東京都での開業を検討中の方必見!商店街での開業では助成金が活用できます

創業手帳

東京都の商店街での開業には2つのどちらかの助成金を活用しよう!

東京都内での開業をお考えなら、ぜひ都内商店街での開業を検討してみてください。都内商店街で開業する場合、「若手・女性リーダー応援プログラム助成事業」と「商店街起業・承継支援事業」というふたつの助成金に申請できます。

これら助成事業では、店舗新装や改装工事費、宣伝・広告費として250〜400万円、店舗賃借料(家賃補助)として月12〜15万円を上限とした助成金が受けられます。

本記事では、東京都の「若手・女性リーダー応援プログラム助成事業」と「商店街起業・承継支援事業」について解説していきます。

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商店街の現状について

助成金を紹介する前に、まずは都内商店街の現状について少し解説します。都内商店街での開業をご検討する際に以下の情報をご活用ください。

具体的には、東京都産業労働局が作成した令和元年度「東京都商店街実態調査報告書」を参考に、都内商店街の実態についてお伝えします。ちなみに「東京都商店街実態調査報告書」は、東京都内の全商店街(2,447商店街)を対象にして行われたアンケート調査です。

都内商店街数の推移




上記表の通り、都内商店街数は減少の一途をたどっています。直近では、平成28年の調査から令和元年10月の間で88件の減少が見られます。

商店街数の減少は、商店街にとってはまさしく「死活問題」なので、商店街への新規参入は商店街代表者などに喜ばれるでしょう。事実、今回紹介する助成金制度も、商店街の復興や空き店舗の解消を目的に運営されています。

また商店街数が減少しているということは、空き店舗が増加しているということなので、新規参入の難易度も比較的低いと言えます。

商店街の景況


令和元年度の調査では、商店街の35.2%が現在の景況について「衰退している」と答えました。次いで「良くも悪くもない」と答えた割合が27.8%と高くなっています。

しかしながら、「衰退している」「良くも悪くもない」の合計は平成25年度、平成28年度と比べるとだんだん小さくなっており、過去10年間で都内商店街の景況はやや盛り返してきているとも考えられます。この点は、これから都内商店街での開業を目指す方にとっては、プラスの要素だと言えるでしょう。

 

商店街の課題


商店街が抱えている主な問題点として最も割合が高かったのは、「後継者が不足している」で68.4%です。次いで「商店街に集客の核となる店舗がない、あるいは弱い」が43.6%と高くなっています。

この二つの問題点については、平成25年、平成28年の調査でも同様の高い割合を記録しており、過去10年間で商店街が抱える課題が解決されていない現状を示唆していると言えます。

事実、後継者不足については、9割程度の商店街が対策を行っていないと回答しました。高齢化の進行や商店街以外の商業の進展などに加え、昨今は新型コロナウィルス感染症の影響もあることから、商店街の課題はより深刻化している可能性もあります。

以上のことから、現在の都内商店街においては、商店街を活性化させられるような新規事業を開業しようという人材や、商店街の既存店舗の後継者になる意欲のある人材は重宝される可能性が高いです。

都内商店街での開業で使える助成金とは

都内商店街で開業する場合、「若手・女性リーダー応援プログラム助成事業」と「商店街起業・承継支援事業」というふたつの助成金が活用できます。「若手・女性リーダー応援プログラム助成事業」に申請する場合は、両者の併願申請も可能です。

以下では、それぞれの助成事業について詳しく解説するので参考にしてください。

 

若手・女性リーダー応援プログラム助成事業

若手・女性リーダー応援プログラム助成事業は、都内商店街での開業を目指す若者や女性を後押しするプログラムです。都内商店街にて開業予定で、実店舗を持たない女性と令和5年3月31日時点で39歳以下の男性が申し込めます。

  

補助対象者

若手・女性リーダー応援プログラム助成事業の補助対象者は以下の通りです。

  • 「女性」もしくは「年度末時点で39歳以下の男性」
  • 都内商店街で開業予定の個人(創業予定者もしくは個人事業主)
  • 独創的な事業プランを考え、主体的に商店街活性化に取り組む意欲のある方

上述の通り、若手・女性リーダー応援プログラム助成事業は、創業予定の個人や個人事業主を想定した事業です。そのため、法人は原則として申請することができません

法人の代表者が別途個人事業主として開業手続きを行った場合や、法人を設立したものの事業を始めていない場合なども申請はできないので注意しましょう。法人で助成金を活用したい場合は、後述の「商店街起業・承継支援事業」の申請を検討することをおすすめします。

なお、繰り返しになりますが、「若手・女性リーダー応援プログラム助成事業」は後述の「商店街起業・承継支援事業」との併願申請が可能です。ぜひそちらの申し込みもあわせて検討してみてください。

  

補助対象業種

若手・女性リーダー応援プログラム助成事業の補助対象業種は以下の通りです。

卸売業・小売業
  • 各種商品小売業
  • 織物・衣服・身の回り品小売業
  • 飲食料品工事業
  • 機械器具小売業
  • その他の小売業
不動産業・物品賃貸業
  • 不動産取引業
  • 不動産賃貸業・管理業
  • 物品賃貸業
学術研究・専門・技術サービス業
  • 写真業
宿泊業・飲食サービス業
  • 宿泊業
  • 飲食店
  • 持ち帰り・配達飲食サービス業
生活関連サービス業・ 娯楽業
  • 洗濯・理容・美容・浴場業
  • その他の生活関連サービス業
  • 娯楽業
教育・学習支援業
  • その他の教育・学習支援業
医療・福祉
  • 療術業
サービス業(他に分類されないもの)
  • 機械等修理業

上記を見て、開業予定の事業が該当するか不明な場合は、公社助成課にお問い合わせください。

 

補助対象経費・助成率・助成限度額・対象期間

 若手・女性リーダー応援プログラム助成事業の補助対象経費(経費区分)、助成率、助成限度額、助成対象期間は以下の通りです。

経費区分 助成率 助成限度額 助成対象期間
事業所整備費/ 店舗新装・改装工事費 3/4以内 400万円 交付決定日から
開業日の翌々月末
(最長1年間)
事業所整備費/設備・備品購入日(税込10万円以上)
事業所整備費/宣伝・広告費(上限150万円)
実務研修受講費 2/3以内 6万円
店舗賃借料 3/4以内 1年目:180万円 (15万円/月)
2年目:144万円 (12万円/月)
交付決定日から
2年間

上記の通り、店舗新装や設備費などに加え、研修の受講費や家賃補助も出るため、心強い助成制度だと言えるでしょう。ただし、助成金は交付決定後、全3回後払いで支払われます。そのため、しばらくの運転資金を用意しておく必要があります。
 
 

商店街起業・承継支援事業

商店街起業・承継支援事業は、年齢や性別、個人・法人を問わず、商店街活性化に意欲があるさまざまな方が申請できる助成制度です。都内商店街での「開業」はもちろん、既存事業と異なる分野へ進出する「多角化」、店舗を引き継ぐ「事業承継」に伴う店舗改装などに関しても助成が受けられます。

  

補助対象者

商店街起業・承継支援事業の補助対象者は以下の3通りです。

  • 開業:開業予定者が新規に実店舗を開設する場合
  • 多角化:既存事業とは異なる分野へ進出する中小事業者が新規に実店舗を開設する場合
  • 事業承継:中小企業者の後継者が引き継ぎ、店舗改装等をする場合

 

補助対象業種

商店街起業・承継支援事業の補助対象業種は以下の通りです。基本的に上述の「若手・女性リーダー応援プログラム助成事業」の対象業種と変わりません。

卸売業・小売業
  • 各種商品小売業
  • 織物・衣服・身の回り品小売業
  • 飲食料品工事業
  • 機械器具小売業
  • その他の小売業
不動産業・物品賃貸業
  • 不動産取引業
  • 不動産賃貸業・管理業
  • 物品賃貸業
学術研究・専門・技術サービス業
  • 写真業
宿泊業・飲食サービス業
  • 宿泊業
  • 飲食店
  • 持ち帰り・配達飲食サービス業
生活関連サービス業・ 娯楽業
  • 洗濯・理容・美容・浴場業
  • その他の生活関連サービス業
  • 娯楽業
教育・学習支援業
  • その他の教育・学習支援業
医療・福祉
  • 療術業
サービス業(他に分類されないもの)
  • 機械等修理業

繰り返しになりますが、ご自身の事業が助成の対象かわからない場合は、公社助成課にお問い合わせください。

 

補助対象経費・助成率・助成限度額・対象期間

 商店街起業・承継支援事業の補助対象経費(経費区分)、助成率、助成限度額、助成対象期間は以下の通りです。

経費区分 助成率 助成限度額 助成対象期間
事業所整備費/ 店舗新装・改装工事費 2/3以内 250万円 交付決定日から
開業日の翌々月末
(最長1年間)
事業所整備費/設備・備品購入日(税込10万円以上)
事業所整備費/宣伝・広告費(上限100万円)
実務研修受講費 2/3以内 6万円
店舗賃借料 2/3以内 1年目:180万円 (15万円/月)
2年目:144万円 (12万円/月)
交付決定日から
2年間

若手・女性リーダー応援プログラム助成事業と同様、こちらの事業でも店舗賃借料も含めて助成が受けられます。

申請時の注意点

「若手・女性リーダー応援プログラム助成事業」および「商店街起業・承継支援事業」の申請時の注意点は以下の通りです。

  • 開業予定の店舗が決まっていること(契約前でもOK)
  • 開業が交付決定日(第1回:令和4年8月1日、第2回:令和4年 11 月1 日、第3回:令和5年2月1日)以降であること
  • 申請時点で当該商店街にある商店街振興組合、商店会等の組織の代表者等から承諾を受けていること(当該商店街には助成事業終了後も加入し続けること)
  • 所定の申請対象業種に該当していること
  • 「実務研修」および「経営知識習得に係る研修」を過去3年以内に受講していること

なお、研修の受講の規定に関しては、就業経験などによっては免除される場合もあります。

研修の受講や資格取得が必要

申請者は、経営に関する知識を証明するために以下のような研修を受講する必要があります。ただし、1年程度の経営実務経験があったり、経営などに関する資格を有していたりする場合は受講が免除されます。

主催者 研修
(公財)東京都中小企業振興公社 商店街起業促進サポート事業(商店街開業プログラム)、TOKYO起業塾、女性起業ゼミなど
東京都内商工会議所
東京都商工会連合会・商工会
創業者向けセミナー、創業ゼミナールなど
国、都道府県、区市町村
金融機関(銀行・信用金庫等)
上記に類する創業・起業支援セミナー
特定創業支援等事業など

また申請者は申請する事業に関する実務知識を証明するために以下のような研修の受講や資格が必要になります。ただし、開業する事業と同行他社で1年程度の就業経験があったり、申請する事業に必要な資格を有していたりする場合は必要ありません

種類 内容
研修 商品知識、申請する業種のスキルアップ講習など
資格 食品衛生責任者、ソムリエ、美容師、宅地建物取引士など

申請方法

若手・女性リーダー応援プログラム助成事業および商店街起業・承継支援事業の申請は、所定の期間内に申請エントリーを行い、申請書類を提出することで完了します。以下では申請エントリーと申請書類提出についてそれぞれ詳しく解説します。

なお、申請スケジュールについては後述の内容を参考にしてください。

1. 申請エントリー

申請エントリーを行うには、事前に「ネットクラブ会員サービス」の登録が必要です。まずは会員登録ページでメールアドレスを入力し、案内に従ってネットクラブ会員サービスの登録を済ませてください。

ネットクラブ会員登録が完了すれば、申請エントリーを行えます。事前のアンケートに回答し、その後出てくるエントリーフォームに必要事項を入力しましょう。

なお、2つの事業を併願申請する場合、申請エントリーは1回だけで構いません。

2. 申請書類提出

申請エントリー後、必要な申請書類を所定の日時までに以下の送付先に提出しましょう。

〒101-0022
東京都千代田区神田練塀町3-3 大東ビル4階
(公財)東京都中小企業振興公社 助成課 商店街助成事業担当 宛

提出の際は、簡易書留やレターパック、宅急便等の記録が残る方法を選択し、封筒の表に「申請書類在中」と明記してください。持参やメール、FAXなどでは提出できないので注意しましょう。

また必要な申請書類は人によって異なります。助成事業の公式サイトに「申請必要書類一覧」というExcelファイルがありますので、詳しくはそちらをご確認ください。

申請エントリーおよび申請書類の提出後、一次審査(資格・書類審査)、二次審査(面接審査)が実施され、助成対象者(交付を受ける者)が決定します。

申請スケジュール

令和4年度の若手・女性リーダー応援プログラム助成事業および商店街起業・承継支援事業は、計3回の実施が予定されています。それぞれの交付決定までのスケジュールは以下の通りです。

募集回 第1回 第2回 第3回
申請エントリー(ホームページ) 4月5日(火)〜4月19日(火) 6月27日(月)〜7月14日(木) 9月26日(月)〜10月14日(金)
申請書類提出期間(郵送) 4月下旬〜5月上旬 7月下旬〜8月上旬 10月下旬〜11月上旬
書類審査 5月下旬〜6月中旬 8月下旬〜9月中旬 11月下旬〜12月中旬
面接審査 7月上旬 10月上旬 令和5年1月上旬
交付決定日(予定) 8月1日 11月1日 令和5年2月1日

なお、助成金は交付決定後、全3回後払いで支払われます。支払われるタイミングは、①開業後、②交付決定日から賃借料支払い1年経過後、③同2年経過後の3回です。助成金額は実績報告や完了検査などに基づいて確定され、完了検査から約2ヶ月後に交付されます。

申請後、すぐに一括で交付されるわけではないため、ゆとりのある資金計画を立てた上で申請を行うのが良いでしょう。

商店街の空き物件を検索するには

これから開業する商店街の店舗を探す場合は、ぜひ「TOKYO商店街空き店舗ナビ」を活用してみてください

TOKYO商店街空き店舗ナビでは地図上で選んだり、地域や駅を指定したりすることによって、都内商店街の空き店舗を簡単に検索することができます。

ただし、TOKYO商店街空き店舗ナビに掲載されている物件がすべて商店街に加入できるとは限らないため、気になる店舗があれば、商店街担当者に確認を取って加入の可否を確かめるのがおすすめです。

よくある質問

以下では、若手・女性リーダー応援プログラム助成事業および商店街起業・承継支援事業の申請に関するよくある質問にお答えします。

Q. 都内商店街には商店街連合会なども含まれますか

A. 商店街連合会など、複数の組織が連合して作られた団体は含まれません。

Q. 共同経営者がいるのですが、複数の名前で申請する事は可能ですか

A. できません。これら助成事業では共同経営を対象としていないため、個人であれば1名、法人であれば1社で申請を行ってください。

Q. 昼間はパソコン教室、夜間は学習塾やカルチャースクールを開業したいです。2つの業種で申請することができますか

A. 申請できます。店舗で複数事業を同時に行い、それらが所定の対象業種に該当していれば申請可能です。

Q. 自分が開業する店舗がどの商店街に該当するか分かりません。どうやって調べればよいですか

A. 開業予定の区市町村にお問い合わせください。申請の際は、商店街の代表者等から出店の承諾を得なければならないので、代表者の連絡先なども教えてもらいましょう。

過去の採択率

若手・女性リーダー応援プログラム助成事業および商店街起業・承継支援事業は、令和2年度と令和3年度にもそれぞれ2回ずつ実施されており、採択倍率は以下のようになっています。

令和2年度(全2回) 令和3年度(全2回)
申請者数 採択数 採択倍率 申請者数 採択数 採択倍率
若手・女性 65件 13件 5.0倍 85件 18件 4.7倍
商店街 108件 43件(30件) 2.5倍(3.6倍) 151件 47件(29件) 3.2倍(5.2倍)

※()内は併願申請のうち、若手女性事業採択者を除いた商店街事業の採択者の数です。

上記の通り、過去の採択倍率は2.5倍〜5.2倍であり、倍率は比較的高いと言えます。

しかしながら、令和4年度は合計で3回チャンスがあるため、複数回申し込むことによって、採択の可能性を高められるでしょう。よって、都内商店街での開業に関心のある方は、積極的に申し込んでみるのがおすすめです。

まとめ

 今回紹介した「若手・女性リーダー応援プログラム助成事業」および「商店街起業・承継支援事業」では、店舗工事費や設備費などに加えて、2年間の家賃補助も受けられるため、積極的なご活用をおすすめします。

ただし、助成金の交付は、開業後と交付決定日から1年経過後、交付決定日から2年経過後の3回にわけて後払いされます。すぐに全額一括でもらえるわけではないため、ゆとりのある資金計画を設定した上で申請しましょう。

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(編集:創業手帳編集部)

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