JR東日本で定期代が値上げ!経費負担への影響や企業・個人事業主が対応すべきこと

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2026年3月14日から運賃改定を実施


JR東日本は、2025年8月1日に国土交通大臣から旅客運賃の上限変更について認可を受け、2026年3月14日から運賃改定を実施すると公開しています。
この運賃改定には定期代の値上げも含まれており、従業員の交通費や営業にかかる移動コストに影響することから、企業や個人事業主にとって見過ごせないテーマです。

この記事では、JR東日本の運賃改定の概要から経費負担への影響、企業や個人事業主が事前にやるべきことなどを解説しています。
どの範囲で運賃が改定され、定期代はどれくらい値上げするのか、値上げに対してどのような対応を取るべきか知りたい人は、ぜひ参考にしてください。

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JR東日本の運賃改定の概要


JR東日本では、すべてのエリアにおいて運賃を改定することが決まっています。改定率の内訳は以下のとおりです。

引用元:JR東日本「運賃改定のお知らせ」
改定率の変更以外にも、様々な部分で変更が行われています。ここで、運賃改定の概要を紹介していきます。

普通運賃・初乗り運賃の改定

普通運賃の改定率は平均7.8%です。
km数に賃率を乗じる「11km以上の幹線の運賃」は、11km~300km以下に適用する賃率は16.20円から16.96円へ、301km~600km以下は12.85円から13.45円へ、601km以上は7.05円で現行と同額になります。

賃率 現行 改定
キロ地帯 11~300km 301~600km 601km~ 11~300km 301~600km 601km~
幹線 16.20円 12.85円 7.05円 16.96円 13.45円 現行と同額
電車特定区間

15.30円 12.15円 幹線に統合
山手線内 13.25円
キロ地帯 11~273km 274~546km 547km~ 11~273km 274~546km 547km~
地方交通線 17.80円 14.10円

7.70円 18.66円 14.80円 現行と同額

また、10kmまでの普通運賃も税抜き運賃が4.7%引き上がります。
ICだと1円単位運賃となりますが、きっぷだと10円単位運賃となるため、いずれのキロ地帯も10円の値上がりです。

運賃 現行 改定
キロ地帯 1~3km 4~6km 7~10km 1~3km 4~6km 7~10km
幹線 IC 147 189 199 155 199 209
きっぷ 150 190 200 160 200 210
電車特定区間
山手線内
IC 146 167 178 幹線に統合
きっぷ 150 170 180
地方交通線 IC 147 189 210 155 199 220
きっぷ 150 190 210 160 200 220

初乗り運賃についても、幹線だと155円(+8円または+9円)、地方交通線で155円(+8円)に値上げしています。
きっぷだと普通運賃と同様に10円単位で値上がりしています。
そのため、例えば初乗り区間で毎月20日間往復している場合、現行よりも320円~400円負担が大きくなる計算です。

定期券関連の変更

定期券関連でも様々な改定が見られました。主にどのような改定があるのかチェックしていきます。

6カ月定期の割引率が減少

JR東日本では1カ月・3カ月・6カ月単位で定期券を販売していますが、この中でも6カ月定期は平均割引率が60.3%です。
しかし、3月14日からの改定にともない、6カ月定期の平均割引率は59.0%に減少します。割引率は区間ごとに異なりますが、1~5%程度減少するとしています。

例えば幹線で営業キロが10kmだった場合、現行の6カ月定期は28,520円ですが、改定後は33,700円で5,180円値上がりしているのです。

オフピーク定期券の利用可能範囲が拡大

平日朝のピーク時間帯以外で約15%割安になるオフピーク定期券は、これまで適用範囲が「東京の電車特定区間内」に限られていました。
しかし、今回の改定によって約15%の割安価格は継続され、適用範囲が拡大します。新たにオフピーク定期券の対象となったのは、以下の路線と駅です。

路線 対象の駅 ピーク時間帯
高崎線 宮原 6:40~8:10
上尾
北上尾 6:30~8:00
桶川
北本 6:25~7:55
鴻巣
宇都宮線 土呂 6:40~8:10
東大宮 6:30~8:00
蓮田
白岡 6:25~7:55
新白岡
久喜 6:15~7:45
東海道線 藤沢 6:50~8:20
辻堂 6:40~8:10
茅ヶ崎
平塚 6:30~8:00
外房線、京葉線 本千葉 6:40~8:10
蘇我

ただし、現在首都圏の一部エリアで行われているオフピークポイントサービスは、適用範囲の拡大にともない2026年3月末で終了となります。

幹線区間の通学定期券は一部区間で値上げ

幹線区間の通学定期券に関しては家計負担なども考慮し、現行と据え置きになりました。
ただし、一部の電車特定区間と山手線内の運賃区分が幹線に統合されたことで、対象区間で通学定期券を利用している人は値上げの対象となります。
改定率は幹線に統合する電車特定区間は8.0%、山手線内は16.8%です。

例えば高校生の通学定期券で、特定区間が廃止される「新橋-横須賀」区間では、現行と改定後の定期代の差は以下のようになります。

新橋-横須賀間 1カ月 3カ月 6カ月
現行 11,830円 33,730円 63,910円
改定後 13,100円 37,350円 70,790円
差額 1,270円 3,620円 6,880円

特定区間の一部廃止

特定区間は、国鉄時代にほかの鉄道事業者と競合しており、通常より安い価格設定が行われてきた区間です。
しかし、現在は直接競合関係にならない区間や利用者数が少ない区間もあることから、今回の改定によって一部区間を除き廃止することが決定しています。
廃止後は上記でも紹介したように、幹線の運賃が適用されるため、廃止される区間では実質値上げということになります。

廃止される特定区間は以下のとおりです。

上野・日暮里~成田 2区間
新橋~田浦・横須賀・衣笠・久里浜 4区間
浜松町~田浦・横須賀・衣笠 3区間
田町~田浦・横須賀・衣笠 3区間
品川~田浦・横須賀・衣笠・久里浜 4区間
横浜~田浦 1区間
渋谷~桜木町 1区間

新幹線定期券・グリーン定期券も値上げ

新幹線定期券とグリーン定期券も同じく値上げの対象です。
新幹線定期券(FREX・FREXパル)は、通学用のFREXパルだとほとんど改定されていないものの、東海道新幹線と東北新幹線の一部区間で値上げとなっています。
一方、通勤用のFREXでは、すべての新幹線・区間が値上げ対象です。
例えば東海道新幹線の東京-熱海区間の場合、1カ月の定期代は現行で86,990円になっていますが、改定後は90,900円で3,910円値上がりとなります。

グリーン定期券は通勤定期運賃とグリーン料金相当額を合算した金額なので、通勤定期運賃の改定分値上げする形です。
例えば営業キロが11kmだった場合、現行のグリーン定期券(幹線)は1カ月で30,310円になりますが、改定後は30,890円で580円の値上がりとなります。

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JR東日本の定期代値上げで会社・個人事業主はどのような影響を受ける?


JR東日本の定期代値上げにともない、会社や個人事業主はどのような影響を受けることになるのでしょうか。ここで通勤手当への影響について解説します。

通勤手当のコストが増加

JR東日本の定期代が値上げすることにより、通勤手当のコストが増加します。
多くの企業では実費支給または定期代相当額を通勤手当として支給しているため、運賃改定によって値上げが行われると、そのまま人件費の上昇につながります。
例えば6カ月定期券の値上げ率は区間によって異なるものの、全体で5%定期代が値上げすれば、数十万円近くコストが増加することも考えられます。
長距離通勤者が多い職場では決して無視できないコスト増になるケースも少なくありません。
特に都心部に本社を構えており、社員数も多い企業の場合、予算計画を見直す必要も出てきます。

さらに、通勤手当は健康保険料や厚生年金保険料などの社会保険料の算定基礎に含まれています。
これは、通勤手当が健康保険法第3条の報酬の定義に該当しているためです。
もし運賃改定にともなって通勤手当の支給額を増やすと、会社が負担する社会保険料が間接的に増えてしまう可能性もあります。

通勤手当の改定処理に手間がかかる

定期代が値上げすることで、通勤手当のコストが増加するだけでなく改定処理の手間も増えてしまいます。
改定処理では、まず運賃改定が影響する従業員を洗い出し、通勤経路や改定後の金額を一つひとつ確認していくことが必要です。
特に今回の運賃改定はJR東日本を利用するすべての人に影響する可能性があることから、定期代支給・実費精算に関係なく改定処理の対象となります。

従業員に再申請をさせる場合、さらに従業員へ周知させたり、申請漏れがないかチェックしたりするなど、改定処理を行う担当者の負担は大きく増加するでしょう。
また、従業員からの再申請への対応や、「いつから新しい定期代が適用されるのか」「差額は遡って支給されるのか」などの問い合わせ対応が増えることで、通常業務に支障が出る可能性も考えられます。

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定期代の値上げに向けた対応


JR東日本の定期代値上げに向けて、企業や個人事業主はどのような対応を取れば良いのでしょうか。
ここでは、定期代の値上げに向けた対応を従業員側・管理部門側に分けて紹介します。

従業員の対応

多くの企業は運賃改定にともない、従業員自ら改定後の運賃を調べて申請する方法を採用しています。
具体的な流れは以下のとおりです。

1.従業員が現行の経路に基づき新しい運賃を確認する
2.管理担当者が申請内容を確認しながら経路・金額を正しいかチェックする
3.上長が申請内容を承認する
4.給与システムに反映させ、通勤手当を支給する

申請した従業員から順番に対応することになるため、担当者は作業に取りかかりやすいというメリットがあります。
ただし、すべての従業員が申請を済ませているか把握するのが難しく、後で対象者全員が申請しているか確認しなくてはなりません。

管理部門の対応

管理部門がまとめて通勤手当の改定処理を行うという企業もあります。この方法だと申請・承認のプロセスが省略されるため、従業員側に手間がかかりません。
対応の流れは以下のとおりです。

1.運賃改定の対象となる路線・区間を確認する
2.対象の従業員を洗い出す
3.公表されている料金表に基づき、新運賃を適用させる
4.給与システムに反映させ、通勤手当を支給する

この方法だと管理部門が主体的に進められる反面、対象区間をすべて把握しておく必要があり、膨大な数の確認が必要となります。

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JR東日本の定期代が値上げする前に企業・個人事業主がやるべきこと


2026年3月14日から運賃改定が行われますが、その前に企業・個人事業主はどのような準備を進めておくべきか。
ここでは、値上げ前に企業・個人事業主がやるべきことを解説します。

従業員の通勤手当データをあらためて確認・把握する

まずは従業員の通勤手当データを確認・把握しておく必要があります。
運賃が改定してからだと対象となる従業員を洗い出すのに時間がかかってしまい、対応が遅くなってしまうかもしれません。
特に従業員数が多い企業や、各地に支社・支店がある場合、あらかじめ通勤で利用している路線を確認し、対象の従業員を事前に洗い出しておいてください。

改定後の運賃を確認する際は、経路検索ツールを活用するのがおすすめです。
経路検索ツールには全国の路線データと運賃情報が掲載されており、従業員の通勤経路を入力することで適用される運賃が表示されます。
経路検索ツールは改定後の運賃が適用されているか確認した上で、利用するようにしてください。

通勤手当額を変更する場合は従業員に周知させる

定期代の値上げにともない、通勤手当の額を変更せざるを得ない場合もあるでしょう。
対象の従業員に向けて申請をお願いする場合も周知させることが重要ですが、通勤手当の支給額を変更する場合にも従業員に周知させる必要があります。

例えば、就業規則または給与規定などに通勤手当の支給や金額について明記していた場合、労働契約法第10条で変更後の就業規則は労働者に周知させる必要があるとしています。
通勤手当額の変更に合理性があるかどうかも重要となるため、運賃改定による値上げの影響についてきちんと説明できるように準備しておくことが大切です。

他路線も含めて交通手段を検討する

今回の運賃改定による値上げが大きく影響する場合、他路線も含めて交通手段を検討するのもひとつの方法です。
今回の改定はあくまでJR東日本の路線が対象となるため、他路線に変更することで値上がり幅が抑えられる可能性があります。

また、オフピーク定期券を活用できないか検討してみるのも良いでしょう。オフピーク定期券は今回の改定によって対象となる駅が増えています。
朝のピーク時間帯には適用されないものの、通常運賃より約15%割安で利用できることから、時差出勤制やフレックスタイム制の導入と合わせて検討してみてください。

通勤費管理をシステム化する

今回の運賃改定に合わせて、通勤費管理をシステム化するのもおすすめです。
これまで表計算ソフトなどでまとめていた企業の場合、専用の管理システムを導入することによって、確認・更新作業の手間を省くことができます。

通勤費管理のシステムを採用する場合、給与システムと連携できるもの、もしくは給与システムの中で通勤費管理も行えるものがおすすめです。
運賃改定は一時的な対応となりますが、システム化することで日々の労務管理の効率化につながります。

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まとめ・JR定期代値上げに向けて早めの準備が大切

2026年3月14日から実施されるJR東日本の定期代値上げによって、企業や個人事業主は改定後の運賃を確認し通勤手当に反映させる必要があることから、担当者にとって大きな負担となりやすいです。
こうした負担を少しでも軽減させるために、通勤費管理のシステム化を検討したり、早めにスケジュールを組んで従業員の通勤経路や改定後の運賃を調べたりしておくと、3月14日以降も慌てずに対応できるでしょう。

創業手帳(冊子版)は、労務管理に関する最新情報なども掲載しています。どのような対応が必要なのか、どう準備すればいいかなど詳しく解説しているので、ぜひお役立てください。

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(編集:創業手帳編集部)

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