THE MIND アシュリーあづみ|女性起業家に必要なものは自信!自分がどこに行きたいかを知ろう
あなたの北極星はどこですか?しっかりとしたゴールを定めることが事業の成功への第一歩
元ミス・ユニバースジャパンファイナリストであり、現在は香港でコンサルとコーチングを手がけるアシュリーあづみさん。オンラインで海外、国内を問わず起業家のコーチングを担当することも多い彼女に、創業手帳代表の大久保が、起業家が心がけるべきことや、海外と日本の女性の立ち位置の違いなどについてお聞きしました。
THE MIND代表
外資系金融機関の広報部、マンダリンオリエンタル東京などのマーケティング/ブランディンコンサルティング経験を経て、現在、香港で外資系投資会社に勤める傍ら、米国CTI認定国際コーチング資格CPCC®を保持するMINDコーチとしてグローバルに活躍する。
コンサルティング業で培ったマーケティング、ブランディング、経営戦略のスキルを活かした経営者の想いを見える化し、経営者の想いと共にある企業目標の設定も定評がある。
コーチングとの出会いは、ミスユニバースジャパンのファイナリストとして選ばれた際に、自分探しを始めたのがきっかけ。その後、自信をつけるための研究に没頭し、コーチングを本格的に学び出す。世界を横断して様々なコーチングメソッドに触れ、幅広いコーチングスキルを習得してきた。昨今は、システムコーチング、心理学、マインドフルネスの領域にも探求を行なっている。
コーチ歴は10年目を迎え、クライアントセッション500時間以上の実践経験を持つ。
創業手帳 株式会社 代表取締役
大手ITベンチャー役員で、多くの起業家を見た中で「創業後に困ることが共通している」ことに気づき会社のガイドブック「創業手帳」を考案。現:創業手帳を創業。ユニークなビジネスモデルを成功させた。印刷版は累計250万部、月間のWEB訪問数は起業分野では日本一の100万人を超え、“起業コンシェルジェ“創業手帳アプリの開発や起業無料相談や、内閣府会社設立ワンストップ検討会の常任委員や大学での授業も行っている。毎日創業Tシャツの人としても話題に。 創業手帳 代表取締役 大久保幸世のプロフィールはこちら
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この記事の目次
「選ばれる立場」から「選ぶ立場」を目指して
大久保:ミス・ユニバースジャパンのファイナリストから、なぜ今のキャリアに進まれたのでしょうか?
アシュリー:ミス・ユニバースジャパンに応募したのはたまたま知人からすすめられた結果で、出来心のようなものだったのですが、ファイナリストに選んでいただき、愛知から東京に行ったんです。
既にモデルのキャリアがあるような方と並んで人前に出て、選ばれる立場になるというのは初めての経験で、刺激的ではありましたけれど、自分に決定権はなく、100%人の意見によって物事が決まるということに強烈な違和感を感じて、「選ぶ側になりたい」と感じました。
選ばれる立場ってどうしても精神がアップダウンしてしまうんですよね。100人いたら100人に気に入られるというのは難しいですし、人間と人間なのでどうしても相性もあります。誰かの機嫌をうかがうのではなく、自分軸を持ちたいと思いました。
その後、富裕層を対象にしたアートギャラリーでキャリアをスタートして、フランス系のプラベートバンク、アメリカのヘッジファンド、いくつかの金融機関で広報やマーケティング部に所属して、コーポレートコミュニケーション、コーポレートマーケティングを担当しました。
コーチングを始めたのは東日本大震災がきっかけでした。当時勤めていたアメリカ企業の役員たちが放射能を恐れて続々と帰ってしまって、会社の部門がなくなってしまったんです。退職金パッケージももらって、金融機関に戻ろうかなとも思っていたところ、今までの仕事でつながった方から単発でマーケティングのお仕事をいただいて、フリーランスになりました。
ミス・ユニバースに出たときから、美しい人でも輝いている人、そうではない人がいるのは何故だろうということをずっと考えていたんですね。そしてそれは自信が原因なのではないか、自信をつけるには何が必要なのだろうか?というところに行きつき、コーチングと出会いました。
大久保:確かに女性はあまり背伸びしないというか、謙遜する方が多いですね。男性は大きく見せようとする人が多い傾向があるかもしれませんが。
アシュリー:そうなんです。もちろん、個人差はありますが、いろいろな出会いを通して、はたから見れば容姿にも恵まれていて、キャリアもある女性もどこか自信がないんだなということに気づきました。自信があれば、一歩踏み込んでチャンスがつかめるのにそうしない女性が非常に多いんです。自信があるかないかで、人生が大きく変わってくるのではないかと思いました。
そこから香港やアメリカ、南アフリカなどでいろいろな流派のコーチングを学び、メソッドを習得しました。いろいろなクライアントの方にコーチングをしながら、企業のコンサルも並行して行っていました。
優等生になろうとしてしまうのは日本の文化
大久保:海外で仕事をする上で感じる日本との違いはなんでしょうか?
アシュリー:経歴書を見ていると、海外の方はとにかく自分を売り込むことが上手だと感じますね。自分が一番よく見える最大限の内容を盛り込む努力をしているように感じます。それに比べて、日本人は同じ能力であったとしても控えめな表現で書かれている印象を受けます。
大久保:なるほど。少し背伸びして大きく自分を見せると、それに合わせて能力が伸びるという面もありますよね。起業家はわりとそういうタイプが多い気もします。
アシュリー:その通りだと思います。日本人は自分のコンフォートゾーンから抜けない人が多いですが、欧米だとコンフォートゾーンを抜けて挑戦していくという訓練を小さい頃からされているので、慣れていますよね。
冒険しないで安全な場所にいたい、優等生でいたいというのは日本の文化だと思います。今でこそ、平等と言われてきていますが、長年慎まやかさを美徳としてきた社会認識はすぐには塗り替えられません。
女性は空気を読んで一歩引いてしまう、目の前にチャンスがあって、やってみたいと思っても飛び込もうとしない人が多いということをコーチングをしていて感じます。自分のことを過小評価しがちで、失敗したらどうしようという気持ちが先走ってしまうんですよね。それも、失敗に寛容でない日本社会の現れであると感じます。
大久保:女性の立場ということでいうと、海外と日本での違いは感じますか。
アシュリー:海外の方が、女性の立場がよりフェアであると思いますね。日本だと、同じ役職でも女性の方が下という暗黙の了解があるような気がします。所属している会社の出張で会長と一緒に日本に行くことがあるのですが、わたしの役職はディレクターであり、日本でいうと部長なのですが、名刺交換をしていても、会長の横にいるだけでアシスタントや秘書だと思われることが多いんですよね。日本だなあと思います(笑)。
相手に好奇心を持つことがコーチングの第一歩
大久保:コーチングではどんなものが得られるのでしょうか。
アシュリー:どんな人も、考え方のプロセスにクセがあるんですね。コーチとの対話や、はいやいいえでは答えられない質問を通して自己内省をし、潜在意識で深く考えることで、今までのアウトプットとは違う新たな気づきを得ることができます。
大久保:コーチングという言葉はある種流行と言いますか、コーチをやられている方もかなり多いと感じるのですが、選ぶときの注意点はありますか。
アシュリー:そうですね。ひとつの基準としては、国際コーチ連盟という世界的な機関があり、連盟自体が出している資格や、認定している学校に行っているかどうかは、バロメーターになると思います。ただ国家資格ではないですし、コーチとクライアントはコミュニケーションを取り、協働関係が成り立つ必要があるので、やはり一番重要なのは相性なのではないかと思います。
多くのコーチがサンプルセッションを設定しているので、それを体験してみてピンとくるコーチを選ぶということが大事なのではないでしょうか。また、例えば子育てのトピックを得意としていたり、ビジネスのトピックが得意だったりと、可能なら得意分野も聞いてみるとよいかもしれません。
大久保:そういえば経営者グループで壁打ち的にではありますが、お互いにコーチングのようなことをしていますね。
アシュリー:すごくいいと思います。経営者の方を対象としたコーチングでは、壁打ち的にそこにいてほしいというようなことを言われたりもしますね。経営者の方の決定は会社全体に影響を及ぼしますし、その方の軸がブレてしまうと会社全体も行ったり来たりしてしまいます。
起業する際に、人によってはまずコーチングを受けて、クリアなビジョンを描いてからコンサルを受けてください、と言う起業コンサルの方もいるほどです。
コーチングは安全で特別な空間で行うもので、トレーニングされているコーチには守秘義務があり、何を言っても大丈夫という信頼感があってこそ、行う意味があります。経営者の方は誰にでも弱みを見せられるわけではないですが、安全な空間で気持ちを吐き出し、整理することで、新たな気づきを得られるんです。コーチはどんな言葉でもジャッジせず、ニュートラルに受け止めます。
利害関係がない相手というのも大事で、例えば自分の夫にコーチングをしても、下す決断が自分の利害に関係あるので、それが自分の意見を左右してしまいますよね。だから上司と部下など、利害関係がある相手では、本当の意味でのコーチングは難しいです。
大久保:手軽に意識できるコーチングのコツは何かありますか。
アシュリー:一番大事なのは好奇心だと思っています。関心がない相手の話を聞くことは難しいので。コーチングをしている間は、100%クライアントに意識を向けていますが、意識を向けられるインパクトや、そのエネルギーによって引き出される深層心理というのはあると思いますね。
傾聴などのテクニックも、好奇心が前提です。
大久保:コーチングの醍醐味はなんですか。
アシュリー:自分の人生はひとつですが、さまざまなクライアントさんの人生に伴走していると、いろいろな人生を間接的に味わえることですね。例えば1年後にここにいたいという目標を設定していたクライアントさんが、半年後にそれを達成するなど、コーチングを通して誰かの人生を応援できていることに喜びを感じます。
大久保:最後に、起業家や経営者に向けたメッセージをお願いします。
アシュリー:「これを売ればお金が入ってくるだろう」というような目の前の目標を追って起業してしまうと、次なるステージに行こうというときに壁にぶつかります。最初は勢いだけでもなんとかなりますが、そのままずっと走ることは難しいです。そういうときに、やはり目的がどこにあるのかをきちんと設定しておくことが大事だとお伝えしたいですね。
また、人が増えて会社が成長するタイミングでは、その目的を共有し、いろいろな思惑を集約できないと力が分散してしまいます。いかにゴールを言葉にして伝えるのかが非常に重要です。まずは自分にとっての北極星がどこなのかをはっきりさせ、それをわかりやすい言葉で社員に伝えることを意識していただきたいですね。
最後に、自分に自信を持ち、自分のコンフォートゾーンから少しストレッチをして挑戦することは、誰もの可能性を拡げてくれると信じています。自信は心と繋がり確信が持てると自ずと湧いてきます。ご自身の心の棚卸しを行いたい方はコーチングを通してわたしがお手伝いしますので、興味がある方はぜひホームページをご覧ください。
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(取材協力:
THE MIND代表 アシュリーあづみ)
(編集: 創業手帳編集部)