ベンチャーが大企業に負けないために
「株式会社スマイルワークス」 代表取締役社長 坂本 恒之 氏インタビュー
(2015/07/10更新)
「会計」「販売」「給与計算」「経費精算」「勤怠管理」など、さまざまなシステムをクラウドサービスとして提供している『株式会社スマイルワークス』。社内システムはどのようなものを使っているのでしょうか。また、業界の特徴はどうなっているのでしょうか。
北海道札幌市出身。大手流通グループにて法人営業企画やセールスプロモーション、システムの企画・構築を担当。
その後、セキュリティベンチャーで事業開発、ロータス/日本IBMでビジネスパートナーマーケティングを担当。ITを活用したサービスビジネスにおける事業開発・マーケティングのエキスパートとして、各方面から高い評価を得る。
2003年に(株)スマイルワークスを設立し、代表取締役社長に就任。弥生(株)の経営に参画するなど、中小企業支援ビジネスでの実績も豊富。
社内で使って改善を繰り返す
坂本:ここでいうのもなんですが、うちのサービスですね(笑)
これには理由があって、我々自身が一番のユーザーになることが重要だと考えているからです。
弊社では、「会計」「販売」「給与計算」「経費精算」「勤怠管理」など、すべて自社サービスで行っています。
ファイルサーバーも「SecureFolder」という自社のものを、ウェブ会議のシステムも「NetForum」という自社サービスがあります。
すべての社員がお客様にサービスの内容をしっかりと説明して、お勧めできるようになるため、まず、自分たちで使うことを大切にしています。
そうすることで、「こういう使い方ができませんか?」と社内から提案があがる。
もともと備わっている機能から、運用によって想定とは違う使い方というのも見えてくるんです。
そのような「運用上の工夫」が、自分たちのサービスを使っていると蓄積される。
だからこそ、創業期から使い続けています。社内からの改善の声はとても重要です。
坂本:そうですね。
我々の場合、会計、販売、給与というのはソリューションなので、管理部門がエンドユーザーになる。
管理部門はエンドユーザーであり、かつ「R&D(research &development:研究開発)」みたいなことをしています。
改善案が間接部門の管理部門から上がってくるという、不思議な関係ですね。
坂本:仕組みがあります。
うちの中に改善要望サイトがあり、そこに入れていくと開発の人たちが協議するようになっています。
いつ、どれぐらいの優先順位で、いつ頃までになど社内で共有されているんです。
「Redmine」という開発ツールがあって、自社サービスと併用して使っています。
オープンソースで言えば、「Zabbix」を活用しています。Zabbixを使って、「サーバーの負荷が上がっていないか」「トラフィックは安定しているか」といったことを細かく監視しています。
オープンソースを使いこなすことの意味
坂本:クラウドの技術は、そのほとんどがオープンソースです。
そもそも、安定しているオープンソースはコミュニティーが充実しています。
コミュニティーが充実していると、バグがあってもすぐに改善されていく。コミュニティーでは、数百億円などの規模の資金で開発しているんです。
日本で考えられている、いわゆる「フリーウェア」みたいなものとは全然違う。
我々が使っているオープンソースというのはそういう類のものです。
数十億円とか数百億円のお金をかけ、優秀なエンジニアがコミュニティーの中で改善をくり返し、みんなでバグをなくしていく。
世界中でアップデートされている。だから、良いツールがたくさんあるんですよ。
開発の基本手順を学ぶという意味でも、我々がオープンソースを使う意義は大きいです。お客様には、安定しているものを提供しなければなりませんので。
創業企業においても、テクノロジーを扱う企業であれば、オープンソースは活用できると思いますよ。
20人のベンチャー企業でも、大手企業に負けない時代
坂本:まず、クラウドサービスそのものは間違いなく市場としては大きくなってくるので、クラウドの市場そのものの成長は疑わなくても問題ないです。
クラウドの良いところは市場が成長するというだけでありません。
例えば、我々は20人ほどの会社なのですが、、日経BPさんが行っている「クラウドランキング」で、ベストサービスに5回連続で選出されています。
日立製作所さん、サイボウズさん、マイクロソフトさんなど、そうそうたるメンバーの中で弊社のようなベンチャーが伍して負けないサービスを提供し、それを市場がフェアに評価する時代になったということです。
事実日経BP「クラウドランキング」で弊社のクラウドサービスは「セキュリティ」「信頼性」何れもNo.1の評価を頂いております。
何が言いたいかというと、20人しかいないベンチャー企業であっても、大企業と同じくらいのサービスを提供できる時代になった、ということです。
昔はセキュリティーだとか信頼性を担保するために、何億円も投資して、専用のセキュリティー要員を何十人も雇って、ということをしなければならなかった。
とてもベンチャーではできませんでした。
しかし、クラウドを活用する時代になって、ノウハウのある人間がしっかりとやれば、大企業に負けないサービスが展開できるようになっているんです。
これからクラウド業界に入ってくる人にとっては大チャンスですよ。
クラウドサービスはBtoCからBtoBへ
坂本:クラウド全体っていうと非常に広いのですけれども、おそらくほとんどのシステムがクラウド化すると思います。
今は「BtoC」、たとえばゲームやソーシャルアプリなど、パーソナルユースのクラウドが多いですよね。
でもこれからは「BtoB」、つまり企業向けのクラウドサービスが今以上に増えることが予想されます。
(取材先:株式会社スマイルワークス)
(創業手帳編集部)
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