融資を受ける前に必要な準備とは?前提条件を知っておこう!
創業手帳アドバイザーの創業講座【融資を受ける前の準備編】
(2019/02/21更新)
こんにちは!創業手帳の創業アドバイザー、荒木です!
創業時に使える主な資金調達方法には、
・融資
・出資
・補助金
・助成金
という4つがあります。
その中でも、創業前・創業直後に使う資金調達方法の中で頻繁に耳にすることになるのが、「融資」だと思われます。
そこで今回は、融資で資金調達をするために必要な準備について、解説します。
この記事の目次
会社の母子手帳「創業手帳」の創業アドバイザーとして、都内を中心に起業家相談を行う。
前職で、電気システム販売営業、経費削減・生産性向上のコンサルを経験。倒産・廃業率の高さを実際に現場で感じ、創業支援を志す。
状況によってどの手段をとるのが良いかが全く変わる創業期において、各々に合わせた情報提供を心がけている。
融資を申請する際の前提条件
まずお話ししておきたいのが、「融資申請をしたからといって、金融機関が確実に融資してくれるという保証はない」ということです。
例えば、創業融資制度を紹介している日本政策金融公庫では、融資申請の通過率は平均30%ほどといわれています。
そのため、融資を受ける際には大前提として次の4つの項目をクリアしておく必要があります。
- 金融事故がないか
- 自己資金
- 開業する職種と今までの経歴の合致
- 事業計画書がしっかりとしたものがかけているか
以下、順番に見ていきましょう。
1.金融事故がないか
融資申請をする際に、CICという信用情報機関によって個人の金融履歴がチェックされます。
もし、過去に下記のような事例があった場合、残念ながら融資は諦めた方が良いかもしれません。
- 過去に自己破産をしている
- 消費者金融機関の借り入れがあり、完済していない
- カード支払いの遅延が多発している
- カードを止められたことがある
金融履歴は過去5年~10年ほど見られます。当然ですが、過去に金融トラブルがあることはかなりのマイナスになります。融資担当者もお金を貸すのが怖いため、融資はかなり難しくなるでしょう。
ちなみに、公共料金などの支払い遅れは、1,2回程度であれば説明がつくので大丈夫かと思われます。
CICでの情報にキズをつけないよう、クリーンな金融履歴をキープしよう
2.自己資金
「融資申請額に対し、自己資金をどのくらい持っているか」という点も、大事な基準となります。
例えば日本政策金融公庫では「申請額10分の1の自己資金を持っていれば申請できる」とありますが、実際は10倍の融資を受けるのはかなり困難です。
融資を受けたい額の、できれば半分ほど、最低でも3分の1ほどは自己資金として蓄えておきましょう。
自己資金が融資希望額に比べてあまりに少ないと、資金繰りがショートしやすいと考えられるからです。
自己資金が足りない場合は?
手っ取り早いのはコツコツ貯金をすることです。
地味ですが、その事業に対して計画的に貯金して準備をしていたと見えるため、金融機関としても好印象です。一見遠回りに見えますが、実は一番確実な道とも言えます。
また、親族からの借り入れも自己資金とみなされます。もちろん、家族間であってもきちんと理解を得るようにし、返済をどのようにするかも決めておきましょう。
あるいは、自分の資産や持ち物を担保に入れて融資額を上げることもできます。代表的なものとしては、家や車、有価証券などが挙げられます。担保に入れることで、多少自己資金が不足していても融資枠を上げることができます。
自己資金がない場合は、目標金額までコツコツ貯金することが一番確実な方法
3.開業する職種と今までの経歴の合致
意外と見られるのが経歴です。
開業をする業種に対し、これまで経験していたことと整合性があるかどうかをチェックされます。同業他社で3年以上の経歴があるかが基準となります。
大切なのはどこで働いていたのかよりも、「そこで何をしていたのか」です。現在まだ会社勤めであれば、開業したい業種に紐づくような経験を積みましょう。
また、アピールできるような経歴(「こんなプロジェクトを立ち上げました」「こんな部署でこんな企画をやって、こんな成果をあげました」といった具体的な経歴)を意識的に作っておくのがおすすめです。
創業での融資となると、事業自体の実績がありません。そのため、銀行は事業計画書の内容と創業者がこれまで積んできた経歴でしか、その事業にお金を貸すべきかどうかの判断ができないのです。
経歴が薄い場合は、融資減額の可能性が高くなってしまいます。経歴の薄さをカバーするには、経営がある人をパートナー役員として迎え入れる、という方法もあります。
経歴は今のうちから積んでおこう!間に合わない場合は、経歴のある人をパートナーに入れることを検討しよう!
4.事業計画書がしっかり書けているか
事業計画書で見られるのは、「手堅く稼ぐことができるビジネスかどうか」という点です。
創業することを決めて、家族や第三者の理解を得るために説明するときを考えてみてください。社長である自分自身は経歴・経験があり、起業をすることに対して強い希望と信念を持っているかもしれません。しかし、その仕事に携わっていない第三者から見ると、「その事業は本当に儲かるのか」「食べていけるのか」という情報がなければ不安ですよね。
そのため、きちんと説得できる事業計画書を作ることが大切になります。大袈裟に言うと、「この人にはお金を貸すべきだ!」と思っていただけるようなものを作りたいところです。
ベストは、プレゼンワークシートなどの別紙で項目ごとにページを作ることです。日本政策金融公庫のHPでも事業計画書の雛形がダウンロードできるようになっているのですが、第三者を説得しきるには記入欄が少し足りません。ダウンロードした雛形に加えて、必要な記入欄を別紙で作成した方が良いでしょう。
事業計画書のポイントは、取扱商品部分項目で、その事業の「ウリ」をしっかり示すこと。要するに、「なぜあなたのところから買うんですか」という他者と違うポイントですね。ターゲットに見合った戦略も必要ですので、競合他社などの市場調査はしっかりしておきましょう。
また、先ほどの経歴部分もそうですが、しっかり自慢できることは自慢しきってしまいましょう。
取引先なども固有名があると高評価なので、今の段階から営業をかけて取り付けておくと良いでしょう。
資金計画部分は、創業期なら3か年分は用意しておくのがベターです。「手堅いビジネスです!」ということを示しましょう。
今のうちから事業計画書の作りこみに取り掛かろう。融資申請しない場合でも、頭の整理として事業計画書を作るのがオススメ
融資の際に心強い「専門家のサポート」
資金調達をする際に専門家のサポートを受けるのは大変有効です。
このテーマでの「専門家」とは、税理士・会計士のことを指します。
創業支援などを積極的に行っている税理士さんをサポートに入れることで、
- 事業計画書のブラッシュアップができる
- 融資通過率を格段に上げることができる
といったメリットがあります。
また、事業を始めると相談できる人が周りにいなくなってしまいがちです。そんなとき、専門家たちは良き相談相手となってくれます。事業の安定性、成長率を上げることにもつながります。
まとめ
今回のポイントをまとめます。
- 金融履歴をクリーンにしておく
- 自己資金をコツコツと貯めておく
- 経歴を積む、経歴がある人を役員として迎え入れる
- 早い段階で事業計画書を作っておく
この4点をしっかりクリアして、融資の準備を行いましょう。
創業手帳では、事業計画作成のサポートや実際の融資手続き方法などを行うことができる、個別無料相談を行なっています。
一人で考えているとなかなか行き詰まってしまいますが、第三者を入れることで新たな気付きなどあるかもしれません。是非ご活用ください。
(監修:創業手帳株式会社 荒木 温)
(編集:創業手帳編集部)