創業期こそ効果的に利用したい、アウトソーシングとは?
メリット・デメリットを比較し、賢く活用する方法
(2018/11/22更新)
創業期には、何かとやるべきことが多いものの、人を雇う余裕がないという状況が多々あります。特に、専門技術が必要な業務については、経営者自らが行うのが難しい場合もあるでしょう。そんなときに、効果的に利用したいのが「アウトソーシング」です。よく耳にする言葉ではあると思いますが、具体的な意味については分からず、活用できていない方も多いのではと思います。
この記事では、創業期にこそ上手に活用したいアウトソーシングについて、その定義からメリット・デメリットまで分かりやすく解説します。
この記事の目次
アウトソーシングとは
「アウトソーシング」とは、直訳すると「外部委託」という意味で、ビジネス上で必要なプロセスを外部の人に依頼し、サービスとして購入することを指します。企業に依頼することもありますが、個人の依頼先を見つける場合もあります。
例えば、経理業務、給与計算、電話対応、マーケティング、デザインなど、専門性の高い業務については、外部の人的資源を取り入れることで、コストを下げることができます。業務単位で依頼することができるので、人を雇うよりも人件費が削減できるのです。社長が自分でやればお金はかからない…と思われるかもしれませんが、社長の時間という「見えないコスト」がかかっているので、結果として経営的にはマイナスになるケースがあります。
特に、創業期は社内の人的資源も限られているため、上手に業務を切り出してアウトソーシングすることで、より重要な経営課題に注力することができます。
アウトソーシングと派遣の違い
アウトソーシングと似ている言葉に、「派遣」があります。派遣も、外部の人材を活用して、企業活動を行う点は同じです。
アウトソーシングは業務単位で、専門的知識がある業務を依頼するものであるのに対し、派遣は業務を問わず、企業に対しての労働力提供を行うという違いがあります。
派遣社員は社員と同じ業務を行っていても雇用関係は発生しませんが、業務の進捗や成果については社員自身が管理できます。一方、アウトソーシングの場合は、プロセスそのものも依頼先に委ねられるので、進め方などを管理することはできません。
まとめると、成果物の提供を受けるアウトソーシングと、労働力の提供を受ける派遣という違いがあると言えます。
アウトソーシングに向いている業務って?
経営する中ではさまざまな業務が発生しますが、その中でアウトソーシングに向いていると言える業務は「専門知識が必要な業務」や「発生時期が限られるスポット業務」です。
専門的な知識が必要な業務を社内で行うためには、担当する社員1人1人に教育を行うか、専門的な知識を有する人材を見つける必要があります。そのためにかかるコストを考えると、創業期の企業にとっては、大きな負担となります。例えば、経理作業、給与計算、Web制作、デザインなどの業務はアウトソーシング先も多く、活用できる可能性が大きいです。
また、常に発生する仕事ではなく、時期によって発生するなどのスポット業務も、アウトソーシングすることで人的資源を有効活用できます。イベント期間だけの業務や、決算期に発生する業務、社員研修、福利厚生などはアウトソーシングを検討してもいいと思います。
アウトソーシング先の見つけ方
様々な分野のアウトソーシング先があるので、自分が依頼したい分野の委託先を検索してみましょう。例えば、「経理 アウトソーシング」など、依頼したい業務+アウトソーシングというワードで検索すると、いくつも候補が見つかると思います。
また、ランサーズやクラウドワークスといった、フリーランスが登録しているサイトで依頼先を募集し探す方法もあります。個人の場合、優秀な人と出会えれば、よいビジネスパートナーとなってくれる可能性もあります。
アウトソーシングのメリット・デメリット
創業期にアウトソーシングすることのメリット・デメリットについてまとめます。
メリット
メイン業務に注力できる
創業期はやるべきことが多く、かつ人手が限られています。特に、経営者が単純作業や経理業務の実務に時間を割くのは避けたいもの。アウトソーシングを活用して業務を外部委託することで、メイン業務に注力することができます。
コスト削減ができる
アウトソーシングは、必要な業務だけを外部に切り出すことになるので、人を雇って業務を依頼するよりも人件費を削減することができます。経営者自らが業務を行っていた場合でも、その時間コストを考えると、有益な投資になるはずです。
専門性の高い業務を依頼できる
経理やデザインなど、専門性の高い業務はアウトソーシングに向いています。社内で行おうと思うと、人材の採用や教育も難しくなりますが、アウトソーシングであればその手間も省けます。
業務の精度が上がる
アウトソーシングの委託先は、その業務についてのプロです。勉強しながら社内で対応するよりも、効率的に、業務の精度を高められます。
デメリット
コストがかからないわけではない
社内で完結できていた業務を外部に切り出す場合、その分のアウトソーシング費用が発生します。
ノウハウを蓄積できない
アウトソーシングした業務は、委託先ですべて進行されるので、やり方等のノウハウが社内に貯まりません。将来的に社内で行いたいと思っている業務の場合は、業務の引き継ぎが難しくなる可能性があります。
進捗が把握できない
業務の進行状況は、すべて委託先に委ねられていて、進捗を把握できません。期日を破られることはありませんが、急遽急ぎの対応が必要になった場合などの融通がききにくくなります。
情報漏えいのリスクが有る
外部に委託する以上、情報漏えいのリスクが少なからず発生します。信頼できる業者を見極めなくてはなりませんし、情報の扱い方について依頼前に社内指針を考えておく必要があります。
アウトソーシングをするうえで気を付けたいこと
以上、アウトソーシングのメリット、デメリットを考えつつ「依頼業務の目的を明確にする」ことは常に意識しておかなくてはなりません。外部の人に依頼をするので、実際に業務を行う人とは情報量に違いがあります。スムーズにやり取りができるよう、伝え方には気を配りましょう。また、必要以上に情報を共有してしまうと、情報漏えいのリスクも高まるので、その観点からの注意も必要です。
また、ただやみくもにアウトソーシングをしていっては、逆に会社の負担が大きくなるケースもあります。例えば、記帳代行、給与計算、社会保険手続きなどを別々の委託先に出していた場合、変更事項が発生した際に同じ内容を何度も連絡する必要が出てきます。委託費用も大きくなることが予想されるので、適宜アウトソーシング先を見直し、よりよい委託先(例えば、例に挙げた業務を一括して受託してくれる先を探すなど)を検討する姿勢を持っておきましょう。
まとめ
創業期の企業にとって、専門業務やスポット業務だけを依頼できるアウトソーシング先は、人的資源の有効活用の面から考えると、非常に心強い味方です。創業期はメンバーも限られていますから、コア業務に関係ない部分を外部に切り出すことで、経営陣のリソースを重要な部分に注力でき、ビジネスの展開を早めることができます。
ある程度コストは掛かってきますが、それ以上にリターンの大きい方法です。人材不足や、社長の業務負担の大きさでお悩みの方は、導入を検討されてはいかがでしょうか。
(執筆:創業手帳編集部)