領収書を紛失したら確定申告はどうすればいい?正しい対処法と防止策を解説
紛失してもあわてない!代替資料で申告するための完全ガイド

個人事業主や創業をしてまもない起業家にとって、会計処理は初めてのことばかりかもしれません。
日常的に発生する領収書の扱いも初めての人が多く、紛失や計上漏れが発生する可能性もあります。
領収書がないと確定申告できないと思われるかもしれませんが、実はほかにも方法があります。
確定申告で経費を認めてもらうために必要な「代替資料(クレジットカード明細、出金伝票など)」の探し方と、具体的な対処法をこの記事でまとめました。
今後の紛失を防ぎ、税務調査に怯えないための「正しい管理方法」と「電子帳簿保存法対応の最新ルール」を身につけてください。
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この記事の目次
領収書を紛失した場合でも確定申告はできる?

事業で使う消耗品を購入した時など、領収書は日々発生します。そのためうっかり紛失してしまうケースもあります。
領収書がないと経費計上できないと思われがちですが、実は、領収書がなくても確定申告は可能です。
領収書を紛失した時、支払いの事実が証明できる代替資料があれば経費として認められる場合があります。
紛失した場合は隠蔽せず再発行依頼や代替証拠の収集を行い、申告内容の説明準備を整えてください。
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確定申告で領収書を紛失した時の具体的な対処法

確定申告のタイミングで領収書の紛失に気づくと焦ってしまうかもしれません。
ここでは領収書を紛失していた時の具体的な対処法をまとめているので、もしもの時に役立ててください。
1.領収書の再発行を依頼する
領収書を紛失した場合には、発行者に再発行を依頼してみてください。ただし、法律上、発行者に再発行の義務はありません。
そのため必ずできると考えるのではなく、発行者の判断で発行してもらえれば幸運だと考えてください。
再発行を依頼する時には、発行日・金額・取引内容を明記してもらい、「再発行(再)」と記載してもらうのが一般的です。
これは、支払いの二重計上防止のための措置です。
発行者側に再発行が困難な場合は、「取引証明書」や「支払証明書」といった代替となる書面の発行も検討します。
2.「代替書類」を探す
領収書の再発行ができず、どうしても見つからない時には代替書類を探してください。クレジットカード明細や銀行通帳の振込記録を探し、支払いの事実を確保します。
明細だけでは内容の詳細がわかりにくいので、ECサイトの購入履歴や注文確認メールもセットで保存してください。
代替書類をひとつだけでは弱くても「決済の記録(明細)」と「内容の記録(メール・写真)」を組み合わせることで、支払い証明としての証拠能力を高める方法です。
3.どうしても資料がない場合は「出金伝票」で記録する
領収書がない場合には、出金伝票に支払日・金額・支払先・用途を正確に記載する方法も使われています。
ただし、出金伝票だけでは事業の支出であると証明するには不十分です。以下では証拠能力を高める記載方法を紹介しています。
【証拠能力を高める記載方法】
単に勘定科目と金額だけでなく、「誰と、何のために、どこで」という取引の詳細を具体的かつ詳細に記録してください。
(例:〇〇株式会社 △△氏との打ち合わせ後の飲食代として、●●居酒屋にて)
出金伝票は支払いの事実を補完する資料として保存します。
特に高額な支出では銀行明細やカレンダーに記載したスケジュールのように補強資料となるほかの証拠と併せて準備するようにします。
4.税務調査へ明確に説明する
会計上で不審な処理があった場合、税務調査を受けることがあります。税務調査では領収書紛失の経緯や支払いの実態を論理的に説明できるよう準備しておいてください。
事業の内容も説明し、業務に必要な支出であることを取引きの内容から明確に示すようにします。
帳簿の一貫性を保つために毎取引きを記録しておくと、税務署からの照会に対応する時にもスムーズです。
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領収書紛失で経費計上できなくなるケース

領収書を紛失しても経費計上できる場合はあります。しかし、残念ながら経費計上が否認されてしまうケースも少なくありません。
どういった場合に経費計上できないのかまとめました。
支払い事実が確認できない場合
経費を計上するには、支払いの事実が必要です。
支払いの事実が明らかな代替資料がなくて支出の事実が確認できないような場合には、経費計上が認められないことがあります。
ただし、公共交通機関の運賃や慶弔費のようにそもそも領収書が発行されない支出も存在します。そうした場合には、会計帳簿や出金伝票で記録してください。
銀行残高やカード明細と支払い事実の整合が取れない場合には、税務署が経費として否認する可能性があります。説明できるように事前に準備しておいたほうが良いでしょう。
業務関連性の説明ができない場合
経費は、事業を継続するために必要な支出を指します。つまり、経費が業務に関連する支出であることを説明できなければ否認されます。
特に、プライベートの支出と混同しやすい支払内容は、個人的用途と判断されると経費計上が認められません。
経費として計上するためには、業務とどのように関連するのかを明確に示します。業務関連性を説明する資料も用意して、矛盾がないようにしてください。
紛失が習慣化している場合
領収書を紛失しても経費計上が認められるケースはあります。しかし、正確に会計処理しなければならないのに紛失を繰り返すような場合は話が別です。
複数年にわたって領収書紛失が常態化していると税務署が悪質と判断する可能性があります。帳簿保存義務違反とみなされれば、青色申告の承認取り消しリスクも発生します。
不正行為と判断されると追徴税や重加算税が課されることもあるので、領収書の扱いには万全の注意を払ってください。
悪質と判断された時のリスクや罰則については次の見出しで詳しく解説します。
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領収書を紛失した時のリスクと注意点

税務調査を受けても、領収書や証明できる証憑とともに説明ができれば問題ありません。
しかし、税務調査で領収書がない場合は支払いの事実と業務関連性の証明責任が課されます。
不注意による紛失と判断されれば大きな問題になりませんが、故意に領収書を隠蔽したと税務当局が判断すると不正行為とされるかもしれません。
中でも現金支払いの領収書紛失は証拠が弱くなってしまいます。事業に関わる取引きには銀行振込やカード明細のように証跡を残すようにしてください。
領収書の紛失や保存不備が常態化していると判断されれば、青色申告の承認が取り消され、青色申告特別控除などの税制優遇を受けられなくなるリスクが発生します。
経費否認や不正行為と判断された場合、本来の税金に加えて延滞税や過少申告加算税、重加算税といった追徴課税が課されます。
こうしたペナルティを受けないためにも、領収書や関係書類は保存ルールを作成して確実に保管してください。
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青色申告の場合の「領収書・帳簿の保存ルール」

青色申告者は帳簿書類を原則として申告期限後7年間(白色申告者は原則5年間)保存する義務があります。
領収書は、店舗で受け取るレシートや領収書のように「紙で受け取ったもの」と「電子データで受け取ったもの(電子取引)」に分けられ、それぞれの保存ルールで保存するように電子帳簿保存法で定められています。
紙で受け取った領収書は、紙のまま保存するか、「スキャナ保存」の要件を満たしていれば、撮影やスキャンしてデータで保存が可能です。
メール添付の請求書、ECサイトの履歴などの電子取引データは、2024年1月以降、原則としてデータ(電子形式)のまま保存するように義務づけられました。
紙に出力して保存することは原則不可となっていますが、宥恕措置も設けられています。
電子データは検索可能な形式で管理し、電子帳簿保存法に基づいた保存要件(真実性、可視性の確保 )を満たして保管しなければいけません。
ルールを作成して周知するようにしてください。
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確定申告後に領収書が見つかった場合はどうする?

確定申告が終わった後から、紛失したと思っていた領収書が見つかるケースもあります。確定申告の期限前であれば、訂正申告が可能です。
確定申告は、申告期間内に同一人物から2つ以上の確定申告が提出された時には最後のものを正式な確定申告書類として扱います。
訂正申告は、一般的な確定申告と同様にe-TAXや窓口、郵送でも受け付けています。
確定申告の期限後に修正がある場合には、更正の請求をして還付を求めてください。更正の請求は新しく書類も必要になります。
金額が小さくて手続きの手間が見合わない場合は、そのまま保存のみしておくことも選択肢です。
いずれの場合でも見つかった領収書は、申告済みの内容と照合した後、保存義務期間中は必ず保管するようにしてください。
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領収書紛失を防ぐための管理方法

領収書の紛失はありふれたミスです。しかし、そもそも領収書紛失を防ぐための管理ルールを導入していれば発生していないかもしれません。
どのようにして領収書紛失を防ぐのかをまとめました。
スマートフォンで撮影しクラウド保存
領収書を電子データで保存すれば、紙のように書類に紛れてなくなるようなことはありません。
領収書はスマートフォンで撮影して日付・金額・用途をファイル名にしてクラウドに保存すれば、破損や紛失の心配がありません。
電子データとして電子帳簿保存法に対応した保存方法で保存します。保存データは検索可能な形式で管理して税務調査時に迅速に提示できるようにしてください。
月ごとに封筒・ファイルで整理
封筒やファイルで整理するのは、最も導入が手軽な管理方法です。領収書を月ごとに封筒やファイルで整理して保管することで紛失を防止します。
整理した領収書には日付と取引内容を明記して保存します。月別に整理するようにすれば、税務調査で資料を探す時にもスムーズです。
キャッシュレスをメインにして証跡を残す
そもそも紙の領収書を受け取ることがなければ紛失は発生しません。クレジットカードやデジタル決済を利用することで支払い証跡を確実に保存できます。
キャッシュレス取引履歴は銀行明細等で自動的に記録されるので手間がかからず、第三者を介するため証拠として使いやすい方法です。
電子データなので、検索機能で取引履歴を確認しやすく税務対応にも便利です。
会計ソフトと連携させ自動取得する
領収書以外の経理事務も効率化するのであれば、会計ソフトと連携させて自動取得できるようにします。
会計ソフトと金融機関を連携させることで、銀行明細やクレカ明細を自動取得でき、帳簿入力が効率化されます。
会計ソフト内で領収書画像を保存・紐付けもできるので管理精度が高まる上、ペーパーレス化も推進可能です。
これらのデータは取引きの証拠として保存でき税務調査での対応時にも役立ちます。
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よくある質問(FAQ)

初めての確定申告ではわからないことも多くあるはずです。ここでは、よくある質問をまとめました。
レシートでも経費になる?
日常的に受け取るレシートであっても、経費の取引事実を示す証憑で経費計上に利用できます。実は、税務上はレシートも領収書も扱いは同じです。
大切なのは、レシートの内容が支払日・金額・取引内容を明確に示しているかどうかです。
また、レシートは感熱紙なので時間がたつと文字が消えてしまうことがあります。7年間は保存しないといけないので、スキャナや写真で保存しておくようおすすめします。
領収書なしで10万円以上の経費は危険?
領収書がなくても支払事実が明確になっていれば経費計上は可能です。しかし、経費計上する根拠の説明は必要になります。
また、支払金額が10万円以上の資産は、一括で計上するのではなく減価償却資産となる可能性もあるのです。その場合には、資産計上についてもチェックを受けます。
高額な経費は税務署からみても目立つため、説明責任は重くなってしまいます。
支払いの証拠資料が不十分だと判断されれば否認されるため、可能な限り関係書類は保管してください。
現金払いはどう管理する?
銀行口座からの振り込みやカード支払いは取引きが記録されます。一方で、現金払いにすると支払いの事実が記録されません。
現金払いの場合は出金伝票や銀行預金の引出し記録で証拠を補完するのが一般的です。
現金支払いの取引きは失念してしまうと気づきにくいので、領収書以外の証拠を計画的に保存するようにしてください。
帳簿に支払日・金額・用途を詳細に記載することで説明を求められても落ち着いて対応できます。
電子領収書は保存方法に注意が必要?
領収書や商標を電子保存する時には、電子帳簿保存法に基づく保存要件を満たして保存しなければいけません。
電子領収書は電子データとして保存し、改ざん防止措置を講じます。具体的には、変更の有無を記録、証明する電子スタンプなどが使われています。
書類をクラウド上で管理するサービスもありますが、導入しない場合には訂正や削除の防止に関する事務処理規程を定めて規定に沿った運用が必要です。
国税庁のホームページでも事務処理規定などのサンプルを公開しているので活用してください。
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まとめ:確定申告で領収書を紛失しても対応可能な方法
領収書紛失時でも代替資料や出金伝票で支払事実を証明できれば経費計上は可能です。
税務調査で経費を否認されないためには、日頃から帳簿整理と証拠資料の保存・管理はルール化して正確に運用してください。
青色申告者は7年間保存義務があるので、帳簿の保管には長期的な視点も求められます。
ペーパーレス化や後からの探しやすさを考えるのであれば、電子帳簿保存法に対応した管理体制を構築することが望ましいといえます。
(編集:創業手帳編集部)







