を上げる見立てができた |
事例D:補助金による設備投資で売上が3倍にアップ(2,700万円強)
業種:畳の製造、設立年月日:2019年9月1日
D社は、北海道で畳の製造・販売を行う会社です。代表はもともと畳製造の大手で営業担当をしており、2019年に独立開業。前職の経験を活かすとともに、ほかの畳店と差別化を図ることを心がけ、順調に売上を伸ばしています。
代表は、業務の効率化を図り、余った時間で得意の営業を強化したいと常々考えていました。そこで補助金を活用し、新たな畳の製造機械を導入することにしたのです。
補助金の申請にあたっては、専門家にサポートを依頼し、事業計画書の作成から申請手続きまで、一貫した支援を受けました。その甲斐あって、ものづくり補助金で2度の採択を受け、合計で2,700万円強の設備資金を調達。新しい畳製造機を4台購入できました。
資金調達による設備投資の結果、D社の畳製造スピードは格段に向上し、畳の営業に多くの時間を割けるようになりました。それにより、前年に比べて売上が3倍に増えたそうです。また従業員の数も増やし、お客様により一層満足してもらえるような体制を作ることができました。
この事例の要点
調達金額 | 2,700万円強 |
---|---|
事業の内容 | 畳の製造・販売 |
資金調達の目的 | 設備投資による生産性の向上および営業に費やす時間を増やすこと |
調達に用いた手段 | ものづくり補助金 |
成功の要因 | 事業計画の策定から申請手続きまで、専門家に一貫したサポートを依頼したこと |
資金調達による変化 | ・4つの畳製造機械を導入し、業務の効率が格段に向上 ・営業に充てられる時間が増え、売上が前年の3倍に ・従業員も増やし、より手厚い人員体制に |
事例E:資金調達によって販売業からシステム開発への事業展開に成功(4,000万円)
業種:ITサービス業 設立年月日:2017年10月6日
半導体メーカーに長年勤めていたE氏は、「自分の事業がしたい」と2017年に独立。ITサービス業を起業して、半導体の卸売を始めました。
SNSでの大ヒットもあり、事業は好調でしたが、E氏は満足していませんでした。大きな設備投資を行い、独自性の高いサービスを立ち上げたいとの想いがあったのです。そんな時、創業期でも活用できる大型の補助金があることを知り、チャレンジしようと思い立ちました。
専門家にサポートを依頼し、AIやブロックチェーンといった難しい知見も盛り込んだ事業計画書を短期間で策定。見事4,000万円の補助金に採択され、ハードの販売からシステム開発へと、事業を転換することに成功しました。
まもなく申請対象の設備が完成する予定で、かねてから夢見ていた独自サービスの提供がこれから始まろうとしています。
この事例の要点
調達金額 | 4,000万円 |
---|---|
事業の内容 | システム開発 |
資金調達の目的 | 事業転換にかかる設備投資 |
調達に用いた手段 | 補助金 |
成功の要因 | 専門家の協力のもと、質の高い事業計画書を作れたこと |
資金調達による変化 | まもなく申請対象の設備が完成し、念願だった独自サービスの提供が現実的に |
まとめ
創業期に大型の資金調達を成功させるコツは、第一にインパクトのある事業計画を立てることです。実現可能性や継続性といった必須事項のほか、オリジナリティや公共性といった独自の要素も盛り込み、優れた事業計画にしましょう。
また一つの手段で調達するのでなく、「日本政策金融公庫+ものづくり補助金」など、複数の手段を組み合わせて使うのがおすすめです。補助金を採択を受けることで有志の加点要素になるなど、組み合わせれば創業効果も生まれます。
さらに専門家に相談することもとても大切です。事業計画を立てたり、申請資料を準備したりといったことは、経験がないと時間も労力もかかってしまいます。一方、専門家のサポートを受ければ、短時間でクオリティの高い事業計画や申請資料が作れます。
創業手帳別冊版「資金調達手帳」は資金調達の方法をはじめとし、キャッシュフロー改善のマル秘テクニックや創業計画書の書き方も充実。無料でお届けいたしますのでご活用ください。