登録免許税はいくらかかる?税額や納付方法を紹介します

資金調達手帳

会社設立に必要な登録免許税は軽減できる


会社を設立して登記するためには登録免許税の納付が必要です。
登録免許税は、株式会社で最低15万円、合同会社でも最低6万円かかります。
登録免許税の負担を減らすためには、特定創業支援事業で登録免許税の軽減を利用してください。

特定創業支援事業の対象として証明書を交付されると、登録免許税の軽減以外にも様々な優遇措置を受けられるようになります。
特定創業支援事業のメリットやデメリットをはじめ、納税方法についても解説します。

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創業時にかかる登録免許税とは


会社をスタートする時には様々な費用がかかります。
事業に関わる仕入れやオフィスの費用、さらに人件費がかかることもあります。
創業準備を進める中で、うっかり忘れてしまいがちなのが創業時にかかる税金です。
今回は、見逃しがちな登録免許税についてまとめました。

登記にかかる登録免許税は?

登録免許税は、登記の手続きの時に国に納める税金です。
不動産登記の時に、登録免許税を支払った経験がある人もいるかもしれません。
売買・相続・贈与によって不動産の所有権が移転した時には、登録免許税を支払って登記を行うことが必要です。

これは、法務局(登記所)に置かれている登記簿に土地の所有権を記録、公示するための手続きで、対外的に不動産の持ち主を公示するために行います。

同様に、会社に関わる商業登記でも登録免許税を支払います。
株式会社などの設立登記や資本金の増加登記、合併や組織変更なども、登記の際に登録免許税を支払わなければいけません。

会社設立時には登録免許税も準備が必要

法人の設立と存続には様々な種類の登記が絡みます。
会社設立時に、資本金や運転資金など経営のための費用を確保する必要がありますが、見逃しがちな登録免許税も創業時の費用のひとつとして覚えておきましょう。

登録免許税は、どの種類の法人を設立するのかによって変わってきます。
まずは、設立する法人の登録免許税の計算について解説します。

会社設立時の登録免許税の計算

会社設立時の登録免許税は以下のようになっています。

会社の種類 課税標準 税額
株式会社 資本金の額 1,000分の7
(15万円に満たない場合は、申請件数1件につき15万円)
合同会社 資本金の額 1,000分の7
(6万円に満たない場合は、申請件数1件につき6万円)
合名会社・合資会社 申請件数 1件につき6万円

参照:国税庁「登録免許税の税額表」

株式会社の設立であれば、登録免許税として最低でも15万円、合同会社と合資会社、一般社団法人でも少なくとも6万円は登録免許税がかかります。

株式会社で登録免許税が15万円を超えるのは、資本金が約2,145万円の時で、合同会社の場合では、6万円を超えるのは資本金が約860万円の時です。

資本金の額がそれらの金額より少ない場合には、登録免許税は株式会社で15万円、合同会社で6万円と考えておきましょう。

創業以外のどのような時に登録免許税がかかる?

登録免許税を支払って登記をするのは、会社の設立時だけではありません。
以下の場合でも登録免許税がかかります。

  • 株式会社または合同会社の資本金の増加登記
  • 合併や組織変更などの登記
  • 支店設置の登記
  • 本店または支店移転の登記
  • 取締役または代表取締役、もしくは監査役などに関する事項の変更登記

もしも、登記してから会社の組織に変更があれば、登録免許税が再度発生することになります。
設立の登記時には、すぐに変更する可能性がないかどうかも考えておくと安心です。

登録免許税を半額にする方法


会社を創業してすぐは、多くの事業者ができるだけ多くの資金を確保したいと考えます。
会社設立の登録免許税は、前述のとおり株式会社で15万円、合同会社で6万円と決して安い金額ではありません。
少しでも費用があれば、事業資金に充てたいと考えている事業者は多いのではないでしょうか。

登録免許税は創業時にどうしても発生する費用ですが、以下に紹介する方法で軽減可能です。
登録免許税を半額にする方法をまとめました。

特定創業支援事業とは

登録免許税を半額にするには、特定創業支援事業の「会社設立時に関わる登録免許税の減免の特例」を活用してください。
この制度を活用することによって、株式会社であれば資本金の額の1,000分の3.5、最低で7.5万円の減免が受けられます。
合同会社の場合には、資本金の額の1,000分の3.5で最低でも3万円、合名会社・合資会社でも1件で3万円です。

特定創業支援事業は、国が行っている事業ではありません。
市町村が創業支援等事業者(創業を支援する事業者)と連携して実施しています。
これから創業する人を支援するために行われている取組みで、創業や起業の促進、地域の産業活性化を目的としています。

特定創業支援事業を受ける事業者は、登録免許税以外の様々な優遇措置を利用可能です。
ただし、特定創業支援事業の認定を受けた市町村でなければ、登録免許税の軽減措置は受けられません。

市町村によって特定創業支援事業を行っているところとそうでないところがあります。
会社を設立する時には、特定創業支援事業が行われているかチェックしておくようにおすすめします。

地方自治体によって違いがある

特定創業支援事業は、地方自治体によって内容や制度に違いがあります。
優遇の内容や融資の金利が違うほか、女性の起業を支援する制度が設けられている地方自治体もあります。
特定創業支援事業を受ける場合には、希望している地域の特定創業支援事業をチェックしておくようにしましょう。

特定創業支援事業で受けられるメリット

特定創業支援事業を利用することによって、創業時にいろいろな支援を受けられます。
以下では一例として、渋谷区で受けられる特典をまとめました。
地方自治体によって受けられる優遇措置が異なるため、詳しい内容は各地方自治体に問い合わせてください。

①登録免許税が半額になる

上記でも説明しましたが、特定創業支援事業を利用すれば、会社設立時の登録免許税が軽減されます。
対象となるのは、創業をこれから行う場合、もしくは、創業日以降5年を経過していない場合です。
すでに創業している人も利用できないかをチェックしてみてください。

②「新創業融資制度」の自己資金要件の充足

新創業融資制度とは、政府系金融機関日本政策金融公庫が提供している融資制度です。
創業者に無担保・無保証人で融資を実施しています。
新創業融資制度を利用できるのは、事業を新しくスタートする人、もしくはスタートして税務申告を2期終えていない人です。

さらに、新創業融資制度を利用するためには、創業時において創業資金総額の10分の1以上にあたる自己資金を確認できなければいけません。
しかし、特定創業支援事業を利用すれば、この自己資金の要件を満たしたものとすることが可能です。
別途審査を受ける必要はあるものの、より資金調達をしやすくなります。

③創業関連保証の条件緩和

創業関連保証とは、信用保証協会が実施している保証制度です。
金融機関から融資を受ける時に、信用保証協会が保証人となってくれます。
創業関連保証は事業開始2カ月前から利用できる制度ですが、特定創業支援事業を利用すれば事業開始の6カ月前から利用可能です。
こちらも別途審査はありますが、より早く資金調達が可能です。

④新規開業資金の金利引き下げ

新規開業資金は、日本政策金融公庫が実施する融資制度です。
新たに事業を始める人、もしくは、事業を開始してからおおむね7年以内の人を対象にした制度で、融資限度額は7,200万円(うち運転資金4,800万円)です。

新規開業資金で適用される金利は基準金利ですが、特定創業支援事業を受けた人であれば、特別利率として低い金利が適用されます。
こちらも審査はありますが、有利な条件で借り入れるためにも利用を検討すると良いでしょう。

特定創業支援事業のデメリット

特定創業支援事業は、多くのメリットがある制度です。
利用するにあたって、どのようなデメリットがあるかを調べました。

①時間がかかる

特定創業支援事業には、大きなデメリットはありません。
しかし、デメリットがあるとすれば、時間がかかる点が挙げられます。

特定創業支援事業を利用すると、設立時の登記までに2カ月程度はかかります
すでに登記する日が決まっている場合には、早めに特定創業支援事業の手続きをするようにしてください。

②研修が必要

特定創業支援事業の適用を受けるためには、創業支援事業者が実施する支援(研修)を受講するよう義務付けられています。

創業支援事業者として指定されているのは、主に商工会議所です。
研修の内容は「経営」・「財務」・「人材育成」・「販路開拓」の4種類です。
それぞれの内容を1カ月以上かけて4回以上受講しなければいけません。

創業に向けて目が回るほど忙しい事業者にとって、移動時間と研修の時間を捻出するのは大変です。
また、地方自治体によって研修や個別相談の予約の取りやすさ、受講しやすさは異なります。

特定創業支援事業を利用できる人

特定創業支援事業を利用できるのは創業前の人、もしくは個人事業主として創業後5年未満の中小企業者です。
また、優遇措置の内容によっては、利用できる人が限られているものもあります。

特定創業支援事業を利用する流れ

特定創業支援事業を受けるためには、手続きや研修が必要です。
以下は一例として、特定創業支援事業を利用するまでの流れを紹介します。

特定創業支援事業を利用するには、地方自治体ごとのホームページから内容をまず確認し、個別相談の予約を行います。

その後、プログラムを受講して、起業計画書を作成し、ビジネスプランを構築します。
プログラム内では、様々な専門家の話を聞くことも可能です。
経理や税務の相談をしたり、利用できる補助金や助成金について教えてもらえたりするので、積極的に受講するようにおすすめします。

税理士や会計士に相談するとお金がかかってしまうこともありますが、特定創業支援事業であれば無料でプロからの個別アドバイスが受けられます。

認定を受けるには、必要書類も準備してください。
申請書や企業計画書のほか、個人住民税の納税証明書などの書類が必要です。
必要書類を揃えて、申請手続きを行います。

申請から証明書の交付までは10日程度です。
証明書の交付を受けて、様々な優遇措置が利用できるようになります。

登録免許税の納付方法


登録免許税を納付するにはいくつか方法があります。
スケジュールや都合に合わせて適した方法を選びましょう。

現金納付

登録免許税は、現金で納付できます。
現金で納付するには、金融機関の窓口に登録免許税納付用の納付書を提出して、入金します。
入金すると領収書が発行されるので、「登録免許税納付用台紙」に貼り付けて税務署に提出してください。

収入印紙

登録免許税を収入印紙で納入するには、登録免許税額分の印紙を購入します。
収入印紙は郵便局や登記所で購入可能です。
購入した印紙は「登録免許税納付用台紙」に貼り付けて税務署に納付します。
登記申請書と印紙用台紙に使う印鑑は、申請書に押した印鑑と同じものを使う点に注意が必要です。

ATM・インターネットバンキング

商業登記・法人登記をオンラインで行った時には、ATMやインターネットバンキングから登録免許税を納付できるため、利用できる金融機関を調べておきます。
この方法なら自宅からでも手続きできるため、税務署に出向く時間がない人や、できるだけ交通費をかけたくない人にもおすすめです。

登録免許税を納付する時の注意事項

登録免許税の納付は、創業時に大切な手続きのひとつです。
忙しい事業者なら、できるだけ間違いなくスムーズに済ませたいものです。
登録免許税を納付する時の注意事項を紹介します。

割印は不要

仕事で収入印紙を使った経験を持つ人は、収入印紙を貼り付けてから割印をした人もいるかもしれません。
請求書のように印紙税の課税対象になる文書には、収入印紙を貼り付けてから、割印か署名による消印が必要です。

しかし、登録免許税を納付する時の収入印紙には割印は不要です。
登録免許税を納付する時は、割印をするのではなく登記申請書と印紙用台紙に押印をします。
間違えて割印をしてしまうことがないように注意してください。

収入印紙の貼り直しは受理されない可能性も

収入印紙は台紙に貼り付けて使用します。
もしも間違って貼り付けてしまったり、はがしてから再度貼り付けたりすると受理されないことがあります。
貼り直しは極力行わないように、失敗してもそのまま提出してください。
もしも却下や取下げとして受理されない場合には、登録免許税の還付請求で還付を受けるようにします。

まとめ

登録免許税は、会社設立の登記に必要な手続きです。
できるだけ事業資金に活用したいと考えるのであれば、特定創業支援事業を活用して、軽減を受けましょう。
特定創業支援事業を使うためには2カ月程度の時間がかかるため、設立登記に合わせて早めに用意しておくようおすすめしましょう。

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(編集:創業手帳編集部)

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