店舗リフォームに役立つ補助金・助成金4選!採択に向けたポイントも把握しよう
店舗リフォームにも使える補助金がある!
商業店舗を経営する事業者は、老朽化や何らかの不具合が起こった設備はできるだけ早く修繕や改装をしたいと考えるものです。
迅速に修繕・改装を行うことで、利用者の維持やさらなる拡大を図れる可能性があります。
しかし、そのためにはコストが発生するので、すぐに対応できないといったケースもあるでしょう。
今回は、店舗の修繕や改装などを行う際に利用できる補助金についてご紹介します。店舗リフォームを考えている事業者の方はぜひ参考にしてみてください。
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この記事の目次
店舗リフォームに活用できる補助金・助成金4選
店舗リフォームをする際に活用できる補助金や助成金について把握していれば、経営者が抱える負担を軽減できます。
まずは、店舗リフォームに活用できる補助金・助成金にはどのようなものがあるのか、4つピックアップしてご紹介します。
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者や一定の要件を満たす特定非営利活動法人が、今後複数年にわたって直面すると想定される制度変更などに対応するための取り組みに対して、経費の一部を補助する制度です。
補助することにより、地域の雇用や産業を支えている小規模事業者などの生産性向上や持続的な発展を図ることが目的となっています。
この補助金は、目的に合致していれば店舗リフォームも対象になります。通常枠の場合は、補助上限が50万円、補助率が2/3と魅力的な内容です。
現在、小規模事業者持続化補助金は、第15回までの申請受付が終了していますが、第16回の実施もあり得ますので、最新の情報をチェックするようにしましょう。
事業用再構築補助金
事業用再構築補助金は、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化することで、当面の需要や売上げの回復を見込みにくい状況になっている中小企業の事業再構築を支援するための補助金です。
日本経済の構造転換を促すためにスタートしました。店舗リフォームでも利用可能です。
補助率は、中小企業者などが 2/3 (6,000 万円超は 1/2)、中堅企業などが 1/2 (4,000 万円超は 1/3)となっています。補助金額は従業員数に応じて以下のように変わります。
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- 従業員数 20 人以下:100 ~ 2,000 万円
- 従業員数 21~50 人: 100 ~ 4,000 万円
- 従業員数 51~100 人 100 ~ 6,000 万円
- 従業員数 101 人以上:100 ~ 8,000 万円
現在第11回分まで終了しています。第12回分は、「令和5年度秋の年次公開検証(「秋のレビュー」)」の結果を加味し、見直しが行われた後に公募が開始されます。
業務改善助成金
業務改善助成金は、社員の賃上げや業務効率改善などを行うためにかかる費用負担を軽減するための助成金です。
この助成金を使うことで、生産性の向上を目指す業務改善にかかった費用をまかなえます。
生産性向上に向けた設備投資(コンサルティングの導入や機械設備、人材育成・教育訓練)を実施し、事業場内最低賃金を一定額以上引き上げると、その設備投資にかかった費用の一部の助成が受けられます。
条件は以下のとおりです。
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- 中小企業または小規模事業者である
- 事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が50円以内である
- 解雇や賃金引き下げなどの不交付事由がない
助成金の上限額はコースや賃金を引き上げる労働者数、引き上げ額などによって異なるので厚生労働省のページでご確認ください。
賃金引上げ計画を立てて申請する場合は、2024年3月31日が締め切りとなっています。
受動喫煙防止対策助成金
受動喫煙防止対策助成金は、受動喫煙を防止するための対策を推進することが目的となっています。
顧客が喫煙可能であることをサービスに含んでいる飲食店や旅館などを営む中小企業が対象です。喫煙室を設置するための店舗リフォームで利用できます。
以下の条件を満たしている場合に対象になります。
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- 労働者災害補償保険の適用となる事業主
- 下記表の労働者数もしくは資本金のいずれかを満たしている
業種 | 常時雇用する 労働者数 |
資本金 |
小売業(飲食店や配達飲食サービスなど) | 50人以下 | 5,000万円 |
サービス業(医療・福祉、娯楽業など) | 100人以下 | 5,000万円 |
卸売業 | 100人以下 | 1億円 |
その他(農業や林業、漁業、建設業など) | 300人以下 | 3億円 |
2023年度分はすでに終了していて、2024年度分に関する情報はまだ出ていません。
今後発表される可能性があるので、利用を考えている方はこまめに情報をチェックしてみてください。
【業種別】店舗リフォームにかかる費用相場
店舗リフォームにかかる費用は、業種によって異なります。続いては、業種別に店舗リフォームにかかる費用相場はどのくらいなのか解説していきます。
飲食店
レストランや居酒屋などの飲食店の店舗リフォームにかかる費用は、坪単価25~40万円が相場となっています。
キッチン回りなどの水回りのリフォームは、特にお金がかかりやすいです。店舗のデザインにもこだわると、デザイン費も追加でかかります。
また、焼き肉店などは各テーブルの設備設置などにコストがかかります。
どのような飲食物を取り扱うかによっても、必要な設備とかかるコストに差が生まれることも覚えておかなければいけません。
レストランや居酒屋などは、ホールスタッフが立ち回りしやすいような空間を確保することも重要です。
テーブルや座席の間にある程度余裕を持たせ、バックヤードとの動線を重視した室内空間にすることもリフォーム後の満足度を向上させる要素です。
カフェ・喫茶店
カフェや喫茶店の店舗リフォームにかかる費用は、坪単価15~25万円が相場です。店舗のデザインやインテリアにコストをかける傾向があります。
カフェや喫茶店の店舗リフォームで大切になるのは、コンセプトに合わせた統一感のあるデザインだからです。
メニューや味ももちろん大切です。しかし、雰囲気を重視する顧客も少なくありません。
そのため、はっきりとしたコンセプトを打ち出し、それに合う店舗リフォームをすることが重要です。
美容院・エステサロン
美容院・エステサロンの店舗リフォームにかかる費用は、坪単価15~50万円が相場です。
内装のグレードによっていずれの場合も結果的にかかる費用に大きな差が生まれます。
中古で揃えられるものは中古にするなどの工夫を凝らすと、コストを抑えられる可能性があります。
個室で施術をする場合は、個室を作るための費用も必要です。その分追加費用が発生することも念頭に置いておかなければいけません。
美容院もエステサロンも、非日常感を感じられるようなコンセプトや空間だと人気が高まりやすいです。
そのため、どのようなコンセプトにするのか明確にしておくことも重要です。
アパレル店
アパレル店の店舗リフォームにかかる費用は、坪単価20~40万円が相場です。
飲食店やカフェのように厨房機器がなく、美容室のようにシャンプー台があるわけではありません。そのため、コストを抑えられるケースが多いです。
しかし、試着室は必要となります。試着室を作るためにコストが追加でかかる可能性もないとは言い切れません。
おしゃれでセンスのいい空間を作るためには、デザイン費がかかります。その結果、費用が高くなってしまう場合もあります。
補助金・助成金の採択に向けて行うべきこと
補助金や助成金の採択に向けて行ったほうが良いことがあります。続いては、採択に向けて何をすべきなのか解説していきます。
公募期限と準備にかかる期間を把握する
補助金や助成金は、いつでも申請できるわけではありません。それぞれの応募締め切りが定められているため、締め切りに間に合うように申請手続きを行う必要があります。
締め切りなどのスケジュールは、公式サイトで公表されているので確認してみてください。
申請する補助金・助成金によって必要書類も異なり、手に入れるまでに時間がかかってしまうものもあります。
そのような点も踏まえた上で、早めに準備を進めるのがおすすめです。
事業計画書を具体的な内容で作成する
補助金や助成金の申請をするなら、事業計画書の内容を具体的にすることもポイントになります。これは審査の中で事業計画書を重視するケースが多いためです。
事業計画書でチェックされるのは、以下のようなポイントです。
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- 開発や販売する製品・サービスの特徴は何か
- 価格や販売量はすでに決定しているのか
- 原料費や制作する量はどのくらいなのか
- 販売体制や販路は確立されているのか
- 試作品は用意されているのか
具体的な数字が明らかになっていなかったり、予測のみで描かれていたりする場合、審査を通過する確率が格段に低くなります。
申請書や添付書類に不備がないか確認する
申請書や添付書類に不備があると、それだけで補助金や助成金を受けられなくなってしまいます。
申請する枠によって必要な書類が指定されているパターンもあるので、要領は細かい部分までチェックしておいてください。
補助金や助成金の事務所が不足分の書類について追完を求めるケースは少なく、そのまま不採択となってしまう可能性が高いです。
以下のような点も提出前に確認しておくと安心です。
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- 申請書が過去の様式になっていないか
- 「商工会議所」管轄地域の事業所にもかかわらず、「商工会」管轄の様式になっていないか
補助金・助成金を活用する場合の注意点
補助金や助成金は、金銭的な負担軽減に役立ちます。しかし、活用するのであればいくつか把握しておくべき注意点もあるので解説していきます。
後払いになる
補助金や助成金は、申請して採択されたらすぐに支払われるわけではありません。採択後の後払いが原則となっています。
支払われるまでにかなりの時間を要することもあるので、すぐにお金が必要といった場合は意味がないと感じてしまうかもしれません。
補助金や助成金を受給するにしても、自己資本で店舗リフォームを行わなければいけなくなります。
受動喫煙防止対策助成金は工事をする前の申請となるので少々異なりますが、基本的には店舗リフォームの原資として補助金・助成金を活用することはできないと思っておくべきでしょう。
準備に手間がかかる
準備に労力がかかることも理解した上で利用しなければいけません。
関連する説明会に参加しなければいけなかったり、必要な書類を準備したりするには、かなり時間を要します。
また、書類の提出や面接などのために何度も事務局へ足を運ばなければいけない場合もあります。
採択されてからも、事業報告や事務処理が発生するので、採択されたから終わりとは言えません。
煩雑な手続きを全てクリアしなければ、補助金・助成金の受給ができないのは前提条件です。
公募期間外の工事は対象外となる場合もある
公募期間外の工事である場合は対象外になってしまうこともあります。
助成金の場合は通年公募されているケースも多いですが、補助金は申込期間が定められているものが大半を占めます。
公募期間外に店舗リフォームを行ってしまうと、対象外になってしまうことも考えられるので注意が必要です。
年度が替わるタイミングであれば、次年度の要領などが発表されていない場合もあります。
そのような時は、店舗リフォームのタイミングをずらすなどして補助金の公募が行われるのか待たなければいけなくなります。
法令は必ず遵守する
補助金・助成金に関する法令に違反すると処分を受けることになってしまうため、必ず遵守してください。
国から支給される補助金や助成金は、私たち国民の税金や事業者の雇用保険料が財源となっているので、申請前も支給後も法令違反となる行為は言語道断です。
経済産業省の補助金の場合、不正受給すると補助金適正化法に抵触します。
発覚すると、交付後でも決定取り消しや補助金の返還を求められます。最悪の場合、詐欺罪で刑事告発され、逮捕されるリスクもあるので注意しなければいけません。
厚生労働省の助成金は労働環境の整備が目的なので、労働関係の法令に遵守していることが鉄則です。以下に該当する場合は助成金を受給できなくなります。
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- 過去3年以内に不正受給をした
- 労働保険料を滞納している
- 過去1年以内に労働関連法令に違反した
まとめ・店舗リフォームの際は補助金や助成金をうまく活用しよう
店舗リフォームにはまとまったお金が必要となります。
自己資金だけでなんとかなる場合ももちろんありますが、補助金や助成金をうまく活用することで負担を軽減できます。
ただし、受給するためには事前の準備が必要で、審査を通過できるように適切な書類作成など手間がかかってしまうことを覚悟しておかなければいけません。
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(編集:創業手帳編集部)