販売に役立つ心理学とは?購買意欲を高める12の効果

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販売に心理学を活かして売上UPへ


商品やサービスが売れる背景には、必ず「心理」が関係しています。良いものがあれば売れるとは限りません。売れる商品の裏側には心理学効果が使われています。
特にBtoC販売では、論理よりも感情や印象が購入を左右することが多いため、心理学効果を無視できません。

本記事では、販売に役立つ心理学の代表的な効果と、その実践的な活用方法を紹介します。

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なぜ販売に心理学が必要なのか


販売の仕事には、仕入単価の計算やパソコンの知識、商品知識など多様な知識が求められます。その中でも忘れてはならないのが心理学です。
消費者の購買行動の多くは感情を起点としており、論理より直感的な判断が優先される傾向があります。
顧客の心理を理解することで、販売担当者は顧客の感情を自然に刺激して購買意欲を高められるのです。

さらに顧客心理に基づく販売戦略を用いると、短期的な売上の増加だけでなく長期的にリピート率や顧客満足度も向上します。
事業を安定して継続するため、会社の成長を持続するために販売の仕事に心理学が貢献しています。

シーン1:商品を知ってもらう|第一印象と認知を高める段階


販売の心理はシーンごと、段階によって理解します。はじまりとなるシーンは商品を知ってもらう段階です。
顧客に興味を持ってもらわなければ次の段階には進めません。どうやって第一印象と認知を高めるのか、心理学テクニックを理解しましょう。

心理学テクニック1:初頭効果

人は最初に得た情報を強く記憶します。販売でいえば店舗の入口やECサイトの第一印象が全体評価を左右すると考えます。

この心理テクニックは販売の多くの場面で使われており、実店舗であれば入り口や入店直後のディスプレイを工夫するといった施策です。
ECサイトではトップページでの魅せ方、ブランディングがその後の印象に影響します。

こうしたはじめに与えられた情報が後の情報に影響することを初頭効果と呼びます。初頭効果をうまく活用できれば、顧客が商品やブランドに対して好感を持たせられるのです。

【具体例】

    ◎ECサイトのトップページ

    活用法:「シーズンのおすすめ」「限定キャンペーン」といった訴求したいことを配置する。

心理学テクニック2:ハロー効果

顧客は一部の目立つ特徴に着目して全体を判断する傾向がありハロー効果と呼びます。
脳の思考には偏りがあり、例えば、商品として実用的であっても、汚れている、デザインが気に入らないといった問題があれば魅力を感じません。

デザインや清潔感は商品価値に直結する部分であり、高品質なパッケージや魅力的な店内演出は、商品の印象を総合的に引き上げる効果があります。
ECサイトでも、ブランディングが重要です。視覚的な統一感を持たせることで、信頼性とブランド力を強化できます。

【具体例】

    ◎ECサイトのトップページや店舗デザイン

    活用法:ブランドの世界観に調和するアイテムを活用することで商品やサービスの人気も高められる。

心理学テクニック3:ザイアンス効果(単純接触効果)

ザイアンス効果は、単純接触効果として知っている人が多いかもしれません。
人は繰り返し接触した対象に好意を抱きやすいため、広告やPOPでいかに露出するかが意識されています。

SNSが一般的になり、テレビコマーシャルや雑誌での広告宣伝が無くても商品やサービスを発信できるようになりました。
継続的に商品を発信することで、顧客の購買意欲を徐々に高められます。
メールやLINE配信などで定期的に接点を作ることも、信頼と親近感の醸成に効果的です。顧客との関係を深めてリピーターやファンを作っていってください。

【具体例】

    ◎メルマガ

    キャンペーンやセール情報、季節のおすすめを定期的に発信して顧客とコミュニケーションをとる。

シーン2:興味を持ってもらう|購買意欲を高める段階


顧客が商品やサービスを認知した後は、興味や関心を持ってもらう施策が必要です。購買意欲を高めるために知っておきたい心理学テクニックを紹介します。

心理学テクニック4:社会的証明

何かを決める時に、ほかの人の意見を参考にしたいと思ったことがあるかもしれません。
社会的証明は、特定状況下で自分ではなく周りの人の意見で意思決定を下す心理学の用語です。

人は他者の行動を参考にするため、口コミやレビューを提示することで安心感を得られます。
ランキングやベストセラー表示は、購買行動を後押しする強力な要素となるので、積極的に発信してください。
実店舗の場合には「売れ筋商品」や「利用者数実績」を掲示することで、信頼性を高められます。

【具体例】

    ◎口コミやレビュー機能

    商品の口コミやレビューといった購入した人の生の声を聞ける機能を用意する。

心理学テクニック5:バンドワゴン効果

バンドワゴン効果とは、「多くの人が利用している」と示すことで、流行や人気に乗り遅れたくない心理をいいます。
販売シーンでは「シリーズ累計◯万本突破」といった表現が効果的です。SNSでの拡散やインフルエンサー活用も、バンドワゴン効果を強める手段です。

【具体例】

    ◎インフルエンサーの起用や雑誌、テレビでの紹介

    商品やサービスをインフルエンサーに提供し活用例を紹介してもらう。

心理学テクニック6:スノッブ効果

スノッブ効果は、人と同じものでは嫌だと感じる効果のことです。バンドワゴン効果とは逆の心理であり、人と同じである安心感よりも他者と差別化したい心理です。
相反する心理に感じますが、多くの人は両方の気持ちを持っています。

他人と違うものを選びたい欲求から、限定モデルや特別仕様商品に魅力を感じる人は多く存在しており、高価格帯や高級路線の商品は差別化を求める顧客層に強い訴求力を持っています。

【具体例】

    ◎会員限定販売や数量限定商品の商品の開発

    限定商品の販売によって特別感を演出する。

心理学テクニック7:メタモデル

メタモデルは顧客が抱えている悩みや課題、ニーズや欲求を聞いて掘り下げていく心理学テクニックです。
具体的には5W1H(いつ/どこで/だれが/何を/なぜ/どのように)沿って質問をして要望を聞き出します。
例えば、「利用する時期はいつでしょうか?(いつ)」のように質問をしていくと、顧客もニーズを整理できます。

【具体例】

    ◎メタモデルのテクニックを身につけた接客対応スタッフの配置

    心理学テクニックを身につけるための接客研修を実施する。

シーン3:購入を決断してもらう|クロージング段階


購入を決めてもらうクロージングは、販売の仕事でも難しい部分です。
クロージングでの接客次第で購入するかどうかが決定します。クロージング段階で使える心理学テクニックをまとめました。

心理学テクニック8:アンカリング効果

アンカリング効果は、認知バイアスのひとつで先に与えられた情報が後の意思決定に影響する心理です。
人は最初に提示された価格を基準とするため、定価を示したうえで割引を提示するのが効果的です。

例えば、段階に分けた商品価格を設定して高価格の商品を先に見せるようにすると、次に提示する商品の割安感を強調できます。
セット販売や比較表を用いると、顧客は相対的にお得な選択肢を選びやすくなります。

【具体例】

    ◎期間限定価格やクーポンを活用する

    最初に通常価格や希望小売価格を提示してから、それよりも安い価格を提示する。

心理学テクニック9:希少性の原理

人が手に入りにくいものに魅力を感じる心理を希少性の原理と呼びます。人は希少なものに価値を感じるため、「残りわずか」や「期間限定」といった訴求が有効です。

希少性には様々な種類があります。「限定数しか作らない(生産量の希少性)」、「ここでしか買えない(場所の希少性)」など、在庫数や販売期間を明示します。
迷っている顧客が購買行動を早める強い動機付けとなるテクニックです。

【具体例】

    ◎数量限定キャンペーン・先着特典

    今しか買えないと感じさせることで顧客の意思決定を加速させる。

心理学テクニック10:返報性の原理

返報性の原理とは、人は好意や贈り物を受け取るとお返ししたくなる心理です。
商品を買うつもりがなかったのに試食やサンプルを受け取って購入してしまうケースは珍しくありません。

実店舗では試食や試供品を提供することで、顧客の購買意欲を自然に引き出せます。 オンライン販売でも送料無料やおまけ特典を提示すると、返報性の心理が働きます。

【具体例】

    ◎初回割引・無料のサンプル配布

    先に価値を提供することによって顧客のお返しをしたい気持ちを引き出す。

シーン4:購入後の満足感を高める|リピーターにつなげる段階


販売の仕事はクロージングで終わりではありません。事業を安定継続させるためには、リピーターを増やすための施策が必要です。
ここからは、購入した顧客の満足感を高めるためのテクニックを紹介します。

心理学テクニック11:デカップリング効果

デカップリング効果とは、そもそも一体であるものを切り離すことで、それぞれの影響を断ち切る効果をいいます。
商品に魅力を感じても高額だからと諦めた経験は多くの人が持っています。

そこで、支払いと利用を切り離すと心理的負担を軽減可能です。典型的なのがサブスクや分割払い、キャッシュレス決済です。
キャッシュレス決済を導入すると、支払いの痛みが軽減し再購入につながりやすくなります。
また、定額制サービスは利用回数が増えるほどお得感が強まってリピートを促進する効果が期待できます。

【具体例】

    ◎月額課金のサービス

    動画サイトや服のレンタルのように月額なら負担が少ないと感じさせて長期間の契約につなげる。

心理学テクニック12:一貫性の原理

一貫性の原理とは、自分の行動や発言は一貫して保ちたいと感じる心理をいいます。人は自分の選択を正しいと信じたいので、購入後の肯定感を高める施策を検討してください。

フォローアップメールや会員特典を用いると、顧客は購入を正当化しやすくなり次の利用に前向きになります。
また、購入者コミュニティやレビュー依頼も一貫性の心理を活用したリピート施策です。

【具体例】

    ◎アフターフォローのメール

    購入した後にアクションがあることによって、購入してよかったと感じさせるきっかけを作る。

心理学効果を販売で使うときの注意点


心理学効果を活用できれば、販売の仕事にも多くの効果が期待できます。しかし、やり方次第では顧客との関係に悪影響を及ぼすかもしれません。
心理学効果を販売で使う時の注意点をまとめました。

過度な煽りや誤解を招く表現は避ける

販売の仕事で大切なのは顧客との信頼関係の醸造です。顧客を惹きつけようとして希少性や緊急性を過剰に演出すると顧客からの信頼を失うリスクがあります。
誤解を招く情報や大げさな表現はクレームや返品につながります。

過度な煽りや誤解を招く表現で短期的に売上が上がったとしても、信頼を損ねれば長期的な売上に悪影響を及ぼすでしょう。
広告やPOPでは事実に基づいた表現を徹底して、倫理的な販売を大前提としてください。

顧客満足を最優先に心理を活用する

心理学効果は顧客の利益や満足感を高める目的で使うことが重要です。短期的な販売増加だけを狙うと、ブランドイメージやリピート率が低下する可能性があります。
売上を増やすための目的ではなく顧客体験を向上させる施策として、心理効果の使い方を計画的に設計しなければいけません。
顧客満足を最優先にすることが将来的な事業の成長につながります。

倫理的な視点と長期的視点を持つ

心理的テクニックを濫用すると、消費者との信頼関係が損なわれるリスクがあります。長期的な顧客関係の構築を念頭に置き、短期的成果に偏らない施策を心がけてください。

販売担当者は常に倫理的な判断基準を持ち、持続可能な販売戦略を実行しなければいけません。
また、施策が倫理的で長期的な視点があるかどうかをチェックする機能も必要です。

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まとめ:販売に心理学を活用して購買意欲を引き出す

販売成果は商品力だけでなく、顧客心理を理解したアプローチによって大きく変わります。心理学効果を学び実践することで、顧客に選ばれ続ける販売活動が可能です。
適切に心理を活用すれば、顧客満足と売上向上の双方を実現できます。
販売意欲を引き出すためのレベルアップ講習を開くなど、自社でどのような施策につなげられるのか検討してください。

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(編集:創業手帳編集部)

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