【インボイス】個人事業主の消費税はいつ払う?期限と申告手順

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消費税の納付期限は延期できない!インボイスの計算は早めが吉

消費税には申告・納付期限があります。2023年10月1日から始まったインボイス制度の影響で、処理に時間がかかっている個人事業主も多いでしょう。

計算を後回しにして納税が遅れないよう、消費税をいつまでに申告し、いつまでに支払えばいいのかを知っておくことが大切です。逆算して計画を立て、消費税の確定申告および納税をスムーズに済ませてください。

創業手帳では、複雑な消費税の計算方法をわかりやすくまとめた「確定申告ガイド」を無料でリリース。申告期限はもちろん、どんな人が納税対象になるかもフローチャートで解説しています。



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消費税はいつ払う?個人事業主における申告・納付時期

消費税は、確定申告によって正確な納税額を確定させたあとに納税します。

個人事業主の場合、2024年分の消費税の納税期限は、2025年3月31日(月)までです。

振替納税を利用する場合には2025年4月30日(水)までとなり、期限がやや延長します。

取引先から預かった消費税をすぐに納めたり、好きなときに納税できるわけではないので、確定申告までしっかりと管理が必要です。

消費税の確定申告と納税の時期について、さらに詳しく説明します。

通常の申告・納税期限

原則として、消費税の申告期限と納税期限は同じです。当年の課税期間が終わってから3月31日までに申告・納税します。個人事業主の課税期間は1月1日〜12月31日です。

所得税も申告と納税の期限が同じですが、所得税の場合は3月15日が期限なので、混合しないよう注意しなくてはなりません。

消費税の申告・納税は所得税とほぼ同時期で、売上額などのデータも共用できるため、両者を並行して進めたほうが効率的です。

なお消費税には所得税のような延納制度はありません。必ず期限を守って納税しましょう。

中間申告の申告・納税期限

前年の消費税の年税額が48万円を超えると、確定申告とは別に「中間申告」が必要です。

個人事業主における中間申告の回数と申告および納付期限は、消費税額に応じて以下のように異なります。

消費税の年税額 申告回数 申告・納付期限
48万円超~400万円以下 年1回 各中間申告の対象となる課税期間の末日の翌日から2か月以内
400万円超~4,800万円以下 年3回
4,800万円超 年11回 【1月から3月分】5月末日

【4月から11月分】中間申告対象期間の末日の翌日から2か月以内

消費税の年税額が400万円以下の個人事業主であれば、中間申告は年1回となります。例えば1月1日〜6月30日の課税期間分を中間申告する場合、8月31日が納付期限です。

2025年については、8月31日が日曜日のため9月1日(月)が期限、振替日は9月29日(月)となっています。

消費税の納税義務はいつから発生する?

個人事業主をはじめ、経営者が消費税を納税する義務はいつから発生するのでしょうか。

消費税を納めなくてはならない条件、タイミングについてまとめました。

インボイス登録をしたとき

インボイス登録をして課税事業者になれば、当然ながら消費税の納税義務が発生します。課税事業者になると、所得額に関係なく納税が必要です。

インボイス登録には、課税事業者になる経緯によって手続きに以下の違いがあります。

  • 消費税課税事業者選択届出手続:免税事業者が課税事業者を選択する際に行う
  • 消費税課税事業者届出手続:判定期間に課税売上が一定を超えた事業者が行う

所得額上、免税事業者のままでも問題ない事業者があえて課税事業者を選ぶ場合は、選択届を提出します。

その場合、本来は免除となる消費税を納めなくてはなりませんが、インボイス(適格請求書)を発行できるようになるので、取引上での懸念が減るのがメリットです。

判定期間の売上が1,000万円を超えたとき

課税事業者になるかどうかは、判定期間の売上金額で決まります。判定期間中に1,000万円を超えると課税事業者に該当し、消費税を支払わなくてはなりません。

個人事業主の判定期間には、次の2つがあります。

  • 基準期間:前々年(2年前)
  • 特定期間:前年1月1日から6月30日

2023年4月に開業した個人事業主が2024年の課税売上額で判定する場合、基準期間はなし、特定期間は2024年4月から6月までです。

基準期間と特定期間のどちらもない開業したばかりの事業者は、判定の必要はなく免除されます。

資本金などの基準を満たしたとき

会社を設立した際の資本金や出資金の額も、課税事業者になるかどうかの分かれ目です。1,000万円以上であれば消費税を納める義務が発生します。

個人事業主から法人化するとき、資本金が1,000万円以上だとすぐに課税事業者扱いとなるため、把握しておきましょう。

ほかにも特定の新規設立法人に該当すれば、資本金額によらず消費税の納税義務は免除されません。法人化を検討しているなら注意が必要です。

【インボイス制度対応】個人事業主の消費税の計算方法

インボイス制度の施行により、インボイスに登録した事業者はインボイス(適格請求書)が発行できるようになりました。インボイスによって適用できる仕入税額控除は、消費税の納税額を左右する重要なポイントです。

インボイス制度を踏まえ、実際に消費税をどのように計算するのか、具体例とともに確認しましょう。課税事業者によって選べる3つの方式ごとに解説します。

2割特例

インボイス制度施行のタイミングでインボイス登録し、免税事業者から課税事業者になった場合、2割特例を利用できます。

2割特例とは、売上にかかる消費税額の8割を差し引いて、残り2割のみの納税でよしとする経過措置です。

売上額が税込1,100円の場合
1,100円 × 10%=100円(売上にかかる消費税)
100円 × 80% = 80円(2割特例の控除額)
100円 – 80円 = 20円(納めるべき消費税

このように、2割特例を利用すると、納税額をかなり少なく抑えることができます。

2割特例を適用できる期間は、2023年10月1日から2026年9月30日までの課税期間です。2026年度分の確定申告まで、対象の課税期間の取引分に反映できます。

簡易課税

簡易課税は、「消費税課税事業者選択届出書」を出しており、基準期間の課税売上が5,000万円以下であれば利用できます。2割特例の対象でもある場合は、どちらで申告するか選択が可能です。

「納めるべき消費税額=売上にかかる消費税額-(売上にかかる消費税額×みなし仕入率)」が基本の計算式です。みなし仕入率はそれぞれの業種ごとに違います。

売上額が税込1,100円、小売業(みなし仕入れ率80%)の場合
1,100円 × 10%=100円(売上にかかる消費税)
100円 – (100円 × 80%) = 20円(納めるべき消費税額

事業種ごとのみなし税率は「インボイス登録ガイド(無料)」p.11に掲載しています。消費税の納税がいくらになるか、シミュレーションも可能です。


インボイス登録ガイド

原則課税

2割特例も簡易課税も利用できない事業者は、原則課税にて納税します。

原則課税では、売上額の区分が「標準税率(10%)」と「軽減税率(8%)」にそれぞれ分かれるため、別々に計算が必要です。1円未満の端数は切り捨てます。

標準税率分の売上額100万円、軽減税率分の売上額50万円の場合
100万円 × 100/110 × 10% = 90,909円(納めるべき消費税・標準税率分)
50万円 × 100/108 × 8% = 37,037円(納めるべき消費税・軽減税率分)

90,909円 + 37,037円 = 127,946円(納めるべき消費税の合計

※標準税率10%と軽減税率8%の内訳
10%…消費税率7.8%、地方消費税率2.2%
8%…消費税率6.24%、地方消費税率1.76%

原則課税では仕入税額控除が適用できるので、実際には納めるべき消費税の合計から仕入税額控除を差し引いて、残った分が正式な納税額となります。

軽減税率の対象となるのは以下の商品です。

  • 酒類・外食を除く飲食料品
  • 週2回以上発行される新聞(定期購読契約しているもの)

取引ごとに標準税率か軽減税率かが変わるため、消費税の計算も個別に行わなくてはなりません。もっとも手間のかかる計算方法ですが、仕入税額控除が使えるため節税につながる可能性も高くなります。

確定申告の準備から消費税の納税までの手順

以下では、消費税の確定申告の準備から、実際に消費税を納税するまでの手順についてご紹介します。

課税方式に基づき帳簿付けする

消費税の確定申告をするには、自社の課税方式に基づいて課税期間内の取引を帳簿付けし、消費税を正確に計算しておかなくてはなりません。

特に原則課税を用いている場合、個別に計算が必要です。申告時期が近づいてきてからだと間に合わない恐れもあるため、日々の帳簿付けの中でこまめに処理しておきましょう。

個人事業主の場合、課税期間は当年の1月1日〜12月31日まで、法人化している場合は自社の事業年度になります。

確定申告書類を作成・提出する

確定申告の時期に差し掛かったら、消費税の申告に必要な書類を作成します。申告書は会計ソフトで作成するか、国税庁のホームページからも入手可能です。

課税方式によって申告書の様式や添付書類が異なるほか、申告書は個人事業主用と法人用とに分かれているため、ダウンロードする場合は確認の上行いましょう。

確定申告書類の作成方法によって、提出方法にも差が出ます。会計ソフトやパソコン上で作っておけばe-Taxによる電子申告ができ、効率的です。紙であれば郵送か、直接持参するしかなくなります。

消費税を納税する

確定した消費税額に基づき納税します。2025年の消費税の納税期限は2025年3月31日(月)、振替の場合は4月30日(水)です。

納税方法は電子納付のほか、クレジットカードやコンビニ、スマホアプリなど幅広い形式があります。振替納税をしたい場合、税務署か金融機関に前もって依頼書を提出しなくてはなりません。

より詳しい確定申告の流れは、無料の「確定申告ガイド」を読めばわかります。確定申告は複雑で難しい、そう悩んでいる人の道しるべとなる一冊です。


インボイス制度に登録した個人事業主は消費税をいつまでに納税するか把握しましょう

消費税は例年3月31日までが申告および納税の期限です。個人事業主は年間の課税期間の最終日となる12月31日以降、期限までに申告書を作成して納付しましょう。

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(編集:創業手帳編集部)

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