企業アカウントのSNS運用で気をつけたいポイント3つ【頼藤氏連載その6】
いまからでも遅くない!フリーランスの広報に詳しい頼藤太希氏に聞く、起業家のためのSNS入門
SNSを活用したマーケティングを進めていくと、さまざまな課題に直面するでしょう。商品の認知度を高めたり、ブランドイメージを構築したり、自社のプレゼンスを上げていくために、SNSの運用は欠かせないものになっています。もはや、SNSの世界でいかに「人気者」になれるのかが、マーケティングでの勝敗を決めると言っても過言ではないでしょう。
ただし、SNSの運用には危ういところも多く、批判的なことばかり言う人もいます。常に気配りをしていないと一気に「嫌われ者」になってしまう危険性があるということを認識しておく必要があります。
今回は、SNS運用のシリーズの最終回として、SNS運用における注意事項をご紹介します。重要なポイントについて株式会社Money&Youの頼藤太希氏に解説いただきます。
Money&You代表取締役、マネーコンサルタント
中央大学客員講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、アメリカンファミリー生命保険会社(アフラック)にて資産運用リスク管理業務に6年間従事。2015年に(株)Money&Youを創業し、現職へ。女性向けWebメディア「FP Cafe」や「Mocha(モカ)」を運営。『SNS時代に自分の価値を最大化する方法』(河出書房新社)、『入門 仮想通貨のしくみ』(日本実業出版社)、『投資信託 勝ちたいならこの7本!』(河出書房新社)ほか著作・共著・監修書多数。日本証券アナリスト協会検定会員、ファイナンシャルプランナー(AFP)、日本アクチュアリー会研究会員。twitter→@yorifujitaiki
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この記事の目次
SNSの投稿で批判をうけるのはなぜか
ニュースでもよくSNSのマーケティングに対して「批判」を受ける、いわゆる「炎上」が話題になることがあります。発信する側に深い意図はなくても理解されずに批判を受け、時には商品のイメージを落とすことにつながる場合もあります。
批判には大きく分けて次の4つの種類があります。
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1. 本当に間違っているから批判する(例:人種差別的な発言に対する批判)
2. 妬みで批判する(例:高級車に乗っている行為に対する批判)
3. 批判するのが好きだから批判する
4. 内容と関係なく人格を否定したくて批判する
たしかに、1のように本当に批判されてしかるべき場合や、賛否両論あるようなテーマであったり、個人的な趣向によるものだったりする場合は、意見がわかれて当然です。しかし、2、3、4のような一方的な暴言は正直避けたいところです。
こうした意味のない「批判」をする発信者には「かまってほしい」という心理があるのでしょう。投稿内容をよく見てみるうと、実は「批判」といっても建設的な議論ではなく、一方的な誹謗中傷である場合が多く見られます。
要は標的は誰でもよくて、ただ何かを発信することで認めてもらいたいという思いを持った人が一定数いるということを肝に命じておくとよいでしょう。
一方、SNSの運用で成功している人は、どのような投稿をしているのでしょうか。もちろん、こうした人であっても一部の「アンチ」と呼ばれる人から攻撃を受けることがありますが、それよりも応援する人のほうが多いのです。
例えば、インスタグラムで成功した「エンゲル係数100%男子」こと山縣さんは、グルメに関する投稿をしていたのですが、写真の構図だけでなくキャプションに入れる文章を丁寧に、正直に書くことで共感を呼んでいます。まずいと思ったものはそのまま記したり、コメントに丁寧に対応したりと、誤解を招くような表現がありません。こうして、真摯に向き合うことでアンチからの攻撃があっても、他からのゆるぎない信頼による応援者が絶えず、炎上することなく人気を保ち続けています。
SNSの投稿では、不本意な批判を浴びないよう、実直に商品やサービスについて語りつづけることが共感を得る秘訣です。決して複雑なことをせず、シンプルに伝えるほうがよいでしょう。
SNS上での批判にはどう立ち向かう?
先ほど伝えたように尽力しても、やはり批判を受けてしまう可能性があります。不毛な意見に対して、いちいち真面目に返していたら身が持ちません。そこで、どのように立ち向かえばよいかを紹介します。
1、95%は気にしない
SNS上において、匿名で激しい批判や罵倒してくる人の多くは、かまってほしいだけかもしれません。とあるYouTuberが、動画に対する批判コメントに対応していたのですが、対応しても対応しても批判が終わらず、滅入ってしまったそうです。この場合、批判コメントをした人は、応戦をするのが楽しくてわざと言っている可能性があり、真意ではないのでしょう。とにかく、相手にしていると終わりが見えないので、スルーすることが大事です。
2、強い批判は挨拶と受け止める
時には「死ね」と言った強い批判に遭遇することもあるでしょう。このレベルになると現在では「犯罪」になる可能性もあるので、必要に応じて弁護士と対応を検討してもよいでしょう。ただし、訴えるには時間も手間もかかります。もちろんそういった批判をする側が100%悪いのですが、可能であればそういった批判はなるべく無視し、挨拶ぐらいの気持ちで受け止められるとよいでしょう。
3、本当の助言には耳を傾ける
批判の中にもきらりと光る意見が隠れている可能性があります。批判された内容に一喜一憂せずに、どのような意図があるのかを分析するとよいでしょう。これは、カスタマーサービスなどに寄せられた問い合わせへの対応と似ているかもしれません。意見が発生した背景を見極めて、プラスの取り組みに変えていきましょう。例えば、飲食店で喫煙できないことを批判された場合、それを単にスルーするのではなく、全席禁煙であることが事前に伝わってなかったことを反省して、ホームページを改修するなどの改善につなげることができるでしょう。
価値があるフォロワーかどうか、しっかり把握しよう
一時期、SNSのフォロワーを売買するサービスが利用され、問題になったことがありました。現在では、売買のビジネスは盛んではありませんが、フォロワーの数を「稼ぐ」テクニックというものは出回っています。実際、テクニック通りにすれば一定数まで増やすことはできますが、ターゲットではない人に向けてSNSで発信することで、意義が薄まります。
たしかに、SNSで拡散されることで瞬間的には利益につながるかもしれません。しかし、一時のブームで終わるのではなく、真のフォロワーとの信頼を構築していくためには、やはり「意味のある」フォロワーが重要です。フォロワー数だけをマーケティングの指標にしている方はあまりいないとは思いますが、数には捕らわれずに質にこだわるとよいでしょう。
フォロワーの質が高いほど、批判のような攻撃を外部から受けたとしても、真のフォロワーが守って応援してくれるはずです。それがコミュニティのいいところであり、最大の強みとなります。あなた自身が質の高い発信をし続ければ、フォロワーは自然と増えるものです。
まとめ
これまで、6回にわたって起業家がSNSでどのように発信すればよいのかをお話ししてきました。まず、SNSで発信することの心構えとして「継続性」をお伝えしました。次に、SNSの種類と特性ごとの使い分けについて。3回目以降は、SNS上での発信をするために必要な自分自身の価値アップについて方法を示しました。そして、最後である今回は、SNSではつきものの批判への対応についてです。
これまでご紹介したことを考慮して、SNSでのマーケティングはやらないというのも選択ですし、SNSマーケティングを頑張ってみようと思うも一つです。ただ、9割の人はSNS運用を続けるのが大変でやめてしまいます。SNSで成功している人はたった1割です。必ずしも、SNSだけが起業家にとって重要なマーケティング手法であるとは言えませんが、対面でアピールする機会が難しくなってきている昨今では、やはり不可欠でしょう。SNSをしないことであえて話題になるなど、よほど難しい戦略を持っていない限り、SNSでの発信は基本的なマーケティングとして必要です。
SNSでのマーケティングは、すぐに結果がでないのが常識です。名を売りたい起業家の皆さんにとっては、結果がなかなか見えずに疲れてしまうときもあるかもしれません。結果を焦るのではなく、自分の価値を見直し、棚卸しましょう。そして、人を魅了する発信をしていきましょう。SNSでの発信を武器にして、起業家として羽ばたいて欲しいと思います!
『SNS時代に自分の価値を最大化する方法』頼藤太希 河出書房新社
自分の魅力が数値化される現代ネット社会において、自分の価値を高めてSNSで発信していく方法が分かりやすく解説されています。キャリアアップ・転職・起業・就職に成功するための「私の力」の見つけ方、磨き方のスキルを知りたい方に。
(取材協力:
株式会社Money&You代表取締役 頼藤太希)
(編集: 創業手帳編集部)