税理士との二人三脚で窮地を乗り越えさらなる成長へ

※このインタビュー内容は2018年04月に行われた取材時点のものです。

株式会社ファインディックス 柳井利明社長インタビュー

(2018/04/09更新)

税務や経理はもちろん、創業時の資金調達など、税理士の支援を受けるメリットはさまざまです。では、それが、わが国最大級の税理士集団TKC全国会に所属する税理士だった場合はどうなるのでしょうか。TKC会員の支援によって会社の土台を作り、共に窮地を乗り越え、さらなる成長をうかがう株式会社ファインディックスの柳井利明社長に、税理士の存在について話を聞きました。

税理士の支援を受けて創業時の土台づくりに取り組む

ー創業の経緯を教えてください。

柳井:ファインディックスを設立する前は、長年総合商社で勤務し、複数の子会社で会社経営に携わりました。その商社の経営者は、売上高6,000億円をあげる巨大な組織を一代で築き、人間的な魅力と強烈な個性をお持ちでしたので、その直下で師事することで経営に関して多くのものを学びました。

退職後も、学んだことを何らかの形で社会に還元できないかと考えていました。また商社時代の元部下で現在の専務から起業を勧められ、協力を惜しまないとの申し出があったのです。

そうした中、商社時代に付き合いがあった仙台の情報システム会社の社長から、起業に協力したいので準備をしないかとの打診を受け、2005年に就任しました。これがファインディックスの前身です。

ー創業時は税理士からどのような支援を受けましたか?

柳井:小松原貴志先生には、会社の財務面での仕組み作りを支援していただきました。

実は、当初銀行から紹介された他の税理士の支援を受けていたのですが、私と意見が合わないことが多く、再び銀行へ相談して代わりに紹介されたのが小松原先生でした。ちょうど仙台の会社から離れて、ファインディックスを起業した2006年の頃です。

当時は、半年を切った第一期の決算までに資金の流れを整理することが喫緊の課題でした。このため、小松原先生には付きっきりでご指導いただき、打ち合わせを重ね、調整のために東京と仙台の間を往復していただいたのです。互いに大変な思いをしましたが、なんとか間に合わせることができました。

こうしてつくった仕組みが当社の土台になっており、小松原先生にはとても感謝しています。

柳井正氏の言葉に後押しされ税理士と一緒に窮地を乗り越える

ーその後の事業展開は順調でしたか?

柳井:いいえ。とりわけ2008年のリーマンショックによる業績への影響は深刻なものでした。

あっという間に仕事が半数以下にまで落ち込んでしまったのです。決算では資本金の4倍超の巨額損失が見込まれると分かり、小松原先生と相談して、会社の方向性を真剣に悩みましたが、結論は出ませんでした。

転機は、株式会社ファーストリテイリングの柳井正会長との偶然の出会いです。街中で行きあい、意を決して声を掛けると、立ち話に応じていただけました。柳井会長は「決断を大切にし、決めたら突っ走るしかないよ」と。私ははっとし、すぐに専務へ電話で「増資して会社を続ける。みんなにも伝えてくれ」と指示したのです。

ー柳井会長の言葉が後押ししてくださったのですね。

柳井:はい。まずは当面の運転資金を確保し、増資を行い、次いで5カ年の経営計画を見直して銀行との融資継続交渉へ臨みました。担当者は良い顔をしていませんでしたが、顧客は増えており入金も継続していること、業界の将来展望や有望な技術、今後の事業構想などを説明し、融資継続が妥当であると粘り強く訴えました。特に、借入金返済を一度も遅滞していないことを主張できたのはよかったと思います。

この間、小松原先生とは頻繁に連絡をとりました。銀行からの融資の他に政府系金融機関や補助金など選択肢をいくつも教えていただき、気持ちが軽くなりました。結果的に、銀行から承認が得られましたが、綱渡りのような体験でした。

海外展開の検討が必要な時代 期待される税理士による支援


柳井社長をはさんで小松原会計事務所の小松原貴志顧問税理士(右)と藤井宏範監査担当

ー2016年にはミャンマーに子会社を設立したとうかがいました。

柳井:はい。商社時代の経験から、社業をもって国と国民に最も貢献できるのはミャンマーだと思っていました。そこで政情が落ち着いた2015年に、当社創業のきっかけをつくってくれた専務が現地を初めて視察し、その後も設立事務、設立後の経営まで任せています。日本から現地法人への発注は一切行わず、現地法人社長に就任した専務を中心に新規顧客を開拓しています。小松原先生には、源泉税や事業税の取り扱いなど相談に乗ってもらっています。

これからの時代は国内マーケットだけでは将来が不安で、海外展開の検討は必然です。たとえば東南アジアの大国インドネシアの年少人口(0~14歳)は日本の1,700万人に比べ、7,300万人で、4倍を超えます。教育熱心な国でもあり、将来性は非常に有望といえます。

ミャンマーへ進出の際は手続きなどを自前で行いましたが、今後新たな海外進出の際は、小松原先生にサポートをお願いすることになります。現地の法律や商慣習はさまざまで、専門家の支援が得られることはとても安心です。

ー最後に、創業者に向けてメッセージをお願いします。

柳井:起業して社員を雇用することは、重い責任・多くの苦労を背負います。創業者の皆さんには、こうした苦労に正面から向き合ってほしいと思います。

ある高僧から、苦労を背負った経験は自分の糧になり、自身の哲学の源泉となり、将来の自分を守る盾になるとの話を聞いたことがあります。責任や苦労から逃げず、覚悟をもって人生を歩んでください。応援しています。

ー小松原先生から、税理士の立場でアドバイスをお願いします。

小松原:起業を考えている方と面談していると、強い思いや素晴らしいアイデアを持っているにも関わらず、計画が不十分なため、実現が難しいと思うことがよくあります。創業計画には、融資や必要資金を含めた収支の計画をしっかり反映させ、実現可能性を高める努力をしてください。そのためにも、ぜひ税理士などの専門家を活用していただきたいと思います。活躍を祈念しています。

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(編集:創業手帳編集部)



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