リードナーチャリングとは?手法や事例、メリット、注意点を徹底解説!
リードナーチャリング『起業独立に失敗しないためのマーケティング講座』
リードナーチャリングを知っていますか?リードナーチャリングとは『見込み客を育成すること』です。
リードナーチャリングの重要性が高まっています。なぜなら、顧客や市場の変化が激しく、競合も多く存在し、顧客との関係性を強化しなければ自社の商品やサービスが売れにくくなっているからです。
見込み客を獲得し、その見込み客との信頼関係を構築できれば、セールス活動が効率的になります。そればかりか、顧客をファンとして囲い込むことで、リピート購入や、購入単価のアップも期待できるようになるのです。
リードナーチャリングのメリットは計り知れません。
そこで今回はリードナーチャリングについて徹底的に解説していきます。起業独立を考えている方はもちろん、新規ビジネスを立ち上げたい方や既存ビジネスを成長させたい方にとっても必読の内容となっております。
この記事の目次
リードナーチャリングとは?
リードナーチャリングとは、直訳すると『見込み顧客の育成』であり、自社の商品やサービスの見込み客との関係性を強化しつつ、成約に結びつくような育成を行っていく活動を言います。
以前のような大量生産大量消費の時代においては、商品やサービスの需要が高かったため、セールス活動に注力していれば、たくさんの顧客に買ってもらえることもありました。
しかし、市場は大きく変化し、顧客のニーズも多様化した現在においては、商品やサービスは飽和状態になっています。
顧客が手に入れることができないものはなく、溢れかえる情報に自社の商品やサービスは埋もれてしまうようになりました。
インターネットを検索すれば、必要な情報にたどり着くことは容易です。ほとんどの欲しいものは、パソコンやスマホですぐに入手することができるようになりました。
顧客はセールスを受けることなく、自発的に行動し、情報を収集して比較し、自らの意思で購買を決定することが多いのです。
そんな購買行動が変化している顧客に対し、いきなりセールス活動で挑んでも、ほとんどの場合が徒労に終わってしまいます。
仮にどんなに必要性を感じるものであったとしても、『あなた』から買う理由がなければ購買にいたらないのです。
あなたから買ってもらうためには、あなたから買う理由がなければいけません。しかし、商品やサービスの内容に決定的な違いがあることは稀ですし、価格やアフターフォローで差をつけるのも難しいです。大企業のようなブランド力や認知度があれば信頼性も担保できますが、そんなブランド力や認知度が無いのであれば顧客はあなたを信頼する決め手が掴めません。
そこで私たちができることとすれば、顧客との関係性を強化し、信頼関係を徐々に醸成していくことです。顧客との関係性の強化や信頼関係の構築は、昔ながらの営業手法のひとつではありますが、今まさにそれが言葉を変えて重視されているのです。
顧客との関係性の強化や信頼関係の構築すること、それがリードナーチャリングです。
リードとは?
リードとは、『見込み客』のことです。商品やサービスを効率的に販売するためには、精度の高いリードが必要です。
例えば、住宅販売であれば、これから家を建てる可能性が高い新婚家庭や子育て世帯がリードとなります。賃貸物件に暮らしていて、転勤の心配がなく、収入も安定しているリードなら、非常に精度の高い『リード』と言えるでしょう。
一方、同じ子育て世代でも、実家で同居していたり、転勤族なのであれば、リードとしての精度は低いと言わざるを得ません。なぜなら、家を買う可能性が低いからです。
リードには、自社の商品やサービスにほとんど関心のない人もいれば、極めて成約に近い人もいます。
リードは数も重要ですが、質はもっと重要です。的外れなセールスにならないようにするためにも、精度の高いリードの獲得が重要となります。
リードジェネレーションとは?
リードジェネレーションとは、リードを獲得する活動のことを言います。
リードを獲得するためには、自社の商品やサービスを必要とする人を集客する必要があります。訪問営業、電話営業、セミナー、イベント、Web広告、SEO、SNS、テレビCM、雑誌や新聞の広告など、自社の商品やサービスに関心のある人にアプローチする方法はさまざまです。
こうしたリードの獲得においては、時間もコストもかかります。できるだけ効率よく精度の高いリードを獲得する必要があるため、リードジェネレーションは非常に重要なプロセスです。
リードジェネレーションで精度の高いリードが獲得できなければ、その後のリードナーチャリングをどんなに頑張っても成約には結び付きません。
また、どんなに精度の高いリードであっても、その後のリードナーチャリングがうまくいかなければ、やはり成約には結び付きません。
リードジェネレーションとリードナーチャリングは両輪として考える必要があります。
リードナーチャリングの必要性
リードナーチャリングの必要性について解説していきます。
手に入らない商品やサービスはなく、情報も溢れかえっている現代では、今すぐに商品やサービスを購入する顧客をタイミングよくピンポイントで探し当てることが難しくなりました。
顧客は自らインターネットを使って情報収集し、いつでも欲しいものを購入できるようになっているからです。
そんな顧客にアプローチするためには、購入に至る前の段階から関係性を構築して、必要な時に自社を用命してもらう方が効率的です。
例えば、社内の情報管理システムの更新を考えている顧客がいたとします。しかし、今すぐにどこかのシステムに発注をかけるというよりは、いずれ検討したいという段階です。
ここで従来の営業スタイルであれば、見込み客としてのアプローチは優先度を下げてしまい、そのうち見込み客のリストから消滅してしまう可能性があります。
なぜなら、すぐに購入してくれるホットな状態ではなく、直近の営業成績に影響を与える可能性が低いからです。
しかし、今すぐ成約する可能性が低い顧客との関係性を放置してしまうと、この顧客はいずれライバル他社に流れていってしまう可能性があります。
そして数年後には何千万円という受注をロスすることになるやもしれません。
せっかくの見込み客なのに、関係性を維持できていなかったために、将来の大きな商談を失ってしまうのです。
リードナーチャリングをしっかりと行っていれば、このようなロスを防ぐことができます。
営業が直接のアプローチをしなくなったとしても、メールやDMで継続的な関係性を顧客と維持することができます。
自社の商品やサービスの優位性だけではなく、そもそも顧客が抱える課題や悩みはどう解決すれば良いのか、なぜそれを解決しなければならないのかを、継続的に情報提供していきます。
関係性が途切れずに継続的な情報提供を行うことで、顧客はあなたの商品やサービスの必要性や内容を理解することができます。そして、いざ必要性に迫られた段階で、あなたの商品やサービスを有力な候補として検討してもらえるのです。
リードナーチャリングは、売り込みではありません。あくまでも顧客の立場に立った、顧客にとって有益な情報提供がメインです。
売り込みをかけた瞬間に広告と判断され、メールやDMの受信を停止されてしまったり、ライバル他社の製品やサービスに流れていってしまいます。
リードナーチャリングは、顧客との関係性の強化と信頼の構築がメインです。いかに売り込みをせずに、自社の商品やサービスを知ってもらうかが大切です。
リードナーチャリングの具体的な手法や事例
リードナーチャリングをするためには、精度の高いリードを獲得しつつ、そのリードに対して有益な情報提供を行うことが大切です。
リードナーチャリングに使われる主な手法を紹介いたします。
- 「メール」
- 「セミナー」
- 「ホワイトペーパーのダウンロード」
- 「SNS」
- 「オウンドメディア」
それぞれを解説していきます。
「メール」
リードナーチャリングにおいては、メールがとても重要な役割を果たします。メールは顧客の都合でいつでも開封したり、読み返したりすることがができるので、有益な情報が得られると思えば、顧客はメールアドレスを登録してもらえます。
そのため、メールはナーチャリングのツールとしてもっとも適していると言えるでしょう。名刺交換した顧客やホームページから問い合わせのあった顧客をメールでナーチャリングしていきます。
メールでのナーチャリングにおいては、メールマガジンを定期的に発行することもできますが、ぜひステップメールを活用していきましょう。
ステップメールは、メールアドレスを登録したタイミングから1回目、2回目と順繰りに内容を配信できるシステムです。
『初めまして、こんにちは!』という内容のあとには、『基本的な用語解説』などを配信し、『効果的な利用法』や『もっと活用するコツ』など、内容を徐々にステップアップさせていくことが可能です。メールの内容が段階的にステップアップしていくことにより、『見込み客の育成』ができるのです。
リードナーチャリングでは、より精度の高い見込み客に育成していくことが大切です。ステップメールであれば、顧客との信頼関係を徐々に強化しつつ、顧客に必要な情報を小分けにして、自社の商品やサービスへの成約へと導きやすくなります。
リードナーチャリングでは、ぜひステップメールの利用を検討してみましょう。
「セミナー」
セミナーを実施することはリードの獲得にも有効ですが、リードナーチャリングにも効果抜群。
まだ購入に至らない顧客に、自社の商品やサービスをしっかりと理解してもらうことができ、その必要性をアピールできます。
しかし、単なる宣伝を目的としたセミナーでは、そもそも参加者を集めることができません。自社の商品やサービスに関係のある内容で、顧客に役立つ情報提供ができると良いでしょう。
例えば、自社の社内教育コンサルティングを売り込みたいのであれば、顧客が社内教育で困りがちなテーマやよくある問題に対する解決法、事例紹介など。
顧客が抱える課題を解決したり、顧客がぜひ知りたいと思っている内容をセミナーにして集客すると良いでしょう。
セミナーに参加した顧客には、ステップメールで関係性を維持しつつ、さらなるナーチャリングをしていきましょう。
「ホワイトペーパーのダウンロード」
ホワイトペーパーとは、ホームページなどからダウンロードできるお役立ち資料です。図解や統計データなど、顧客が知りたいと思う内容を資料にまとめて公開します。
ダウンロードの際には会社名、名前、役職、メールアドレスなどを入力してもらいます。個人情報と引き換えに連絡先を入手するのです。ここまではリードジェネレーションですが、ダウンロードしたホワイトペーパーに顧客にとって有益な情報が提供できていれば、見込み客として育成することが可能。
ホワイトペーパーで育成した顧客は、ステップメールで関係性を維持しつつ、さらにナーチャリングをしていきましょう。
「SNS」
SNSもリードナーチャリングには効果的です。リードジェネレーションにもSNSは活用できますが、SNSは見込み客との関係強化にも有効です。
SNSで配信する内容は顧客にとって有益な情報を提供できるようにしていきましょう。箇条書きや画像を効果的に使うと、SNSを見ている顧客に情報が伝わりやすくなります。
SNSからホワイトペーパーのダウンロードやステップメールへ誘導することもしていきましょう。
主要4つのSNS(Facebook、Twitter、Instagram、LINE)を活用するためのポイントや事例、本格的に始めるための手順などをご紹介しています。
「オウンドメディア」
リードジェネレーションやリードナーチャリングには、オウンドメディアの運用も有効です。SEOでの流入が期待できたり、メールやWeb広告のランディング先としてもオウンドメディアは活用できます。
また、オウンドメディアに顧客をランディングさせれば、どんなコンテンツに興味を持っているのかを分析することができます。
オウンドメディアからステップメールへの登録やホワイトペーパーのダウンロードへと誘導しましょう。セミナーの告知も有効です。
オウンドメディアは24時間365日、SEOで集客ができるというメリットもあります。顧客が抱える課題や悩みを解決できるようなコンテンツをオウンドメディアで提供できれば、顧客との関係性をより強固なものにできるでしょう。
リードナーチャリングをする3つのメリット
リードナーチャリングをする主なメリットを3つご紹介します。
- セールス活動が効率的になる
- 顧客の囲い込みができ、成約率が上がる
- コスト削減につながる
それぞれを解説していきます。
セールス活動が効率的になる
リードナーチャリングの最大のメリットが、セールス活動が効率的になるという点です。
リードナーチャリングをしていなければ、顧客との関係性が希薄になります。常に今すぐ購入する顧客を獲得し続けなければ、目標とする成約数や金額を達成することができません。
場当たり的なセールス活動が多くなり、時間やコストのロスが大きくなります。顧客を育成できていないので、一度取引があったとしてもリピートしてもらうことも難しいです。
リードナーチャリングをしていなければ、セールス活動がメインとなり、売上が不安定になってしまうのです。売上が安定しないがゆえに、当座をしのぐためのセールス活動にますます時間を取られてしまうでしょう。
一方、リードナーチャリングをしっかりと行っていれば、顧客からの引き合いが増えたり、顧客が自社の商品やサービスを理解してるために成約に結びつく時間が短縮されたりして、効率的なセールス活動ができるようになります。
場当たり的なセールス活動に時間を取られなくなるので、ますます顧客との関係性の強化に時間が割けるようになり、さらにセールス活動が効率的になります。
顧客との関係性が強化されれば、顧客の声を自社の商品やサービスに反映しやすくなり、自社の強みをさらに強化することができるようになります。
顧客の囲い込みができ、成約率が上がる
リードナーチャリングの2つ目のメリットとして、顧客の囲い込みができるという点があります。
商品やサービスが溢れ、情報が有り余る現代においては、顧客を囲い込むことは非常に重要な対策です。
なぜなら、顧客を囲い込めなければ、自社は常に新規顧客を探して駆け回らなければならず、安定した売上が期待できないからです。
パレートの法則にもある通り、2割の得意客が8割の売上を占めるという傾向があります。新規顧客を追い続けても、売上を効率的に成約させるのは非常に労力がいるのです。
一方、得意客であれば、自社の商品やサービスを購入してくれる確率が高まります。その理由として大きいのは、顧客にとって自社は信頼できる関係性にあるからです。
特にBtoBにおいては、新規の取引先と契約を開始するのには非常に労力がかかるもの。相手先企業の実績や信頼性を調査し、同業他社の比較検討をし、商品やサービスの持続性や価格の妥当性を検討しなければいけないからです。
しかし、一度取引が開始されれば、継続的な取引が期待できます。
また、一度の取引もない顧客であったとしても、まったく馴染みのない取引先と日ごろからナーチャリングによって関係性が構築されている取引先なら、優位性があるのはナーチャリングで関係性ができている取引先です。なぜなら、一定の信頼関係が醸成されているからです。
リードナーチャリングを行うことで、顧客の囲い込みができます。顧客の囲い込みができれば、成約する確率が上がるのです。
コスト削減につながる
精度の高いリードを獲得し、そのリードをナーチャリングしていけばセールス活動は効率的になり、成約率も高まります。
その結果、あてどなく飛び込み営業している時間をなくしたり、やみくもに打っていた広告のコストは大幅に削減できるというメリットがあります。
例えば、従来のセールス活動であれば、時間と労力をかけて現地に赴き、しらみつぶしに営業をして回るという手法も有効でした。
しかし、リードナーチャリングができていれば、現地に赴く回数を減らしつつ、成約に結びつけることができます。
また、当てずっぽうにチラシをまいたり、DMを発送するのではなく、獲得したリードに有益な情報提供をすることに徹すれば、これまでに使っていた広告費を減らしたうえで成約率を上げることができるでしょう。
営業経費や広告費などのコスト削減は、企業が利益を確保するために非常に有効です。利益率が向上すれば、より効率の良い経営ができるようになります。
リードナーチャリングをすることは、企業の経営を安定させる効果もあるのです。
リードナーチャリングの注意点
リードナーチャリングの注意点について
- ゴールを明確にする
- 顧客に有益な情報提供を行う
- 反響の分析や改善を行う
それぞれを解説していきます。
ゴールを明確にする
リードナーチャリングを行うには、成約というゴールを明確にして、ゴールから逆算したナーチャリングの施策に落とし込まなければいけません。
例えば、最終的なゴールが自社の会計システムへの乗り換えなのに、自社の会計システムにつながらない話題を、(例えば社員旅行の様子を)メールで送信しても意味がないのです。
自社の会計システムの成約につなげたいのであれば、会計システムでよくある困りごとや利便性が向上した例、会計に関するお役立ち情報などを定期的にメールでご案内することが大切です。
送信されてくる情報が顧客が必要とする情報と乖離してしまうと、メールを受信拒否されたり、他社から来る情報に目が映ってしまいます。
ゴールを明確にして、自社がするべきナーチャリングをブレずに行っていきましょう。
顧客に有益な情報提供を行う
顧客には有益な情報提供を行いましょう。自社の商品やサービスの宣伝ではなく、顧客が求めている情報を定期的に配信するようにします。
顧客はどんな情報を欲しがっているのか、どんな困りごとがあり、なぜそれを解決したいのか。こうしたニーズを調査して、情報提供に盛り込むようにしていきましょう。
リードナーチャリングで売り込みは厳禁です。なぜなら、顧客は売り込みが欲しくて、あなたとの関係性を維持しているわけではないからです。
顧客自身にとってメリットのある情報が必要です。顧客へのアンケートやヒアリング活動をしながら、顧客が求めている情報提供ができるようにしていきましょう。
反響の分析や改善を行う
リードナーチャリングでは、メールの開封率やクリック数、ホームページへのアクセスなどで反響を取ることができます。
得られた反響は毎回分析していき、今後の改善に役立てていきましょう。
反響の大きいメールの内容やアクセスの多いページが把握できれば、より詳しい内容を掲載したり、その情報へのリンクを目立たせたりできます。
反響の高いページには、お申し込みボタンを設置したり、チャットへ誘導することも有効な対策です。
反響の分析や改善は、実際のセールス活動やマーケティングにも役立ちます。得られたデータは全社で共有して、次の施策の実行に活用していきましょう。
起業独立、新規事業の立ち上げにもリードナーチャリングが有効な理由
リードナーチャリングは、顧客との信頼関係を構築し、自社が顧客を囲い込むために有効な手段です。起業独立や新規事業の立ち上げにも、ぜひリードナーチャリングを活用していきましょう。
自社のゴールから逆算してリードナーチャリングの施策を考えることで、自社のやるべき情報提供や顧客に与えられる価値を明確にすることができます。
最終的に自社は何をしたいのか?そのために顧客に何ができるのか?リードジェネレーションからリードナーチャリング、そして成約に至るまでのプロセスを分解して考えてみましょう。
創業時はマーケティング以外にも考えなければいけないことがたくさんあります。創業手帳があれば、創業時に必要な情報がすべて手に入ります。
まとめ リードナーチャリングについて
本記事では、リードナーチャリングについて解説しました。
リードナーチャリングは、獲得したリード(見込み客)との関係性を強化しつつ、自社の製品やサービスを理解してもらうために、顧客を育成していく手法です。
最終的には成約というゴールを目指しますので、ゴールから逆算してリードナーチャリングで行う施策を考えていきましょう。
(編集:創業手帳編集部)