飲食店に特化したクラウドファンディングサイトの選び方

飲食開業手帳

飲食店のクラウドファンディングサイトを比較。自社サービスに合ったシステムを探して、より確実な資金調達を目指そう!

クラウドファンディングは、事業を始めたりイベントを開催したりする際に必要な資金を効率よく集めることのできるシステムです。飲食店を開店したい人も、クラウドファンディングを利用することで、開店資金集めのスピードアップにつながるでしょう。

また、クラウドファンディングは飲食店などのサービス業にとって、資金集め以上のメリットもあります。飲食店がクラウドファンディングを使う意味や効果を明らかにし、どんなクラウドファンディングサイトを使ったら良いか、おすすめのサイトを比較分析してみました。

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クラウドファンディングとは


クラウドファンディングとは、インターネットを通じて不特定多数の人に資金の提供を呼び掛ける資金調達方法です。主に資金調達を専門に扱うクラウドサービスを利用して、プロジェクトを立ち上げ、資金を募ります。

クラウドファンディングにはいろいろな種類がありますが、飲食店で活用するなら、特に飲食店向けのものを選ぶことが大切です。クラウドファンディングの種類や飲食店で利用する意味、理由を紹介します。

クラウドファンディングの種類

クラウドファンディングは、資金を調達する方法の一つですが、資金の性質によってクラウドファンディングの種類が分かれています。主に展開されているサービスは、以下の種類となります。

クラウドファンディングの種類
  • 寄付型
  • 購入型
  • 融資型(ソーシャルレンディング)
  • ファンド投資型
  • 株式投資型

寄付型は支援者が寄付という形で資金提供する形です。主に社会貢献的な意味合いのプロジェクトで使われます。
購入型は、支援者が資金を提供する代わりに商品やサービスを得られる形式です。
それ以外の融資型、ファンド投資型、株式投資型は、支援者が金銭や株式などでリターンを受け取る形式となります。

飲食店が選びたいクラウドファンディングの種類

飲食業でクラウドファンディングを活用するなら、購入型がおすすめです。購入型であれば、支援のリターンを自店のサービス提供で行えます。融資型などのように返済も必要なく、金利がかかることもありません。

また、こうしたサービス業や飲食業のクラウドファンディングは、購入型のサービスが多くを占めているため、選択肢も多くなります。

飲食店がクラウドファンディングを使う理由

飲食業でクラウドファンディングサイトを使うことには、資金調達のほかにも意味があります。サイトで自店のプロジェクトを公開することで、宣伝効果も期待でき、プロジェクトへの反応を見ることでマーケティングリサーチにもなります。

また、リターンでサービス提供する、会員になってもらうなども、開店前から自店のファンを増やすという意味で効果的です。サイトによってはコンサルサービスなど、プラスアルファのメリットが得られるところもあります。

飲食店向けクラウドファンディングサイトを比較

飲食店では購入型のクラウドファンディングが向いていますが、クラウドファンディングサイトにもいろいろなものがあります。サイトによっては飲食店向けではないものもあるため、まずはサイトを比較して自店に合うサービスを絞り込みましょう。

飲食店におすすめのクラウドファンディングサイトを比較してみました。

飲食店に特化したクラウドファンディングサイト

まずは飲食店に特化したクラウドファンディングサイトを紹介します。飲食店のみに焦点を当てており、サイトを閲覧する支援者も「飲食店を応援しよう」と思っているため、支援を受けやすくなります。

サイト名 特徴 手数料 URL
kitchenStarter
(キッチンスターター)
日本初の「飲食特化型」 支援額の20% https://kitchenstarter.jp/
makestory
(メイクストーリー)
コンサルつき 支援額の20% https://redish.jp/makestory/
HAYARUKA
(ハヤルカ)
飲食ビジネスを牽引するメンター スタートアップ15%
イベント等6%
決済手数料:3.9%
https://hayaruka.jp/
3rdTable
(サードテーブル)
日本最大級の「CAMPFIRE」の飲食店特化サイト 手数料:12%
決済手数料:5%
https://camp-fire.jp/channels/3rdtable

各サイトの特徴について簡単に説明します。

kitchenStarter(キッチンスターター)

kitchenStarter(キッチンスターター)は、2016年1月に誕生した新しいサイトで、日本初の「飲食特化型」クラウドファンディングサイトです。

お店のコンセプトが受け入れられるか、プレマーケティングリサーチをしてから、プロジェクトを立ち上げられます。
掲載料無料の成功報酬型で、手数料は成立した時のみ20%発生します。

makestory(メイクストーリー)

飲食店専門クラウドファンディングで、平均800万円という高額の支援金額を集めることに成功しているサイトです。

レストランクラウドファンディング専門のコンサルタントが全ての作業を請け負うことで、成功率100%となっています。
契約後はLINEでの相談が可能です。また、事前にお店の支援金額を無料診断することもできます。

HAYARUKA(ハヤルカ)

食べる人と、つくる人をつなぐ飲食に特化したクラウドファンディングサイトです。

日本の飲食ビジネスを牽引するメンターからプロジェクトへの提案やアドバイスを受けることもできます。
掲載料は無料で、最終的に決定した支援額に応じて手数料がかかるシステムです。プラットフォーム利用料はスタートアップ15%、イベント等6%、決済手数料は一律3.9%となっています。(税別)

3rdTable(サードテーブル)

クラウドファンディングサービス「CAMPFIRE」から派生した、飲食の新しいチャレンジを支援するクラウドファンディングサイトです。

掲載の基準に「飲食業界を切り拓く新たな挑戦」「お店やオーナーの熱い想いが込められている」などの要素を挙げています。こちらで掲載不可になった場合も、CAMPFIREでの掲載審査を受けられます。

インターネット広告代行、プレスリリース配信、CAMPFIREのニュースレター購読者への告知などのサポートが利用可能です。成立した場合のみ、手数料12%+決済手数料5%=17%がかかります。

飲食店特化ではないが使いやすいクラウドファンディングサイト

飲食店特化型ではないものの、総合型のサイトの中にも飲食店に向いているクラウドファンディングサイトはあります。飲食業の案件の多いサイト、飲食店が使いやすいサイトは以下の通りです。

サイト名 特徴 手数料 URL
Makuake
(マクアケ)
実績豊富なキュレーターがサポート
特許取得済みの市場分析ツール
メディア掲載
常設スペースでの展示
支援額の20% https://www.makuake.com/
Readyfor
(レディーフォー)
国内初の購入型
完全成功報酬型
シンプルプランとフルサポートプラン
シンプルプラン:12%
フルサポートプラン:17%
https://readyfor.jp/
FAAVO
(ファーボ)
地域応援サービス 支援額の20% https://faavo.jp/
CAMPFIRE
(キャンプファイヤー)
国内最大のクラウドファンディング
継続課金型「CAMPFIRE コミュニティ」
手数料:12%
決済手数料:5%
https://camp-fire.jp/
MotionGallery
(モーションギャラリー)
コロナ禍の飲食店を応援するプロジェクトあり 手数料:5%
決済手数料:5%
https://motion-gallery.net/

各サイトについて説明します。

Makuake(マクアケ)

株式会社サイバーエージェントのグループ会社運営のクラウドファンディングサイトで、映画・飲食・プロダクト案件では、業界トップの資金調達を達成しています。(2015年9月)手数料は20%です。

実績豊富なキュレーターが担当としてサポートし、特許取得済みの市場分析ツールによる調査も可能です。メディア掲載や常設スペースでの展示など、サポート充実で、実行者の満足度は80%以上となっています。

Readyfor(レディーフォー)

国内初の購入型クラウドファンディングサイトです。完全成功報酬型で、社会貢献系が多い特徴があります。手数料は業界最安水準である手数料7%+決済手数料5%=12%~です。

早期入金オプションやリピート実行者限定サポートなどのサービスもあり、プランはメールサポートのみのシンプルプランとキュレーターが専任担当者としてサポートするフルサポートプラン(手数料17%)があります。

FAAVO(ファーボ)

「まちでいちばん身近なクラウドファンディング」として地域を盛り上げるプロジェクトに特化したサイトです。※CAMPFIRE(キャンプファイヤー)と統合

CAMPFIRE(キャンプファイヤー)

「CAMPFIRE(キャンプファイヤー)」は、日本最大級の規模を誇るクラウドファンディングサービスです。あらゆるジャンルのクラウドファンディングが集まります。

手数料は、手数料12% + 別途決済手数料5%=17%です。飲食店専門の「3rdTable(サードテーブル)」も同系列のサービスです。

MotionGallery(モーションギャラリー)

映画やアートといったクリエイティブなプロジェクトに強いクラウドファンディングサービスです。メインではありませんが、フード関連のプロジェクトとして、コロナ禍の飲食店を応援するプロジェクトなどがあります。

手数料は、コンセプトファンディング(いわゆるAll or Nothing方式)で手数料5%、決済手数料5%=10%と国内最安となります。プロダクションファンディング(All In方式)では目標金額に達した場合10%、達しなかった場合は 20%です。

飲食店でクラウドファンディングを使う手順

クラウドファンディングを使いたい飲食店経営者は、サービスの利用方法についても知っておきましょう。独自のやり方を持つサービスもありますが、大体のクラウドファンディングサイトでは以下のような手順で支援の募集を行います。

プロジェクトの目標設定

クラウドファンディングに参加するには、まずは資金使途やプロジェクトの内容、目的や金額の達成目標など決めて、登録する必要があります。プロジェクトが成立したらリターンのサービスや商品を提供する必要があるため、この時点で実行可能なリターンを考えることになります。

利用するサービスを選ぶ

プロジェクトの内容以外にも、利用するサービスの手数料や方式などを選ぶことも大切です。クラウドファンディングには、目標額に達しないと支援金を受け取れない「All or Nothing方式」と目標に達しなくても集まった額だけ受け取れる「All In方式」があります。また、手数料は各サイトやサービス、プランによって異なるため、サポートの内容や使いやすさなどと見比べつつ選びましょう。

プロジェクトの登録~審査

プロジェクトが決まったら、登録して審査を受けます。審査ではプロジェクトの趣旨や実現の可能性など、サイト独自の基準によって判断されます。落ちないためには、最低限記載事項はしっかり書き込むことが必要です。

運営会社の担当者がヒアリングを行い、コンセプトの策定、プロジェクト構成の作成、リターン内容など、サポートしてくれるサイトもあります。

必要書類としては以下のようなものがあります。

クラウドファンディング登録に必要な書類
  • 登記簿謄本
  • 物件契約書
  • 営業許可書
飲食店の経営が個人の場合
  • 職務経歴書

など。

プロジェクトの開始

審査に通過するとプロジェクトがサイト内に公開され、支援の呼びかけが開始します。サイト任せではなく、各種SNSなどを利用して、自分のプロジェクトへの支援を呼びかけます。また、サービス内容にプレスリリースや実店舗での展示などがあるサイトもあります。

活動報告

公開後は、定期的な活動報告を行い、支援者への情報提供を行います。店舗の準備の進捗やメニューの内容、支援者へのリターンについてなど、プロジェクトの魅力を伝えて呼びかけます。

プロジェクト終了・支援者へのリターン

プロジェクトの公開期間が終わると、「All or Nothing方式」で目標額に達していた場合と「All In方式」の場合、集まった支援金のうち手数料を引いた金額が入金されます。それとともに、支援者へのリターンも行っていくことが必要です。支援者へのリターンの準備の経過なども、活動報告として小まめに発信すると、支援者も安心してリターンを待つことができます。

クラウドファンディングを使う際の注意点

クラウドファンディングは、何もせずにお金を集められるサービスではありません。プロジェクトの内容が魅力的ではないと目標達成は難しくなりますし、サイトによってサポート内容も大きく異なるため、準備段階から慎重に進めたいものです。

実現したいプロジェクトを明確にする

クラウドファンディングはプロジェクトが明確になっていないと、支援者を集めることができません。支援者はプロジェクトの将来性や魅力を感じなければ、お金を出そうと思わないためです。曖昧なプロジェクト、実現可能か不安なプロジェクトは支援者の心を掴みませんし、そもそも審査落ちします。

プロジェクトが明確になっていない場合には、サポート充実のサイトを使うと良いでしょう。サイトによってサービス内容が違うため、あらかじめプロジェクトの作成までメンターやコンサルなどのサポートがあるサイトを選ぶと安心です。

リターン設定は慎重に

口コミでは、魅力あるリターンが支援者を集めるきっかけとなります。そのためリターンの条件や種類など、お得感のあるサービスを打ち出すことも大切ですが、あまり過剰サービスになり過ぎて実現が難しくならないよう、バランスを見ることも重要です。

金額によって段階を作るなど、細かい工夫もして、支援金額とリターンのバランスをとりましょう。

拡散はサイト任せにしない

募集期間中は小まめに活動報告やコメントの返信など行いつつ、SNSでの拡散も行うことが大切です。サイトでもプロジェクトのPRはしてくれますが、たくさんのプロジェクトの中に埋もれないように、自身でも積極的に拡散しましょう。

プレスリリースを作成することもおすすめします。サイトによっては無料で配信できるサービスや実店舗で展示できるサービスもあります。

まとめ

クラウドファンディングは、飲食店にとって非常にメリットが多い資金調達方法です。資金を集められるだけでなく、クラウドファンディングサイト上やSNSなどでの宣伝効果も期待できます。無料でプレスリリースを利用できるサイトもあり、開店前から顧客を幅広く集められそうです。

ただし、クラウドファンディングの成功には、慎重なプロジェクトの作成や経営者自身の集客・拡散などの努力も必要となります。魅力あるプロジェクトを作成し、多くの人に知ってもらうようPRを行うことが大切です。
リターンが魅力的でないと支援者の気持ちをつかめないため、リターンの内容をよく検討しましょう。

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(編集:創業手帳編集部)

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