リアブロード 神田 慎|従来の最大半額※で行ける「スマ留」で海外留学をもっと気軽に
ひとりでも多くの方に海外留学を経験してほしい
海外留学へのハードルが下がりつつある現在でも、世界的に見るとまだまだ海外留学をする日本人の割合は少ないのが現実です。
リアブロードの神田さんは、従来の最大半額※で海外留学に行ける「スマ留」を運営しています。スマ留でもっと気軽に海外に行けるよう、日本人の海外留学を後押ししているのです。
そこで今回の記事では、神田さんが留学業界未経験からスマ留のサービスを作り上げた経緯や今後の展望について、創業手帳の大久保が聞きました。
※最大半額:2020年及び2023年に実施した業歴10年以上の複数の競合他社を対象とする調査結果に基づく
株式会社リアブロード 代表取締役社長
26歳から約5年間、新規事業の立ち上げや現場責任者を担当。31歳で世界一周の旅を決意するも、最初の訪問地だったオーストラリアのメルボルンで語学留学に興味を持ち、ビジネスの提案を始める。2014年、株式会社リアブロードを設立し、現在はリーズナブルな留学サービスを提供する「スマ留」を中心に事業を展開している。
創業手帳 株式会社 代表取締役
大手ITベンチャー役員で、多くの起業家を見た中で「創業後に困ることが共通している」ことに気づき会社のガイドブック「創業手帳」を考案。現:創業手帳を創業。ユニークなビジネスモデルを成功させた。印刷版は累計250万部、月間のWEB訪問数は起業分野では日本一の100万人を超え、“起業コンシェルジェ“創業手帳アプリの開発や起業無料相談や、内閣府会社設立ワンストップ検討会の常任委員や大学での授業も行っている。毎日創業Tシャツの人としても話題に。 創業手帳 代表取締役 大久保幸世のプロフィールはこちら
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この記事の目次
ブライダルベンチャーを経て「リアブロード」を創業
大久保:これまでの経歴を教えてください。
神田:私のキャリアにおいて、26歳の時にブライダル企業に営業責任者として入社したことが大きなターニングポイントとなりました。
当時は2次会の幹事代行業者の事業と、日本で初めてご祝儀で賄える結婚式をプロデュースする事業の2つを展開しており、私は立ち上げ時にジョインしました。
31歳までブライダル会社に在籍し、その後に「リアブロード」を創業したという経緯です。
大久保:リアブロードの事業のアイディアはどこから来ていますか?
神田:26歳から31歳までほぼ休まずに働いていたこともあり、ブライダル会社を辞める31歳のタイミングで世界一周に出たことがリアブロード創業のきっかけとなりました。
最初に行ったオーストラリアのメルボルンで、会社を辞めて語学留学に来ていた前職の従業員と再会し、語学留学に興味を持ちました。
再会した翌日の朝9時ごろ、飛び込みで彼の語学学校に行ったのですが、その時間帯は人が多く体験レッスンが受けられませんでした。改めて13時ごろに学校に戻ると、午後以降は稼働率がすごく下がっていることに気がつきました。
その後も色々とヒアリングしてみると、多くの語学学校が午後以降の稼働が上がりづらいという悩みを持っており、この稼働率に着目したビジネスをやってみようと思いました。
大久保:語学学校の稼働がちゃんと埋まってないことに対して、もっと可能性を引き出せるんじゃないかと感じたんですね。
神田:ブライダル業界では大手企業が「結婚式の準備は1年前から」と世の中に発信していました。実は準備期間が半年を切ると、会場の手配が難しくなるので予約も埋まりにくくなるんです。
そこで、結婚式の予約が埋まりにくい時期や時間帯、お日柄に限定する代わりに式を安く提供し、ご祝儀でまかなうというビジネスモデルで運営していました。
語学学校も同じような課題を抱えています。午前中には人が集まるのに午後は人が2〜3人しか集まらなかったり、極端に空いてる先生がいたり、スペースも余っていたりと多くの課題を抱えていました。
語学学校に飛び込みで行った次の日から1日10件ぐらいのペースで、メルボルン、シドニー、ゴールドコースト、ブリスベン、ケアンズなど色々な都市にある語学学校を調査しました。
大久保:業界の構造を瞬時に理解したことが今の事業のアイディアにつながったんですね。
「お金がないとできない」という常識を覆す
大久保:シェアリングエコノミーというバズワードが以前ありましたが、隙間を埋めるビジネスという点で近い発想だったのでしょうか?
神田:おっしゃる通りです。シェアリングエコノミーのモデルに近いですね。
留学もそうなんですけど、結婚式もやることに対してのハードルが高くて、特にお金の面で数百万円もの大金を一気に払える人って、なかなかいませんよね。
現在の結婚式では当たり前になっていますが、結婚式を後払いで開くという文化は、我々が根付けさせた自負があります。
結婚式の費用を抑えつつ、ご祝儀をもらった後に費用を支払う順番に変えれば、物理的に結婚式を挙げられる人が増えるんじゃないかという考えでした。
もちろん、業界的に風当たりは強かったですが、ブライダル業界にいなかった我々だからできたことですよね。
そのため「初任給でできる結婚式」なんていうキャッチコピーをつけて広告を打ち、年間で約1万人以上の方々の結婚式をお手伝いしました。
大久保:そういう意味だとスマ留も当時在籍していたブライダル会社も、業界にいなかったからこそ、勝ち筋が見えたのでしょうか。新鮮な目でやるべきことを見たというような感じで。
神田:留学をしたい人に、空間やお金に制約なく学べる環境を提供する、という単純な考えですね。
「スマ留」なら従来の最大半額で海外留学できる
大久保:改めてリアブロードのビジネスモデルについて教えていただけますか?
神田:リアブロードのメイン事業「スマ留」は、語学学校の空き時間と空き場所を利用して、従来の留学費用を最大半額で行けるようにしたスマートな留学スタイルをご提供しています。
2019年に留学をした日本人の数は20万人以下と、他の国に比べると非常に少ない数字でした。例えば韓国は当時の日本の人口の約半分だったにもかかわらず、約65万人が留学しています。今ではさらに伸びているのですが、日本の伸び率は微増程度です。
そのため僕らの事業は、まずは海外に出てもらうということに集中しています。
もう1つの事業の「warple(ワープル)」は海外のマーケット向けに展開をしています。
我々の強みが「語学学校に行く費用を安く仕入れること」なので、ターゲットを日本人に限定する必要ありません。
warpleのサービスはオンラインで全て手続きができるようになっているので、タイやベトナムなどの留学人数が伸びていってる国で、ホームページを作って留学支援する構想を練っています。
重要なポイントは、人を介さずオンラインで完結できるというところです。
エージェントが必要ないので横展開しやすく、その国の言語の壁さえクリアできれば、世界展開していける構想となっています。
他の留学エージェントよりも早くコロナ禍を脱出できた理由
大久保:通常の業界よりもコロナのダメージが大きかったと思いますが、実際はどうでしたか?
神田:当時、全ての国が閉鎖されたので非常に大変でしたが、そこで何か新規事業を始めようというよりは、マーケットが復活する時に備えて、いいスタートを切れるように準備しました。
コロナ前は70人近くの社員がいまして、サロンも北海道から福岡まで7つ構えていた状況でしたが、サロンは東京の本社に集約され、コロナによる様々な影響を受けて従業員も20〜30人ぐらいまで減ってしまいました。
しかしながら、ドバイが国を挙げてドバイ博覧会を実施することも知ったので、世界で最初に国境を開けるんじゃないかと予想し、密かに調査していました。
見事予想は的中して、最初に国境が開いたんです。もちろん、ワクチン等の制限はありましたが、入国自体にはウェルカムというスタンスでした。
事前調査で語学学校がいくつかあるのも知っていたので、すぐにアプローチを始めました。
そのため他のエージェントと比べると、コロナ渦からの復活は早かったと思います。
「安く海外留学できる」を強みに日本以外のマーケットにも展開
大久保:今後の展望を教えてください。
神田:まずは先ほど言った通りwarpleの海外展開を広めていくため、東南アジアを中心に留学生の数が増えている国をターゲットにして、日本マーケット以外に進出していきます。
次に注力するポイントは、先日リリースした海外大学への進学サポート事業です。
この事業に乗り出した理由は、海外の大学に進学するハードルの高さにあります。
他社の留学エージェントでも海外大学への進学サポートを行っている会社はありますが、その多くが一部の富裕層と偏差値が高い子どもたちしかターゲットにしていません。
相対的に海外大学に進学する学生が増えない構造になっているため、我々はミドル層をターゲットにしています。
学力に関しては、日本の大学でいうMARCH以下を目指す学生たちを対象としています。
マレーシアや台湾、タイなど、少しニッチではありますが、自分たちの学力でも海外の大学に進学できることをもっと知ってほしいです。
大久保:その中でも特にどの国に注目していますか?
神田:まずはマレーシアから始めようと思っていまして、その理由は2つあります。
1つ目は、世界ランキング的にも偏差値が高い大学が存在している点です。さらに日本のように入試がなく、入学することに対するハードルがあまり高くありません。2つ目は、費用が安く抑えられる点です。
新規事業の立ち上げは「心が躍るか」と「逆算思考」を意識
大久保:最後に読者へのメッセージをお願いします。
神田:僕は僕自身が会社を通じて実現したいことを従業員に伝えることを大切にしています。
一般企業の企業理念がそれにあたるのですが、理念などの難しい言葉ではなくて、私たちは「リアブロードの心」と呼んでいます。それは「価値観の部分を大切にすること」です。
経営者の思いをわかりやすく伝えることで、価値観が合う仲間が集まり、よりよい会社になると思っています。
大久保:新しい事業を作る際に、意識していることはありますか?
神田:大前提として心躍る事業かどうかを大事にしています。
人間誰もが飽き性なところがあると思っていて、なんだかんだ自分の思いや感情が入らなければ、事業って上手く続かないなと私は思っています。
あとは、「こうなったらいいな」という逆算思考を大事にしています。つまり、理想論を語りまくるということです。
こうなった方が世の中にいいかな?こうなった方が事業的にもいいよね!というところから逆算しています。
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(取材協力:
株式会社リアブロード 代表取締役社長 神田 慎)
(編集: 創業手帳編集部)