中小企業が陥る採用活動の問題とは?人材不足を解消する採用成功へのポイントもご紹介

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中小企業の採用活動は難しい!人材不足解消のために対策は必須


中小企業は大手企業に比べる採用活動が難しいといわれています。なぜ難しいのかその理由をご存知でしょうか。

今回は、中小企業の雇用における現状をご紹介し、採用活動がうまくいかない理由を解説していきます。
新卒採用を成功させるコツもご紹介していくので、採用活動で悩んでいる中小企業の方は人材を確保するためにも、ぜひ参考にしてください。

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中小企業の雇用における現状


まずは、中小企業を取り巻く雇用の現状を解説していきます。

求人倍率は1.71倍で売り手市場が継続

求人倍率を見てみると、2024年3月の大学生及び大学院生対象の大卒求人倍率は1.71倍となっています。
新型コロナウィルスの影響で2021年3月卒の倍率は1.53倍まで下がりました。前年では1.83倍だったので大きく低迷したことがわかります。

その後も、2022年3月卒で1.50倍、2023年3月卒で1.58倍と、1.5倍台が続いていました。しかし、2024年3月卒では1.71倍まで回復したため売り手市場が継続し、採用意欲が高まっていることが調査結果によって判断できます。

それでも人手不足は解消されていない

売り手市場が続いていますが、従業員数過不足DIの推移を見てみると人手不足感が強まっていることがわかります。
従業員数過不足DIとは、現在会社に在籍している従業員の数が「過剰」と回答した企業の割合から「不足」と回答した企業の割合を引いた値を指します。
数値が下降すれば、人手不足が深刻化している証拠です。

従業員数過不足DIは、2013年代4四半期に建設業・製造業・卸売業・小売業・サービス業のすべての業種でマイナスになっています。
その後もマイナスは続いていましたが、2020年代2四半期に不足感が弱まり、製造業と卸売業のみプラスとなりました。
しかし、それ以降はすべての業種でマイナスが続き、2023年もなお人手不足が続いています。

中小企業の採用活動がうまくいかない理由


人手不足が続いている中小企業において、なぜ採用活動がうまくいかないのでしょうか?その理由を解説していきます。

1.労働人口の減少

中小企業の採用活動がうまくいかない理由のひとつとして、労働人口の減少が挙げられます。日本の人口は明治時代から上昇し、2000年頃まで上昇し続けていました。
しかし、それ以降は下降を続け、2020年に実施された国税調査によると、全国1,719市町村のうち人工が減少したのは1,419市町村にも上りました。
全体の82.5%にあたる地域で大きく減少していることがわかるでしょう。
今後人口はさらにマイナスへと続いていくと予想され、2030年には1億1,522万人、2050年は9,515万人、2100年は4,771万人程度になるといわれています。

労働人口の目減りは、中小企業の人材不足に拍車をかけてしまいます。
人口減における少子化対策がされなければ、今後さらに人材不足に陥る可能性があります。生産年齢人口の年齢が引き上げられるといった対応も考えなければいけません。

2.労働条件や待遇面のミスマッチ

働く条件や仕事内容は求職者にとって重要です。魅力的な待遇がなければ、就活や転職活動での選択肢に入ることも難しくなってしまいます。
中小企業が人材不足に陥りやすい理由として、労働条件や待遇面のミスマッチも挙げられます。

リモートワークや時短勤務、フレックスタイムの導入、副業の解禁、ワーケーションの利用など柔軟な働き方ができる企業は、求職者にとって魅力的です。
また、以下のような労働条件の良い会社も人気があります。

  • 出産や育児への理解がある
  • 休暇が取りやすい
  • 長時間労働にならない
  • 残業が少ない
  • 福利厚生が充実している

しかし、大企業と比較すると中小企業は不利になりやすいです。
人手不足を解消したいのであれば労働環境や待遇面を見直す必要があります。魅力ある会社にすれば、求職者も集まりやすくなります。

3.大手企業に比べて知名度がない

中小企業は大手企業と比較すると知名度が低いです。
大企業であれば認知されているため、求人を出せばすぐに求職者が集まりますが、認知度が低ければ溢れる求人の中から自社を見つけ出してもらうことも難しくなってしまいます。
そのため、求職者を求めるためには会社の知名度をアップさせる必要があります。

方法としては、採用ホームページでの情報発信です。求職者は企業の内側を確認してから応募をしていきます。
その際、企業について把握するためにはホームページの活用が有効です。
しかし、内容が薄ければ不明点も多く、魅力的に感じられないため「働いてみたい」といった気持ちにはなりません。

求職者の目を惹くためにも、ホームページや新卒採用サイトは充実した内容にしてください。

  • ブログで魅力ある労働条件や福利厚生を発信し続ける
  • 社員によるインタビューを掲載して会社の良さを伝える

内容が充実すればサイトに滞在する時間も長くなり、興味を惹くことにつながります。知名度をアップさせる努力をして人手不足解消を目指してください。

4.採用活動へのコストやリソースがかけられない

中小企業と大企業を比較すると、やはり採用全体にかけられるコストには大きな違いがあります。
限られた費用の中で活動を実施しなければいけないため、うまくいかないケースもあります。

求人広告を出すにも費用がかかります。無料で掲載できるハローワークや縁故採用、リファラル採用をメインにしている中小企業も多いです。

また、中小企業は社員の数が少ないため、採用業務のみを行う人材を確保することも困難です。
ほかの業務と兼任しながら採用業務も担うので、採用にかけられる時間が少なく、思うように活動が実施できない企業が多くみられます。

5.一般的な採用スケジュールよりも遅い

大手企業との同時期の採用スケジュールではどうしても大手企業に人材が流れてしまいます。
そのため、大手企業の選考に落ちてしまった人材を採用できるようなスケジュールを組んだり、秋採用を実施したりする中小企業も存在します。

大手企業と採用スケジュールをずらすことで一見対策ができているように感じますが、実際には苦戦する状況を作り出している可能性があるので注意してください。
大企業と同じ採用スケジュールを避けてしまうと、就活生の数もトップシーズンより少なくなります。
その結果、採用予定人数の確保が難しくなり、採用活動が長引くことになるかもしれません。

採用活動が長引けば、次年度の新卒採用活動の準備も遅れてしまいます。負のサイクルが続いてしまえば、人手不足は解消しないのでスケジュールを見直す対策が必要です。

中小企業が新卒採用を成功させるためのコツ


ここからは、中小企業が新卒採用を成功させるためのコツを解説していきます。
人手不足を解消するためにも重要な要素なので、ぜひ参考にして採用活動を行ってください。

どのような人材を採用したいのか明確にする

採用活動をする際に「優秀な学生が欲しい」「人が集まってくれればいい」といった考えのみで採用活動を始めてないでしょうか。
求める人物像が曖昧なままだと、どの企業でも欲しがるような人材をターゲットにしてしまうため、ほかの企業と人材を奪い合うことに発展してしまいます。
知名度の中小企業であれば、大企業や有名企業に人材が流出してしまうため、ターゲットは明確化させる点を忘れないようにしてください。
欲しい人材が明確化されていれば、ターゲットに合った広報が可能です。

  • 地道な作業を継続できる人材を確保したい
  • チャレンジ精神旺盛な人材を確保したい
  • 未経験でも様々なことを吸収できる柔軟な人材を確保したい

求める人材については、現場へのヒアリングが不可欠です。どのような人材が最適なのか意見を聞いて最適な人物の確保を目指してください。

これまでの選考スケジュールを見直す

一般的な採用スケジュールよりも遅く活動を行っているなら、一度スケジュールの見直しを実施してください。大学3年生の6月以前から就職活動を実施している学生も多いです。
同じような時期から採用活動を始める企業も多いですが、大手企業や有名企業も含まれるので学生の募集を増やすことも難しくなります。

そのため、大手企業や有名企業が活動を行う前から選考をスタートさせると人材の確保がしやすくなるケースもあります。
早い段階からの活動では「何をすれば良いのかわからない」と考えるなら、短期のインターンシップを実施するのもおすすめです。
業務内容や社風を直接伝えられるメリットがあります。

新しい採用手法を取り入れる

新卒者を確保するためにも、新しい採用手法を導入するのもおすすめです。どういった方法があるのか解説していきます。

ソーシャルリクルーティング

ソーシャルリクルーティングは、TwitterやInstagram、FacebookといったSNSを活用した採用活動です。
2000年以降から利用する企業が増えてきました。若い学生ほどSNSを活用しているため、新卒採用に有利なツールだと考えられます。

ソーシャルリクルーティングの魅力は無料で活動ができる点です。情報発信を地道に行い、拡散できれば中小企業でもフォロワーを集められます。
シェアや拡散と通じて、通常の求人媒体ではリーチできない優秀層、活動を実施していない潜在層にも存在を認識してもらえる点も魅力です。

各SNSの特徴を知り、自社に合った方法で情報発信をしていくことがポイントです。
運用方法についてしっかりと策定し、誰がどのように運用していくのかも細かく決め、長期的な運用を目指してください。

ダイレクトリクルーティング

企業が求職者に向けて直接アプローチを実施する採用手法がダイレクトリクルーティングです。
人材データベースを活用してスカウトメッセージを送るほか、SNSを活用して直接アプローチを実施する方法、採用イベントや社員や退職者からの紹介によるリファラル採用があります。

求めている人材に直接アピールができ、関心を持った人材のみに絞って活動が進められるので、採用後のミスマッチを減らすことにもつながります。

ミートアップの開催

共通の目的を持った人が集結する交流会をミートアップといいます。
主催者がイベントのテーマをSNSや自社サイトで告知し、興味を持った人が集まり交流が行われる仕組みです。
ミートアップは2015年頃から採用手段として活用されています。集結した人たちに自社の魅力を直接伝えられ、求職者は企業についてより理解を深められるでしょう。

費用がかかると考える方もいますが、開催場所や開催規模は自分たちで決められます。オンラインで実施すれば場所代も必要ないため、低コストでの開催も可能です。

中小企業が中途採用を成功させるためのコツ


人材の獲得を目指している中小企業が採用活動を成功させるコツを解説していきます。

条件・待遇面の見直しを図る

業務内容や給与、福利厚生といった条件や待遇面から会社選びをする転職者は多いです。
「残業が多い」「休みがとりにくい」「給料が低い」といった理由から転職を決意するためです。

そのため、転職者を確保したいのであれば条件や待遇面の見直しを図ってください。働きやすい制度を設ければ魅力が生まれます。

  • 住宅手当
  • 各種資格手当
  • 長期休暇制度
  • 特別休暇
  • フレックス制度
  • 時短勤務  など

人材育成の環境・体制を整える

「スキルや経験が浅くても応募したい」と考える転職者もいます。そういった方々のために人材育成の環境や体制を整えることも大切です。

  • OJT
  • OFF-JT
  • メンター制度
  • MBO
  • 1on1ミーティング
  • コーチング

学べる環境や人材を育成できる環境を備えておけば、転職者も不安なく応募できる仕組みを確立できます。

中途採用でのNG行為に気を付ける

中小企業の中途採用におけるNG行為にも注意してください。例えば実態とは異なる情報を伝達するケースです。

求人票と給与が違う、残業があるにもかかわらず「ほとんどない」と嘘をつくといった内容です。嘘をついてしまうと悪評が立ちSNSで拡散されてしまう危険もあります。
ブラック企業認定されれば採用活動はさらに困難になってしまうので注意してください。

また、内定後のフォローも重要です。内定を出したからと安心して放置をしてしまうと内定者は不安になってしまいます。
中には内定を辞退される可能性もあるので懇親会や面談の実施など、フォローは確実に行ってください。

採用活動を効率化させる

採用活動ではSNSの活用や自社ホームページの充実化を図るなど、転職者に魅力を感じられる企業になる必要があります。
しかし、人手が足りない企業ではSNSでの発信やホームページの見直しに時間を割くことが困難になってしまいます。
採用活動に時間を割けないのであればスケジュール通りに採用活動が進められません。

そのような時には、採用管理システムの活用や採用活動を専門家に依頼するなどの方法で効率化を図ってください。
採用管理システムを活用すれば、活動に必要な業務を一元管理でき、管理業務の負担を減らせます。費用はかかりますが、人手不足の解消と優秀な人材確保も可能です。

まとめ

中小企業は大手企業と比較すると採用活動が難しいです。人材不足を解消したくても、知名度の低さやコストがかけられないといった観点から採用活動がうまくいきません。
新卒採用や中途採用を成功させたい場合は、スケジュールや採用手法、待遇面の見直しなどを実施すると採用活動の成功につながります。

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(編集:創業手帳編集部)

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