飲食店の営業許可証とは?取得の流れや必要書類、更新手続きなどを解説

飲食開業手帳

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営業許可証は、飲食店を営業するために必ず取得しなければいけません。
営業許可を得るために必要なものは、安全で衛生的な食品を提供するために最低限求められる設備や運営です。

どのようなことが求められるのか事前に保健所に相談してから、設備や内装の計画を立てるようにしてください。
営業許可証とはどのようなものなのか、取得するための条件や手続きの流れを紹介します。

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飲食店で必要な営業許可証とは?


飲食店営業許可証は、飲食を提供するお店の開業時に必要となる許可証です。許可証を取得せずに飲食店を営業すれば無許可営業となり、処罰の対象となることもあります。
飲食店の営業許可は業務形態や提供する料理の内容によって申請内容が異なります。

「飲食店営業」は、一般的な食堂や料理店、旅館や仕出し屋、弁当屋、カフェといったお店です。
食品を調理して、または設備を設けてお客様に飲食させる形態を指します。

一方で「喫茶店営業」は、酒類以外の飲物または茶菓を客に飲食させる営業で、すでに製造したものを提供するだけです。
「喫茶店営業」ではアルコールや調理が必要な飲食品は提供できないので、悩んだ時には飲食店営業許可の取得がおすすめです。

さらに、深夜0時から6時にお酒をメインにして営業するのであれば、「飲食店営業許可」だけでなく「深夜酒類提供飲食店営業開始届」の提出が求められます。
開店予定日の10日前に警察署に届けなければいけないので、それより前に飲食店営業許可を取得しておいてください。

飲食店で営業許可証を取得するための要件・資格


飲食店を営業するためには、飲食店の営業許可を取得しなければいけません。
また、営業許可を取得するためには、管轄の保健所に申請の手続きをして検査に合格する必要があります。
営業許可を取得するために求められる要件や資格は以下の通りです。

食品衛生責任者を置く

飲食店の営業許可を得るために、早めに食品衛生責任者を設置してください。営業許可を取得するためには、食品衛生責任者の設置が必須です。
食品を扱う店舗で、食品の衛生管理を行う人のことを食品衛生責任者といいます。
1店舗につき1人の食品衛生責任者を置く必要があり、1人が複数店舗をかけ持つことはできません

食品衛生責任者になれるのは、調理師や製菓衛生士、栄養士などの資格保持者です。
調理師などの資格を持っていなくても、食品衛生責任者要請講習会を受講すれば食品衛生責任者の資格は取得できます。
食品衛生責任者要請講習会を受講するには、各都道府県の食品衛生協会のホームページを確認してください。
講習会の定員もあるため、スケジュール余裕をもって取得するようにしましょう。

保健所の検査をクリアする

飲食店の営業許可を受けるためには、申請書類を準備して保健所の現地検査をクリアしなければいけません
いきなり手続きを進めるのではなく、検査をクリアするためにどのような要件を満たせばいいのか、事前に確認してから設備などを決定するようにします。

もしも店舗の工事をしてから、検査をクリアできずに工事や設計のやり直しになってしまえば時間面でも費用面でも大きく影響します。
窓口では、無料で相談できるので事前に設計図や設備の資料を持って保健所で確認してください。

防火管理者を置く(収容人数30名以上の飲食店の場合)

防火管理者は、多くの人が出入りする建物で火災による被害が起きないよう、設置が義務付けられています。
防火管理者はすべての飲食店で設置する必要はありません。客席数が30人以上の場合に選任が求められます。
事前に消防計画を作成し、消防署への提出が必要です。

防火管理者の資格は、防火管理講習を受講して取得できます。
都道府県知事、市町村の消防署、日本防火防災協会のいずれかで実施しているのでスケジュールを確認してください。

深夜酒類提供飲食店営業開始届を申請する(該当する飲食店のみ)

深夜0時以降にアルコールを提供するのであれば、事前に深夜酒類提供飲食店営業開始届を提出します。
「住居地域」では営業できないので、店舗を選ぶ時には注意してください。

深夜酒類提供飲食店営業開始届は、飲食店営業許可を受けてから警察署に提出します。
提出時には、住民票や店舗の図面、定款や登記事項証明書など書類が求められます。
必ず管轄の警察署の生活安全課に必要な書類を事前確認してから申請してください。
書類を提出して受理されてから、許可がおりるまでに10日程度がかかるので余裕をもって手続きしておきましょう。

飲食店の営業許可証を取得するまでの流れ


飲食店は営業許可がおりなければ営業をスタートできません。事前に決めた開業日に間に合うよう、計画的に営業許可を取得してください。
飲食店の営業許可を取得するまでの流れを説明します。

1.保健所に事前相談する

飲食店の営業を決めた時や店舗を決めた時には、まずは保健所に事前相談してください。保健所が行う現地検査の項目や基準は、その保健所によって違うこともあります。
必要な設備が整っていないと営業許可は取得できません。
どういった点に留意すればいいのか、計画している設備や図面で問題がないかを事前に確認してもらいます。相談する時には必ず営業内容や設備図面案を持参しましょう。

2.営業許可を申請する

営業許可を取得するために必要な書類を揃えて保健所に提出します。書類審査に合格すると、申請手数料納付と施設検査日時の調整に進みます。
営業許可の申請が遅れてしまうと、思っていたスケジュールで検査を受けられなくなるかもしれません。予定通りに営業開始できないこともあるので、注意してください。

3.施設検査日程の調整

施設検査では、提出した図面通りに設備が設置されているか、施設基準を満たしているか現地で確認がおこなわれます。施設検査は必ず営業者が立ち会ってください。

以下は、気をつけるべきポイントを抜粋したものです。

【検査のポイント】
・食品の保管と衛生管理
食品の保管場所が清潔で、適切な温度か
交差汚染を防ぐために異なる食品が分離されているか

・厨房内の衛生管理
厨房が清潔に保たれ、定期的に清掃されているか
冷蔵庫・冷凍庫に温度計がついているか
最低2槽以上のシンクがあるか

・従業員の衛生管理と訓練
消毒設備がついた手洗用のシンクが厨房内にあり、必従業員が手洗いや手指消毒を適切に行っているか
食品衛生の基本的な知識を持っているか

・食品の調理と加熱
食中毒を引き起こす可能性のある菌が除去されるよう、適切な加熱がされているか

・客席とトイレの衛生状態
客席やトイレが清潔に保たれ、必要なアイテムが揃っているか

4.営業許可書が交付される

施設検査で合格していれば、許可期限や許可条件を附して営業許可証が発行されます。交付予定日は検査の時に伝えられます。
交付方法や窓口や郵送が一般的ですが、各保健所によって違うので事前相談や検査の時に確認してください。
施設基準に適合しなかった時には営業許可になりません。不適事項を改善してから改めて再検査を受けるようにしてください。

5.営業開始

営業許可証が交付されるといよいよ営業開始です。営業を開始してからは、施設や設備が基準の通りに維持管理されているか常に点検してください。
また、食品の取り扱いにも注意して、安全で衛生的な食品を提供するように心がけます。施設や設備に変更があったり、廃業したりする時には保健所に届け出てください。

営業許可証の申請時に必要な書類


飲食店の営業許可を申請する時には、必要な書類を作成して提出します。必要な書類は主に以下のものですが、保健所へ相談する時にも確認してください。

・飲食店営業許可申請書
飲食店営業許可証申請書は、保健所の窓口やその自治体のホームページから取得できます。申請者の氏名や住所のほか、営業所の現在地や営業の種類、名称を記載します。

・食品衛生責任者の資格を証明する書類
食品衛生責任者となる人の資格証明書を提出します。資格取得時に交付される「食品衛生責任者手帳」などの原本を用意してください。

・営業所の見取り図
店舗の所在地を最寄り駅などを起点として見取り図で記載します。インターネットで地図を検索してからそれを下書きにすると、容易に作図できます。

・営業設備の大要・配置図
営業設備の大要・配置図は、営業許可に必要な設備や配置の図面です。
営業設備の大要では、用紙の書式に従って当てはまる部分をチェックして、店舗内に関する内容を漏れなく記載します。

・内装の配置の平面図
お店の厨房と客席の配置も確認が必要です。設計図を参考にして正確に記載します。
また、平面図の作成を内装工事業者に依頼する方法もあります。

・水質検査成績書(貯水槽や井戸水を利用する場合)
共同ビル内のテナントのように貯水槽を利用する場合や井戸水を使用する場合には、水質検査成績書を提出します。テナントの場合には、大家やビルの管理者に問い合わせます。

・登記事項証明書
法人が営業許可を申請する時には登記事項証明書を提出します。「目的」の欄に飲食店経営が入っていることを確認しましょう。

営業許可証を取得するまでにかかる費用と時間


飲食店の開業を考える時には、営業許可にかかる費用や時間も計画に盛り込むようにしてください。
営業許可にかかる費用と時間の目安は以下の通りです。

保健所に支払う金額はそれぞれ異なる

営業許可を得るまでにかかる費用は保健所に支払う手数料です。金額は管轄の保健所によって異なります。
直接問い合わせるか、ホームページから確認してください。

参考までに、東京都の場合には新規で飲食店営業許可を得る時には18,300円、更新の費用には8,900円かかります。

取得までの期間の目安は3週間程度

営業許可証を取得するまでの期間は、2~3週間程度が目安です。
それぞれの内訳を説明すると、事前相談から申請書類までが3日程度、保健所で申請を受理するのに10日程度です。
また、立ち入り検査から営業許可がおりるまでに1週間程度かかります。

書類が再提出になった場合や立ち入り検査で合格しなかった場合には、上記に加えて時間がかかる可能性もあるので時間に余裕を持って準備してください。

飲食店の営業許可証は更新も必要


飲食店営業許可は、取得して終わりではありません。取得してからも更新が必要です。
開業してから設備や内装、衛生面での変化がないか、設備の不具合はないかをチェックするため、営業許可証には有効期限が設けられています。

更新手続きは有効期限の1カ月前までに行う

営業許可の有効期間は各都道府県によって違いますが、5年~8年で設定している自治体が大多数です。有効期間の査定は、立入検査の際に行われます。

施設の堅牢性及び設備の耐久性などが判断基準となっていて、耐久性が高い、食品衛生上好ましいと判断されれば、より長期の有効期間が付与されます。
各自治体が独自に規定した判断基準もあるので、有効期間が気になる時には事前相談で質問してください。
有効期間は、飲食店営業許可の下部に記載されています。有効期間の1ヵ月前までに手続きをしておくようにしてください。

保健所の窓口に営業許可証と更新手数料を持参して、手続きをおこないます。施設の検査を受けて合格すると、新しい営業許可証が届きます。
新規の申請と違って、更新では基本的に図面などの提出は不要です。
お店の構造などに変更があって届け出てない時には、図面の提出を求められることがあります。

更新忘れは2年以下の懲役・200万円以下の罰金の可能性がある

営業許可証の有効期限が切れた状態で営業してしまうと、食品衛生法違反になってしまいます。
指導を受けて営業許可の更新を行うことはできますが、指導を受けてから更新手続きを完了するまで営業ができません。

また、営業許可を更新しないままに営業していれば無許可営業となってしまいます。無許可営業の罰則は、2年以下の懲役、または200万円以下の罰金です。

更新を忘れただけと感じるかもしれませんが、食品は人の口に入るもので衛生は徹底されなければいけません。
更新期限を確認して、余裕をもって手続きしてください

まとめ・営業許可証を取得するために種類や条件を確認しよう

飲食店の営業許可は、各地方自治体の保健所に申請し、検査を受けなければいけません。所定の要件を満たさなければいけないので、保健所に相談しておきましょう。

設備の選定や内装工事にも営業許可がかかわっています。営業許可にどのような種類があり、取得するためになんの条件を満たさなければならないのか確認してください。

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(編集:創業手帳編集部)

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