介護施設を開業するために、知っておくべき7つのこと【事前準備を万全にするコツとは?】
介護施設を開業するための必須知識をまとめました
介護施設を開業するためには、さまざまな準備や知識が必要です。介護施設にも種類があり、どんな介護施設を開業するのかによって、準備する設備や人員が変わるため、開業に必要な資金も異なります。
そこで今回は、介護施設を開業するために、知っておくべき7つのことをまとめました。
介護施設の開業にチャレンジしてみたい方は、本記事をぜひ参考にしてください。
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この記事の目次
介護施設を開業するための法人形態とは
介護施設を開業するためには、法人を設立する必要があります。介護施設を運営するには、国や自治体が定めた基準をクリアしなければなりません。その基準のひとつが法人格を有することです。したがって、個人事業主やフリーランスとしての営業はできません。
介護施設を開業するための法人としては、社会福祉法人や医療法人などの非営利法人以外にも、株式会社、合同会社などの営利法人の参入が認められています。
近年では株式会社の参入が相次いでおり、新規に介護施設を開業するには株式会社の設立主流になりつつあります
介護事業所の場所と物件の決め方
介護事業所の場所を決めるうえで重要なことは、利用者の獲得ができ、かつスタッフの雇用も確保できる立地であることです。事前の調査をしっかり行って、場所を決める必要があります。
介護事業に使用する物件では、省令や条例で定められている指定基準に加えて、それ以外の関連法規を満たす必要があります。
介護事業所の種類によっては、食堂や機能訓練室、静養室、事務室(相談室)などさまざまな設備が必要です。また、消火設備や非常災害への備えなども、それぞれの施設にあった基準を満たす必要があります。利用者の部屋や共有スペースにも十分な広さを確保したり、区画を設けたりするなどの対策が必要です。
訪問介護事業なのかデイサービス事業なのかで、必要な施設や広さがまったく異なります。訪問介護の場合は、利用者を受け入れるためのスペースが必要ないので、物件は決めやすいと思います。
しかし、デイサービスの開設となると、細かな設備基準を満たすことができる物件が必要があります。物件を契約してから設置基準に問題が見つかったということにならないように、物件選びは非常に慎重な検討が必要です。
介護事業の指定申請について
介護事業を始めるには、介護保険事業者として決められた指定基準を満たし、国から指定される必要があります。これを「指定申請」 といい、都道府県又は市町村に「事業者指定申請」を行う必要があります。
申請に必要な書類は、デイサービス・訪問介護・居宅介護支援などの違いや受理先の公的機関によって異なります。
指定基準には大きく分けると以下の3つがあります。
- 人員基準
- 運営基準
- 設備基準
この基準はすべてを満たす必要があり、開業後もこの要件を満たしている必要があります。指定基準を満たせていない場合は、開業できなかったり、指定を取り消されて運営ができなくなったりします。
自治体は、介護サービスの質を確保するために、指定基準を守っているかを定期的に確認します。
代表的な介護施設のサービス形態について
介護施設のサービス形態にはいくつかの種類があります。ここでは代表的な7つのサービス形態についてご紹介します。
- 居宅介護支援(ケアマネ)
- 通所介護(デイサービス)
- 認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
- 訪問介護(ホームヘルプ)
- 訪問看護
- 通所リハビリテーション(デイケア)
- 児童発達支援事業所
それぞれを解説していきます。
居宅介護支援(ケアマネ)とは
居宅介護支援は、利用者ができる限り自宅での自立した生活ができるよう支援するサービスです。ケアマネジャーという資格を持つ者が、利用者に必要な介護サービスを組み合わせて計画(ケアプラン)を立てます。
ケアプランに応じたサービスが提供されるように、介護事業者や関係機関との連絡や調整も行います。
ケアマネジャーは利用者宅を訪れて、利用者の心身や生活環境などの状況を把握します。どんな介護や支援が必要なのかを分析したうえで、利用者、家族、サービス提供事業者と自立支援に必要なプランを検討します。
このケアプランをもとに、サービス提供事業者は必要なサービスの種類や回数を利用者に提供されます。
実際に介護サービスを提供した結果、ケアプランの見直しが必要な場合もありますので、ケアマネジャーは定期的に利用者宅を訪問して状況確認も行います。
居宅介護支援は、介護事業者が他のサービスと共に併設する場合も多いですが、ケアマネジャーが単独で開業することもできます。
通所介護(デイサービス)とは
通所介護はデイサービスとも呼ばれ、利用者が自宅から介護施設に通って受けるサービス形態です。
できる限り住み慣れた自宅で自立した生活を送れるようにしつつも、利用者が孤独にならないようにしたり、家族の介護負担を軽減したりするために日帰りで介護施設で過ごします。
通所介護施設では、食事や入浴、排泄などのケアを受けながら、高齢者同士の交流があったり、工作や合唱などのレクリエーションも行われたりもします。
通所介護施設は、利用者の送迎や生活に必要な機能訓練(体操や排せつの練習など)を提供して、利用者ができるだけ長く自宅での介護が受けられるようにサポートしていきます。
通所介護を提供するには、施設を作り、設備を用意し、必要な人材や運転資金を用意する必要があります。事業規模にもよりますが、デイサービスには必要な広いスペースと設置基準に見合ったスタッフをあらかじめ用意する必要があるため、開業するためには多額の資金が必要です。
認知症対応型共同生活介護(グループホーム)とは
認知症対応型共同生活介護はグループホームとも呼ばれ、認知症の利用者を対象にした専門的なケアを提供するサービスです。
認知症の利用者は、グループホームに入所して、5人~9人のグループで共同生活を行いながら介護サービスを受けます。グループホームに入所しても、できるだけ自立した生活が送れるように食事やレクリエーションなどもできることは自分で行ったり、グループで助け合ったりします。
認知症対応型共同生活介護は、利用者が生活をしていく場所になりますので、施設や設備、スタッフも必要になり、開業するためには多額の資金が必要です。
訪問介護とは
訪問介護はホームヘルプとも呼ばれ、利用者の自宅に訪問介護員(ホームヘルパー)が出向き、食事や入浴、排泄などの介助を行います。また、掃除、洗濯、調理などの生活に必要な支援も行います。
訪問介護なので施設を用意する必要はありませんが、開業するためには事務所や備品などを用意する必要があります。訪問介護には自転車やバイク、車を利用することが多いので、駐車スペースや車両を用意する必要があります。また、必要なスタッフの配置も決められていますので、開業には多くの資金が必要となります。
訪問看護事業とは
訪問看護は、利用者ができるだけ自宅で生活が送れるように、看護師などの医療従事者が利用者の自宅に訪問して医療的ケアなどのサービスを提供します。
主治医の指示のもと、血圧、脈拍などの測定をはじめ、点滴や注射、カテーテルやチューブなどの管理も行います。リハビリや排泄の介助など、利用者ができるだけ自宅で過ごせるように支援を行います。
訪問看護なので、施設を用意する必要はありませんが、開業するためには事務所や備品などを用意する必要があります。訪問介護には自転車やバイク、車を利用することが多いので、駐車スペースや車両を用意する必要があります。特に看護師などの医療従事者をスタッフとして集める必要がありますので、人材の確保も含めた多額の開業資金が必要になります。
通所リハビリテーションとは
通所リハビリテーションはデイケアとも呼ばれ、利用者ができるだけ自宅で過ごせるように、生活に必要なリハビリテーションの支援を行います。
デイサービスは、利用者が孤独にならないようにしたり、家族の介護負担を軽減するために日帰りで介護施設で過ごすことが目的なのに対し、デイケアはリハビリテーションをすることで運動機能の回復や維持をすることが目的となります。
デイサービスのメインとなるスタッフは介護士や看護師であるのに対し、デイケアのメインとなるスタッフは理学療法士や作業療法士などのリハビリの専門職、そして医師も常駐しています。
デイケアでは、利用者の自宅まで送迎を行い、食事や入浴などの支援を施設で行います。また、生活に必要な機能訓練(体操や排せつの練習など)を提供したり、利用者同士の交流やレクリエーションが行われたりもします。
通所リハビリテーションを開業するためには、リハビリを行う施設のほか、リハビリに必要な設備、医師、理学療法士などの医療従事者も必要になります。送迎を行うための車両も必要なので、開業には多額の資金が必要です。
児童発達支援事業所とは
介護ではなく児童福祉の領域ですが、児童発達支援事業所という形態もあります。
児童発達支援事業所では、発達などに障がいを抱える未就学児の保育を行います。障がいを抱える子どもの成長を助けるとともに、保護者の子育てを支援したり相談に乗ったりすることが支援の内容です。
保育園や幼稚園のように生活をしたり、運動をしたりします。給食を食べたり、排泄などの練習も行います。
児童発達支援事業所を開業するためには、児童を預かるための施設のほか、保育に必要な設備、保育士や幼稚園教諭などの保育従事者も必要になります。送迎を行う場合には車両も必要なので、開業には多額の資金が必要です。
介護事業の資格について
介護事業を開業するためには、国の法律や自治体の定める条例に従って、有資格者や要件を満たした職種の人を配置しなければなりません。
介護事業を行うために必要とされる主な資格や職種について紹介していきます。
- ケママネジャー
- サービス提供責任者(サ責)
- 介護スタッフ(ヘルパー)
- 生活相談員
- 介護福祉士
- 社会福祉士
- 精神保健福祉士
それぞれを解説していきます。
ケママネジャーとは
ケアマネジャー(介護支援専門員)は、利用者やその家族の相談に応じながら、必要な介護サービス計画(ケアプラン)を作成します。作成したケアプランをもとに、自治体や介護事業者と連絡や調整を行い、利用者やその家族が自立した生活を送れるように支援します。
介護事業所などに所属して働いたり、個人で独立開業して働いたりする人もいます。
利用者やその家族の事情や状況の変化に合わせて、ケアプランを見直したり調整するために定期的なフォローも行います。
ケアマネジャーになるには、保健医療福祉分野での実務経験が5年以上である者などが、介護支援専門員実務研修受講試験に合格し、介護支援専門員実務研修の課程を修了し、介護支援専門員証の交付を受ける必要があります。
サービス提供責任者(サ責)とは
サービス提供責任者はサ責とも呼ばれ、ケアマネジャー(介護支援専門員)やケアワーカー(介護福祉士)との連絡調整やケアプランに基づいたより具体的な訪問介護計画書を作成して、利用者やその家族に説明したり、内容に同意を得たりします。
サ責は、訪問介護事業所のヘルパーとの調整や管理業務を行ったりもします。サービス提供責任者(サ責)は資格ではなく職種の名前です。サ責になるには介護福祉士、実務者研修修了者、旧介護職員基礎研修修了者、旧1級課程修了者である必要があります。
介護スタッフ(ヘルパー)とは
ヘルパーとは、高齢者や障がいを持つ人の身の回りの世話や食事や排せつを支援する人を言います。ヘルパーとして働くには資格は特に必要ありませんが、訪問介護(ホームヘルパー)をする場合は、「介護職員初任者研修課程」を受講し、修了証明書の交付を受ける必要があります。
ヘルパーよりも高度で専門的な介護やサービスを提供するために、「介護福祉士実務者研修」や国家資格である『介護福祉士』を取得する方も多いです。
生活相談員とは
生活相談員は、介護施設と利用者およびその家族、ケアマネジャーとの連絡や調整を行います。施設の職員として働き、施設の利用者獲得のための営業活動や苦情相談の窓口にもなったります。
生活相談員は資格ではなく職種の名前ですが、生活相談員になるためには要件があります。自治体によって要件が異なりますが、社会福祉士、精神保健福祉士、社会福祉主事任用資格などの資格が必要な場合が多いです。
介護スタッフやケアマネジャーとの兼務をする人も多い仕事で、コミュニケーション力や調整力が求められる仕事です。
介護福祉士とは
介護福祉士(ケアワーカー)とは、介護福祉分野における専門職です。
介護福祉士は国家資格です。そのため、介護福祉士になるには、大学、専門学校の介護福祉士養成校を卒業したり、介護施設での実務経験を3年以上に加えて「介護職員実務者研修」を取得することで、国家試験の受験資格を得る必要があります。その後、介護福祉士国家試験に合格し、登録を行うことで介護福祉士として働くことができるようになります。
介護福祉士は、高齢者や障がいを抱える方の生活を支援したり、寝返りや起き上がりの介助をしたり、利用者やその家族の相談に乗ったりして、介護を必要としている方のさまざまなサポートを行う介護のスペシャリストです。
社会福祉士とは
社会福祉士はソーシャルワーカーとも呼ばれ、身体的、精神的障害を持ち、福祉を必要とする方に対して、福祉に関する相談を受けたり、助言や指導を行ったりする福祉の専門家です。
社会福祉士は国家資格です。社会福祉士になるには、大学の社会福祉士養成校を卒業したり、実務経験を積んだりして、国家試験の受験資格を得る必要があります。その後、社会福祉士国家試験に合格し、登録を行うことで社会福祉士として働くことができるようになります。
社会福祉士は福祉施設以外にも、行政機関や学校、民間企業などでも活躍することができます。活躍できるフィールドが広く、専門職としての評価も高いので、介護職からのキャリアアップを考える方も多い仕事です。
精神保健福祉士とは
精神保健福祉士は、精神に障がいを抱える方の生活相談に応じたり、さまざま社会的支援を行ったりする精神保健福祉分野の専門家です。
精神保健福祉士は国家資格です。精神保健福祉士になるには、大学の精神保健福祉士養成校を卒業したり、実務経験を積んだりして、国家試験の受験資格を得る必要があります。その後、精神保健福祉士国家試験に合格し、登録を行うことで精神保健福祉士として働くことができるようになります。
精神保健福祉士は福祉施設以外にも、行政機関や学校、民間企業などでも活躍することができます。活躍できるフィールドが広く、専門職としての評価も高いので、介護職からのキャリアアップを考える方も多い仕事です。
介護事業の利用者獲得について
介護事業の利用者獲得は非常に重要です。営業活動、利用者獲得ができなければ会社は利益を生み出すことができず倒産してしまうからです。
利用者を獲得するためには、事業所のコンセプトを明確にして、他の施設との差別化をはかる必要があります。また、パンフレットなどの営業ツールを用意したり、ホームページでの告知活動やケアマネジャーへのPRも必要です。
自社の差別化と営業活動をしっかりと行いつつ、利用者とその家族にどのような価値が提供できるのかを明確にしておきましょう。
介護施設を開業するための費用とその資金調達方法
介護施設を開業するための費用とその資金調達方法について解説していきます。
開業する介護施設によって、開業に必要な費用は大きく異なります。必要な費用によって、資金調達も変わってきますので、まずはどのくらいの費用がかかるものなのかを考えてみましょう。
介護事業を開業するには、どのくらいの費用がかかるのか
まず、比較的に安価で開業が可能な形態は、ケアマネジャーとして独立開業するパターンです。法人の設立や事務所の開設、備品や車両などの用意は必要ですが、大きな施設が不要なことと、従業員を雇わずに済むために、開業コストを抑えることが可能です。
ケアマネジャーとしての独立であれば、100万円前後での開業も可能でしょう。ただし、当面の生活費は貯金から捻出したり、事務所の経費なども最初は持ち出しが多くなります。ケアマネジャーとしての仕事が増えてこない限り、収入も増えていきません。開業には売上が増えるまでの運転資金が必要になります。
次にコストを抑えつつも、ある程度の規模で開業をするなら訪問介護事業になるでしょう。訪問介護事業は、大規模な施設が必要ではないため、家賃等の費用は少なく済むことが多いです。しかし、訪問介護事業を行うためには、介護スタッフが最低でも2.5人必要となります。自分を入れても、あと1.5人。配偶者を入れても、あと0.5人必要です。
訪問するにあたっては車両も必要ですし、事務所の経費も必要になります。当面のスタッフの人件費も運転資金として必要になります。訪問介護事業は、開業する地域や事務所の規模にもよりますが、800万円から1000万円ほど必要であるとされています。
デイサービスやグループホームの場合は、大きな施設が必要になります。土地建物をどのように取得したり借りたりするのか、内装や設備をどのくらいクオリティで整えるのか、受け入れる利用者数やスタッフの数をどのくらいにするのかにもよりますが、当面の運転資金も考えれば1500万円~3億円ほどの資金が必要になるでしょう。
いずれの場合も、しっかりと計画を立てて、事前に調査をし、見積を算出する必要があります。開業してから資金や人材が足りないということになると、運営に支障をきたしたり、最悪の場合は倒産してしまいますので、開業準備には十分な注意が必要です。
資金調達方法
介護施設を開業するためには、多額の資金が必要です。自己資金ではまかないきれない場合は、金融機関からの融資で資金調達を行います。
金融機関からの融資を受けるには、主に2つの制度を利用することができます。
- 株式会社日本政策金融公庫からの融資
- 信用保証協会からの融資
株式会社日本政策金融公庫からの融資は「無担保、保証人なし」など条件が魅力的ですが、金利はやや高くなります。一方、信用保証協会からの融資は東京都などの自治体を通した融資となります。自治体が融資の借り入れ条件を決定し、信用保証協会が保証を担ってくれ、金融機関によって融資が実行されます。
いずれの場合も融資の前提条件として、「自己資金」が必要です。これにより融資の審査に通るかどうか、融資額がどうなるかが決まるのです。
自己資金が多いほど、融資が実行されやすくなります。自己資金が0の場合は、融資が受けられる可能性は限りなく低くなります。
なぜなら、自己資金の大きさが事業に対する思いと資金の返済に対する信頼の証となるからです。
信用保証協会を通す場合、自治体によって自己資金の規定は異なります。例えば、東京都の場合は自己資金の条件を明示していませんが、埼玉県などは「自己資金と同額までしか融資を認めない」としています。
介護施設の開業資金として1000万円の融資を受けたいのであれば、1000万円程度の自己資金があることが望ましいでしょう。
助成金の活用
融資以外の資金調達として、助成金の活用があります。
助成金は、一定の条件を満たし審査に通過した事業主が国や公共団体から支給を受けることができる給付金です。基本的には返済の必要がありません。
介護事業の主な助成金は以下の通りです。
- 介護労働環境向上奨励金
- 介護福祉機器等助成
- 雇用管理制度等助成
- 特定求職者雇用開発助成金
- トライアル雇用奨励金
介護労働者の負担を軽減したり、賃金や労働条件の改善などを進めた介護サービス事業主に支給される助成金です。
事業主が新たに介護福祉機器を導入したことによって、介護労働者の身体的負担が減り、適切な運用が行われた場合に支給される助成金です。支給額は、介護福祉機器の導入に要した費用の2分の1(上限300万円)です。
介護労働者の雇用管理に関する改善につながる制度を導入し、実施したことにより一定の効果が出た時に支給される助成金です。支給額は、制度の導入に要した費用の2分の1(上限100万円)です。
60~64歳の高年齢者や母子家庭の母親、障がい者など、就職が特に困難な人を継続的に労働者として雇用した場合に支給されます。
安定的な就職が難しい人や障がい者など就職が困難な求職者を一定期間(原則3カ月)試行雇用した場合に支給される助成金です。これ以外にも雇用関係に関してさまざまな助成金があるほか、各自治体の助成金もあります。
助成金を活用できれば、開業に必要な資金を補助してもらったり、運営に必要な資金を調達することができます。
ファクタリングの活用
介護施設を運営するためには、十分な運転資金が必要です。利用者が順調に集まったとしても、その売上が国から入金されるには2ヶ月くらいのタイムラグがあるからです。
売上があっても手元に資金が入ってくるのに時間がかかるわけです。手元に資金が入ってこなくても、スタッフの給与や施設の家賃、光熱費、設備のリース料金などの支払いは待ってもらえません。
現預金が十分にあれば良いのですが、運転資金が少ないと資金繰りができなくなってしまう場合もあります。
売上を早く現金化したい時には、ファクタリングの活用を検討してみましょう。ファクタリングとは、債権を期日前に一定の手数料を払って買い取ってもらうサービスです。
介護施設が利用するファクタリングには主に以下の3種類があります。
- 介護報酬ファクタリング
- 診療報酬ファクタリング
- 調剤報酬ファクタリング
介護報酬ファクタリング
介護報酬のファクタリングは、国民健康保険団体連合会(以下「国保連」)に対して請求する介護保険給付費を、ファクタリング業者を通じて早く受け取ることができるサービスです。
手数料がかかるため、受け取れる額は全額ではありませんが、国保連からの入金があるまでの資金繰りの問題を解決するものです。ファクタリングは借入(または負債)ではないのでバランスシートを悪化させないというメリットもあります。
診療報酬ファクタリング
診療報酬ファクタリングは、国保連・社会保険診療報酬支払基金(以下「社保」)に対して請求する診療報酬を、ファクタリング業者を通じて早く受け取ることができるサービスです。
手数料がかかるため、受け取れる額は全額ではありませんが、国保連・社保からの入金があるまでの資金繰りの問題を解決するものです。
国保連・社保からの入金は診療月の翌々月20日以降となっていますので、実に1.5カ月も早く診療報酬が受け取れることになります。
調剤報酬ファクタリング
調剤報酬ファクタリングは、国保連・社保に対して請求する調剤報酬を、ファクタリング業者を通じて早く受け取ることができるサービスです。
手数料がかかるため、受け取れる額は全額ではありませんが、国保連・社保からの入金があるまでの資金繰りの問題を解決するものです。
まとめ 介護施設の開業準備を万全にするコツ
介護施設を開業するために知っておきたい7つのことを解説しました。
介護施設を開業するためには、事前に必要な準備がいろいろあり、非常に労力もかかります。設置基準やさまざまな要件を満たす必要があり、基準に満たない場合は開業できなかったり、開業後も運営ができなくなったりするリスクもあるのです。
介護施設は、利用者やその家族、社会に貢献できる素晴らしい事業です。ですが、利用者やスタッフが集まらなければ運営ができませんし、資金が枯渇すれば倒産してしまいます。
介護施設の開業や運営には、さまざまなノウハウが必要です。開業準備を万全にするためにも、外部の専門的なアドバイスやサポートを受けることも検討してみましょう。
(編集:創業手帳編集部)