シェアードバリューコンテンツを使って選ばれる会社に!意味や活用術を紹介します

創業手帳

採用のミスマッチを防ぐためにもシェアードバリューコンテンツを始めよう


シェアードバリューコンテンツは、求職者とシェアされるその企業の価値や風土を意味する言葉です。
求職者は待遇や給与だけでなく、働きやすさや自分が社会に与えられる価値を考えて仕事を探します。

シェアードバリューコンテンツを提供することは、そういった求職者と出会い、働く姿をイメージしてもらうためにも大切な活動です。
求職者とのマッチング精度を高めるためにもシェアードバリューコンテンツを活用してください。

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シェアードバリューコンテンツとは?


採用活動は、企業を担う人材を探す大切な仕事です。採用活動と聞くと、企業が人材を選ぶというイメージを持つ人もいるかもしれません。
しかし、採用活動のゴールは優秀な人材を自社で採用して活躍してもらうことです。企業側が求職者に選ばれなければ、採用活動の成功はあり得ません。

企業が求職者に選ばれるために必要になるのがシェアードバリューコンテンツです。
聞きなれない言葉だと感じる人も、シェアードバリューコンテンツの意味や基礎知識を学びましょう。

求職者の共感を喚起するシェアードバリューコンテンツ

シェアードバリューコンテンツ(Shared Value Content)は求職者とシェアされる自社の価値や魅力についてのコンテンツのことです。
自社が社会において何のために活動して、将来に何を目指しているのかといった社会的な存在意義などを伝えるコンテンツを指す言葉です。

企業の社会的な意義、求職者が働くことによってどのように社会貢献できるのかといった情報を伝えて、共感を喚起します。
自社に対して興味や理解を持ってもらうために、企業側から価値観を発信しなければいけません。

シェアードバリューコンテンツの要素

シェアードバリューコンテンツは、大きく分けて2つの要素に分類されます。
ひとつはパーパスコンテンツ、これは自社のパーパス(purpose)を発信するコンテンツです。
もうひとつは、カルチャーコンテンツです。自社のカルチャー(culture)を発信するコンテンツを指します。
それぞれについては以下で解説しています。

パーパスコンテンツ

パーパスコンテンツは、自社は何のために存在するのかという企業の存在価値や企業理念を指して使われます。
多くの企業が、自社の企業理念やスローガンを掲げています。自社が目指す姿や社会貢献を明文化することも、パーパスコンテンツのひとつです。

カルチャーコンテンツ

カルチャーコンテンツは、企業文化や社風、行動規範といったどのように働くのかを発信するためのコンテンツです。
具体的には意思決定の手段や評価制度、ダイバーシティへの取組みや課外活動、社内イベントなどがカルチャーコンテンツに分類されます。

企業風土のようなカルチャーコンテンツは、目に見えるものではありません。はっきり見えないからこそ、従業員の働きやすさに大きく影響します。

こんな風に働きたい、社風が自分に合っていると求職者が感じられるかどうかは、採用活動に大きく影響します。
自分の生き方や働き方に合った職場であれば、モチベーションを維持しやすく、離職率も抑えられるでしょう。

シェアードバリューコンテンツが重要視される背景

シェアードバリューコンテンツは、徐々に認知度が高まり多くの企業が関心を寄せるようになりました。
どうしてシェアードバリューコンテンツが重要視されるようになったのか、その理由を紹介します。

求職者の情報への積極的なアクセス

インターネットの普及や社会の変化により、求職者の情報リテラシーは急激に高まっています。
求職者は、関心がある企業が発信している情報や口コミにアクセスするようになりました。
企業が透明性の高い情報を発信することでより信頼できると感じる傾向があり、これは採用に大きく影響します。

SNSの普及

SNSとスマートフォンが普及したことにより、個人でも気軽に世界に向けて発信できるようになりました。
その結果、個人の口コミが重要視されるようになってきています。

誰しもが発信者になれる社会環境で、企業が耳触りの良いことばかり発信していても説得力は生まれません。
求職者やその周辺の人が、関心を寄せてシェアするようなコンテンツが必要になっています。

価値観の多様化

昔の求職者が企業に求めているものは、社会的な地位や名誉といったシンプルなものが中心でした。
しかし、現代では求職者が企業に求めるものは多様化しています。

どれだけ社会に貢献しているか、自分のスキルを発揮できるかといった尺度や働きやすさを第一に考える求職者も多いです。
仕事を判断するための基準が、より個人の価値観に基づくものに変化してきました。

求職者の多くは単純な生活を支える基盤ではなく、人生を豊かにして自己実現を図るための仕事を求めています。
企業が優秀な人材を確保するために、多様な価値観を求める求職者が働きたいと感じるようなコンテンツが求められています。

オウンドメディアリクルーティングで活用されるシェアードバリューコンテンツ

自社コンテンツを軸として人材にメッセージを発信、共感を喚起することで人材を獲得する採用方法は、オウンドメディアリクルーティングと呼ばれます。
オウンドメディアリクルーティングで発信するコンテンツは、、求める求職者に出会うために発信するジョブディスクリプションと、求職者から選ばれるために発信するシェアードバリューコンテンツです。

ジョブディスクリプションとは職務記述書のことで、求職者に対して職務内容や与えられる権限、求められるスキルなどの情報を指します。
従来の募集要項よりも内容が具体化され詳細なため、求職者はよりはっきりと働いている自分の姿をイメージできます。

せっかく自社に関心を持ってもらっても、求職者が働いている姿をイメージできなければ採用につながりません。
シェアードバリューコンテンツとジョブディスクリプションの双方があることによって、人材と出会い、選ばれることができます。

ジョブディスクリプションについて、詳しくはこちらの記事を>>
ジョブディスクリプションとは?テンプレートや書き方を紹介します

シェアードバリューコンテンツのメリット

シェアードバリューコンテンツを活用すると、企業には様々なメリットが生まれます。シェアードバリューコンテンツのメリットをまとめました。

採用力を高められる

シェアードバリューコンテンツは、企業が人を採用する力、採用力を高めるために最適な手段のひとつです。
良い企業であっても、知名度が低いためなかなか良い人材を採用できないケースは少なくありません。

シェアードバリューコンテンツでは、オウンドメディアリクルーティングとして企業が自社の良さを発信することが可能です。
企業理念や風土に魅力を感じた人を採用することができます。求職者に選ばれるために、シェアードバリューコンテンツが活用できます。

会社の魅力を発信できる

求人広告や求人サイトのように、求職者に会社を知ってもらう手段はいろいろあります。
しかし、求人サイトでは掲載する内容に上限があるため、自社の魅力や風土を伝えきれないかもしれません。

自社で用意するシェアードバリューコンテンツであれば、自社が納得できるまでコンテンツにこだわれます。
会社の魅力を発信する自社だけのコンテンツとして活用できます。

費用対効果が高い

企業広告や求人掲載は、その契約内容に応じて費用が発生します。掲載期間も決まっているため、広告効果は限定的になってしまうこともあります。

シェアードバリューコンテンツであれば掲載期間に上限がなく、作成した以降は費用がかかりません
さらに、掲載内容を変更したい時にも自社のメディアであればすぐに対応できます。

自社サイトにコンテンツを蓄積していくことで、それ自体が長く資産となる点も魅力です。
興味関心を持つ人に、多くの角度から自社の良さを知ってもらうきっかけになることが期待できます。

シェアードバリューコンテンツのデメリット

シェアードバリューコンテンツには、多くのメリットがある一方でデメリットもあります。
シェアードバリューコンテンツを導入する前に、デメリットについて知っておきましょう。

効果があらわれるまで時間がかかる

シェアードバリューコンテンツは、コンテンツを準備してから軌道に乗るまでは時間がかかります
どれだけコンテンツを運用するかによっても違いますが、ほかの仕事と兼務してメディア運用する場合には、コンテンツが蓄積するまでに時間がかかってしまうかもしれません。

初期費用がかかる

シェアードバリューコンテンツは、自社メディアなので企業広告や求人サイトに掲載する場合よりも費用を抑えやすいと考えられます。
しかし、シェアードバリューコンテンツを作成して公開するまでには、サイト作成費用や人件費がかかってしまう点は留意しておきましょう。

せっかくのコンテンツも、まったく費用をかけないでいると品質が劣ってしまうかもしれません。
初期費用はかかると考えておきましょう。

会社全体で取組まなければならない

シェアードバリューコンテンツは、担当者や担当部署だけでなく会社全体で実施する必要があります。
会社全体で取組まなければ、会社の風土や魅力を伝えるブランディングはできないからです。
インナーブランディングするためにも、会社全体で取組む内容であることを伝えておきましょう。

シェアードバリューコンテンツを作る時のポイント


シェアードバリューコンテンツを作る時には、やみくもに企業の特徴や事業内容を伝えるのではなく、計画的に構築するようにしてください。
シェアードバリューコンテンツを作る時のポイントを紹介します。

ストーリー

シェアードバリューコンテンツがただの情報の羅列にならないためには、ストーリーが重要です。
情報を並べただけでは、人の関心を引くことはできません。
物語のように感情移入、共感できるようなストーリーを組み立てましょう。

具体的には、企業理念をただ伝えるのではなく、どうしてそのような企業理念になったのか、創始者がどういった思いで事業を始めたのかを盛り込むようにします。

意味報酬

求職者の価値観が多様化して、仕事の社会的な意義ややりがいを求めるようになってきています。
意味報酬とは、他社からの承認や社会貢献、自己成長といった金銭ではない内発的な報酬です。
シェアードバリューコンテンツを作成するためにも、企業がどのような意味報酬を提供できるのかをメッセージとして伝えましょう。

発信の中立性

SNSが発達したことにより、求職者は情報を集めやすくなりました。
企業が自社にとって都合が良い情報だけを発信しても、他方面からの意見によって覆されてしまえば、企業は信頼を失います。
信頼を失ってしまえば、それを回復するのは困難です。

発信はポジティブな面だけでなく、ネガティブな面や今後の課題も含めておきましょう。
信頼を獲得するためには、良いことばかり書くのではなく中立になって透明性を維持する方が近道です。

メディアミックス

シェアードバリューコンテンツを発信するメディアは、ひとつにこだわる必要はありません。
現場社員からの情報発信のほか、公式アプリや動画なども組み合わせてみましょう。
自社の良さを伝える手段として、様々なメディアを活用することをおすすめします。メディアミックスで多くの角度から発信すると、マッチングしやすくなります。

シェアードバリューコンテンツの発信方法

シェアードバリューコンテンツを導入する時には、何を発信するかだけでなく、どうやって発信するかも考えてください。
シェアードバリューコンテンツの発信方法についてまとめました。

社員から見たストーリー

求職者の共感を得やすいのが、社員から見たストーリーです。
社員それぞれの目線から見たストーリーがあることによって、働いている自分をイメージしやすくなり、ミスマッチを防ぎます。

動画・アニメーション

抽象的な概念や多くの情報を伝えたい時に役立つのが、動画やアニメーションです。
動画やアニメーションにストーリーを持たせられるほか、わかりやすい親しみやすいコンテンツ作成にも役立ちます。

トップからのメッセージ

企業理念の掲載があったとしても、企業のトップが自分の想いや目指す姿をメッセージとして発信することには大きな意味があります。
よりメッセージが伝わりやすく、求職者にも共感してもらいやすい形です。

まとめ

シェアードバリューコンテンツは、企業が求職者に選ばれるために必要な情報発信です。
シェアードバリューコンテンツがあることにより、企業に関心を持ってもらい、どのような仕事に携わりたいのかを具体的にイメージしてもらうことができます。

メディアミックスや動画といった様々なアプローチで、企業の魅力を知ってもらいましょう。

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(編集:創業手帳編集部)

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