Twitter JAPAN 笹本裕【第二回】人・物・金 +「?」Twitter代表直伝の経営術

創業手帳
※このインタビュー内容は2015年08月に行われた取材時点のものです。

TwitterJAPAN社長笹本裕氏に聞く、時代を味方に付けるための経営術

(2015/06/26更新)

Twitter JAPAN笹本裕氏のインタビュー連載の第二回。複数の企業を渡り歩き、2度の起業も経験した笹本氏の経営の極意と、Twitterのこれからの戦略を探る。

笹本裕(ささもとゆう)
タイのバンコクに生まれ、1988年にリクルートに入社後、「住宅情報マイネットワーク」等を担当。その後、株式会社クリエイティブ・リンク取締役COOに就任し、「レストランガイド」を立ち上げる。2000年からはMTVジャパン株式会社取締役COOに就任し。2007年からはマイクロソフトでオンラインサービスやアジア太平洋地域の統括を担当後、2014年にTwitter Japan代表取締役に就任。

重要なのは、人・物・金+「時間」

ーご自身も2回起業されたということで、事業を立ち上げる際に重要だと思う点があればお伺いしたいです。

笹本:私の中で重要なポイントは4つあります。

よく、「人・物・金」と言いますが、私はこれに加えて「時間」を重要視してきました。

例えば、「時間と人」という観点から言うと、「適時適材適所」というのが重要で、その人にとってその仕事が今合っているかどうかを見極めるようにしています。

「時間と物」でいうと、物にあたる製品やサービスのリリースが時期尚早であるといくら良いサービスでも上手くいかなかったりします。

それなので、いかに良いタイミングで時代の流れに合ったサービスを世の中に出していくかが重要で、時には耐えることも必要になってきます。

ーなるほど。これまでも時代が後から追いついてくる、といったこともあったのでしょうか?

笹本:まさに独立した後に「レストランガイド」で起業した時には、早すぎたという感覚がありましたね。

今では食べログやぐるなびでレストランを検索するということは当たり前になっていますが、その当時はそうではありませんでした。

インターネットバブルが弾けさえしなければもう少し耐えることもできたんじゃないかなあと思います。

ー今ではネットのインフラが拡充されてきていますけど、無さ過ぎてもだめだし、ありすぎても競合が増えてしまうし、バランスが難しいですよね。

笹本:まさに最近の動画なんかはそうだと思います。

地下鉄の中で快適に動画が見られるようになったりして、モバイルの環境が整備されてきたのはここ数年のことですよね。

その一方で、動画の配信自体は10年位前から当たり前の様に行われてきています。

その様な背景がある中で、Twitterでも動画へ積極的に力を入れるタイミングを見計らってきました。

昨年あたりから始めたのは良いタイミングだったなと思います。
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動画はTwitterにとって最強のパートナー

ー確かに絶妙なタイミングですね。Twitterにはどのように動画を取りこんでいるのでしょうか?

笹本:今までは他社さんの動画サイトに投稿されたもののリンクをTwitterに貼ってシェアするという方法だったのですが、

2015年の2月からはTwitter上のサーバーにユーザーが直接投稿できるようになり、ユーザーにとってより見やすい形での提供が可能になりました。

ーなるほど。企業側により使ってもらいやすくなった訳ですね。

笹本:そうですね。Twitterとは別にペリスコープというリアルタイムの動画配信サービスを始めているのですが、このサービスでは株主総会や新サービスの発表会をユーザーに向けて生配信することができます。

それに対してツイートしてもらうことで、反応を見ながら会見を変えてみたり新サービスへのフィードバックができたりします。

Twitterは公開プラットホームであることが強みだと思うので、より同じ目線でユーザーと対話できるサービスが要になってきます。

ーユーザーに親近感を与えるという面でもソフトバンクの孫さんなんかも上手く利用していますよね(笑)

笹本:個人としても使っていただいて、本当に有難い話です(笑)さすが、Mr.マーケターという感じです。

オープンなプラットホームだからこそ、バランス良く周りに耳を傾ける

ーまた少し経営のお話になるのですが、会社経営においての主軸を教えて頂ければと思います。

笹本:そうですね。会社にしろ一つの事業にしろ、様々なステークホルダーが存在するじゃないですか。

例えばTwitterで言うと、まずTwitterユーザー、ビジネスで利用している企業の方、あるいは地震の時に活用して頂く場合は行政の方など様々な方がいらっしゃいます。

Twitterの場合はプラットホームなので、それらの方々全てにバランス良く耳を傾けることが大事だと考えています。

ー確かに震災の場合は人々のライフラインになるので、プラットホームとしての責任も出てきますね。

笹本:その通りです。リアルタイムかつ匿名の公開情報なので、情報の精度が問われることもあります。

重要な情報に関しては、Twitterの認証マークを使って対応していきたいですね。

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これからの戦略は、Twitterエコシステムの拡大化

ーこれからのTwitterのサービス拡大策を教えてください。

笹本:Twitterのユーザーは今現在3億人以上居るのですが、Twitterと連携してサービスを展開されている方を含めるともっともっと多いんですよ。

例えば、ツイートをまとめるサイトであるとか、ログイン機能を使っているサービスがあります。

更にYahoo!にはツイートを提供していたりします。このようにTwitterを取り巻く仲間を増やしていくことが1つの目標です。

また、昨年にモバイルアプリ開発プラットホームである「Fabric」を発表しました。

これをより多くのディベロッパーの方に使っていただいて簡単にアプリ開発を行ってもらい、アプリを介した収益の獲得のお手伝いをしていければいいなと思っています。

その結果Twitterのエコシステムの拡大化にも繋げていきたいと思います。

ーTwitterのビジョンや目指している社会があれば教えてください。

笹本:やはりオープンなプラットホームなので、よりリアルタイムに情報をやりとりできるような場にしていきたいです。

よく比較をしてご説明するのですが、1970年代にアポロが月に上陸しただとか冷戦が終結しただとか、こういう情報は今で言うマスメディアでしか得られなかったと思うんですね。

しかし、Twitterのようなサービスが出てきて、個人が発信できる環境が整ってきたことによって、一方的な情報収集ではなく多方面から情報を得ることが可能になったのだと思います。

そのため、公平性を持った情報の流通を保ち続けることがTwitterの使命だと思います。

ー最後にTwitterから創業手帳の読者にメッセージをお願いします。

笹本:はい。Twitterは起業家の皆さんがビジネスをする上で、ユーザーの声をとらえるツールとして効果的でありますし、収益を獲得する上で有効でもあるので、是非あらゆるTwitterの活用法を模索して頂ければと思います。

それと、先ほどお話もしましたが、「人・物・金」プラス「時間」ということを意識した経営をして、一緒に日本を盛り上げられればと思います。

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(編集:創業手帳編集部)

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