見積書・請求書作成ツールで業務はずっと楽になる!
業務効率を飛躍的に高める見積書・請求書ツールの機能と選び方を、解説します。
(2020/09/07更新)
見積書や請求書の作成・発行・管理といった一連の業務には、営業担当者だけでなく部署を超えて複数の人が関わります。見積書や請求書の作成や処理には多くの人が関わる中で、ルールの不徹底や、数字や項目のミス、請求や入金・消込の確認などで膨大な時間が使われています。
これらの業務を効率化することができれば、社内の業務効率を大幅に向上させることも可能です。
もし、エクセルなどの表計算ソフトで見積書や請求書の作成・管理を行っているのであれば、業務効率化のためにぜひ検討したいのが見積書・請求書の作成ツールです。
本記事では、スタートアップでも導入しやすい見積書・請求書作成ツールの機能や選び方について紹介します。
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この記事の目次
きちんと理解しておきたい見積書・請求書の関連業務
見積書や請求書に関する業務には多くの人が関わっています。個人や部署では業務を最適化できていると思っていても、他の人や部署の非効率を生み出している場合もあるものです。見積書・請求書に関連した業務にはどのようなものがあるのか確認してみましょう。
見積書・請求書のライフサイクル
見積書・請求書は、次のような流れで作成・利用されています。
見積書の作成・発行
見積書は、営業部署の社員が、個別の商品価格や割引などの項目を所定のフォーマットにまとめて作成します。作成した見積書が適切かどうか、上長または特定の役職者による確認が行われるのが一般的です。
請求書の作成・発行
請求書と見積書はほぼ同じフォーマットを使用している会社も多いですが、請求書は会社間の正式な書類となるため、見積書よりも厳しく管理されます。見積書には社印を必須としない企業でも、請求書には社印が必要な場合がほとんどです。また、入金時期や口座情報も必ず記載しておきます。
PDFファイルなどでの発行も増えてきていますが、まだまだ紙の請求書を郵送するケースも多いです。
入金確認・消込
請求を行っても、必ず指定とおりに入金が行われるとは限りません。入金が遅延した場合や、入金漏れが見逃されていた場合は経営上のリスクになってしまいます。この口座への入金データと請求書を突き合わせて、入金が実際に行われたかをチェックする作業を「消込」と言います。件数が多いほど、消込作業は膨大な作業量になり、担当者の負担を大きくします。
入金確認ができたら、取引先に領収書を発行して送付します。
書類の保管
利用した見積書や請求書などの書類は「証憑(しょうひょう)書類」と呼ばれ、取引の証拠として7年間の保存が法律で義務づけられています。それぞれの書類の改ざんを防ぐため、見積書や請求書には1枚発行するごとに異なる管理番号を付与し、データでも紙面でも安全な場所に保管します。
また、見積書や請求書は、他案件の見積書や請求書の作成時の参考資料としても活用されます。
見積書・請求書に関する問題点
見積書や請求書に関連する業務には、以下のような問題点が見られるケースが多いです。自社にあてはまるものがないか、チェックしてみてください。
書類の作成や承認に時間がかかる
書類作成の際に、社内のフォーマットが定まっていなかったり、見積書の作成に必要な商品価格のデータや過去の書類を探せなかったりして、作成に時間がかかることがあります。また、見積書を作成しても、その承認を受けるまでに時間がかかるケースがあり、商談の機会を失ってしまうことがあります。
書類の郵送手配に人手と時間を割かれる
請求書の郵送を行う場合、印刷・押印・封入・投函といった郵送のための作業が必要です。取引先の請求書処理の都合で、月末など特定のタイミングに作業が集中したり、郵送手配のために一時帰社をせざるを得ず、業務スケジュールが非効率になったりすることがあります。部内や経理の人も巻き込んでしまうケースも多く、社内の関係者の負担になりかねません。
情報をまとめにくい
エクセルなどの表計算ソフトで作成した見積書や請求書は、書類としての体裁は整っていますが、売上目標達成率や見込み案件数の把握といった経営情報を得たい場合には、複数のファイルから情報を転記して計算・分析し、レポート化することが必要です。内部資料の作成に多くの時間を取られるのは、特に人数の少ない企業にとって非常に大きな問題です。
入金確認・消込が大変
入金の確認や消込は、少ない案件数ならまだしも、企業規模が大きくなり、取引先が増えるほどハードになります。数字に間違いがないか注意深く確認し、気になる部分があれば担当者や取引先への確認も必要です。入金元の名前がわからない場合や、入金が行われていないケースも多いです。入金のトラブルは会社のキャッシュフローに関わる問題になる場合もあるため、素早い処理が必要となります。しかし、消込作業が目視で行われていることも多く、担当者の大きな負担となっています。
書類の保管にスペースとノウハウが必要
書類には7年間の保管義務がありますが、その書類の保管のためのスペースや、必要なときに取り出して書類を確認できるようなファイリングが求められます。十分なスペースが取れないからと複数箇所に書類が分散したり、目的の書類が探せないような管理体制になったりしないよう注意が必要です。
見積書・請求書作成ツールの主な機能
最近の見積書・請求書ツールは、書類の作成だけでなく多くの機能が付随しています。主な機能について簡単に解説します。
書類作成のサポート機能
書類の作成をスムーズにするため、見積書や請求書、納品書や領収書などのテンプレートが提供されています。また、商品の名称や単価、取引先情報、電子印などを登録しておくことができ、簡単な操作でデータの入力や計算が可能になっています。
承認ワークフローの提供
承認用のワークフローも提供しているツールも多いです。複数人に同時に承認を求める機能や、進捗ステータスも管理画面からすぐにわかるようになっており、承認依頼の見落としが少なくなります。
経営情報の分析・レポート機能
見積書や請求書の情報から、売上見込み額や受注額合計、取引先別売上高などをシステムが自動的に計算し、グラフなどで可視化してくれます。マネージャーが意志決定をスピーディーに行うことができるようになり、組織全体の動きが効率化されます。
郵送作業の代行サポート機能
見積書・請求書作成ツールの中には、書類のデータだけでなく、郵送のための印刷・封入・郵送といった作業を代行してくれるものもあります(有料オプション)。低コストで利用できるため、社内人員がより生産性の高い業務に集中できるようになります。
入金確認・消込作業の自動サポート
銀行のサービスや会計用システムと連携し、入金確認や消込作業を自動的に行うことが可能なツールもあります。条件に完全に一致したものしか自動処理できないため、完全に作業がなくなるわけではありませんが、目視が必要な数が大幅に減ります。確認ミスも少なくなり、作業効率も高まるため、可能なら導入を検討したいサービスです。
安全・安心の書類保管サービス
今は多くのツールがインターネットのクラウド上で提供されています。データでの書類の保存も認められるようになっているため、自社内で保存するよりもデータとしてクラウド上に保存しておいた方が安心です。セキュリティ対策や、災害対策、バックアップなども充実しており、低予算で安心の保管スペースを得ることができます。オフィスのコストダウンやスペースの有効活用にも効果的です。
おすすめ見積書・請求書作成ツール(スタートアップ向け)
以下では、スタートアップ向けに見積書・請求書作成ツールの選び方と、おすすめツールについて解説します。
ツール選び3つのポイント
見積書・請求書作成ツールを選ぶ際は、以下のポイントを注意して選びましょう。
必要な機能の絞り込み
見積書・請求書作成ツールは、会計システムのサービスの1つとして提供されているものと、最低限のサービスのみを提供し、機能拡張は有料オプションとしているものがあります。欲張って多機能なものを選んでしまうと、コストが高くなってしまい、社員が使い慣れるまで時間がかかってしまうため、まずは必要な機能を絞り込んで導入するのがよいでしょう。慣れたころに少しずつ機能を追加していくと導入や学習もスムーズです。
社内システム・サービスとの連携
ワークフローや消込サポートなどの機能のために、他システムやサービスとの連携が必要な場合があります。これらの機能が必須の場合は、利用している社内システムやサービスと連携できるものを選んだ方が導入しやすく低コストで運用できます。
コスト
個人のスモールビジネスや、月々の取引数が少ない場合は、無料で利用できるツールも多いです。無料で利用できる範囲はツールによって異なるため、よく確認して選びましょう。ユーザー数、発行(送信)する書類数、有料オプションが価格を決定する主な要素ですので、随時調整しながら最適化することが大切です。
上記のポイントを押さえた、ITツールマスターのおすすめ見積書・請求書ツールを紹介します。
シンプルな見積書・請求書発行ツールなら「Misoca」
「misoca」は会計ソフトで有名な弥生株式会社が提供するクラウド見積書・請求書作成ツールです。実用的な機能を中心にシンプルにまとまっており、営業部門の書類作成や経理業務の効率化に威力を発揮します。競合と比較したときに、請求書の送付機能やサポートが充実しており、クラウドの画面上からすぐに取引先にメールを送ったり、郵送やFAXによる送付を依頼したりすることが可能です。また、売上の回収を助けるサービスや、各種会計・確定申告システムとの連携など、さまざまな業務の効率化をサポートします。
<費用>
プラン名 | 料金 | 備考 |
---|---|---|
無料プラン | 無料 | メンバー1名、請求書5通まで |
プラン15 | 800円/月 | ユーザー2名、請求書15通まで(※) |
プラン100 | 3,000円/月 | ユーザー5名、請求書100通まで(※) |
プラン1000 | 10,000円/月 | ユーザー30名、請求書1000通まで(※) |
※請求書作成数は1枚超過するごとにプラス70円。郵送は1通160円、FAXは1通60円
<主な機能>
書類作成、メール送信、自動作成予約、郵送代行サポート、売上レポート、決済サービス、その他
<URL>
https://www.misoca.jp/
会計業務の効率化を中心にするなら「会計freee」
「会計freee」は、インターネットのクラウド上で利用できる会計ソフトです。会計業務全般に対応しており、見積書や請求書の作成機能はその一部として位置づけられています。会計業務の効率化に効果的なサービスが多く実装されており、入金確認や消込のサポートに加え、一括振込用ファイルの作成も可能です。書類作成のために導入するには割高ですが、会計ソフトとして使いやすく高機能ですので、会計系のシステムを一新したい場合や、抜本的な業務効率化を考えている場合におすすめです。
<費用>
プラン名 | 料金 | 備考 |
---|---|---|
ミニマム | 1,980円/月 | 3ユーザー上限 |
ベーシック | 3,980円/月 | ユーザー上限なし(4人から有料オプション) |
プロフェッショナル | 39,800円/月 | ユーザー上限なし(11人から有料オプション) |
※上位料金は年払いの場合
※郵送は1件あたり150円(税抜)
<主な機能>
書類作成、自動記帳、メール送信、郵送サポート、経営レポート、入金確認・消込サポート、振込ファイル作成、その他
<URL>
https://www.freee.co.jp/houjin/
豊富な機能とシステム連携が強みの「MakeLeaps」
「MakeLeaps」は、見積書・請求書作成ツールの中でも、特に他システムとの連携に強いのが特徴です。銀行や会計システムとの連携によって、経理作業を大幅に削減することができますし、セールスフォースやSlackなどとの連携も可能です。書類作成に便利な機能も数多く実装されており、多くの関係者の業務を効率化してくれます。優れた画面のデザインによって、必要な情報をすぐに探すことができるため、情報処理や判断のスピードが高まり、ビジネスが活性化します。
<費用>
プラン名 | 料金 | 備考 |
---|---|---|
個人プラン | 500円/メンバー/月 | メンバー3名、取引先10社まで |
法人プラン | 800円/メンバー/月 | メンバー数、取引先数上限なし 取引先数により追加料金(※) |
※取引先数が10社以下なら無料。追加5社ごとにプラス~80円
<主な機能>
書類作成、作成予約、セキュア送信、承認・権限機能、作業時間管理、郵送代行サポート、口座連携、バーチャル口座機能、クレジットカード決済、その他
<URL>
https://www.makeleaps.jp/
無料で使える!書類作成・送付業務の効率化なら「Invoy」
「Invoy」は累計で5万ユーザー以上が利用している、書類作成・管理の機能を利用できる見積書・請求書ツールです。運営元(FINUX株式会社)の親会社(OLTA株式会社)がクラウドファクタリング(※)を行っており、そのシナジーを見込んだサービスとして無料で提供されています。シンプルですが、見積書や請求書、納品書、領収書などの書類をスピーディーに作成可能です。情報セキュリティに関する国際基準ISMSを取得しており、無料にも関わらず高いレベルでサービスが提供されています。
※クラウドファクタリング:インターネット上で売上債権を買い取るサービス。手数料がかかるが短期間で確実な入金を見込むことができる。
<費用>
プラン名 | 料金 | 備考 |
---|---|---|
Free | 無料 | |
Enterprise | お問い合わせ |
※郵送代行は1通147円(税抜)
<主な機能>
書類作成、メール送信、自動作成予約、郵送代行サポート、その他
<URL>
https://www.invoy.jp/
書類作成から経営レポートまでサポート可能な「board」
「board」は書類作成とさまざまな周辺業務の効率化に特化したツールです。本格的なERP(基幹システム)の導入が難しい企業でも、それに近い機能を利用できるようにしているのが特徴です。各種の書類の作成・管理を通し、営業・経理といった企業内のお金の流れや営業関連情報をしっかり把握できます。経営判断に役立つレポート機能や、捺印申請の承認フローも作成できるため、マネジメント業務のサポートに効果的です。多くの会計システムと連動しており、さまざまな業務の効率化が期待できます。
<費用>
プラン名 | 料金 | 備考 |
---|---|---|
Personal | 980円/月 | ユーザー数:1 |
Basic | 1,980円/月 | ユーザー数:3まで |
Standard | 3,980円/月 | ユーザー数:15まで |
Premium | 5,980円/月 | ユーザー数:50まで |
※書類の郵送は1通あたり170円
<主な機能>
書類作成、メール送信、郵送サポート、経営レポート、会計システム連携、捺印申請ワークフロー、経営レポート、その他
<URL>
https://the-board.jp/
まとめ
昨今の見積書・請求書の作成ツールには、書類作成機能だけでなく、会計業務や経営判断を助けるためのさまざまな機能が実装されています。社内の広い範囲にわたる業務効率化が期待できるほか、営業活動によるお金の流れをしっかりと把握することができるようになり、マネジメントの質を高める効果も期待できます。
ツールによって、提供されている機能・サービスの範囲は大きく異なります。導入時は、必要な機能をよく検討し、既存システムとの連携やコストを考慮して判断しましょう。
また、見積書・請求書作成のクラウドサービスでは、重要な書類や顧客・経営データを委託することになります。そのため、セキュリティ面や、サービス運営元の信頼性や経営状況もよく確認して選びましょう。加えて、クラウドサービスは契約後も新機能がどんどん追加されるため、サービスの理念や方向性についても考えて選ぶことをおすすめします。
見積書や請求書といった書類の発行や管理は、ビジネスの本質ではありません。こうした業務は、ツールの力を借りて効率化し、自社のビジネスの核となる部分に注力しましょう。
起業を支援する冊子「創業手帳」では、起業家インタビューを多数掲載しています。実際に起業を経験した先輩起業家の生の声が聞けますので、ぜひご覧ください。
(編集:創業手帳編集部)