インボイス制度に登録した個人事業主の方向け!消費税はいつまでに納税すれば良い?

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インボイス制度に登録したばかりで消費税についてわからない個人事業主必見!消費税はいつまでに納税する?

2023年10月1日より、インボイス制度が施行されました。インボイス制度が始まったタイミングで、今まで免税事業者だった個人事業主の方の中にも、インボイス制度に登録した方もいるでしょう。

インボイス制度に登録するということは、課税事業者になるということです。課税事業者は消費税を支払わなければなりません。しかし、「消費税の納税って、何からやれば良いかわからない」「いつまでに納税すれば良いの」などと疑問を抱くこともあるのではないでしょうか。

そこで本記事では、あらためてインボイス制度と消費税の計算方法、いつまでに納税すれば良いのかなど、インボイス制度に登録した個人事業主の方が消費税について気になることをまとめてご紹介します。

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インボイスの消費税はいつまでに納税?納付期限はいつ?

インボイス制度に登録するために課税事業者に登録したという人の中には、消費税をいつまでに納付すべきなのか、知らない方もいるでしょう。

個人事業主の場合には、消費税の納税期限は、2024年4月1日までです。ただし、振替納税を利用する場合、この期日を引き延ばすことができます。振替納税の場合には、2024年4月30日までその期限を引き延ばすことができます。

個人事業主が所得税を納税する場合、「延納」と呼ばれる制度を利用することもできます。所得税の納付期限は2024年3月15日ですが、もしその期限に間に合わない場合には、二分の一の税額を期限までに納税することで、残りの税額を後で納税することを認めてもらえる制度です。ただし、後で支払う税額については、0.9%の利子税がかかってしまうので要注意です。

それでは、消費税は「延納」できるかというと、消費税には延納の制度はありません。きっちりと4月1日、あるいは振替納税で4月31日までには納税しなければならないのです。

消費税を納税するためには、その前に消費税額を自ら正確に算出しておく必要があります。

まず、確定申告書類を作成して消費税額を算出し、その分の消費税額を期限までに納税しましょう。

中間申告について

個人の場合は前年、法人の場合は前事業年度の消費税の年税額が48万円を超える事業者については、中間申告が必要になります。2023年度にインボイス登録したばかりの個人事業主については、ほとんど該当しません。

ただし、課税期間の特例制度を適用している事業者は申告不要です。

中間申告で納税した方は、確定申告時にその金額分だけ消費税額が控除され、控除しきれない場合は還付されます。

インボイス制度とは?年収1000万以下の個人事業主はどうなる?

ここでは改めてインボイス制度の概要について解説していきます。
インボイス制度とは、2023年10月1日より施行された制度です。インボイス制度を導入することによって、それぞれの取引における正確な消費税の適用税率や、適用税額を把握することが目的とされています。

インボイスとは、日本語で「適格請求書」と呼ばれ、これまでの請求書よりも何点か、必須となる記載項目が追加された請求書のことです。インボイス制度に登録した事業者の方は、インボイスを発行することができるようになります。

インボイスは、従来までの「区分記載請求書」と呼ばれてきた請求書に、以下の項目を追加したものです。

・インボイスの登録番号
・消費税額等
・税抜価額または税込価額を税率ごとに区分した合計額および適用税率

消費税の正確な税率・税額を把握するために、上記項目が追加されています。インボイスの登録番号は、「適格請求書発行事業者の登録申請書」を提出することで交付されることになります。

ただし、インボイス制度に登録することは、実は必須ではありません。あくまでも事業者の判断で、任意にインボイス制度に登録するかどうか、判断することができます。

インボイス制度の施行は、多くの個人事業主の方々の反発を呼びました。というのも、インボイス制度に登録するには、売上1000万円以下の免税事業者であっても、消費税の課税事業者に登録しなければならないためです。

従来は、売上1000万円以下の免税事業者は、消費税を支払う必要がありません。しかし、インボイス制度に登録するためには、売上1000万円以下であっても、「あえて」消費税を支払う課税事業者にならなければいけないのです。何かしらのメリットや、登録しないことによるデメリットがなければ、「あえて」消費税を支払う課税事業者になろうとする人はいないでしょう。

そこで問題になるのが、インボイス制度に登録するメリット、あるいは登録しないことによるデメリットです。

インボイス制度に登録することによるメリットは、率直に言って、ありません。強いて言えば、自社の売上における消費税額・消費税率をより明確に把握できることくらいです。

一方で、インボイス制度に登録しないことによるデメリットは大きいです。

インボイス制度が施行されたことによって、今まではインボイスの登録番号がない区分請求書でも仕入税額控除ができましたが、インボイスをもらわないと仕入税額控除ができなくなったのです。商品の売り手は買い手に請求書を送りますが、それが「インボイス(適格請求書)」でないと、仕入税額控除ができず、節税できなくなってしまいました。つまり、商品の買い手は、一つひとつの購入について、それがインボイスなのか、インボイスでない請求書なのか仕分けして、インボイスをもらった取引のみ仕入税額控除の計算をする、という流れになりました。

このインボイス制度の施行によって容易に予想されるのは、インボイスを発行できない事業者よりも、インボイスを発行できる事業者からのみ商品・サービスを購入することになる流れです。国税庁はそうしたことがないように注意喚起をしていますが、実際に、一部の事業者間の取引では、すでにそうした事態が起きていると言われています。

そのため、買い手よりも立場が弱い個人事業主や小規模企業などの中には、売上1000万円以下でも、インボイス制度に登録する選択をした事業者も少なくありません。

不利なことばかり起きて、メリットがほとんどないように見えるインボイス制度の施行は、多くの個人事業者・中小企業の反発を呼びました。その結果として、国もインボイス制度が導入されてから数年間は経過措置を利用できるよう、はからいました。詳しくは後述しますが、2023年分から数年間は、インボイス制度の施行を機に免税事業者から課税事業者になった事業者については、消費税10%を丸々納税しなくても済みます。

インボイス登録した個人事業主の消費税の計算方法

インボイス制度施行とともに、免税事業者から課税事業者になった個人事業主の方は少なくないでしょう。以下では、そのような方に向けて、消費税の計算方法をご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。

2割特例

インボイス制度施行のタイミングで、「適格請求書発行事業者の登録申請書」を2023年9月30日までに提出してインボイス登録し、免税事業者から課税事業者に転換された方の場合、2割特例と呼ばれる経過措置を利用できます。

2割特例とは、売上にかかる消費税額の8割を差し引いて、残り2割のみの納税でOK、とする経過措置です。

例えば、220円(税込)が売上だとすれば、その10%の20円が本来の消費税額ですが、その2割でOKなので、この場合は2割特例で納税額が4円になります。このように、2割特例を利用できると、納税額をかなり少なく抑えることができます。

2割特例はあくまで経過措置なので、利用できる期間は2023年10月1日から2026年9月30日までの日の属する各課税期間となっています。

簡易課税

インボイス制度施行の前のタイミングで、「消費税課税事業者選択届出書」をあえて自ら提出して課税事業者として登録し、その後に 課税期間の初日の前日まで納税地の所轄税務署長に「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出している場合、消費税の算出方式は「簡易課税」となります。

「簡易」というくらいなので、算出方式は「原則課税」よりも簡単です。一つひとつの取引ごとに売上から仕入の税額を引かなくても良いのが、簡易課税方式です。簡易課税方式の算出式は「納めるべき消費税額=受け取った消費税額-(受け取った消費税額×業種ごとのみなし仕入率)」となっています。みなし仕入率はそれぞれの業種ごとに違います。

詳しくは、「インボイス登録ガイド」のP11をご参照ください。各事業によるみなし仕入率が表でまとまっている他、職種別による消費税納税額のシミュレーションも掲載しています。

例えば、小売業であれば、みなし仕入率は80%です。売上が1100円(税込)の場合、納めるべき消費税額は「100円 – (100×0.8)= 20円」です。
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原則課税

2割特例も簡易課税も利用できない事業者は原則課税を利用して納税する必要があります。

原則課税は一番難しい算出方式で、それぞれの取引ごとに、都度、その取引における消費税額を算出しなければなりません。このケースだと、2割特例も使えないので、消費税額はそれぞれの売上の消費税から仕入税額控除ができる消費税を差し引いた金額の合計金額になります。

個人事業主の方が自身で算出するにはかなり難しいので、確定申告ソフトか税理士にお任せした方が良いでしょう。

確定申告から消費税納税までの手順

以下では、確定申告から消費税納税までの手順についてご紹介します。

青色申告・白色申告のどちらかを選択する

確定申告をする際には、青色申告か白色申告か、申告方式を選択しなければなりません。

白色申告には特別な税制優遇などはありませんが、一方、青色申告の場合には、最大で65万円までの優遇措置があります。そのため、多くの個人事業主の方々が、青色申告を選択しています。

ただし、青色申告の場合には、最初に青色申告をしようとする年の3月15日までに、「所得税の青色申告承認申請書」を提出していなければなりません。提出しない方は、自動的に白色申告を選択したことになります。

また、白色申告の方が青色申告よりも提出書類や保存帳簿が少なくて済みます。青色申告の方が提出する書類は多く、65万円までの優遇措置を受けるには複式簿記で記帳して、なおかつe-Taxで申告書類を提出しなければなりません。

確定申告書類を作成する

次に、確定申告書類を作成します。確定申告書類を作成する際には、確定申告ソフトを利用するのが確実かつ簡単です。おそらく、個人事業主の方一人で確定申告書類を作成し切るのは、専門家でもない限りかなり難しいです。多くの方が確定申告ソフトを利用して、確定申告書類を作成します。

本業に集中したい方は、最初から税理士に依頼した方が良いでしょう。

確定申告書類を提出する

確定申告書類を作成したら、所轄の税務署に郵送または信書で送付するか、直接税務署の受付に届ける、あるいはe-Taxで提出します。青色申告の税制優遇を最大化したい場合には、e-Taxで提出しましょう。

所得税・消費税を納税する

最後に、所得税、消費税をそれぞれ納税します。所得税は2024年3月15日まで、消費税は2024年4月1日までに納税するのが原則です。

また納税方法はいくつかのパターンがあります。詳しくは「確定申告ガイド」をお読みいただけるとわかりやすく解説しています。


インボイス制度に登録した個人事業主は消費税をいつまでに納税するか把握しましょう

以上、インボイス制度と消費税納税の方法、いつまでに納税すれば良いかなどについてご説明しました。

本記事を参考に、消費税をしっかりと納税しましょう。

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(編集:創業手帳編集部)

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