スタバ、ヘルシア緑茶に学ぶマーケティングの4P・4C分析【起業家のための経営学講座】

創業手帳

マーケティング基本のフレームワーク「4P」と進化版「4C」

(2017/09/21更新)

製品やサービスのマーケティング戦略を考えるには、まず市場やターゲットを限定するために「STP分析」を行い、「マーケティングミックス(4P)」で具体的な施策を練るという流れが大切です。

今回は、マーケティング戦略を考えるフレームワークである「4P分析」と、4Pを発展させた考え方となる「4C分析」について、有名企業の事例を交えながら解説していきます。

マーケティングミックス(4P)とは

4Pとは、1960年代に体系化されたProduct(製品)、Price(価格)、Place(流通)、Promotion(販売促進)の4つの要素からなるマーケティングのフレームワークです。

「何を、いくらで、どのように販売するのか?」という点からマーケティングを考えるのが4Pの基本です。企業視点で考えるフレームワークとも言えます。

以下、4Pの各要素で考えるべき点について解説します。

Product(製品)

製品戦略。設定したターゲットに向けて、「何を売るのか?」を考えます。

例えば、製品の品質、性能、機能、パッケージデザイン、ネーミング、本質的な価値、など多角的な要素から具体化します。

Price(価格)

価格戦略。「いくらで売るのか?」を考えます。

商品のコストを基準に(小売店などを経由する場合は、そのマージンもあわせて)利益の出る価格を設定します。
支払い方法や割引についても考えることで、より具体的な検討ができます。

Place(流通)

流通戦略。「どこで売るのか?」を考えます。

自社の直接販売、ネットショップ、実店舗、代理店経由など、ターゲットに届く販売経路を設定しましょう。商品の在庫などの流通経路についても検討します。

Promotion(プロモーション)

プロモーション戦略。「どのように知ってもらうか?」を考えます。

製品によって、プル戦略とプッシュ戦略のどちらが適しているかは異なります。広告(テレビCM、雑誌広告、ちらし)戦略や、Webマーケティングなどどの方法が適しているかを検討します。

4P分析では、4つの項目がそれぞれ関連しているので、整合性が合うように考えていく必要があります。

例えば、「40代向けの製品を宣伝するために20代の若手俳優をモデルに起用する」「若者向けの製品なのに、新聞広告を打ち出す」という矛盾があると、うまく消費者に伝わらずに失敗してしまいます。

【事例】有名企業に学ぶ4P分析

それでは、4P分析は実際どのように活用すれば良いのか、有名企業の4P分析を見てみましょう。

Product(製品) Price(価格) Place(流通) Promotion(販売促進)
ヘルシア緑茶(花王) 茶カテキンが豊富で、濃く苦い緑茶。トクホのお茶で、体脂肪燃焼効果が期待できる。 通常の緑茶より割高。プレミアム感を出すことで「効きそう」という期待感がアップ。 花王には自販機がないので、コンビニで売り出し。ビジネスマンでも手に取りやすい。

 

テレビ等のマス広告で認知度アップ。プル戦略を効果的にとった。
ドモホルンリンクル エイジングケア化粧品。 1ヶ月分が3~4万円と高額。 電話やダイレクトメールなどの通信販売。コールセンターで丁寧にコミュニケーションする。 主婦が見る昼間の時間帯のテレビCM、新聞広告などのマス広告。
スターバックス コーヒー。国によってサイズや味も変える商品だけでなく、「サード・プレイス」(家でも職場でもない、第3の場所)という場所の価値も提供 1杯300円~500円。コンビニコーヒーや缶コーヒーよりは割高、ホテルラウンジや喫茶店よりは割安。 直営店。高めのコーヒーを好む人・ビジネスマンをターゲットにしていたので、1号店の場所として銀座を選ぶ。 広告宣伝を行わない。口コミ、店頭看板のみ。

 

それぞれ、ターゲット層に刺さる製品を、刺さる経路で販売していることがわかります。

「誰にでも受け入れられる商品」ではなく、「あなたのための商品」としてマーケティング戦略を練ることが成功につながるということが分かっていただけるのではないでしょうか。

4Pから4Cの時代へ?

経済が成熟してきた1990年代、企業視点の4Pをベースに、顧客視点で考える「4C」というフレームワークが登場します。
これは、売り手側の目線で製品・サービスの戦略を考えていた「4P」に対し、顧客側の目線で製品・サービスを考えるフレームワークです。

4Cは、

  • Customer Value(顧客価値)
  • Cost(顧客コスト)
  • Convenience(利便性)
  • Communication(コミュニケーション)

の4つの要素から成っています。

Product(製品)からCustomer Value(顧客価値)へ

顧客にとって、「製品を購入することで、どんな価値を得られるか」という視点で考えます。顧客の立場で、抱えている課題や満たしたい欲求をとらえ、それを解決・満たしてくれる製品を設計します。

Price(価格)からCost(顧客コスト)へ

「顧客がその製品を手にするまでにどのような負担が発生するか」という視点で考えます。金銭面だけでなく、購入にかかる時間や手間などの負担も加味して考えます。

Place(流通)からConvenience(利便性)へ

顧客の利便性を優先し、どの経路であれば入手しやすいかを考えます。実店舗であれば営業時間やアクセスの良さが重要ですし、Webであれば購入操作のしやすさ、決済方法の豊富さなどが大切です。

Promotion(販促)からCommunication(コミュニケーション)へ

顧客が「製品の魅力や情報が見つけやすいか」という視点で考えます。Webサイトのデザインや、双方向でやり取りできる機能の追加などが挙げられます。オペレーターを雇ってアフターサービスを充実させるという方法もあります。

【事例】有名企業に学ぶ4C分析

上記で紹介した4Pの事例を、4Cでとらえなおしてみましょう。

Customer Value(顧客価値) Cost(顧客コスト) Convenience(利便性) Communication(コミュニケーション)
ヘルシア緑茶(花王) お茶を飲むことで、体内脂肪を減らせる。 通常のペットボトル飲料より割高。 コンビニでいつでも買うことができる。 テレビ等でよく見るので信頼感がある。
ドモホルンリンクル 年齢肌に悩む自分にピッタリ合う化粧品が手に入る。 1ヶ月分が3~4万円と高額。通信販売の手間がかかる。 通信販売に申し込む必要がある。家から出ずに注文が完結する。 オペレーターの丁寧な接客。質問等にもすぐに対応できる。
スターバックス 落ち着ける店舗で、美味しいコーヒーを楽しめる。日常にある特別感を感じられる。 1杯300円~500円。 大都市のアクセスの良い場所にあり、行きやすい。郊外であれば、ドライブスルーもあって便利。 スタイリッシュな店員の丁寧な接客。カップに書かれたメッセージなどの特別感。

4Pが、どのような製品を作り販売戦略を立てるかという、売り手の目線からみた「プロダクトアウト」の考え方であるのに対し、4Cはそのすべてを顧客の目線からみた「マーケットイン」の考え方で分析を行います。
こうすることで、より市場のニーズに合わせた商品・販売戦略を立てられるようになります。

マーケティング戦略に4P・4C分析を効果的に活用しよう

残念ながら、モノが溢れる現代において「良い商品を作れば自然に売れていく」なんてことは、よっぽどのことがない限りありえません。重要なのは、自分が作った商品・サービスをどのように売っていくかを考えること。そこで役立つのが、様々なマーケティングの知識です。

戦略的にマーケティングを組み立てるためにも、今回ご紹介した4P・4C分析のフレームワークは非常に有効です。様々な角度から自社の商品・サービスを見ていくことで、新たな発見や気づきがあるかもしれません。

マーケティングミックスを効果的に活用して、経営戦略に役立てていきましょう。

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(執筆:創業手帳編集部)

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