「YAMAP」アウトドア系アプリの地方発のスタートアップが賞を総なめ!
九州発!日本最大級の登山・アウトドアコミュニティ
(2016/05/17更新)
ITベンチャーでは、やはり東京の会社が目立つ。まだまだ地方のベンチャーは少ないのが実情だ。そんななかで九州・福岡発のアウトドア系アプリのYAMAPが快進撃を続けている。
YAMAPは、携帯の電波が届かない場所でも位置が分かるGPSアプリ。電波が届かないのに場所が分かるとは一見不思議だが、この機能があれば遭難の軽減に役立つ。創業者の思いから生まれた新しいサービス、YAMAPの春山社長からお話を伺った。
1980年生まれ、福岡県春日市出身。
同志社大学卒業、アラスカ大学中退。
ユーラシア旅行社に勤務後、2010年帰福。
2013年にITやスマートフォンを活用して、日本の自然・風土の豊かさを再発見する“仕組み”をつくりたいと思い、YAMAPをリリース。
山の中のような、携帯の電波が届かない場所でもスマートフォンで現在位置が分かる地図アプリです。
現在、山での遭難事故が過去最悪を記録しています。そういった事故を1件でもなくすことができればと思い、YAMAPを開発をしました。
頂いた賞を上げますと、このようになります。
▶ 2013 アジアデジタルアート大賞「エンターテイメント(産業応用)部門」優秀賞
▶ 第26回「中小企業優秀新技術・新製品賞」ソフトウェア部門・優秀賞(2014年)
▶ 経済産業省「新事業創出のための目利き・支援人材育成等事業」認定事業(2014年)
▶ グッドデザイン賞受賞・ベスト100選出・特別賞「ものづくりデザイン賞(中小企業庁長官賞)」受賞(2014年)
▶ IBM BlueHub支援事業(2015年)
▶ B DASH CAMP 2015 ピッチアリーナ最優秀賞
▶ EYアントレプレナー・オブ・ザ・イヤー2015ジャパン 九州ブロック代表
YAMAPのコミュニティプラットフォームを軸にして、登山・アウトドア用品の比較評価アプリ「YAMAP Gears」を昨年リリースしました。登山・アウトドア用品は命に関わる道具でもありますので、ユーザーさん同志の情報交換が非常に大切だと思っています。他にも500円から入れる「YAMAPアウトドア保険」の販売、アウトドアに関するメディア「.HYAKKEI(ドットヒャケイ)」を共同運営しています。
日本社会の最大の課題は「身体をつかっていない」ことにあると思っています。都市と自然をつなぎ、自然の中で身体を動かす“登山・アウトドア”を日本の文化として成熟させたいと思い、起業しました。
YAMAPのリリース初期、ユーザーさんに知っていただくことに苦労しました。やはり最初はなかなか広まらないですが、現在は、おかげさまで33万件ほどダウンロードしていただいております(2016年5月時点)。ユーザーさんからのご要望をいただきながら一緒に育てているアプリであり、コミュニティだと感じています。
YAMAPで実現したいビジョンを語り、共感してくれた友人や知り合いが仲間になってくれました。資金は、シード期にサムライ・インキュベートから、シリーズAの時期にコロプラ・大和企業投資・ドーガンの3社から資金を調達させていただきました。
よかったと思っています。受賞したことでYAMAPの認知度と、サービスとしての信頼度が上がったことが何よりよかったです。
里山・里海に代表されるように、日本の自然の素晴らしさは、人間の手が適度に入ることで、豊かな生態系を保っている点にあると思っています。
里山・里海で培ってきた日本人の知恵や感性は、環境問題に直面する世界全体の一つの道標になる可能性もあるかな、と感じています。
伸びると思います!
ですが、今までのような”消費”を中心としたインバウント観光ではなく、地域の文化や自然を軸にした滞在型のインバウンド観光を根付かせる必要があると感じています。
ヨーロッパなど海外では滞在型の観光が中心。そちらの方が地に足がついた観光を末永く育むことができますし、地域経済への貢献度も大きいと思っています。
そうですね、生活と仕事のバランスを保ちながら、楽しく暮らせるのが福岡の最大のメリットかもしれません。
オフラインでも使える地図の特徴を活かして、日本の自然と町の文化・見所をセットで紹介する観光地図に発展させていきたいです。滞在型観光を根付かせ、地域経済に貢献するサービスに育てていきたいですね。
日本は高度成長期が終わり、経済だけを物差しにしない”成熟した社会”を目指す時期に入っていると感じています。過去の延長で発想するのではなく、”今”と”これから”にあった働き方や仕事をつくっていくのが、起業家の大きな役割だと思ってます。その意味で、今の起業家が果たす役割は自分たちが思っている以上に大切なのかもしれない。次の世代に”楽しい”バトンを渡すためにも、あきらめず、笑顔でがんばっていけるといいですね。
(取材協力:株式会社セフリ/春山慶彦)
(編集:創業手帳編集部)