法人設立は自分で行える?方法やかかる費用について解説!
会社設立の手続きや費用。自分で行う場合と専門家に依頼する場合のポイントを詳しく解説します
これから会社を設立しようとしている人にとっては、どのような手続きが必要なのか、また費用はどれくらいかかるのか疑問に思うところでしょう。
自分で手続きを行うか専門家に依頼するかのほか、設立する会社の形態によってかかる費用は異なります。自分が経営者となって会社を起ち上げる際には、手続きの内容や費用について、よく理解した上で臨む必要があるのです。
今回は、会社設立の手続きの流れや費用について詳しく解説します。
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この記事の目次
法人設立をするメリット
法人設立をすると、以下のようにさまざまなメリットを享受可能です。外部からの評価が上がったり、節税の手段が増えたりします。
- 対外的な信用が向上する
- 金融機関から融資を受けやすくなる
- 節税対策になる
- 有限責任になる
法人という形態をとることで個人事業主よりも信頼性が増し、取引先や金融機関からの見え方が変わります。好条件の取引につながりやすい、融資を受けやすいなどの働きが期待できるのです。
経費範囲の拡大や赤字の繰り越しなど、法人ならではの節税効果も少なくありません。会社の負債などを背負う範囲が有限となるのも、法人と個人の違いです。
多くのメリットを事業に活かせるのは、法人設立による魅力となります。
詳しくは、以下の記事をご確認ください。
法人の種類とは?株式会社と合同会社の違い
法人を設立する際は「株式会社」「合同会社」の2種類から選ぶことになります。以下に各法人の特徴をまとめました。
法人の種類と違いをよく理解した上で、どちらの形態で法人設立を行うかを決めなくてはなりません。
特徴 | 株式会社 | 合同会社 |
---|---|---|
メリット | ・社会的な信頼度が高い
・株式による資金調達ができる |
・設立や維持にかかるコストが低い
・自由な経営がしやすい |
デメリット | ・設立コストが高い
・決算公告などの手間がある |
・上場ができない
・資金調達しにくい |
株式会社の特徴
株式会社は、株主が会社に資本金を提供し、経営者がその資本金をもとに経営していくのが特徴です。会社に利益が発生した場合は、株主に利益の配当が行われます。
お金を出している出資者と、実際に事業を営む経営者が分離しているのもポイントです。株主は会社経営に直接関与しませんが、株主総会において意見を出せます。
株式の発行により資金調達ができ、社会的な信頼度も十分に得られる形態です。反面、設立費用は合同会社の倍以上かかるケースがあり、決算公告といった特有の手間も発生します。
合同会社の特徴
合同会社は、会社経営者が自ら出資者となって資本金を出し、会社を経営する持分会社の形態です。
出資者と経営者とが同じであることから、重要事項の意思決定などを素早く柔軟に行えます。また、経営者のほかに純粋に出資のみ行う人もいます。
経営者をはじめとする出資者は、株式会社と同じく有限責任となり、倒産の際には出資額以上の負担を負うことはありません。
合同会社は株式会社に比べて信頼度が劣るものの、設立費用の安さや維持コストの低さが魅力です。資金調達力はあまり高くないため、小規模経営に向いているでしょう。
具体的な法人設立の手続き
ひとくちに会社設立の手続きといっても、具体的にはどのようなものがあるのでしょうか。必要な手続きについて、項目をあげていきます。
-
- 基本事項の決定
- 定款作成
- 定款の認証を受ける(株式会社のみ)
- 会社印の作成
- 出資金の支払い
- 設立登記の申請
各項目について説明します。
法人設立での全体的な流れについては以下の記事を参考にしてください。
基本事項の決定
法人設立に際しては、会社の概要となる基本事項を決めなくてはなりません。会社の名前や住所、役員構成など、法人として活動するために必要な事項を決定します。
株式会社の場合は持ち株比率や役員報酬など、合同会社よりも決めるべき事柄が多いのが一般的です。
定款作成
定款とは、会社経営の根幹となる規則です。定款には絶対的記載事項が設定されており、記載がない場合は定款の効力を発揮できません。
絶対的記載事項の内容は、以下のとおりです。
絶対的記載事項 | 概要 |
---|---|
事業目的 | ・将来的な可能性も含め、事業目的を記載する
・記載のないものは事業として認められない ・複数記載できる |
商号(社名) | ・商号(社名)を記載する
・本店所在地管轄の法務局にて同商号がある場合は使えない |
本店所在地 | ・本店所在地を記載する
・市区町村までの記載でよい |
出資額 | ・出資額または出資の最低額を記載する |
発起人の住所氏名 | ・発起人の住所氏名を記載する |
発行可能株式総数(株式会社のみ) | ・会社が発行できる株式総数を記載する |
「発行可能株式総数」は株式会社に限った項目です。厳密には定款の作成時ではなく、設立登記のタイミングまでに記載しておけばよい項目となります。
定款の認証を受ける(株式会社のみ)
株式会社の場合は完成した定款について、公証役場の公証人による認証を受けなくてはなりません。正しく作成されたものか、法律に抵触しないかなどをチェックする手続きです。
定款認証は、本店所在地がある都道府県内、かつ指定公証人が所属する公証役場で受けられます。
合同会社の場合は定款の認証は不要です。
会社印の作成
会社設立登記に必要な会社印を作成します。また、会社経営上の契約等に使用する代表者実印や銀行届出印、角印なども同時に作成しておきます。
会社印の作成には時間がかかる場合もあるため、定款作成の前に注文しておくのがいいでしょう。
印鑑ができあがったら、取締役全員(合同会社の場合は代表社員)の印鑑証明書を取得します。
出資金の支払い
出資金の支払いについては、株式会社と合同会社で流れが異なります。
株式会社の場合、定款認証を受けた日以降に株数に応じた資本金を金融機関へ支払います。支払い口座は発起人個人の名義で構いません。発起人が複数いる場合は、発起人を1人決めて指定しましょう。
合同会社の場合は、出資者の個人口座に支払います。支払いが済んだ後に、口座通帳のコピー(通帳の表紙・表紙の裏面・振込み記帳ページ)を取り、払込証明書を作成してください。
設立登記の申請
本店所在地の管轄法務局で、設立登記の手続きを行います。設立登記申請は、資本金の支払い後2週間以内と定められているため、タイミングには注意が必要です。
登記すべき事項は、以下のように定められています。
-
- 社名(商号)
- 事業目的
- 本店所在地
- 資本金額
- 発行可能株式総数(株式会社のみ)
- 発行済み株式総数(株式会社のみ)
- 取締役(合同会社の場合は業務執行社員)の氏名
- 代表取締役(合同会社の場合は代表社員)の住所、氏名
- 公告方法
設立登記申請の際には、各種書類に加えて会社実印が必要となります。
株式会社設立に必要な全ての手順を詳しく知りたいときは、こちらの記事を参考にしてください。
法人設立に必要な書類
会社設立にあたって、必要となる書類は多数あります。「定款認証関連の書類」と「設立登記関連の書類」のほか、年金事務所や税務署に出すべき書類もあるので、それぞれ把握しておきましょう。
定款認証にかかる書類
定款を作成した後、認証を受ける際に必要な書類は下の表のとおりです。合同会社では定款認証を行わないため、表に記した書類はすべて不要です。
必要書類 | 株式会社 | 合同会社 |
---|---|---|
定款 | 〇 | × |
実質的支配者となるべき者の申告書 | 〇 | |
定款認証収入印紙(書類定款の場合のみ) | 〇 | |
発起人の印鑑証明書 | 〇 | |
発起人の身分証明書 | 〇 | |
発起人実印 | 〇 | |
「実質的支配者となるべき者の申告書」は、暴力団関係者もしくは国際テロリストによる会社設立ではないことを申告するための書類です。
設立登記にかかる書類
設立登記にかかる書類は以下の通りです。
必要書類 | 株式会社 | 合同会社 |
---|---|---|
登記申請書 | 〇 | 〇 |
定款 | 〇 | 〇 |
登録免許税分の収入印紙・領収書の貼付台紙 | 〇 | 〇 |
発起人決定書 | 〇 | × |
取締役(代表社員)の就任承諾書 | 〇 | 〇 |
代表取締役の就任承諾書 | 〇 | × |
取締役(代表社員)の印鑑証明書 | 〇 | 〇 |
資本金払込証明書・通帳コピー | 〇 | 〇 |
印鑑届出書 | 〇 | 〇 |
登記すべき事項を記した書面 | 〇 | 〇 |
登記申請に必要な書類について、詳しく解説します。
登記申請書
登記申請書には、社名(商号)や本店所在地、資本金額、登録免許税額などに加えて、どの書類を添付しているかをすべて記載し、会社実印を押印します。
株式会社と合同会社では記載する事項が多少異なるため、それぞれに合ったテンプレートを法務省のホームページなどからダウンロードして使用するとよいでしょう。
定款
あらかじめ作成した定款を用意します。株式会社の場合は、公証役場にて認証を受けたあとの定款を用います。
登録免許税分の収入印紙・領収書の貼付台紙
設立登記にかかる登録免許税の納付を示す書類で、金額分の収入印紙、もしくは税務署および金融機関で直接納付した場合の領収書をA4サイズの台紙に貼付します。
収入印紙で納付する場合、法人設立の登記手続きについては「消印を登記機関が行う」と登録免許税法第25条に定められています。提出時に自分で消印をしてはなりません。
登録免許税納付用の台紙は、登録免許税分の収入印紙を貼り付けた用紙のことです。資本金に応じた金額を適用しましょう。
発起人決定書
株式会社設立における定款作成の際に、本店所在地について番地までの記載がない場合、また公告方法で電子公告を選んだ場合に、発起人が本店所在地の決定に合意したことを示すために必要な書類です。
取締役(代表社員)の就任承諾書
株式会社の場合、取締役全員の役職名と、それぞれに就任を承諾したことを示す就任承諾書を用意します。
合同会社の場合は代表社員の就任承諾書を作成してください。
代表取締役の就任承諾書
株式会社で取締役が複数いる場合、代表取締役の就任承諾書を別途作成します。
取締役が1人で定款に「設立時取締役及び設立時代表取締役の専任・選定」の記載があり、かつ発起人でもある場合は不要です。
代表取締役の就任承諾書を作成しないときは、設立登記申請書の「設立時取締役及び設立時代表取締役の就任承諾書」にその旨を記載しましょう。
取締役(代表社員)の印鑑証明書
取締役会を設置しない株式会社の場合、取締役全員について印鑑証明書が必要です。
ただし、取締役会を設置している場合は代表取締役のみ、合同会社の場合は代表社員のみの印鑑証明書で問題ありません。
資本金払込証明書・通帳コピー
発起人の銀行口座に資本金を入金したことを示す書類が払込証明書です。支払った資本金の金額と同一の金額を証明書に記載します。
株式会社の場合は払込株数と1株あたりの払込金額も記載が必要です。支払い時に通帳のコピーもとり、合わせて添付します。
印鑑届出書
会社実印を法務局に届け出し、登録を行うための書類です。
印鑑登録は、個人の実印を市区町村へ登録することと同じ意味合いを持ちます。登録する印鑑は会社の代表印で、見積書や領収証などに使う社員とは別の印鑑にします。
代表が2人以上の場合は、それぞれの代表印を登録しても、誰か1人の印鑑を登録しても構いません。ただし、複数名登録するときは別々の印鑑が必要となり、代表者ごとに印鑑届出書を作成します。
登記すべき事項を記した書面
登記すべき事項を記載した書類です。オンラインで登記申請することで省略できるほか、CD-Rなど記録媒体に保存し、ほかの書類と一緒に提出もできます。
年金事務所に提出する書類
会社を設立すると、社会保険に必ず加入しなければなりません。会社形態を問わず、本店所在地管轄の年金事務所には以下のような書類を提出します。
書類 | 概要 |
---|---|
健康保険・厚生年金保険新規適用届 | ・新規で構成保険と厚生年金の適用を受けるための書類
・会社の登記簿謄本(原本)の添付が必要 |
健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届 | ・社会保険の被保険者全員についての資格取得届 |
健康保険被扶養者(異動)届 | ・被保険者に配偶者や子どもなどの被扶養者がいる場合の書類 |
税務署に提出する書類
本店所在地管轄の税務署に対しては、会社設立を届け出るための以下の書類を提出します。こちらも株式会社・合同会社で共通です。
書類 | 概要 |
---|---|
法人設立届出書 | ・法人設立を通知する書類
・設立後2カ月以内の届け出が必要 |
給与支払事務所等の開設届出書 | ・従業員に給与を支払う際に必要な書類 |
青色申告の承認申請書 | ・確定申告で青色申告をするために必要な書類 |
源泉徴収の納期の特例の承認に関する申請書 | ・所得税の源泉徴収の手続きを緩和するための書類
・給与を支払う従業員が10名以下の会社のみ届け出が可能 |
市区町村役場に提出する書類
どの法人形態でも、本店所在地のある市区町村に法人設立届出書を提出します。これは、法人住民税と法人事業税を市区町村に納めるための届出です。
手続き方法の詳細は、各市区町村に問い合わせてください。
【株式会社or合同会社】法人設立の費用
日本国内において、会社の形態は株式会社か合同会社が代表的です。どの形態で会社設立を行うかは迷うところでしょう。
以下では、2つの形態における法人設立にかかる費用の違いを説明します。
株式会社と合同会社の設立にかかる法定費用
法人設立には、会社法に基づいた法定費用が必要となります。株式会社と合同会社とでは必要な法定費用が違うため、確認しておきましょう。
法人設立にかかる法定費用 | ||
---|---|---|
費用項目 | 株式会社 | 合同会社 |
定款認証手数料 | ※30,000円~50,000円 | – |
定款謄本手数料(250円/1枚) | 【8枚の場合】
2,000円 |
– |
収入印紙代 | 40,000円 ※電子定款の場合は0円 | |
登録免許税 | 【以下のうち高い方】
15万円 資本金の0.7% |
【以下のうち高い方】
60,000円 資本金の0.7% |
合計 | 24万2,000円~ | 10万円~ |
※1:資本金の額等が100万円未満の場合「3万円」、100万円以上300万円未満の場合「4万円」、その他の場合「5万円」
定款謄本手数料は実際の枚数により変動しますが、トータルでは株式会社の方が法人設立にかかる費用が高くなります。
合同会社の方が設立のハードルが低いと言われるのは、法人設立にかかる費用に理由があるのです。株式会社か合同会社かで倍以上の差がつくため、法人形態を選ぶ際には参考にしましょう。
いずれの法人形態でも、電子定款を選んだ場合は収入印紙代40,000円が不要となります。
株式会社と合同会社の設立にかかる雑費
法人設立に必要なのは法定費用だけではありません。株式会社と合同会社の設立にかかる各種雑費も想定しておきましょう。
雑費は定款の作成を書面で行うか、電子定款にするかで以下のように異なります。各種費用は相場をもとにした目安金額です。
法人設立にかかる各種雑費の目安(株式会社・合同会社共通) | ||
---|---|---|
費用項目 | 書類定款 | 電子定款 |
会社実印作成費用 | 10,000円 | |
印鑑証明書取得費用(450円/1枚) | 【5枚の場合】
2,250円 |
|
登記簿謄本発行費用(600円/1枚) | 【5枚の場合】
3,000円 |
|
Adobe Acrobat | – | 35,000円 ※無料体験期間を使えば0円 |
ICカードリーダー | – | 【株式会社のみ】
3,000円 |
合計 | 約15,250円 | 約53,250円 |
法人設立の雑費については、書類定款でも電子定款でも法人形態による差はあまりありません。基本的に、電子化に使うソフトなどを含む電子定款の方が高コストとなります。
株式会社の場合、電子定款を選ぶとICカードリーダーが必要ですが、定款認証に使うためです。そこまで高額なものではありませんが、両者の差として押さえておきましょう。
電子署名付きの定款作成に必要なAdobe Acrobatは、7日間の無料体験期間があります。雑費がかかりがちな電子定款ですが、無料体験期間中に作成すれば費用を節約可能です。
株式会社と合同会社の設立費用におけるポイント
株式会社と合同会社には、法人設立の費用にさまざまな違いがあります。両者において、費用が大きく変動するポイントを以下にまとめました。
- 資本金額によって登録免許税が変動する
- 電子定款なら収入印紙代を節約できる
- 電子定款はソフトの無料期間を使って節約できる
株式会社でも合同会社でも、資本金額によって登録免許税が変わります。
株式会社であれば2,140万円超、合同会社であれば857万円超である場合に、資本金の0.7%が登録免許税の額となり、より高額な費用がかかるのです。
費用を節約するポイントは、いずれも電子定款を選んだときにあります。収入印紙代がかからなくなる点と、Adobe Acrobatの無料期間内に手続きを済ませる点です。
いずれも実現すれば75,000円の節約となるため、念頭に置いておきましょう。
【株式会社or合同会社】法人設立の手続き順
法人設立のためには、しかるべき手続きを順番に踏む必要があります。会社の形態によって若干手続き内容が異なりますが、大まかな流れは同様です。
株式会社と合同会社の手続きの違いについて表にまとめると下の通りです。
手続き | 株式会社 | 合同会社 |
---|---|---|
基本事項の決定 | 株式会社に必要な事項を含め、社名や本店所在地、事業内容などを決定 | 社名や本店所在地、事業内容などを決定 |
定款作成 | 絶対的記載事項を含め基本的な規則を記載 | |
定款の認証 | 法務大臣に任命された公証人により、認証を受けることが必要 | なし |
会社印の作成 | 会社印、代表者印、銀行届出印などを作成 | |
出資金の支払い | 株数に応じた出資金を金融機関に支払い、払込みを示す書類として通帳をコピー | |
設立登記の申請 | 本店所在地の管轄法務局に申請する |
会社設立(法人設立)の手続きは自分でやる?専門家に依頼する?
会社設立は難しそうに感じますが、一つずつ手順を踏めばすべての手続きを自分ですることは可能です。費用も自分で行った方が安く済みます。
しかし、実際には手続きは煩雑なものが多いことから、手続きの一部もしくは全部を専門家に依頼するのも一つの方法です。
自分でやるメリット・デメリット
自分で会社設立の手続きをすると、依頼コストを省けます。専門家へ依頼するとコストがかかりますが、自分で行えば依頼料がかかりません。
依頼する専門家を探す手間もかからないため、手続きのために時間を使えます。会社に関する専門知識も身につくので、会社設立後の会社経営にも役立つでしょう。
デメリットは、煩雑な手続きをこなしていく手間がかかることです。書類の不備や書き間違いがあるとやり直しになる上、事業と並行する場合は本業に集中できなくなるかもしれません。
メリットとデメリットを比較し、メリットのほうが大きい場合は、自分で会社設立手続きをしてみましょう。
専門家に依頼するメリット・デメリット
会社設立の手続きを専門家へ依頼すると、煩雑な手続きを代わりに行ってくれるだけでなく、知識と経験からさまざまなアドバイスも期待できるメリットがあります。
専門的な知識が少なく、初めて会社を設立する場合でも心強いでしょう。
しかし、専門家へ依頼するには費用がかかります。あらゆる手続きに必要な費用に加えて専門家へ支払う料金が合わさり、会社設立のコストが膨らんでしまいます。
また、依頼相手の専門分野を誤ると、頼みたい手続きが難しいケースもあるため注意しましょう。
会社設立の手続きを依頼できる専門家
会社設立を依頼できる専門家は、複数存在します。専門家によって一部の手続きに特化していたり、全てを依頼できたりするため、必要に応じて使い分けるといいでしょう。
税理士
税理士は税務の専門家です。会社設立における税務署への手続きや定款、設立登記の書類作成などを依頼できます。
税理士には登記申請代行を行う権限はないため、あくまでサポート程度と考えるといいでしょう。
ただし顧問契約を前提とした場合は、格安で諸手続きのサポートを受けられる可能性があります。
司法書士
司法書士は、会社設立にかかる書類作成から定款認証の代行、法務局への登記申請代行などすべての手続きを依頼できます。
特に、登記申請の代行に関しては司法書士しか行うことができません。
印鑑作成や雑費の管理などに関してもアドバイスを受けられるため、会社設立手続きへの不安が大きい人には強い味方です。
行政書士
行政書士が会社設立をサポートできる範囲は、税理士とほぼ同様に書類作成までとなります。
ただし、行政書士は飲食業や運送業など許認可が必要な業種において、申請代行を依頼することが可能です。そのため、許認可が必要な事業を始める人には助かる存在です。
社会保険労務士
社会保険労務士は、その名のとおり社会保険関連の知識に長けた専門家です。社会保険の諸手続きに必要な書類、また労務に関する書類の作成を依頼できます。
特に、健康保険や厚生年金、雇用保険の相談ができるので、これらの仕組みがわからない人は役立ててください。
【専門家別】法人設立手続きの依頼費
法人設立・会社設立の手続きを専門家に依頼した場合の費用を見ていきましょう。
司法書士に依頼したパターンと顧問税理士をつけたパターンにて、想定される費用の例を解説します。
司法書士に依頼した場合の費用例
多くの手続きをこなせる、司法書士に依頼した場合の費用例です。株式会社と合同会社とでは、司法書士報酬の相場が違います。
費用項目 | 株式会社 | 合同会社 |
---|---|---|
定款認証手数料 | 50,000円 | – |
定款謄本手数料(1枚250円×8枚) | 2,000円 | – |
設立登記の際の登録免許税 | 15万円 | 60,000円 |
会社実印作成費用 | 10,000円 | |
印鑑証明書取得費用(1枚450円×5枚) | 2,250円 | |
登記簿謄本発行費用(1枚600円×5枚) | 3,000円 | |
司法書士報酬 | 10万円 | 80,000円 |
合計 | 31万7,250円 | 15万5,250円 |
専門家に定款認証を依頼する場合、ほとんどが収入印紙代がいらない電子定款での対応となります。そのため、上記の表でも書類定款の収入印紙代は含めていません。
司法書士への報酬は、株式会社設立で10万円程度、合同会社設立で8万円程度が相場です。
合計すると、株式会社の設立でおよそ30万円、合同会社の設立でおよそ15万円となることがわかります。
顧問税理士をつけた場合の費用例
顧問税理士をつけて法人設立を頼む場合はどうなるでしょうか。
会社設立を専門とした法人に依頼する場合、顧問税理士をつけることを前提として割引プランを提供しているケースがあります。割引プランを含めた費用例は下記です。
費用項目 | 株式会社 | 合同会社 |
---|---|---|
定款認証手数料 | 50,000円 | – |
定款謄本手数料(1枚250円×8枚) | 2,000円 | |
設立登記の際の登録免許税 | 15万円 | 60,000円 |
会社実印作成費用 | 10,000円 | |
印鑑証明書取得費用(1枚450円×5枚) | 2,250円 | |
登記簿謄本発行費用(1枚600円×5枚) | 3,000円 | |
司法書士報酬 | 10万円 | 80,000円 |
税理士月額顧問料 | 10,000円 | |
特別割引 | ▲10万円 | |
合計 | 22万7,250円 | 87,250円 |
多くの場合、法定費用もしくは報酬などから10万円近く割引しています。顧問税理士への月額顧問料は1万円としていますが、会社の年間売上や利用回数に応じて変わり、3万円程度まで上がる可能性があります。
これらの費用を高いと見るか安いと見るかは、人それぞれです。
実際に会社設立をした人は、設立の手続きを経験することがダイレクトに事業内容と関わる場合を除き、一部でも専門家に依頼するケースが多いようです。
頼れるところは専門家に任せ、自分の時間と力は自社の事業に注ぐのが有益なのかもしれません。
まとめ・法人設立は会社や手続きの形態で準備すべきものが変わる
法人設立・会社設立の手続きは、株式会社か合同会社かで微妙に異なります。必要な書類や費用もさまざまなので、違いを押さえておきましょう。
自分の力だけでは理解しづらい手続きについては、専門家に任せるのが得策です。適材適所で考え、本業に集中して事業の滑り出しに勢いをつける方が、スムーズな経営や事業拡大にもつなげやすいでしょう。
冊子版「創業手帳」では、会社設立の手続き方法や順序などを詳しく解説しています。これから会社設立を考えている人は、疑問点などの解消にぜひお役立てください。
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(編集:創業手帳編集部)