競合調査の方法とは。『敵を知る』ことから『差別化』が始まる
差別化戦略をとるにあたって、必要な競合調査の基本的な手法とは
(2016/06/15更新)
前回までのコラムでは「商圏調査・導線調査」、「視界性と認知性」についてお話しをしてきました。
今回は、『競合調査』についてお話しをしていきたいと思っております。
よく本やセミナー等でも『差別化』という話を聞くことがあると存じます。
そもそも『差別化』とは何でしょうか?この点からお話しをしていきたいと思います。
この記事の目次
1.差別化とは何か
よく、『差別化』というと『よそと全く違うことをする』ということをお話される方がいらっしゃいます。本当にそうなのでしょうか?
1-1コンビニ業界の例
例えば、コンビニ業界を考えます。
セブンイレブンは『セブンプレミアム』を開発し、販売しております。
しかし、ローソンも『ローソンセレクト』を開発し、発売しております。
セブンイレブンが初めて、『セブンプレミアム』を開発した時には、コンビニ業界では扱っていない商品です。
当然、『よそと全く違うことをする』といった点で差別化されています。
しかし、現在はローソンもファミリーマートも同様のPB(プライベートブランド)を開発しております。
ということは、差別化されなくなったのでしょうか?
私は、現在でもセブンイレブンの『セブンプレミアム』は差別化されていると思っています。
それは、なぜか?
圧倒的な商品の品質の高さを『セブンプレミアム』に凝縮し、『他社よりも安く』を提供しているからです(セブンプレミアムゴールドはまた別の切り口です)
なぜ、それができるのかというと自社専用工場比率が圧倒的に高いという強みを活かし、独自の商品開発ができる点と店舗数のスケールメリットがあることが大きな要因であります。
また、他のグループ会社でも販売できる販売力があるからです。
つまり、自社の強みが他社を圧倒し、『差別化』しているのです。
これが、私は『差別化』であると考えております。
つまり、差別化とは、
『お客様の伸びているニーズに対して、自社の優位性を出すこと』
であると考えております。
1-2美容院の例
例えば、美容院があります。
美容院は、全く違う美容サービスを考えないと差別化できないのでしょうか?
例えば、OLさんが、週末に美容室に行くが、仕事帰りに行ける店があるのであれば、行きたいというニーズがあったとします。
そのニーズに対応し、19時までしか開けていない美容室を22時まで開けているということも立派な差別化なのです。
1-3飲食店の場合
これは飲食店でもできることなのです。
飲食店は商圏範囲があります。その商圏範囲の中のお客様のニーズが伸びているところに、他社よりも優位性が持てることを実施できれば、それで充分に差別化しているといえます。
そのためには、自店の『強み・弱み』を知るだけでなく、競合の『強み・弱み』を知ることが重要なのです。そのために『競合調査』を行います。
2.競合調査の実施方法
競合調査は、次の内容を調査します。
前提は同じ商圏で、自社に似た業態や使われ方をしているところとなります。
最低3社以上は、競合調査をすることをお勧めします。
2-1飲食業界における競合調査チェックリスト
基本情報 |
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商品情報 |
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立地情報 |
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接客情報 |
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宣伝広告情報 |
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ロイヤリティ |
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上記をチェック項目として、自社、競合A、競合B、競合Cと横比較で検証できるようにします。
そうすると競合の強み・弱み、自社の強み・弱みが見えてきます。
ただし、ここで注意点があります。
よく競合調査で、商品情報を確認しようとすると全てを確認しようとします。
そうする時間と経費があれば問題ありませんが、普通の中小店舗では難しいです。
商品情報の確認をする前に、あらかじめ商圏調査を実施し、自社の強み・弱みはここにあり、お客様のこういうニーズに対して、こういう対策をとる差別化戦略を行うと仮設を立てて、競合へ訪問することが重要です。
自社がとろうとしている戦略が他社よりも優位であるかを競合調査で確認をするのです。
そうしないと、薄く、中身のある競合調査となりません。
飲食店で扱っているアイテム数がどれくらいあるか皆さまもよくご存じのことと思います。
3.まとめ
本日は、差別化戦略をとるにあたって、必要な競合調査の基本的な手法についてお話しをさせていただきました。
次回は、商圏調査・競合調査を活かした、『売るための戦略』を立てる際に必要な分析の手法についてお話しをしていきたいと思います。
商圏調査、競合調査は、新規で開業される方だけでなく、既存店の売上改善にも使える手法ですので、ぜひ、定期的に実施されることをお勧めいたします。
(監修:販路企画 田口 勝(たぐち まさる) )
(編集:創業手帳編集部)