注目のスタートアップ

ヘリカル型核融合炉の開発を目指す「Helical Fusion」が資金調達

company

2022年11月8日、株式会社Helical Fusionは、資金調達を実施したことを発表しました。

引受先は、KDDI Green Partners Fundと、Nikon-SBI Innovation Fundです。

Helical Fusionは、ヘリカル型核融合炉の開発を目指しています。

ヘリカル型とは、二重らせん構造の超伝導ヘリカルコイルを用い、高温のプラズマを安定して閉じ込める方式です。

このヘリカル方式にさらなる独自の最先端技術を取り入れた、定常核融合炉の開発を目指しています。

原子力発電は莫大なエネルギーを生み出せますが、メルトダウンの危険性があることから、細心の注意を払って運用する必要があります。

また、原子力発電は核分裂によって高レベルの放射性廃棄物を排出するのですが、この放射性廃棄物の放射能が天然ウラン並のレベルに減衰するまでに約8,000年かかります。

現状の技術では物質の放射能をなくすことはできないため、人間が近づかない場所に保管するしかありません。国際的には地下深くの安定した岩盤に閉じ込める地層処分が安全であるという考え方が主流になっています。

このように原子力発電にはメルトダウンの危険性と放射性廃棄物の処分・管理の課題があります。

そこで、メルトダウンの危険性がなく、高レベル放射性廃棄物を出さない発電方法である核融合炉の研究開発が進められています。

核融合炉は、核融合反応という太陽で起こっている反応を利用した発電システムで、地上に太陽を作り出す取り組みであるともいわれます。

核融合は、核融合炉内で摂氏1億度以上という高温と、非常に高い密度を必要とするため技術的難度が高く、実現には時間がかかるとみられていました。

しかし国際プロジェクトであるITER計画は、2035年には実際の核融合発電と同様の運転の実験を行い、2050年頃には発電実証を行うことを想定してます。

Helical Fusionが開発を目指しているヘリカル型核融合炉は、ITER計画で採用されているトカマク型よりもプラズマの安定性に優れていることや、プラズマに電流を流す必要がないというメリットがあります。一方で複雑な形状のコイルを必要とするため製作の難度が高いといった課題を抱えています。

国家主導の国際プロジェクトは、予算・情勢に左右され、さらに失敗ができないというプレッシャーがあります。そこで近年は柔軟に動くことができるスタートアップによる核融合プロジェクトが登場しています。

革新的な技術を実現するには資金調達を成功させることが重要です。シリーズ累計発行部数200万部を突破した起業ノウハウ集「冊子版創業手帳」の別冊「資金調達手帳」では、VCから出資を受けるためのノウハウなど、資金調達に関する情報を提供しています。

読んで頂きありがとうございます。より詳しい内容は今月の創業手帳冊子版が無料でもらえますので、合わせて読んでみてください。
カテゴリ 有望企業
関連タグ Helical Fusion エネルギー ヘリカル型 株式会社 核融合 核融合炉 発電 資金調達
資金調達手帳
この記事を読んだ方が興味をもっている記事

有望企業の創業手帳ニュース

関連するタグのニュース

空間型VR「uralaa」を開発・提供する「フォレストデジタル」が7,000万円調達
2022年12月22日、フォレストデジタル株式会社は、総額7,000万円の資金調達を実施したことを発表しました。 フォレストデジタルは、空間型VR「uralaa(うらら)」を開発・提供しています。 大…
電子チケット販売サービス「TIGET」などを展開する「grabss」が3億円調達
2023年4月18日、株式会社grabssは、総額約3億円の資金調達を実施したことを発表しました。 grabssは、電子チケット販売サービス「TIGET(チゲット)」や、インターネット無料通話サービス…
アジア最大級のクラウドインテグレーター「MEGAZONE」が「伊藤忠テクノソリューションズ」と資本提携
2022年4月13日、MEGAZONE株式会社は、伊藤忠テクノソリューションズ株式会社を引受先とする第三者割当増資を実施したことを発表しました。 これにより伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)は、M…
システム運用自動化に特化したプラットフォーム「Kompira」を提供する「フィックスポイント」が資金調達
株式会社フィックスポイントは、資金調達を実施したことを発表しました。 フィックスポイントは、システム運用自動化に特化したプラットフォーム「Kompira」とその支援サービスを提供しています。 アラート…
心疾患による突然死を防ぐ超聴診器を開発する「AMI」が3,000万円調達
2020年5月14日、AMI株式会社は、3,000万円の資金調達を実施したことを発表しました。 4月10日には4.9億円を調達しています。 AMIは、疾患に繋がる心雑音のみを自動的に検出する聴診器「超…

大久保の視点

国際団体エンデバージャパン「EndeavorJapanSummit 2024」を現地レポート!
パネルセッション例:中村幸一郎(Sozo Ventures ファウンダー・著名な投資家)、ヴァシリエフ・ソフィア市副市長(ブルガリアの首都) 「Endeav…
(2024/10/9)
「JX Live! 2024」JX Awards大賞はNYでイチゴが大ヒットの古賀大貴さん(Oishii Farm 代表)
2024年10月9日、虎ノ門ヒルズフォーラムにて、「JX Live! 2024」が新経済連盟主催で行われました。 「JX Live!」は、「JX(Japan…
(2024/10/9)
「スタートアップワールドカップ2024」世界決勝を現地速報!優勝はEarthgrid(米代表・プラズマでトンネル掘削)
2024年10月4日、世界最大級のビジネスピッチコンテスト「スタートアップワールドカップ(SWC)2024」の世界決勝戦が、米国・シリコンバレーで開催されま…
(2024/10/5)
創業手帳 代表取締役 大久保幸世のプロフィールはこちら

注目のニュース

最新の創業手帳ニュース

創業時に役立つサービス特集