飲食店が宣伝に活用すべきSNSマーケティングの方法は?成功事例とともに紹介
InstagramやFacebookなどを店舗のマーケティングに役立てるには運用の仕方が肝心!
昨今、飲食店の多くが宣伝・集客にSNSを活用しています。全体の8割以上がインスタグラムをはじめ、何らかのSNSを使っているという民間の調査結果もあるほどです。
しかし、SNSを活用している飲食店の全てが、その運用に成功しているわけではありません。むしろSNSマーケティングがうまくいっていない事業者のほうが多いとも考えられます。
そこで今回は、飲食店がSNSで上手に宣伝する方法を解説します。それぞれのSNSの特徴や使い分け、成功事例なども紹介するのでぜひ参考にしてください。
この記事の目次
飲食店の宣伝に役立つSNS4選【特徴と使い分け】
飲食店のマーケティングに役立つSNSは、主にInstagram・Facebook・Twitter・LINE公式アカウントの4種類です。以下ではそれぞれの特徴を紹介するので、運用するSNSの選定や使い分けを考える参考にしてください。
1. Instagram【1番人気】
Instagramは、飲食店が利用するSNSのうち最も定番のサービスです。SNSを使っている飲食店のうち、約6割がInstagramを選んでいるというアンケート結果もあります。
Instagramの特徴は、画像をメインにPRできることです。料理や店舗の内装・外観などを魅力的に伝えられるので、飲食店と相性の良いSNSだといえます。「インスタ映え」を狙って来店するユーザーも多いため、見た目のインパクトが強いメニューがあれば、大規模な拡散も期待できます。
また「問題発言」の恐れがある文字主体のSNSに比べ、炎上のリスクが少ないと言えることもメリットです。
2. Facebook
Facebookは、30代・40代に多く利用されるSNSです。SNSの閲覧をきっかけに飲食店に訪れる客層は30代・40代が最も多いともされており、飲食事業者との相性が良いサービスといえます。
また無料で作成できるビジネスアカウントには、広告表示やアクセス解析といった事業者向けの機能もあります。そのため、より本格的なマーケティングも可能です。FacebookをHP代わりに活用する企業もあります。
さらに匿名性が比較的高いInstagramやTwitterなどと違い、リアルな関係を築きやすいこともFacebookのメリットです。集客のほか、取引先との関係強化や人脈の拡大などにも役立てられます。
3. Twitter
Twitterでは、140文字以内の短文と画像、動画を投稿できます。文章を主体としたさまざまな情報提供に使えます。キャッチーな文章とともに調理風景の動画を投稿したり、キャンペーンの広告画像を添付したりといった使い方も可能です。
またTwitterには「リツイート」機能があり、拡散力が高いという魅力もあります。匿名のアカウントも作れるため、気軽にリツイートされる場合も多く、思いがけない「バズり」も起こり得ます。
ただし、「問題発言」も拡散しやすいので、炎上するリスクも比較的高い点には注意が必要です。適切に運用するには、社内で投稿のルールやチェック体制を整えるのが良いでしょう。
4. LINE公式アカウント
LINE公式アカウントは、事業者向けのLINEアカウントです。顧客それぞれと「友だち」になり、さまざまな情報やコンテンツを配信できます。
昨今は多くの人が日常の連絡手段としてLINEを使うので、LINE公式アカウントでのマーケティングは高い閲覧率を誇ります。7割近く閲覧されるというデータもあり、お客さん一人一人に確実にリーチさせたい場合におすすめです。
またLINE公式アカウントには、独自のクーポンやポイントの提供、問い合わせ対応、予約受付といった機能もつけられます。そのため、顧客にとっての利便性という点でも便利なSNSといえるでしょう。そのほか、タイムラインでは、Twitterと同じような情報提供も可能です。
なお、飲食店の宣伝に役立つSNSは、上記のほかにYouTubeやTikTokなどもあります。まずは王道と言える上記のいずれかを試したうえで、必要に応じてほかも取り入れると良いでしょう。
飲食店が宣伝にSNSを活用すべき理由・メリット
飲食店がSNSをマーケティングに活用すべき理由としては、第一に無料で簡単に宣伝できることが挙げられます。Instagramをはじめ、ほとんどのSNSは無料でアカウント登録ができ、各種機能も無料で利用可能です。
また前項で紹介したような王道のSNSは高い知名度と拡散力を誇ります。そのため、上手に運用すれば、お金をかけずに簡単にお店の認知を向上させられます。
さらに料理やレシピなどのジャンルは日々検索される事が多く、それゆえ、Instagramを中心に飲食店とSNSマーケティングは相性が良く、多くの事業者に活用されています。
飲食店がSNSを活用する際の注意点・デメリット
飲食店が宣伝にSNSを活用する上で、注意しなければならないのは炎上のリスクです。問題のある投稿が拡散されると、世間の標的になり、売上が大幅に低下する可能性も考えられます。
また昨今は、客の迷惑行為や問題行動がSNSで拡散され、お店が損害をこうむるケースも増えています。そのため、自社はもちろん、客のSNS利用についても一定のルールや指針を設けるのが無難です。飲食店におけるSNSを用いた客の迷惑行為への対策については、下記の記事で詳しく解説しているのでぜひ参考にしてください。
そのほか、SNSを通じて受け取った個人情報の管理や、投稿に写る従業員等のプライバシー保護などにも配慮することが求められます。さらにSNSの運用には、撮影や投稿などに一定の工数が必要なので、効率よく続けるための人員配置や評価制度なども考えるのが良いでしょう。
写真の取り方については以下の記事が参考になりますので、ぜひお読みください。
飲食店がSNSで上手に宣伝するためのポイント
飲食店がSNSでの宣伝を成功させるには、以下のポイントを意識するのがおすすめです。
まずは認知向上を目標に、中長期的に運用する
飲食店におけるSNSマーケティングは、一朝一夕で成果が上がるものでは基本的にありません。アカウントを作成した直後に客足が一気に増え、売上が急増するといったことはまずないでしょう。
しかし、コツコツ投稿を継続し、地道にファンを作っていけば、数ヶ月や1年で売上が大きく増加することは十分に考えられます。中長期的な視座のもと、粘り強く運用することを心がけましょう。
投稿する時間帯を工夫する
SNSによる宣伝は、投稿する時間帯によって効果が違ってきます。例えば、定番なのは夜間帯です。仕事が終わって落ち着いてSNSを見る人が多い夜間に「飯テロ」の投稿をすることで、バズりや翌日以降の集客アップが期待できます。
また当日のランチやディナーの客入りを増やすなら、それぞれ営業開始の少し前に投稿するのも良いでしょう。
客の投稿に積極的に反応する
客の投稿にはいいねやリプライ、リツイートなど、積極的に反応するのがおすすめです。客からのリプライにもできるだけ返事をしましょう。
とくに運用初期は、ファン作りのためにも客と意欲的に交流すべきです。またある程度ファンがついた後も、リアクションを起こせば「公式が反応してくれた」と拡散や好印象につながります。
さらに来店してくれたお客にSNSでの口コミ投稿を頼み、それをリポストや引用リツイートする戦略も有効です。来店者の口コミ、とくに高評価のものがたくさんあれば、お店の信頼度は大きく向上します。
インフルエンサーに協力してもらう
お客による口コミ投稿と関連して、インフルエンサーに大々的に宣伝してもらう方法も効果的です。フォロワーがたくさんいる著名人のSNSに載せてもらい、それを引用リツイート等で追うことで拡散力が格段に上がります。
また有名インフルエンサーを起用してイベントやキャンペーンを実施すれば、その人のファンが来店するという効果も期待できます。事実、2023年春には、人気Vtuberとコラボした志摩スペイン村で、来場者数が約1.9倍、チュロスの売上が約33倍に跳ね上がった事例もありました。
コンセプトを一貫させる
通常のマーケティング同様、SNSマーケティングにおいてもコンセプトの統一は重要なポイントです。雰囲気やレイアウトなどに一貫性を持たせることで、印象の美しさや質の高さを演出できます。
コンセプトが一貫していると、一つの投稿を気に入ったユーザーがほかの投稿も閲覧し、ファンが作りやすくなる可能性もあります。反対に投稿の形式や内容がバラバラだと、ユーザーにとって魅力的に映らない恐れがあるので注意しましょう。
SNS運用者にインセンティブを設ける
SNSは、1回の投稿自体は簡単であるものの、運用を継続するとなると比較的大変です。文章や画像構成などのアイデアを日々考えなければならないので、SNS担当者の負担は大きいといえます。
そのため、SNSマーケティングを成功させるには、担当者のモチベーション管理に気を配ることも重要です。フォロワー増や投稿数に応じていくらなど、何らかのインセンティブを設けるのも良いでしょう。
なお、金銭ではなく、立場や役職といった観点でインセンティブをつける手もあります。例えば、SNS担当者には、店舗での定型業務を減らす代わりに戦略会議に参加させるなどすれば、人によってはやりがいがアップするはずです。
飲食店のSNSマーケティング・成功事例
以下では、SNSでの宣伝に成功した飲食店の事例を3つ紹介します。SNSマーケティングの戦略に関するヒントを多数含んだ事例なので、ぜひ今後の参考にしてください。
1. 焼肉きんぐ
焼肉きんぐは、Instagramでの情報発信に精力的に取り組む飲食チェーンです。2022年4月には、飲食業界におけるインスタのフォロー成長率ランキングで第2位に輝きました。また当時から2023年6月にかけて、フォロワー数はさらに4万人以上増えています。
焼肉きんぐのInstagramを見ると、投稿のレイアウトに一貫性があること、それぞれの内容がわかりやすく魅力的であることがわかります。またストーリーやリールなど、インスタの機能を上手にフル活用しており、多角的にSNS運用を学べる教材になるでしょう。
さらに焼肉きんぐは、TikTokで従業員によるアレンジメニューの動画を投稿し、話題を得ています。エンターテイメント性の高いSNS運用を目指す事業者の方は、ぜひチェックしてみてください。
2. 某イタリアンレストラン
コロナ禍にオープンした某イタリアンレストランは、Instagramでの宣伝に成功し、月商4倍を実現しました。
同店はInstagramの機能のうち、24時間で消える投稿「ストーリーズ」に注目しました。ストーリーズを1日5〜10回以上と頻繁に投稿することで発信力を高めたのです。その効果は大変高く、コロナ禍にもかかわらず、1日にストーリーズを見た客が5組以上来店する日もあったといいます。
さらに店舗の状況に合わせてリアルタイムでストーリーズを更新していったことも、同店が実施したSNS運用の特徴です。例えば、ランチ前には当日のおすすめメニュー、ディナー前には仕込みの様子などを投稿し、その日の集客につなげています。
3. 松屋
松屋フーズは、牛丼チェーンの枠に囚われない異色のInstagram運用を見せています。牛丼の紹介はそこそこに、松屋のロゴが入ったカラコンやアパレルの紹介、ミニドラマ、タンバリン講座などを投稿。大変シュールで「攻めた」内容です。
2019年に松屋は、女性からの認知を高めるためにInstagramを開始。女性が一人でも松屋の店舗に入れるよう、入店のハードルを下げるために上記のような投稿を続けています。
プロデューサーには自身が著名なインスタグラマーでもある女性のSNSコンサルタントを起用。女性目線でバズらせる投稿にこだわっています。なお、Instagramとは対照的に、Twitterは大手牛丼チェーンらしい真面目な投稿になっており、両者の使い分けが明確にされていることもポイントです。
まとめ
InstagramをはじめとするSNSは、無料で高い宣伝効果が見込める飲食店にとって魅力的なツールです。まだSNSマーケティングを十分に実施していない事業者の方は、これを機会にぜひ運用を始めてみましょう。
なお、SNSでの宣伝を成功させるには、中長期的な継続が肝心なので、無理のない範囲でまずは半年〜1年ほど続けてみるのが良いでしょう。
(編集:創業手帳編集部)
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